テスラ「魔の3月」。株価暴落し、「偽の壁」にも突っ込む

自動運転ラボ10大ニュース【2025年3月】



出典:Mark Rober氏のYouTuber動画

トランプ×マスクの余波が続く米国では、テスラを見放す動きが強まっている。同社の株価は年初から下がり続け、この3カ月間で半減した。車両への攻撃も相次ぎ、オーナーを巻き込む形で事態は悪化の一途をたどっているように感じる。

自動運転タクシーの早期実用化で復権を狙いたいところだが、米国の著名YouTuberがテスラの車両を用い、カメラによるADASの弱点を浮き彫りにする動画をアップした。パンチの利いた動画で、まさにテスラへのボディブローとなりそうだ。


米国ではテスラが魔の3月を迎えたようだが、日本ではどのような出来事があったのか。2025年3月の10大ニュースを振り返っていこう。

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■慶応の学生ら、走行中の自動運転センサーを無効化 「脆弱性」を発見(2025年3月3日付)

慶應義塾大学の研究チームが、自動運転におけるLiDARの新たな脆弱性について発表した。走行中の車載LiDARへの攻撃を可能とする手法だ。

LiDARの脆弱性は以前から指摘されていたが、走行中の動き続けるLiDARをピンポイントで狙う攻撃は難しかったという。それを克服する手法を編み出し、LiDARにレーザーを狙い当てることを可能にした。100メートル以上離れた場所からも攻撃可能という。

こうした研究の目的は、早めに脆弱性を見出すことで悪用される前に対策を講じることにある。今後、同研究チームやLiDAR開発事業者らが防御策構築に向け研究を積んでいくことになる。


センサーやAI、通信システムなど、さまざまな面でまだまだセキュリティは万全ではないはずだ。さらなる研究に期待したい。

慶応の学生ら、走行中の自動運転センサーを無効化 「脆弱性」を発見


■Uber、ライドシェアに加え「ゆうパックの配達」のダブルワークが可能に(2025年3月6日付)

石川県加賀市で、自家用有償旅客運送と貨物配送を兼務する実証が始まったようだ。こうした取り組みが実を結び、将来日本版ライドシェア×貨物配送といった事業展開が可能になるかもしれない。

自家用有償旅客運送や日本版ライドシェア(自家用車活用事業)はあくまで公共交通維持の性質を持つため、一般ドライバーが思うように収益を得られない点がデメリットとなっている。

そこにモノの輸送を結びつけることができれば、一般ドライバーの増収につながると同時に、ラストマイル配送のドライバー不足を補うこともできる。さらなる規制緩和と調整が必須となりそうだが、無理筋な事業ではないはずだ。

一般ドライバー×自家用車のポテンシャルを最大限発揮するのであれば、こうした事業展開についてもしっかりと議論すべきかもしれない。

Uber、ライドシェアに加え「ゆうパックの配達」のダブルワークが可能に

■自動運転銘柄、超ド本命が「Uber」な理由 「ほぼノーリスク」で躍進か(2025年3月8日付)

自動運転サービスが全盛を迎える時代、意外とUber Technologiesが覇者になっているかもしれない――とする記事だ。

業界における花形は自動運転開発企業で、その地位は揺るぎないとも言える。開発企業がいなければサービスも何も成り立たないからだ。

しかし、各社の自動運転技術が一定水準に達し、当たり前のように通常走行を行うことができるようになった将来、ビジネス面でより存在感を高めるのがプラットフォーマーだ。開発企業が横並びの色を強めていく一方で、サービスの利便性や個性への注目度が高まっていく。

利便性の面では、すでに多くの実績と顧客を持つUber Technologiesのようなプラットフォーマーが絶対的に優位となる。同社はすでに複数の開発企業と手を結んでおり、ぬかりもない。

現時点においては、サービス実装済みの多くの開発企業がオリジナルのプラットフォームでサービスを提供しているが、その流れはいつか変わり、統合されていくことが予想される。

こうしたサービス面も早い段階から意識し、戦略を立てていかなければならないようだ。

自動運転銘柄、超ド本命が「Uber」な理由 「ほぼノーリスク」で躍進か

■「違和感ゼロ」「運転手いらん」!Googleの自動運転タクシー【反応まとめ】(2025年3月11日付)

Waymoの自動運転タクシーの利用者による体験談が、SNSで次々と増加傾向にある。数年前と比較すると、明らかに技術を称賛する声が増加している。

感想の多くは、運転操作についてはスムーズで違和感がなく、乗り心地も良好としている。一方、マイナスポイントとしては、乗降ポイントまで若干歩かなければならないケースがあることを指摘する声が目立つくらいだろうか。

Waymoの自動運転タクシーは着実に進化を遂げているようだ。もちろん、トラブル事例も依然として散見されており、まだまだ改善の余地は残されている。こうした課題を解決する近道は、より多くの経験を積み重ねることだ。

週に10万回以上のライドを提供しているWaymoは、さらに開発速度を速めている可能性がある。日本で実用化される頃にはどこまでクオリティが上がっているのか必見だ。

「違和感ゼロ」「運転手いらん」!Googleの自動運転タクシー【反応まとめ】

■デジタル庁、「交通商社」の設立を主導か 水面下で検討(2025年3月13日付)

デジタル庁所管の会議の中で、交通商社設立に向けた議論が進められている。MaaSの発展バージョンとしてどのように各地域で立ち上がっていくのか、要注目のトピックだ。

交通商社は、地域における移動需要の創出や集約と最適な移動サービスの設計を一体的に提案し、関係事業者にその実施を促す主体をいう。必要となる移動需要の調査や新たな移動需要の企画、移動サービス効率化に必要となるシステムやアプリケーションの整備なども行う。

まだ漠然としている印象が強いが、各地でブームのように誕生したMaaSの取り組みを精査し、より効果と実効性ある推進体制を構築していくイメージと思われる。

地方においては、散在する需要と細る供給を効率的・効果的に結びつけることが非常に難しい。新たな需要を喚起しながら需要と供給をどのように取りまとめ、持続的な交通サービスを実現していくのか。交通商社の取り組み動向を注視したい。

デジタル庁、「交通商社」の設立を主導か 水面下で検討

■手放し可能なクルマ、2035年に「600万台突破」へ 自動運転車の世界市場予測(2025年3月14日付)

矢野経済研究所の最新レポートによれば、今から10年後の2035年にはレベル2+の世界搭載台数が3,181万台、レベル3が652万台に達するという。

現在主流となりつつあるレベル2は2030年までにピークを迎え、徐々にレベル2+への移行が進む。2035年ごろには、レベル2+が自家用車の主役となるようだ。

レベル3は2024年見込みで1万7,000台、2025年予測で32万5,000台の状況だが、2030年に336万9,000台、2035年には652万台と数字を伸ばしていくという。

こうした数字の内側にも注目したい。レベル2やレベル2+、レベル3とも、システム稼働を可能とする走行速度や道路などを拡大し、それぞれ機能性を高めていくことが想定される。

10年後、自家用車はどこまで進化しているのか。今後の動向に引き続き注目したいところだ。

手放し可能なクルマ、2035年に「600万台突破」へ 自動運転車の世界市場予測

■米国、早くも自動運転タクシーの「普及期に移行」か Googleが急速にエリア拡大(2025年3月17日付)

Waymoがついにシリコンバレーで自動運転タクシーを展開するようだ。同社はこれまで、アリゾナ州フェニックスを皮切りにサンフランシスコ、カリフォルニア、オースティンとサービスエリアを拡大してきたが、ついに本社を構えるシリコンバレーにも進出することとなった。

シリコンバレーの対象エリアは、マウンテンビューやパロアルト、サニーベールなど現段階では一部に限られる。今後、対象ライダーとともにエリアを拡大していくものと思われる。

2025年中にジョージア州アトランタ、2026年にフロリダ州マイアミでもサービスを開始する計画を発表しているほか、海外進出第1弾として東京での実証にも着手する。

自動運転システムが一定の水準に達したからか、新規サービスインに要するスピードが明らかに上がっている印象を受ける。Waymoの独壇場はまだまだ続くのか、業界の動向に要注目だ。

米国、早くも自動運転タクシーの「普及期に移行」か Googleが急速にエリア拡大

■Googleの自動運転タクシー、年間589回の駐車違反 サンフランシスコ交通局(2025年3月19日付)

Waymoの自動運転タクシーが、サンフランシスコで2024年中に589件の駐車違反切符を切られたという。

何ともお粗末な話に聞こえるが、道路清掃のため一時的に駐車禁止となる時間帯に、乗客の乗降のため停まっているところをチェックされた――といった事案もあるようで、イレギュラーなものも多く含まれていそうだ。

自動運転タクシーの課題の一つに、乗降ポイントの確保が挙げられる。安全に停車・乗降できるポイントが各所になければ、離れた場所まで乗客を歩かせるか、違反覚悟で無理やり停車させるか――となってしまう。

路上停車・駐車車両が多いエリアでは、こうした問題が常に付きまとうことなる。であるならば、どこでも乗降可能なサービスは諦め、自治体や警察の協力のもとあらかじめ専用の乗降ポイントを細かく設定したほうがトラブルなく良質なサービスとなるのかもしれない。

Googleの自動運転タクシー、年間589回の駐車違反 サンフランシスコ交通局

■テスラの車載カメラ、「偽の壁」に騙され、盛大に突っ込む(2025年3月20日付)

エンジニア系YouTuberによるADAS実験で、テスラ車が偽の壁に盛大に突っ込んだようだ。

カメラとLiDARを比較する目的で、それぞれが中心的役割を担うADAS搭載車両を2台用意し、霧や逆光下、背景画像を貼りつけた壁など6つの障害をクリアできるかを競った。

結果、LiDAR搭載車両はすべてをクリアしたのに対し、カメラ搭載車両(テスラのModel Y)は霧、雨、偽の壁の3つをクリアできなかった。背景画像を本物の景色と誤認し、発泡スチロールの壁にノーブレーキで突っ込んだのだ。

カメラはLiDARに劣る……ということではないが、センサーとしてのカメラの弱点を明確にした格好となった。カメラにこだわるテスラなどの開発事業者は、AIを駆使してこれらの弱点をどこまで克服することができるかが問われる。

テスラの車載カメラ、「偽の壁」に騙され、盛大に突っ込む

■楽天の自動配送ロボ、「人間の方が早い」と利用者(2025年3月22日付)

東京都内で自動配送ロボットサービスを提供する楽天は、官民協議会でサービスの実施状況やアンケート結果を公表した。

楽天は2024年11月から晴海周辺地域でCartkenやZMPなどのロボットを活用した配送サービスを実施しており、注文数、注文単価ともに増加傾向にあるという。

地域住民の74%が自動配送ロボットを認知しており、81%が自動配送ロボットの走行を歓迎しているという。利用者からは、「シンプルでいい体験、便利。スムーズに受け取りができた」「配送費が安くて指定した時刻に届く」「重たいものの配送は有り難い」といった評価する声が聞こえる。

その一方、「有人のデリバリーサービスの方が届くのが早い」「マンションの外まで取りに行くのが億劫」といった不満点もあるようだ。

歩道を走行するロボットは時速6キロ以下で走行するため、人間には及ばない。また、マンションなどの屋内対応についてもエントランスやエレベータ連携など個別の対応が必要となるため、各社との連携や協力などが必須となる。

改善点はいろいろありそうだが、サービスとしてはまだ産声を上げたばかりだ。利便性を高めるにはどうのような改善が必要か、どういった用途で活用すれば効果的なサービスとなるのかなど、知見を積んでいる段階のため、今しばらくは温かく見守ってほしいところだ。

楽天の自動配送ロボ、「人間の方が早い」と利用者

■【まとめ】国内では4月以降レベル4サービスが一気に加速?

クルマに罪はないが、テスラ叩きの流れは当然販売台数にも影響を及ぼす。イメージを覆すべく、マスク氏は今後どういった行動に出るのか。4月以降の動向に注目だ。

日本は新年度を迎えるが、おそらく自動運転サービスの実用化が相次ぐ一年になるのではないか。政府目標を満たすべく、レベル4認定を目指す動きが加速するものと思われる。4月以降の各国の動向に引き続き注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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