【2021年7月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

有力ベンチャー、ついに上場?LiDAR企業の業績にも注目



1年遅れとなった東京五輪がついに幕を開けた2021年7月。コロナ禍における大会とあっていまだ世論は真っ二つに分断されているが、AIならどのような判断を下すのだろうか――。


閑話休題。AIを活用する自動運転の業界は、2021年7月も変わらず活況の様相を呈している。国内では東京臨海部における大規模実証の概要が発表されたほか、福岡県で新たに自動運転移動サービスがサービスインした。

海外では、LiDAR開発企業や自動運転スタートアップの話題が盛りだくさんで、自動運転時代の本格的な到来を予感させる内容となっている。2021年7月の10大ニュースを一つずつおさらいしていこう。

■マツダ、2022年に自動運転機能を導入!突然の運転手の体調不良に対応(2021年7月1日付)

マツダが「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づき、2030年に向けた新たな技術や商品の開発方針を発表した。この中で、ミニマル・リスク・マヌーバー(MRM)において自動運転技術を導入するようだ。

MRMは、走行中にドライバーや車両に異常などが発生した際、最小リスク条件(minimal risk condition)に自動かつ安全に移行することを指す。例えば、走行中のドライバーが突然意識を失った際、車内センサーがドライバーの状況を把握し、路肩などに車両を緊急停止させるシステムなどが挙げられる。


マツダは、人間中心の自動運転コンセプト「Mazda Co-Pilot Concept」を新たなブロックとして積み上げていく方針で、この「Mazda Co-Pilot」は、ドライバーモニタリングシステムのもと突然の体調不良を検知した際に、自動運転走行に切り替えて安全な場所に移動・停車し、緊急通報を行うという。第1段階の「Mazda Co-pilot1.0」は、2022年にも導入開始する予定としている。

こうしたシステムは特にレベル3に必要とされるが、ADASとしてレベル1~2の車両に組み込まれていくことも事故防止の観点から非常に有用だ。

この「Mazda Co-Pilot」は、ドライバーの状態を常時モニタリングし、突然の体調不良を検知した際に、自動運転走行に切り替えて安全な場所に移動、停車し、緊急通報を行うものだ。第1段階の「Mazda Co-pilot1.0」は2022年のラージ商品群から導入を開始する予定だという。

【参考】詳しくは「マツダ、2022年に自動運転機能を導入!突然の運転手の体調不良に対応」を参照。


中国ライドシェア最大手DiDiが米市場で上場!ビジョンファンドが筆頭株主(2021年7月2日付)

中国配車サービス最大手のDidi Chuxing(滴滴出行)がニューヨーク証券取引所に上場した。調達額は44億ドル(約4,900億円)に上り、アメリカで上場した中国企業としてはアリババに次ぐ2番目の規模となったようだ。

配車プラットフォーマーとしては、米Lyft、Uberがすでに上場しているほか、シンガポールを拠点とするGrabにも米市場への上場のうわさが持ち上がっている。

DiDiの上場は本来明るい話題だが、暗雲も立ち込めている。上場から1週間を迎える前に、中国当局がサイバーセキュリティーを理由にアプリの新規ダウンロードを禁止し、アプリストアにアプリ削除要求を発したのだ。

既存のユーザーは引き続きアプリを使用できるようだが、DiDiにとって死活問題となることに違いはない。なぜこのタイミングで?――といった疑問や、そもそもDiDiはなぜ中国内ではなく米国で上場したのか――などの疑問がいろいろと憶測を呼ぶことになりそうだが、一刻も早く事態が収束することを願うばかりだ。

■売れまくるLuminarのLiDAR!Volvo、テスラにも!?自動運転の目を製造(2021年7月2日付)

LiDAR開発を手掛けるLuminar Technologies製品の採用が相次いでいるようだ。確固たるパートナーシップを築くボルボ・カーズが2022年に公開予定のフラッグシップEV(電気自動車)への採用を発表したほか、上海汽車集団(SAIC)のEVブランドやPony.ai、モービルアイの自動運転車、エアバス子会社のエアモビリティなど、受注が続々と続いており、数多く誕生しているLiDAR開発企業の中でも頭一つ抜け出した印象だ。

今後は、ティア1サプライヤーも本領を発揮してくることが予想される。アウディA8への採用で量産車向け第1号を勝ち取ったヴァレオをはじめ、デンソーやボッシュなどティア1勢は軒並みLiDAR開発に力を入れている。自動車メーカーとのコネクションや生産体制で優位に立つサプライヤーにどう立ち向かっていくのか――といった戦略も今後の焦点になりそうだ。

■SIP自動運転の2021年度東京臨海部実証、トヨタなど22企業・大学が参加(2021年7月8日付)

内閣府、及び国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)がSIP自動運転 2021年度東京臨海部実証実験の参加者を発表した。2021年度はトヨタをはじめとする各自動車メーカーや大学など計22機関が参加し、新たに公衆広域ネットワークを利用した実証などを進める予定としている。

同実証ではこれまで、2019年10月の開始から2021年2月までの期間に29の実験参加機関が計6万5,000キロを走行し、インフラ導入による効果や自動運転に必要なインフラの配置の在り方などについて整理を進めてきた。

2021年度は、車両プローブ情報を活用した車線別渋滞情報や交通規制情報、落下物情報といった新たな交通環境情報を提供するなどし、情報インフラの在り方を追求していくようだ。また、LiDARなどの各種センサーを同時に評価するシミュレーション評価基盤の構築に向け開発を進めているシミュレーションモデルを活用し、同エリアを中心に仮想的な安全性評価環境を構築していく。

自動運転実証としては国内最大規模で、産学官を含む業界が一体となって取り組む重要な研究開発だ。2021年度も着実な前進に期待したい。

■トヨタ「ウーブン」、新体制3社の決算解説!自動運転技術やWoven Cityに注力(2021年7月9日付)

2021年に事業をスタートしたばかりのウーブン・プラネット・グループが早速決算を迎えた。研究開発が主体のため現時点で黒字を追求するものではないが、前身のTRI-ADを引き継いだものと思われるウーブン・コアが第4期決算として当期純利益約16億円を確保している。

第1期決算のウーブン・プラネット・ホールディングスは当期純損失約6億8,000万円、ウーブン・アルファも当期純損失約7億5,000万円を計上している。

買収案件やWoven City案件、自動地図生成プラットフォーム「AMP」の取り組みなど、さまざまな事業を多角的に展開しているほか、水面下でも将来技術の研究開発を加速させているものと思われる。

特にWoven CityやAMPなどの事業は大きく進み始めており、今後の動向に引き続き注目したい。

■自動運転開発の米Argo AI、2021年内に上場へ 「評価額は最大70億ドルに」(2021年7月13日付)

米フォードと独フォルクスワーゲンをバックボーンとする有力スタートアップのArgoAIに上場話が持ち上がっているようだ。複数の米メディアが報じており、中でもロイターは同社CEOを務めるBryan Salesky氏の話として取り上げており、信ぴょう性は非常に高い。

自動運転開発をメインに手掛ける米国系スタートアップの動きは2021年に入って大きく加速している。ArgoAIはフォード、Lyftと提携し、2021年末を目途に自動運転ライドシェアサービスに着手する計画を発表した。

一方、GM Cruiseは米カリフォルニア州から同州初となるドライバーレスによる自動運転タクシーのサービス許可を取得したと2021年6月に発表している。先にIPO計画を公表したAurora Innovationは、トヨタ勢と組みUberの配車ネットワークに自動運転車を導入する計画を発表している。

自動運転タクシーで先行するWaymoを猛追する動きが活発化している印象で、社会実装に向けた開発競争が一段と激化するのは間違いなさそうだ。

■道の駅で3カ所目!自動運転カートの100円移動サービス、福岡県みやま市でスタートへ(2021年7月15日付)

福岡県みやま市で、自動運転バスによる移動サービスがスタートした。公道を走行するためレベル2での運行となるが、本格的な有料移動サービスとして社会実装されている。

同市では、国土交通省の道の駅を拠点とした自動運転実証事業として2018年から取り組みが進められてきた。使用車両はヤマハ発動機のゴルフカートタイプで、道路に敷設された電磁誘導線を読み取りながら乗客4人を乗せて時速12キロで走行することができる。

運行ルートは市民センターや商店などを結ぶ往復7.2キロの国道で、9カ所のバス停が設けられている。公道のため運転手が同乗し、緊急時などに限り手動介入する。運賃は大人100円となっている。

道の駅系では3カ所目のサービスインだ。法律上制限があるものの、レベル2でサービスに移行して経験を積み、来たるべきレベル4時代に備えるのも有効な手段と言えるだろう。

■自動運転開発の米Aurora、SPAC上場を正式発表 2021年内、20億ドル調達へ(2021年7月17日付)

米Aurora Innovationの上場が本決まりしたようだ。SPACとの合併により、2021年後半にも米ナスダック市場に上場する計画だ。合併後の企業価値は130億ドル(約1兆4,000億円)と見積もられている。

CASE関連企業の上場は、米NikolaやFisker、中国NIOといったEV企業が先行し、次いで米Luminar TechnologiesやイスラエルのInnoviz TechnologyといったLiDAR開発企業が2020年から上場の動きを加速している。

自動運転システム開発企業では、自動運転トラックの開発を手掛ける中国系TuSimleが2021年に上場を果たしたほか、米Embark Trucksも上場計画を公表している。また、AutoXやPony.aiなどにも上場のうわさが持ち上がっており、今後上場の動きが連鎖する可能性もありそうだ。

なお、Auroraはトヨタ・デンソーと提携しており、近く自動運転システムをトヨタ車に統合し、本格的な実証後Uberの配車ネットワークに導入する計画が発表されている。こうした動きと上場のタイミングをリンクさせる可能性も考えられそうだ。

■LiDAR業界、販売先の獲得合戦が本格化!セプトンやオンセミが大量受注を発表(2021年7月21日付)

LiDAR業界の活況が続いているようだ。ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)がAutoX、セプトンがデトロイトに拠点を置くOEMからそれぞれ大型受注案件を勝ち取ったことが報じられている。

LiDAR業界では、すでにLuminar TechnologiesやInnoviz Technologyなど上場を果たした脱スタートアップ組も続出している。背景には、各社の製品が市場要件を満たすレベルに達したことと、LiDAR需要が計画ベースから実需に変わった点が挙げられそうだ。

数年前まで1基数十万~数百万円と言われていたLiDARは、10万円を切る価格帯の製品も登場し、その上性能向上や小型化も図られるようになった。特に自家用車向けは、車両デザインを邪魔しない形状・サイズとともに低コストが絶対条件となるが、こうした要求に応えられる製品はむしろスタンダード化している。

一方、需要面では、移動サービス用途を中心としたレベル4車両や、ハンズオフ運転を可能にする高度なレベル2(レベル2+)、アイズオフ運転を可能にするレベル3を搭載した自家用車の量産化に向けた動きが実態を伴うものへと変化し、具体的な契約へと結びついているのだ。

レベル4車両やレベル3車両は2022年ごろから本格生産が始まる見込みで、これら第一陣の注文が実態となり始めたのが今の段階だ。今後しばらく発注が続き、LiDARをめぐるスタートアップやサプライヤーの動きはますます活発になりそうだ。

■トヨタWovenが買収するCARMERAの実力とは?自動運転を支えるマッピング技術に強み(2021年7月21日付)

ウーブン・プラネット・ホールディングスはこのほど、マッピング技術開発を手掛ける米スタートアップのCARMERAの買収に合意したと発表した。自動地図生成プラットフォーム「AMP」を強化する構えだ。

CARMERAは、車両のクラウドソーシングとリモートセンシングを利用し、高精度地図を効率的に更新する技術などを有する。2019年にウーブンの前身となるTRI-ADとカメラ画像をもとに高精度地図を自動生成する実証を行うなど、同じ方向性を目指しているものと思われる。

買収額などは明かされていないが、CARMERAのチームは今後ウーブン・アルファのAMPチームと協働し、研究開発から商業化への移行を加速するとしている。

■【まとめ】着実に社会実装や市場化進む自動運転 今後の動向に要注目

国内でも自動運転サービスをローンチする事例が徐々に目立ってきた。本格的なレベル4の実用化は法規制待ちとなるが、着実に社会実装に向けた取り組みが進んでいる印象だ。

一方、海外ではLiDAR企業が着実に受注を積み上げているほか、自動運転システム開発スタートアップのIPO話も相次いでいる様子で、早くも自動運転の市場化が始まっている印象だ。

加速の一途をたどる自動運転業界。数年後、金メダルを手にする企業は果たして――?

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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