測量技術を武器に自動運転分野で活躍するアイサンテクノロジーは2023年11月10日までに、自動運転小型EVバスの運行を全国各地でスタートさせることを発表した。
展開する車両は、自動運転スタートアップであるティアフォーが開発する「ティアフォーMinibus」だ。海外の自動運転シャトルが日本で展開されている事例はあるが、ティアフォー開発の「国産自動運転バス」が全国で活躍することになる。
日本政府は、2025年度に自動運転移動サービスを全国各地域50カ所程度で実現するという目標を掲げている。アイサンテクノロジーは民間企業の立場からこの目標達成を強力に支援したい考えで、自動運転バスを全国各地で行われる社会実装プロジェクトで投入していくという。
◾︎「RoAD to the L4」の目標実現のため
アイサンテクノロジーは、これまでに積み重ねてきた実証実験ノウハウを生かし、本格的な社会実装ステップである「RoAD to the L4」プロジェクトの目標を実現させるために、ティアフォーMinibusを導入したという。
「RoAD to the L4」は、2021年度から経済産業省と国土交通省が共同で推進している「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」の略称だ。このプロジェクトでは、2025年に50カ所、2027年に100カ所における無人自動運転移動サービスの事業化を目標にしている。
その取り組みの一環として、各地で自動運転車による実証実験が行われており、アイサンテクノロジーも民間企業として多数のプロジェクトに参加している経緯がある。
■ティアフォーMinibusとは?
ティアフォーMinibusを開発したのは、自動運転開発企業のティアフォーだ。同社は自動運転機能に対応したEVの生産を加速させる新たなソリューション「ファンファーレ」の提供を2023年6月から開始している。
これは、顧客が自社ブランドを通じてレベル4水準の自動運転EVを製品化・販売・利用できるよう支援する新たなソリューションだ。ティアフォーMinibusは、そのラインアップの1つとなっている。
ティアフォーは、保安基準の適合を含む量産向け自動運転EVの全体設計指針として「レベル4自動運転化ガイドライン」を策定しており、国内の工場で自動運転EVを生産できる環境を整えている。
▼レベル4自動運転化ガイドライン|ティアフォー
https://assets.ctfassets.net/rfp71c5fx4wl/92W5ArjvhAsGgqPD6RGJO/fd774b4c74c4505c04a47b1476b2279f/L4CDGJ.pdf
■自動運転分野をリードする2社のタッグ
ティアフォーMinibusは、2023年8月に開始された長野県塩尻市での自動運転レベル4の実現に向けた走行試験で活用されている。ちなみにこの走行試験には、アイサンテクノロジーが自動運転走行に必要となる高精度三次元地図の作成で参画している。
都市部や地方都市を含めた全国各地でドライバー不足などにより、公共交通の維持の困難さが増している。利用者減による採算の悪化も課題だ。こうした諸問題を解決する方法の1つとして、自動運転技術に期待が集まっている。
こうした背景もあり、ティアフォーとアイサンテクノロジーという自動運転分野をリードする2社のタッグに対する期待感は大きい。引き続き、取り組みの進捗に注目だ。
【参考】関連記事としては「ティアフォー、「自動運転レベル4」EVの量産開始へ」も参照。