バスから運転手さんが消える・・・!?いすゞ、自動運転化に挑戦

ティアファーとの業務資本提携を発表



いすゞ自動車がレベル4自動運転バスの開発に取りかかる。資本業務提携したティアフォーの技術を活用し、自動運転シャトルを開発する海外勢などに真っ向勝負を挑む。


いすゞと自動運転スタートアップであるティアフォーは2024年3月6日、路線バス領域における自動運転システムの開発を目的とした資本業務提携を行うことで合意したことを発表した。今回の提携により、いすゞがティアフォーに60億円を出資する。

この提携により2社は強固なパートナーシップを構築し、自動運転レベル4による移動サービスの社会実現を目指して路線バス向けの自動運転システムの開発・確立を加速させるという。

■路線バス向け自動運転レベル4のシステムを開発

いすゞグループは、2030年までにカーボンニュートラルと物流DXの両領域に総額1兆円規模を投資することを表明している。物流や公共交通におけるドライバー不足が深刻化するなかで、物流DXを牽引する自動運転技術の発展と普及は社会課題の解決に寄与し、同グループの将来を支えるメインになり得ると認識しているという。

今回の提携により、いすゞがこれまでに蓄積してきた路線バスのデータや知見と、ティアフォーの先進的な自動運転システムを掛け合わせ、路線バス領域における自動運転レベル4に対応した車両とシステムの開発を行っていく。いすゞは路線バス事業者に対して、自動運転システムを搭載した路線バスによるソリューションを提供することを視野に入れている。


■海外勢がリードするバス・シャトル分野

日本でも小型の自動運転バスはすでに多数の導入実績がある。しかしそのほとんどが海外製だ。

ソフトバンク子会社で自動運転事業を展開するBOLDLYは、茨城県境町や羽田イノベーションシティ、北海道上士幌町、愛知県日進市などで自動運転バスを社会実装し、毎日運行している。使用車両は、GAUSSIN MACNICA MOBILITYの「ARMA」とエストニアAuve Techの「MiCa」だ。MiCaは自動運転レベル4を実現する車両となっている。

なおARMAは元々仏NAVYA社が開発を手掛けていた。その後2023年5月に日本のマクニカと仏GAUSSIN社がGAUSSIN MACNICA MOBILITYを設立し、NAVYA社の資産を引き継いで事業を継続したという経緯がある。

■国内勢として注目が高まるティアフォー

国産の自動運転バスとしては、ティアフォーが開発する自動運転小型EVバス「ティアフォーMinibus」がある。測量大手のアイサンテクノロジーにより、すでに全国各地域の社会実装向けの自動走行プロジェクトへの導入がスタートしている。


ティアフォーは、自動運転機能に対応したEVの生産を加速させる新たなソリューション「ファンファーレ」の提供を2023年6月から開始している。これは顧客が自社ブランドを通じてレベル4水準の自動運転EVを製品化・販売・利用できるよう支援する新たなソリューションだ。ティアフォーMinibusは、そのラインアップの1つとなっている。

■路線バスの自動化に期待

いすゞには、約80人乗車できる大型バスや約60人乗車できる中型バスがあるが、これから開発を進めるレベル4自動運転バスはどういったタイプの車両になるのだろうか。

路線バスの場合、停留所での乗客の乗降がスムーズにいくか、車内の降車ボタンと連動させることができるかなど、ポイントになる点は多数ある。いすゞとティアフォーの取り組みへの関心度は今後高まっていきそうだ。

【参考】関連記事としては「いすゞと自動運転」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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