【2022年11月の自動運転ラボ10大ニュース】Argo AI停止、SBGはArmに注力

WaymoはGeelyと自動運転専用車実用化へ



国内ではレベル4導入に向けた関連法令の改正案が公表されるなど、自動運転の本格導入に向けた事前の取り組みが活発化している。一方、海外では有力スタートアップが事業停止を余儀なくされるなど、一部で情勢が大きく変化しているようだ。







世界経済の動向や各国の政策などに翻弄されながらも着実に開発や実装が進む自動運転技術。2022年11月はどのような動きがあったのか、1つずつニュースを振り返っていこう。

■解禁!自動運転レベル4、道交法改正に伴う「法令改正案」概要(2022年11月2日付)

改正道路交通法の施行に向け、警察庁が関係政令・法令の改正案を公表し、パブリックコメントを実施した。改正法は2023年4月1日に施行する計画だ。

関係政令・法令では、特定自動運行の審査手数料や申請に必要となる計画の要項、特定自動運行主任者などに必要な教育や要件、遠隔操作型小型車が従う信号機のルール、遠隔監視装置の要件などが細かく示されている。

これらの下位法令は必要に応じて修正し、改正道路交通法と同日に施行する予定となっている。BOLDLYらが自動運転バスを運行する茨城県境町や、遠隔監視・操作型のレベル3運行を行っている福井県永平寺町や沖縄県北谷町など、ただちにレベル4導入に向けて動き出しそうな地域もある。

パブコメでどのような意見が出され、どのような修正が加わるのか。改めて注目したい。

■自動運転業界、誰も予想してなかった「Argo AI閉鎖」の背景(2022年11月3日付)

自動運転開発を手掛ける有力スタートアップの米Argo AIが事業を停止した。大型出資者の米フォード、独フォルクスワーゲンがともに投資を引き上げたためだ。

同社は、CruiseやNuro、Aurora Innovationなどとともに有力視されていたスタートアップで、創業間もなくフォードから巨額出資を得るなど早くから頭角を現していた。

このタイミングでの出資引き上げは中途半端な印象を受けるが、刻一刻と変わる情勢に対し両社が出した結論であることに変わりはない。希望するエンジニアは両社が受け入れ、内部で開発を進めていく構えだ。

フォードは当初の戦略を変更し、自家用車向けの高度なレベル2やレベル3に注力していくという。

各社の選択が今後どのような結末に結び付いていくのか。また、Argo AI創業者のブライアン・サレスキー氏がどのように動くかなど、業界の動向に引き続き注目したい。

■自動運転移動サービスが驚きの「運賃ゼロ」!「物販」導入で(2022年11月4日付)

関西電力子会社のゲキダンイイノが、神戸ウォーターフロントで運賃ゼロのモビリティサービス実証を実施した。

ゲキダンイイノは、歩く速度と同一の時速5キロの低速モビリティサービス「iino」の運営を手掛けている。2021年11月に「神戸三宮『えき~まち空間』モビリティ活用検討協議会」を立ち上げ、ウォーカブルなまちの実現に向けた検討・取り組みを進めている。

今回の実証は、回遊性向上効果の検証や走行ルート上での軽飲食の販売による収益性検証、海岸沿いにおけるモビリティナイトクルーズの需要性調査などを実施した。モビリティ走行で人流を創出し、走行ルート上での物販や時間限定でのクルージングコンテンツなどを実施することで新たな収益を生み出すことで事業者側のランニングコスト負担を軽減させ、運賃ゼロモデルの確立を目指すという。

自律走行するポップコーンマシンが海沿いのエリアを回遊し、無人による調理・販売もおこなったようだ。

今後、こうしたモビリティの需要が観光地を中心に大きく伸びる可能性もある。どのようなモビリティサービスが可能か、またどのようなビジネス性を生み出していくかなど、さまざまな観点から要注目だ。

■自動運転レベル4解禁、路線バスの「赤字地獄」に転機到来(2022年11月5日付)

自動運転レベル4の公道走行を可能にする改正道路交通法が2023年4月までに施行される。レベル4技術を活用した移動サービスなどは、許可制の「特定自動運行」に位置付けられ、一定のルールのもと公道走行が可能となる。

国内では、バスやシャトルサービスなど特定の路線を比較的低速で走行する移動サービスが導入される見込みだ。

ドライバーレスで走行可能なレベル4は、赤字が慢性化している地方公共交通復権のカギとなり得る。レベル4導入でただちに黒字に転換するわけではないが、収支改善効果は徐々に大きくなるものと思われる。

自動運転バスなどに少し遅れる形で、自動運転タクシーやラストマイル配送なども実用化されていくこととなるが、多くの場合、地方自治体や既存の交通事業者の協力が必要になるものと思われる。

すでに各地でさまざまな実証が行われているが、様子見している自治体なども少なからず存在しているものと思われる。道交法改正で新たに手をあげる自治体や事業者がどれほど出てくるか、要注目だ。

■三菱UFJ、車中決済で「自動運転市場」に参入か DMPと合弁(2022年11月7日付)

三菱UFJ銀行が、高精度3次元空間データと金融ソリューションを組み合わせた新たな事業の創出を目的にDMP(ダイナミックマップ基盤)と合弁を設立した。

第一号案件として、DMPが自動運転向けに整備する高精度3次元地図データをもとに、除雪支援システムの事業化に取り組むという。システム利用によりデータに基づいた安全かで効率的な除雪が可能となり、三菱UFJ銀行のネットワークやファイナンス機能を活用することで幅広く利用される事業を目指す。

このほか、車両の正確な走行距離情報に応じた決済機能の開発など、高精度3次元地図データと金融に関するノウハウを掛け合わせた新たな金融サービスについても検討を進める。

MaaSや自動運転時代においては、車内サービスや各種モビリティサービスが増大し決済機会も飛躍的に増える可能性が高い。今後、金融関連の新規参入・新規事業化が相次ぐ可能性もありそうだ。

■時給1,500円!自動運転ロボの「監視バイト」が話題に(2022年11月11日付)

自動配送ロボットの本格実用化を前に、実証時のロボットを見守るアルバイトが増加傾向にあるようだ。

自動配送ロボット実用化後は、当然だがロボットが遠隔監視のもと自律走行して目的地へと向かう。トラブルに遭遇、あるいは予見した際に遠隔地から必要に応じて操作を行う仕組みが大半だ。

ただ、実証初期においては念のためロボットを近接監視し、万が一の際に迅速に対応できる体制をとっておく。ある意味、自動運転車におけるセーフティドライバーのような役割だが、低速走行する小型ロボットのため取り扱いはそれほど難しいものではなく、アルバイトでも対応できるものと思われる。

自動配送ロボットは2023年4月までに施行される改正道路交通法によって公道走行が解禁される。この改正に合わせ導入を検討する事業者は増加することが予想されるため、ロボット見守りアルバイトが各地で募集されることになるのかもしれない。

■孫氏が宣言「私はArmに没頭する」 自動運転で爆発的成長へ(2022年11月11日付)

ソフトバンクグループの2022年度第2四半期の決算説明会で、孫正義会長自らがArm事業に注力していくことを表明した。

高まり続ける半導体需要を背景にArmは堅実に成長しており、孫会長はインテルなどと比較したうえでの優位性や今後のIoT時代を見据え、さらなる爆発的成長に期待を寄せているようだ。後藤芳光CEO(最高経営責任者)にグループの守りの経営を任せ、自身は攻めの姿勢を貫くという。

Armは再上場も予定している。企業価値は数兆円規模で、窮地に追い込まれているビジョン・ファンドを再浮上させる起爆剤ともなり得るだけに、今後の動向に注目したいところだ。

■海外輸出、「原発」から「交通ソフトインフラ」の時代に(2022年11月19日付)

インフラシステム海外展開戦略のもと、国は交通ソフトインフラの輸出にも本腰を入れ始めたようだ。CASEの波が世界で加速する中、ソフト関連の需要は今後大きく伸びるものと思われ、日本の技術の飛躍に期待が寄せられるところだ。

事業の枠組みの中では、DMP(ダイナミックマップ基盤)が高精度3次元地図の海外展開を進めるなど、自動運転分野でもすでに動きがあるようだ。

また、同事業とは別に、ティアフォーのように自動運転ソフトウェア「Autoware」の海外展開を推し進める例などもある。今後、交通ソフトインフラ同様自動運転システムのグローバル化も大きく進み、開発各社の競争はいっそう激化することが予想される。

こうした面においてもバックアップを強化していくことが求められそうだ。

■自動運転、日本発の「安全性評価」枠組みが国際標準に(2022年11月21日付)

自動運転システムの安全性を評価する手順などで構成される日本発の国際標準「ISO 34502」が発行された。自動運転システムの開発において、安全性を評価・検証する際の共通基盤として有用で、安全性や開発効率の向上を図ることができる。

クリティカルシナリオの導出手法について、自動運転システムの要素を「認知」「判断」「操作」の3要素に分け、それぞれの危険につながる事象を体系的に整理することでシナリオを漏れなく導出するシナリオベースのアプローチを採用している。

このアプローチにより、シナリオの種類が無限に近くなった場合も安全性保証にとって必要十分なシナリオを、過不足なく検討することが容易になるという。

■Google、「中国企業」に自動運転車の製造委託 相手はGeely(2022年11月23日付)

グーグル系Waymoが中国Geely(浙江吉利控股集団)と提携し、同社のプレミアムEV(電気自動車)ブランド「Zeekr」が設計する自動運転専用車両にWaymo Driverを統合する。

新設計する車両は、サービスとしての輸送(TaaS)に最適化された乗員ファーストの自動運転車で、ハンドルなどの手動制御装置を備えないモデルだ。Waymoはこれまで従来の乗用車をベースにWaymo Driverを統合する取り組みを進めてきたが、自動運転専用モビリティの社会実装にも本格着手した格好だ。

今後数年かけて統合し、米国内のWaymo Oneフリートに導入していく計画としている。

余談だが、記事では米国企業(Waymo)が中国企業(Geely)に委託する影響にも言及している。Geely傘下のボルボ・カーズはWaymoとすでに手を組んでおり、なかなか複雑な関係だ。半導体の輸出規制など国家レベルの諍いが自動運転分野に及び、開発や実用化を阻害しないことを望みたい。

■【まとめ】レベル4法施行に向けたカウントダウン開始

国内では、2023年4月の改正道路交通法施行まで半年を切り、カウントダウン体勢に入った感がある。事業が大きく動き出す4月に向けた準備が官民それぞれで大詰めを迎え始めているようだ。

海外では、Waymoが自動運転専用車両の導入に向けた取り組みを加速している。自家用車ベースから専用設計車両へと徐々に移行していくことになるが、安全基準上、新規格の車両が各国でどのように受け入れられていくのかも注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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