米国、早くも自動運転タクシーの「普及期に移行」か Googleが急速にエリア拡大

シリコンバレー、アトランタでも



グーグル系Waymo自動運転タクシー「Waymo One」が、ついにシリコンバレーにも対応するようだ。世界のテクノロジー企業が集積する地で、ついに無人の自動運転タクシーが本格運行することになる。


Waymoは2024年にロサンゼルス、2025年に入ってからもオースティン、シリコンバレーとサービス対象エリアの拡大を加速している。その実装速度は、開発期から普及期への移行を示唆しているように感じる。

Waymoのこれまでの取り組みを振り返り、その進化に触れていく。

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■シリコンバレーでサービスイン

Google系Waymoが展開している自動運転タクシー=出典:Waymo公式ブログ

Waymoは2025年3月、シリコンバレーでサービスインする計画をSNS「X」で発表した。マウンテンビュー、ロスアルトス、パロアルト、サニーベールの一部で、乗客を限定しながらサービスを拡大していくとしている。

マウンテンビューは、グーグルやWaymoが本社を構える創業の地だ。パロアルトは少し前までテスラが本社を置いていた。サニーベールにはAMD本社がある。


今回の走行エリアからは若干外れているが、アップルが本社を構えるクパチーノ、NVIDIAやインテルが本社を構えるサンタクララ、フェイスブックが本社を構えるメンローパークなどもほど近い。まさに、テクノロジー企業が集積するシリコンバレーだ。

Waymoは、ベイエリアにおいてより多くの地域にWaymo Oneを導入していく構えだ。アプリへの登録は順番待ちとなっているが、徐々に利用者も追加していく。

サンフランシスコからシリコンバレーまでは40~50キロほど離れており、両地点を行き来するような移動はできないようだ。ただ、両地点間には国際空港もあり、移動需要は多い。近い将来、サンフランシスコ~空港~シリコンバレーを結ぶ幹線も走行エリアに収めるかもしれない。

■Waymoのこれまでの取り組み

フェニックス、サンフランシスコのサービス実装は2~3年を要していた


Waymoは2025年3月現在、アリゾナ州フェニックス、カリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルス、テキサス州オースティンで自動運転タクシーの商用サービスを展開している。

サービス実装に向けては、まずマッピング作業を含め公道実証を重ね、セーフティドライバー同乗のもと自社従業員ら関係者を対象に無料サービスを行う。技術が一定水準に達すれば、アーリーライダープログラムとして理解ある住民の一部にサービスを開放する。

その後、段階を踏んで対象者の拡大や有料化、無人化を進め、本格的な商用サービスとして質を高めていく。

フェニックスでは、2017年にアーリーライダープログラムをスタートし、2018年12月に商用サービスを開始した。約1年後にドライバーレスによる無人サービスも開始し、徐々にクオリティを高めていった。

とんとん拍子で拡大路線を歩んでいくかと思われたが、2エリア目のサンフランシスコでサービス実証を開始したのは2021年8月で、当初はセーフティドライバー同乗のもと無料でサービスを提供する形式からスタートしている。サンフランシスコにおける本格的な商用運行は2023年8月で、意外と時間を要しているのだ。

2024年ごろから商用展開が加速?

出典:Waymoプレスリリース

しかし、2024年に入って実用化のスピードは増し始めた。3月に第3の都市ロサンゼルスで一部住民を対象にサービスインし、数週間後には有料サービスへと移行した。

6月には、フェニックスエリアにおいて走行エリアを90 平方マイル拡大することを発表し、315 平方マイル(約815平方キロ)とした。東京23区(622平方キロ)を上回る面積だ。

8月には、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)の許可のもとサンフランシスコとロサンゼルスの対象エリアをそれぞれ拡大することが発表された。

サンフランシスコエリアでは、デイリーシティ、ブロードモア、コルマが新たに追加され、走行エリアは55平方マイル(約142平方キロ)に、ロサンゼルスは79 平方マイル(約204平方キロ)に拡大した。既存のサービスエリアにおいてもしっかりとアップデートを図っているのだ。ロサンゼルスでは、2025年3月時点で89平方マイルまで拡大されている。

第4の都市テキサス州オースティンでも、2025年3月までに一部利用希望者を対象にサービス提供が始まっている。今後、2025年中にジョージア州アトランタ、2026年にフロリダ州マイアミでもサービスを開始する計画を発表している。

また、日本交通、GOとパートナーシップを結び、東京都内で実証を開始する計画も2024年12月に発表された。Waymo初の海外進出は日本となる見込みだ。

2025年初頭にWaymoの「Jaguar I-PACE」を東京に移送し、日本交通のドライバーによる手動運転のもと、港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区など主要エリアの地図を作成するという。

実用化時期は未定だが、早ければ2026年ごろにサービスインすることも考えられる。Waymoにとって東京が何都市目のサービスエリアとなるか、気になるところだ。

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■Waymoの商用展開の加速要因

技術やノウハウが一定水準に

サービス実装速度が速まっている感が強いWaymo。自動運転システムの基本性能が向上し、汎用性・柔軟性が高まったことと、サービス提供予定エリア以外でも地道にマッピング作業をはじめとした公道走行を重ねていることが新規エリアにおける実証・サービス実用化の短期化に結びついているものと思われる。

Waymoが水面下でどのエリアで公道実証を重ねているかは不明だが、さまざまなシチュエーションを求めて積極的に新規エリアに進出していることは間違いない。

技術の向上と知見がサービス実装を加速させる――というのは、言うまでもないことだろう。

トランプ政権も追い風に?

各州、各国の自動運転規制に左右される面もあるが、北米ではトランプ新政権が追い風となる可能性が高い。テスラを率いるイーロン・マスク氏と親交を深めるトランプ政権は、自動運転に関する規制緩和を検討していることが報じられている。

米議会では長年自動運転施策について議論されてきたが、連邦政府として明確な結論を出すには至っていない。報道によると、これまで各州が個別に定めていた自動運転の公道走行ルールに対し、連邦政府としてガイドラインなどを策定し、統一されたルールで運用できるようにするという。

自動運転タクシー事業の広域展開を見据えるテスラへの配慮と言われているが、その恩恵はWaymoをはじめとした自動運転業界に広がる。

Waymoがサービス実装済みのアリゾナ州、カリフォルニア州、テキサス州は、自動運転実用化に積極的な州として知られており、Waymo進出のハードルも幾分低かったが、今後進出を予定する各州においては、高いハードルを設定される懸念がある。

しかし、連邦政府が一定の指針・統一ルールを制定すれば、その基準を満たすことで各州の許可を得ることができ、横展開が容易になる。

また、トランプ新政権は、道路交通安全局(NHTSA)が実施しているADAS搭載車や自動運転車の事故報告義務の撤廃も検討しているという。安全面を考慮すれば愚策になりかねない案だが、検討チームは事故に関する過剰なデータ収集により開発各社の負担が大きくなっていることを問題視しているようだ。

負担軽減という観点では、こうした動きもWaymoの追い風となる。トランプ大統領×マスク氏だけに紆余曲折する可能性も考えられるが、今のところは業界にとって順風が吹いていると言って良さそうだ。

【参考】トランプ政権の動向については「トランプ氏、自動運転車の「事故報告義務」撤廃へ テスラに”恩返し”か」も参照。

トランプ氏、自動運転車の「事故報告義務」撤廃へ テスラに”恩返し”か

Uber Technologiesとの提携もWaymoを後押し

配車サービス世界最大手Uber TechnologiesとのパートナーシップもWaymoを後押しする。かつては開発技術をめぐり裁判沙汰を繰り広げた仲だが、両社は2023年に提携を交わし、フェニックスを皮切りにウーバーのプラットフォームからWaymoの自動運転タクシーを配車できるよう手を組んだ。

Waymoのアプリは、当然ながら自動運転タクシー目当てのユーザーしかいないが、ウーバーアプリのユーザーの大半は、ライドシェアや既存タクシーが目的だ。こうした一般ユーザーにアプローチし、接点を持てる利点は大きく、新規ユーザー獲得に貢献する。

今後、シリコンバレーをはじめ各地で統合が進めば、自動運転タクシーの受容性や需要が高まっていくものと思われる。両社の動向に要注目だ。

【参考】Waymo×Uber Technologiesについては「ついにUberが自動運転タクシー展開!Google製車両を採用、業界の大本命に」も参照。

ついにUberが自動運転タクシー展開!Google製車両を採用、業界の大本命に

■【まとめ】普及期を迎えつつあるフェーズに突入

現在のペースで進めば、Waymoは年間1~2都市のペースでサービス提供エリアを拡大していくことになりそうだ。既存エリアの拡大にも力を入れており、商用サービスとしての質もどんどん高まっていく。

軌道に乗れば、その実装速度はさらに上がり、本格普及期に突入する。フリートは現在1,000台超と思われるが、1万台を突破するのも時間の問題かもしれない。

今まさに普及期を迎えようとするフェーズに差し掛かっているのだ。日本での展開をはじめ、2025年中にどのような動きを見せるのか、Waymoの動向に引き続き注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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