東海電子株式会社(本社:静岡県富士市/代表取締役:杉本哲也)が、飲酒運転できないクルマ(中古車)の販売事業を2024年7月1日に開始する。
飲酒運転による交通事故は大きな社会問題になっている。「飲酒したらクルマを運転しない」のではなく、そもそも「飲酒していると運転できない」という仕組みのクルマを販売することは、非常に価値が高い取り組みだと言える。個人のほか、業務用車として利用したい企業なども多そうだ。
完全自動運転車が普及する時代になれば、そもそもドライバーの存在が必要なくなるため飲酒運転はなくなるが、それが実現するのはまだ先になる。それまでの「つなぎ」の取り組みとして、飲酒運転を撲滅させることに貢献する事業と言える。
■飲酒運転できないクルマを販売する経緯
2023年の飲酒運転による死亡事故は112件、交通事故は2,346件、飲酒運転での違反は21,467件であった。しかし、現在日本で販売されているクルマの100%が「飲酒運転ができるクルマ」だ。これまでにもアルコールチェックにパスしないとエンジンがかからないクルマを希望する声はあったが、自動車メーカーで販売しているところはいまだ無いという状況だ。
この問題を解決するため、東海電子は購入サイト「アルコールインターロック.com」にて、飲酒運転できない中古車の販売事業をスタートする。飲酒運転できないクルマとは、アルコールインターロックという「飲酒しているとエンジンをかけさせない装置」があらかじめ搭載されている車両のことだ。
▼TOP – アルコールインターロック.com
https://alcohol-interlock.com/carsales/
これまで、肉親の飲酒運転に悩む人たちが個人でアルコールインターロックを家族の自家用車に装着するという例があったという。ただしアルコールインターロックを購入する際は、1台1台取り付け可否を調査しなければならない。そのため取り付け可否の技術調査をしている間に装置の購入を諦めてしまうという場合が多かったという。
そこで東海電子は、調達した中古車にアルコールインターロック装置を装着し、動作保証ができているクルマそのものを販売する事業を開始することにした。飲酒運転できないクルマは、ウェブサイトまたは、事前連絡の上、実店舗である「東海電子 アルコールインターロック車両 富士販売センター」で確認できる。
■自動運転社会になるまで待てない
東海電子は販売開始するクルマについて、「飲酒しない人が購入する車両ではありません。このクルマが必要なのは、生活の足として自動車を持っているけど飲酒運転をしてしまう家族をもつひとたちです」と説明している。
将来的に自動運転技術により飲酒運転が激減すると予想されているが、技術開発を行っている現在も飲酒運転による事故は起きており、被害者遺族は毎日増え続けている。
同社は「自動運転まで、待てない、待たない。企業やテクノロジーは、明日のいのちにも責任があります」とコメントしており、現時点でできることを最優先に取り組んでいる決意を感じさせる。
社会貢献とも呼べるようなこの取り組み。賛同する人は多そうだ。
【参考】関連記事としては「アルコール検知で運転不可!「ロック装置」が命を救う 自動運転と目指すものは一緒」も参照。