EV大手の米テスラが提供する「Full Self-Driving(FSD)」のβ版が北米で有料化し、誰でも利用可能になるようだ。ただし、このFSD、直訳すれば「完全自動運転」だが、いまのところは自動運転はできず、「将来的に完全自動運転が可能なソフト」と解釈してほしい。
同社のCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏はTwitterで、「テスラのFSD β版は、北米で車内のスクリーンからリクエストすれば、このオプションを購入した人なら誰でも利用可能に」とツイートしている。
Tesla Full Self-Driving Beta is now available to anyone in North America who requests it from the car screen, assuming you have bought this option.
Congrats to Tesla Autopilot/AI team on achieving a major milestone!
— Elon Musk (@elonmusk) November 24, 2022
■テスラの従業員にねぎらいの声
FSDのβ版は2020年から限定的に提供を開始し、現在約16万人が利用しているが、サービス提供を受けるためには安全基準を満たし、かつ同社のADAS(先進運転支援システム)「Autopilot」で100マイル以上(約160キロ)の利用実績が記録されている必要があった。
独特の経営手法やTwitter買収で、まさしく「時のヒト」となっているマスク氏。「『重要なマイルストーン』を達成したTesla社のAutopilot/AIチームおめでとう!」ともTwitterでつぶやいている。純粋に従業員をねぎらいたい気持ちなのだろう。
しかしマスク氏は最近、Twitterの従業員に過酷な労働を強いようとしている(=嫌なら退職していい、という狙いで?)向きもあり、「テスラの従業員とTwitterの従業員に対する態度が違いすぎるのでは・・・」といった声もある。
■FSDはOTAによって自動運転ソフトに
FSDについて、少し説明を付け加えておこう。FSDは「OTA」(Over The Air)と呼ばれる無線アップデートによって、いずれは自動運転機能の利用が可能になる予定だ。
【参考】関連記事としては「Over The Air(OTA)技術とは?(2022年最新版)」も参照。
FSDのβ版は、車両代金とは別に1万5,000ドル(約208万円)のパッケージを購入するか、月額199ドル(約2万8,000円)のサブスクリプションを契約すれば、利用することが可能となっている。
追加で6,000ドル(約83万円)を購入すれば、Auto ParkingやSmart Summonなどの駐車をアシストする機能などもつけることが可能だ。
ちなみにこのFSDについては、2016年に開発計画がスタートした当時、マスク氏は「およそ1年以内にドライバーがハンドルを握らなくてもよくなるところまで進歩する」と語っていた。
■FSDの進化に世界が注目
FSDに関しては、バージョンがアップデートされる度にニュースとして話題になるなど、アメリカを始めとして世界各国で非常に関心が高い。自動運転ラボもFSDの進化を引き続きウオッチしていく予定だ。
【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2022年最新版)」も参照。