
トヨタが新たな自動運転モビリティ「Guide Mobi」の実証をToyota Woven Cityで開始したようだ。一般車両を電子牽引することで誘導し、利用者のもとへ搬送するモビリティだ。カーシェアサービスなどへの導入を見据えているという。
自動運転モビリティ・サービスの応用系として注目が集まるところだ。トヨタのモビリティ戦略の最前線に迫る特集「NEXTトヨタ」の第2回では、Guide Mobiの概要とともに、こうした電子牽引システムや牽引系モビリティの最前線に迫ってみよう。
▼【NEXTトヨタ】テスラやGoogleと「真逆」な自動運転戦略(第1回)
https://jidounten-lab.com/u_58588
記事の目次
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■Guide Mobiの概要
カーシェア車両を自宅前まで無人でお届け
Woven Cityにおいて、トヨタは実証テーマに以下の3つを掲げている。
- 1:e-Palette
さまざまなモビリティ・サービスに活用できるバッテリーEV。飲食の提供などサービス提供のプラットフォーム機能を実証 - 2:Personal Mobility Vehicle(PMV)
自由に安心して楽しめる電動小型三輪モビリティによるシェアサービスを実証 - 3:Summon Share
自律走行ロボット(Guide Mobi)によるシェアカーの自動搬送サービスを実証
おなじみとなったe-Paletteは、トヨタが開発を進めるサービス専用の多目的型自動運転車だ。PMVは、トヨタ版電動キックボードのようなイメージで、今後、先行他社とどのように差別化を図るのかなど注目が集まりそうだ。
そして「Summon Share」だ。推定1メートル立方ほどの自律走行可能なロボット「Guide Mobi」が、移動させたい無人車両と通信し、指令を出しながら先導・誘導する形で移動するモビリティだ。

用途としてはカーシェアなどを想定しており、利用者がスマートフォンで配車を依頼すると、Guide Mobiが利用者の自宅前まで無人で車両を届ける――といったサービス実証を行う計画のようだ。
この仕組みであれば、乗り捨て利用(ワンウェイサービス)なども実現できるものと思われる。利用後、自宅前や目的地などで利用終了を告げることで、Guide Mobiが車両を迎えにくるためだ。利便性の高いシェアサービス実現に貢献しそうだ。
ポイントは、牽引・誘導される側の車両は、自動運転車でなくとも無人移動を可能にしている点だ。詳細は不明だが、Guide Mobiとつながる通信システムと、アダプティブ・クルーズ・コントロールやレーンキープアシストのような制御機能があれば利用可能と思われる。レベル2相当の技術で無人移動が可能になるのだ。
Guide Mobiは「Japan Mobility Show 2025」に出展されたほか、トヨタイムズがアップしている動画「【ウーブン・シティ ローンチ篇】TVCM 30秒」にもちらっと登場している。
Woven CityのFacebook公式アカウントも、実証テーマ紹介の1発目でGuide Mobiを取り上げているので、ぜひ参照してほしい。
▼Woven CityのFacebook公式アカウント
https://www.facebook.com/story.php
■電子牽引システムの導入例
国内ではトラックの後続車無人隊列走行実証で活躍
Guide Mobiの仕組みは、いわゆる「電子牽引」に相当するものと思われる。用途は異なるが、技術的には高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行に近いものと思われる。日本では、高速道路における無人トラック走行技術として研究開発が進められてきた。
後続車無人隊列走行は、高速道路などにおいて有人のトラックが通信接続した複数台の運転席無人トラックを電子牽引し、一人のドライバーが多くの車両(荷物)を輸送するシステムだ。
有人の先頭車両の走行軌跡を、無人の後続車が自動で追従する仕組みだ。他車が間に割り込まないよう、5~10メートルと狭い車間距離で追従する。
具体的には、無人の後続車に3DLiDARやステレオカメラ、RTK-GPSなどを搭載し、有人の先頭車両との横ずれを正確に把握し、プラスマイナス50センチ以内の精度でトレースできるようハンドル操作を制御する。
縦方向の制御は、車間距離を短く保つには従来の衝突被害軽減ブレーキなどでは性能不足のため、先頭車両と通信で接続し、先頭車両のアクセルやブレーキ操作をリアルタイムで後続車両に伝達することで制御を行っている。
先頭車両には、後続車両の後方画像など隊列の周辺環境を認識しやすいモニターなどを設置している。3台で隊列を組むと、その全長は約60メートルに及ぶため、後続車両の周辺認識も重要視しているのだ。
詳細は、経済産業省の公式YouTubeを見てもらいたい。同システム開発を手掛ける先進モビリティの青木啓二取締役会長自らがわかりやすく説明している。
▼高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術を実現しました①技術説明
https://www.youtube.com/watch?v=cdLg6QbErms
後続車無人隊列走行実証では、2021年2月に新東名高速道路の遠州森町PA~浜松SA間約15キロにおいて、3台の大型トラックが時速80キロで車間距離約9メートルの車群を組んで走行することに成功している。
なお、その後の進捗は不明で、官民連携の取り組みは自動運転レベル4トラックの実現にシフトした感が強い。
また、JR西日本とソフトバンクは共同で自動運転・隊列走行BRTの開発を推進しており、専用レーンを用いたBRTの導入を検討している東広島市との連携のもと、自動運転バスの隊列走行に向け検討を進めていることなども発表されている。
電子牽引システムを応用することで、さまざまなサービスが創出される可能性もありそうだ。
【参考】関連記事「トラックの後続車無人隊列走行、新東名高速で実現!豊田通商が国の事業として実施」も参照。
■牽引×自動運転の動向
駐車場における自動運転牽引モビリティも実用化域に

類似した機能としては、駐車場などにおける無人牽引モビリティなどが挙げられる。無人の駐車車両をロボットが何らかの手法で牽引し、移動するシステムだ。
トヨタと異なり、多くの場合対象車両と物理的に接触して牽引するモデルが主流となっている。好例は、仏Stanley Roboticsが開発する自動運転ロボット「Stan」だ。
ショッピングモールの巨大パーキングなどで、「バース」と呼ばれる駐車位置にクルマを停め、スマートフォンで指示すると、Stanが無人走行しながらクルマを迎えに来る。
車両のホイールベースの長さに合わせて自動調整するプラットフォームにより、タイヤ部分を支えてゆっくりと車両を持ち上げる。
Stanは、車両のホイールベースの長さに合わせて自動調整されるプレートを搬送する車両の下に潜らせ、プライヤーと呼ばれるタイヤ把持部を展開させてタイヤを持ち上げる形で車両全体を持ち上げる。そのまま駐車区画まで移動し、車両を降ろす仕組みだ。各ロボットは、搬送する車両の特性(長さ、幅、重量)を評価して持ち上げ、障害物の有無を確認しながら駐車場内を自律走行する。
搭載されたソフトウェアが敷地内の通路網をモデル化し、効率的な経路や優先順位などを計算して駐車スペースを埋めていくという。最大2.6トンの車両を運搬可能で、時速4キロで走行する。1時間あたり7台の車両を移動できるという。
仏リヨン空港や英ガトウィック空港などで採用されており、日本でも三菱重工業がパートナーシップを結び、千葉県内の酒々井プレミアム・アウトレットで2022年に実証を行っている。
【参考】関連記事「広い駐車場の「わずらわしさ」を自動運転で解決!三菱重工の挑戦」も参照。
欧州ではロボット牽引車両が普及し始めている?
自動運転ではないが、欧州では自動車をリフトして搬送することができる小型ロボットの開発・実装が進んでいるようだ。Stan同様、搬送車両の下にプラットフォームを潜らせて持ち上げる仕組みで、遠隔操作に対応しているモデルが多いようだ。イタリアのTracked Machinesや仏Multitractなどが開発している。
地下駐車場など、狭い場所でも車両を移動することができ、違法駐車対策や路上レッカーなどの用途で実用化されている。
BEVが増加する今後、故障車両の牽引などでもこうしたロボットが役立つかもしれない。故障状況によるが、車両の牽引は前輪または後輪を持ち上げる形で引っ張ることが多い。しかし、BEVは駆動輪が地面に接したままだとモーターが回ってシステムに影響を及ぼす可能性があり、車種ごとに牽引方法が定められている。できれば、4輪すべてを持ち上げて移動したいところだ。
こうした場面で、小型ロボットがあれば、積載車を持ち出すことなく手軽に車両を移動できるかもしれない。違法駐車対策などにおいてもレッカー作業が手軽に行えるため、使い方次第でさまざまな需要が見込めそうだ。
こうしたロボットの進化・応用バージョンの一つが、StanやGuide Mobiのような自律走行モデルと言える。
トヨタや日産も完成車の輸送に活用
制限区域内における牽引モビリティとしては、自動運転トラクターの類がメジャーな存在だ。トヨタや日産などは、工場敷地内などで完成車両の搬送に自動運転モビリティを導入している。
日産は2016年、完成車を専用埠頭まで無人搬送するシステム「Intelligent Vehicle Towing(インテリジェント ビークル トーイング)」を追浜工場に導入したと発表した。
自動運転機能を備えたリーフベースの牽引車に台車をつなげ、最大3台まで搬送することができるという。早い時期の導入だが、現在の自動運転システム同様、マップデータをもとにカメラなどのセンサーで白線などを認識しながら走行するシステムだ。
トヨタは、「Vehicle Logistics Robot(VLR)」と呼ばれる車両搬送ロボットを元町工場で導入している。Stanなどのモデルを大型化したようなイメージで、サイズが異なる車両を搭載できるよう車高やホイールベースに応じて荷台を昇降・伸縮することが可能なプラットフォームを車両の床下に潜り込ませ、タイヤ4輪を持ち上げて車両を搬送する。
管制システムが複数台のロボットの動きを一括管理することもできるようだ。
【参考】関連記事「トヨタ、完成車の運搬を自動運転化!ロボットがタイヤを挟んで持ち上げて…」も参照。
空港では自動運転トーイングトラクターがまもなくレベル4実現
空港では、自動運転機能を搭載したトーイングトラクターの本格実用化に向けた取り組みが進められている。
豊田自動織機やTLD、ZMP(現ROBO-HI)製の自動運転トーイングトラクターなどを導入し、ANAやJALが各空港敷地内で実証に当たっている。
ANAと豊田自動織機は2024年7月、東京国際空港(羽田空港)でレベル4による貨物搬送の試験運用を実施した。実用化に向けた技術面、運用面などの課題を洗い出し、経済性などの検証を踏まえた上で2025年中の羽田空港での無人搬送の実用開始を目指すとしている。
自動運転シャトルで先行していた仏NAVYA(現Navya Mobility)とEasyMileも早くに自動運転トーイングトラクターを製品化している。
NAVYAの「Autonom Tract AT135」はレベル4に準拠した自動運転システムで、時速15キロで走行することができる。インフラや管制などの他のシステム・車両と通信する V2X機能も備えている。
EasyMileの「EZTow」は屋内外の物流プロセスや空港で自律的な資材搬送を可能にするモデルで、最大14トンの貨物をトレーラーで搬送することができるという。
ボルボ・トラックなど海外勢も開発
海外では、スウェーデンのボルボ・トラックが2018年、自律走行可能な無人トラクターのコンセプトモデル「Vera」を発表している。
ぱっと見ただけでは「トラクター」を連想できない斬新なデザインが特徴で、物流センターや工場、港を結ぶピストン輸送業務向けに設計されているという。物流事業を手掛けるDFDSと協力し、ヨーテボリ港で商品輸送実証が行われているとしている。
【参考】関連記事「ボルボの自動運転戦略まとめ コネクテッドカーの開発状況は?トラック部門は?」も参照。
■【まとめ】電子牽引×自動運転は多用途な活用が見込める
電子牽引×自動運転の組み合わせは、トラックやバスなどのほか、カーシェアなどアイデア次第で多用途な活用が見込めそうだ。
多くは限定エリア内における運用を想定しており、現時点では公道走行に課題が残りそうだが、こうした問題は技術の進化が解決する。どのような需要が想定されるか柔軟に検討することで、新たな自動運転サービスが誕生するかもしれない。まずはWoven Cityでの取り組みに期待だ。
▼【NEXTトヨタ】テスラやGoogleと「真逆」な自動運転戦略(第1回)
https://jidounten-lab.com/u_58588
【参考】関連記事としては「自動運転、日本政府の実現目標・ロードマップ一覧|実用化の現状解説」も参照。











