Over The Air(OTA)技術とは? 自動運転車やコネクテッドカーの鍵に

米テスラ社が先行導入、無線通信でソフトウェア更新


コネクテッドカーの登場により自動車業界で飛躍的に注目度が高まっている「OTA(Over the Air)」。聞きなれない言葉かもしれないが、スマートフォンなどで当たり前に使用されている技術で、自動車への普及も今後加速度的に進んでいくことが予想される技術だ。







今回は、このOTAについて、その正体とともに自動車業界でどのように利用されるのかを解説していこう。

  1. 自動運転とデータ通信…V2IやV2V、5Gなどの基礎解説
  2. 自動運転車とは? 定義や仕組み、必要な技術やセンサーをゼロからまとめて解説
  3. コネクテッドカー・つながるクルマとは? 意味や仕組みや定義は?
■OTA(Over The Air)とは?

OTAは、無線通信を経由してデータを送受信することを指し、ソフトウェアの更新などを行う際にこのOTA技術が広く利用されている。スマートフォンのOSやアプリの更新をイメージするとわかりやすいだろう。「SOTA(Software Updates Over The Air)」や「FOTA(Firmware update Over The Air)」といった略称が使用されることもある。

近年の自動車はコンピューター制御によるシステムが多様化しており、その各部にさまざまなソフトウェアが組み込まれている。さらに、ADAS(先進運転支援システム)やコネクテッド機能に代表されるように最新のソフトウェアを要するシステムが複雑化しており、このソフトウェアに起因するリコールなども発生している。

従来、車載ソフトウェアの更新や修正なども一般の故障と同様にディーラー対応などによって行ってきたが、DCM(車載通信機)などの活用によりOTA対応が可能となれば、手間や時間、労力などをカットすることができ、迅速な対応が可能となる。

■自動運転車やコネクテッドカーとOTA
車載プログラムのアップデートで活躍

ICT端末としての機能を有するコネクテッドカーは、マップの更新やエンターテインメント機能はもとより、車両の状態や周囲の道路状況などさまざまなデータをセンサーから取得し、ネットワークを介して送受信することで安全性や利便性を高める。

また、ADASをはじめとした自動運転技術は、LiDAR(ライダー)やカメラなど物理的なセンサー類をもとに、そこから得られた情報を解析し、判断するソフトウェアがあって初めて機能するものであり、搭載されるソフトウェアは年々高度化・複雑化しながら進化を遂げている。高度な自動運転においては、最新のダイナミックマップと常に協調しながら自動運転機能が働く仕組みとなる。

一昔前の自動車は機械的な部品のかたまりだったが、現代の自動車の中身はその多くがコンピューター制御されており、今後、自動運転やEV(電気自動車)化の進行とともにそのウェイトはいっそう高まっていく。

ソフトウェアの高度化や複雑化は、その性質上大なり小なり不具合を生み出しやすく、また最新のプログラムへのアップデートを要する場面も多くなり、品質の維持や向上が課題となっている。そこで活躍するのがOTAだ。

不具合があってもディーラーに行かずに

不具合などが見つかるたびにディーラーに持ち込むのではなく、無線通信によってプログラムの修正やアップデートが図られることで、ドライバー側の利便性が増すとともに、メーカー側の負担も大きく減らすことが可能となる。また、外国に向けた輸入車なども、その国々の規格に対応したソフトウェアに更新しやすくなるメリットがある。

こういった通信環境を可能にするのがコネクテッド技術だ。通信機器が標準搭載されているコネクテッド技術の登場により、カーナビなどの更新のみならずさまざまな制御装置のソフトウェア更新も可能とする土台が出来上がることになる。

■テスラは既にOTA導入、トヨタや日産も

米EV大手のテスラはすでにOTAを導入しており、同社の安全運転支援機能「オートパイロット」の更新は、無線によるソフトウェアのアップデートによって行われている。

【参考】テスラのオートパイロットについては「テスラのオートパイロットに新機能 運転支援「Navigate on Autopilot」公開へ」も参照。

トヨタ自動車や日産自動車なども数年以内をめどに全新車に通信モジュールを搭載する方向で戦略を進めており、コネクテッド化の進展とともにOTAの活用も必然的に増すことになるだろう。

■OTA需要を見越したサービスも続々登場

こういったOTA需要を見越したサービスを展開する企業もすでに現れている。コネクテッドカー向け技術開発を手掛ける米Airbiquity社は、ソフトウェアのアップデートやデータ管理作業の組織化を自動化するサービス「OTAmatic」を行っている。

カナダのBlackBerry(ブラックベリー)社の車載ソフトウェア「BlackBerry QNX」のプラットフォームも、ADASやデジタルコックピット、インフォテイメント、テレマティックスのほか、セキュアなIoTインフラや車載ソフトを遠隔更新するOTAを含む管理サービスを備えているという。

また、日立製作所、日立オートモティブシステムズ、クラリオンの3社も、OTAソフトウェア更新技術の開発を発表している。スマートフォンなどと異なり、自動車の場合はより確実にソフトウェア更新を完了する必要があり、更新時におけるバッテリー上がりなども考慮しなければならない。セキュリティの強化も絶対条件となる。そういった点を踏まえた更新技術を開発し、自動車メーカーなどへの採用を働きかけているようだ。

■車載ソフトウェア更新に特化したOTA技術に注目

OTA技術がコネクテッドカーや自動運転車に必須であることがわかった。また、単に無線で通信できればよいといったわけではなく、確実性やセキュリティ面などを考慮したソフトウェア更新技術が必要とされていることもつかめた。

第5世代となる移動通信システム「5G」も近い将来実用化され、通信の高速化・大容量化とともにますますOTA需要が高まることが予想される。

テスラ社のように、センサー類が一定レベル以上の品質を備えていれば、ソフトウェア更新によってADAS機能を段階的に進化させることも可能なため、国内においてもOTA技術に大きなスポットライトが当たる日も、そう遠くない将来やってくるだろう。

【参考】コネクテッドカーについては「コネクテッドカー・つながるクルマとは? 意味や仕組みや定義は?」も参照。







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