年60%成長も夢じゃない!?「自動運転」テーマの投資信託、どんな銘柄に投資している?

新興EVメーカーや半導体企業らが投資対象に



多額の資金が動き続ける自動運転業界。次々と頭角を現すスタートアップへの先行投資をはじめ、将来性豊かな上場企業にも投資の目は向けられており、近年は自動運転銘柄をピックアップした投資信託商品も登場している。







国内では、「グローバル自動運転関連株式ファンド」と「eMAXIS Neo 自動運転」がある。それぞれどのような銘柄を選択しているのか。そして成績はどのようになっているのか。

今回は投資信託に着目し、グローバル自動運転関連株式ファンドとeMAXIS Neo 自動運転の中身を見ていこう。

■グローバル自動運転関連株式ファンドの概要

三井住友DSアセットマネジメントが運用するファンドで、自動運転技術の進化・普及により業績拡大が期待される日本を含む世界の企業の株式を対象に投資している。2017年に募集が開始された。

米国の独立系運用会社ニューバーガー・バーマン・グループが運用会社として自動運転の実現に必要な技術の競争状況を分析し、ポートフォリオを構築する「オートノマス・ビークル・ファンド」に約96%が投資されている。

同ファンドは、世界の上場企業主要3000社のうち、米国をはじめ35カ国約1500銘柄の中から自動運転関連の売上高または研究開発支出が全体の5%超の約200銘柄を抽出。個別銘柄の詳細調査を行い、35~65銘柄程度でポートフォリオを組み、投資魅力度を基に流動性、国別配分、セクター別配分を考慮してウェイトを決定している。

運用開始時点(2017年4月)の基準価額は1万円で、上下動を繰り返しコロナ禍の2020年3月には一時7369円まで落としたが、その後V字回復を遂げており、2020年9月28日時点で基準価額は1万1353円。

■グローバル自動運転関連株式ファンドの主要投資銘柄(上位10銘柄)

オートノマス・ビークル・ファンドにおける2020年8月31日時点の主要投資銘柄は以下の通り。日本ベースで考えるとなじみが薄い企業が多い印象を受けるが、それだけ幅広く、多角的に投資している証左と言えそうだ。

なお、カッコ内の数値は投資比率を表す。

NXP・セミコンダクターズ(オランダ/4.6%)

車載半導体大手。センサーやV2Xモジュールからの情報を処理し、外部環境の認識や運転判断を行う「頭脳」の役割を担う車載コンピューターのプラットフォームを展開している。

アンシス(米/4.6%)

シミュレーション解析ソフトを提供しており、自動車分野でも自動運転シミュレーションなどのソリューションで強みを発揮している。

アンバレラ(米/4.6%)

映像処理向けのSoC(システムオンチップ)に強みを有しており、同社のSoCを搭載した車載カメラは電力効率に優れ、高解像度の映像処理を行うことができる。

TモバイルUS(米/4.4%)

米モバイル通信事業者大手で、通信ネットワークの高度化に積極的に取り組んでおり、将来的にコネクテッドカーや高度な自動運転の普及において重要な通信インフラとして期待される。

TEコネクティビティ(スイス/4.2%)

自動車に電子部品を搭載する際に必須となる車載コネクター世界最大手。自動車の電装化を支える黒子役の位置づけで、幅広い自動車関連企業と取引があり、企業間の技術競争に左右されず業績拡大が期待できる。

トリンブル(米/4.2%)

GPS提供企業。車の位置や稼働状況をリアルタイムで把握するためにGPSが活用されており、同社製品も幅広い企業に納入実績を有している。

アンフェノール(米/3.9%)

車載コネクターや車載アンテナ、センサーなど幅広いインターコネクト製品を扱う企業。TEコネクティビティ同様、自動車の電装化を支える。

アナログ・デバイセズ(米/3.9%)

アナログ半導体大手で、2017年に米リニアテクノロジーを買収して自動運転関連事業を強化している。自動車レーダー分野ではリーダー企業であり、今後自動運転技術の普及によって業績面で恩恵を受ける点に注目している。

ASML(オランダ/3.7%)

半導体に回路パターンを焼き付けるための露光装置を提供している。露光装置は半導体の微細化に不可欠で、自動運転技術の高度化を裏方として支える存在となっている。

ビステオン(米/3.5%)

米自動車大手フォードから分離・独立した企業。複数のセンサーやアクチュエーターを統括するコントローラーや、無線通信セキュリティソフトウェアにおいて高い技術力を有する。

■eMAXIS Neo 自動運転の概要

三菱UFJ国際投信が運用するファンドで、米国の金融商品取引所に上場している日本を含む世界各国の自動運転関連企業の株式などに投資を行い、自動運転企業のパフォーマンスを測定するよう設計されたS&P Kensho自動運転車指数に連動することを目指すよう運用されている。2019年に募集が開始された。

運用は主に自動運転関連株式インデックスマザーファンドへの投資を通じるファミリーファンド方式によって行っており、ベンチマーク採用銘柄を主要投資対象に据え、モニタリング結果に加えファンドの資金動向やベンチマーク構成の変動などを考慮してポートフォリオ案を作成している。

運用開始時点(2019年5月)の基準価額は1万円で、緩く右肩上がりを続けている。コロナ禍の2020年3月に一時急落したもののすぐにV字回復を遂げており、2020年9月28日時点で基準価額は1万6208円。

■eMAXIS Neo 自動運転の主要投資銘柄(上位10銘柄)

2020年8月31日時点の主要投資銘柄は以下の通り。自動車メーカー大手やEVメーカーをはじめ、自動運転ラボでもおなじみの企業が上位を占めている印象だ。

NIO(中国/19.5%)

2014年設立の中国EVメーカー。インテル傘下のモービルアイと提携し、自動運転EVの開発・製造も行っている。

テスラ(米/10.8%)

早くからEVに特化した製造開発を手掛ける米自動車メーカー。自動運転開発にも積極的で、独自AIの開発をはじめ、LiDARを使用しない自動運転レベル5の開発を公言している。

VEONEER(米/5.7%)

Autolivの電子機器部門と自動運転部門がスピンオフして誕生した企業で、スウェーデンに本拠を構える。セーフティエレクトロニクスや先進運転支援システム(ADAS)、制御システムに特化した開発を手掛けている。

フォード(米/5.4%)

米自動車メーカー大手。独フォルクスワーゲンや自動運転開発スタートアップのArgo AIなどと自動運転レベル4以上の開発を進めている。

ゼネラルモーターズ(米/5.2%)

米自動車メーカー大手。子会社Cruiseが2020年1月にオリジナルの自動運転車「Origin(オリジン)」を発表し、生産・実用化まで秒読み段階と見られている。

Aptiv(英/5.0%)

自動車部品大手。配車サービス大手Lyftや韓国ヒュンダイなどと自動運転タクシーの開発・実証を進めており、有料配車回数が通算10万回を超えるなど実績も豊富だ。

VISTEON(米/4.8%)

フォードからスピンオフした自動車部品大手。ZongMu TechnologyやDesignated Driver、SenseTimeなどさまざまな企業と手を組み、先端技術の製品実装を進めている。

NVIDIA(米/4.1%)

半導体大手。自動運転開発に向けた各種プラットフォームを提供するなど自動運転分野における躍進が著しい。英ARM買収で業界での地位を確固たるものとするか注目が集まる。

YANDEX(オランダ/4.0%)

ロシアのインターネット大手(本社はオランダに所在)。自動運転開発にも積極的で、自動運転タクシーの実用実証を鋭意進めている。

AMBARELLA(米/3.8%)

半導体大手。画像処理やコンピュータービジョンを得意分野としており、自動運転やADASをはじめ、電子ミラーやドライブレコーダー、ドライバーモニタリングシステムなど自動車業界で広く活用されている。

■成長続ける自動運転業界

上場企業の株価はおおむね既存事業の業績に左右されるが、将来技術に関するニュースが株価を大きく上げることも珍しくない。また、そうした技術が将来実際に実装された際のインパクトは計り知れず、中長期目線で投資対象とするケースも多い。

自動運転技術は現在、自家用車向けのレベル3や移動サービス向けのレベル4の社会実装がようやく始まった段階だ。これから訪れる普及期は、自動運転システムの高機能化・高信頼性化が図られるとともに通信設備や情報処理設備、インフラ整備など本格的に実需に結び付いていく時期となる。

米調査会社のGrand View Researchによると、2030年までの自動運転市場は年平均成長率(CAGR)63.1%で成長するという。また、LiDARや車載向け半導体、車載インフォテインメント、デジタルマップ、HMIなど、軒並み市場規模を数倍から数百倍まで拡大するという予測が各調査会社から発表されており、自動運転業界が成長分野であることは否定できないだろう。

もちろん、業界全体が右肩上がりの成長を続けるからと言ってリスクがないわけではない。競争の結果敗れる企業もあれば、次々と誕生する最先端技術の波にのまれるケースもあるだろう。リスクヘッジはいついかなる時も忘れてはならないのだ。

■【まとめ】有望性あふれる自動運転は投資の花形に?

自動運転分野の有望性はもはや語るまでもないことだろう。投資対象として非常に大きな魅力を有するが、リスクヘッジを怠ってはならない。その意味では、専門家による分析のもとポートフォリオが組まれている投資信託はお勧めなのかもしれない。

投資信託に身を投じるも良し、抽選必然のIPO(新規株式公開)狙いでスタートアップに目を付けておくのも良し、上場企業の最新情報に網を張っておくのも良し、だ。いずれにしろ「投資は自己責任」が原則となるが、少額であれ自動運転業界の発展に寄与した気持ちを持てることが最大のメリットかもしれない。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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