国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)は2021年7月7日までに、「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)第2期の「自動運転(システムとサービスの拡張)」が実施する2021年度の東京臨海部実証実験の参加機関を発表した。
戦略的イノベーション創造プログラムは内閣府が主導している取り組みで、2021年度の東京臨海部実証実験には22の企業や大学が参加するという。またNEDOは同時に、東京臨海部で2020年度に実施した実証実験の成果も公表した。
■2021年度は22の企業や大学が参加
2021年度の東京臨海部実証では、これまで整備してきたインフラからの情報だけではなく、新しい公衆広域ネットワーク「V2N」を利用した交通環境情報を整備し、2021年秋以降に実証実験を開始する。
参加が決まった22機関は以下の通りだ。「※1」の4企業・大学は合同チームで参加する。「※2」の3大学も合同チームで参加する。大手自動車メーカーや自動車部品メーカー、保険会社のほか、自動運転技術の研究を手掛ける大学の名前もある。
- アイサンテクノロジー株式会社(※1)
- 損害保険ジャパン株式会社(※1)
- 株式会社ティアフォー(※1)
- 株式会社フィールドオート(※1)
- 金沢大学(※2)
- 中部大学(※2)
- 名城大学(※2)
- 株式会社ヴァレオジャパン
- ヴィオニア・ジャパン株式会社
- コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン株式会社
- 埼玉工業大学
- スズキ株式会社
- 株式会社SUBARU
- ダイハツ工業株式会社
- トヨタ自動車株式会社
- 名古屋大学
- 日産自動車株式会社
- ビー・エム・ダブリュー株式会社
- フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社
- ボッシュ株式会社
- 株式会社本田技術研究所
- マツダ株式会社
またSIP自動運転では、LiDARなどの各種センサーシステムを同時に評価するシミュレーション評価基盤の構築のため、仮想空間内で多様な交通環境を模擬できるシミュレーションモデルを開発している。
この取り組みにおいて、臨海副都心地域をメインに仮想的な安全性評価環境を構築し、2021年秋以降に実証実験を実施予定だという。
■2020年度は29機関が6万5,000キロを走行
2020年度(2019年10月から2021年2月末まで)に東京臨海部で実施した自動運転の実証実験では、参加した29機関が計6万5,000キロを走行したという。
臨海副都心地域では、現在の信号の色と次に信号の色が変わるタイミングを提供するITS無線路側機と高精度3次元地図を整備し、一般道での信号情報の有効性の確認と、実交通環境での影響評価を行った。
羽田空港地域では、磁気マーカーやITS無線路側機を活用した公共車両優先システム(PTPS)や信号情報の提供環境、高精度3次元地図を整備した。その上で自動運転バスのバス停への正着制御や遅延防止を目的とした定時制、目的地までの所用時間短縮を目的とする速達性を検証した。
羽田空港と臨海副都心などを結ぶ首都高速道路では、高速道路合流部で安全でスムーズに走行できるかを検証すべく、合流支援情報やETCゲートの開閉情報を配信するインフラを整備した。
2020年度の成果については、詳しくは以下から閲覧することが可能だ。
▼東京臨海部実証実験の成果報告の概要について
https://www.nedo.go.jp/content/100934380.pdf
■【まとめ】官民連携が自動運転社会実現のカギ
自動運転社会を日本で実現させていくためには、官民の連携は不可欠だ。つまり、SIPの自動運転プロジェクトは重要な役割を担う。2021年度の東京臨海部の実証実験ではどのような成果が出るのか、継続して注目していきたい。
【参考】関連記事としては「SIP第2期、羽田空港地域で自動運転の実証実験がスタート!」も参照。