世界に移動革命をもたらすと言われる自動運転技術。ほんの数年前までは「いつから実用化される?」――といった声が多かったが、その幕はすでに開いており、一部技術の実用化が始まっている。
一言で自動運転と言っても、「自動運転レベル」で区分けされているように技術水準には幅がある。この記事では、自動運転レベルごとの実用化時期について解説していく。
記事の目次
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■自動運転レベルとは?
レベル3からが自動運転の領域
自動運転レベルは、多くの国が米自動車技術会(SAE)が定義したレベル分けに従っている。中国は独自基準を設けているが、ほぼSAE基準と同一の内容となっている。
SAEによる自動運転レベルは0~5の6段階に分けられており、0は自動化・運転支援なし、1~2は運転支援(ADAS)、そして3以上が自動運転となる。
レベル1は、自動車の縦制御、または横制御の片方のみ運転を支援するものを指す。縦制御はアクセルやブレーキ、横制御はハンドル操作が該当する。クルーズコントール(縦制御)やレーンキープアシスト(横制御)のどちらか一方のみ搭載されているイメージで、ドライバーの運転を補佐する。
レベル2は、縦制御と横制御の両方の支援を可能にする。クルーズコントール(縦制御)とレーンキープアシストの組み合わせにより、より高度な運転支援を実現する。
この仕組みがさらに高度化すれば、ハンドルから手を離すことができるハンズオフ運転(レベル2+)が可能になり、その先にレベル3も見えてくる。
レベル3は「条件付き運転自動化」と定義され、一定条件下(ODD/運行設計領域)において全ての運転操作をシステムが代替し、自動運転を行う。ただし、ODD内であってもシステムが作動継続困難と判断し、ドライバーに運転交代要求(テイクオーバーリクエスト/TOR)を発した際は、ドライバーは速やかに運転操作を行わなければならない。
自動運転中、ドライバーは車両周囲の常時監視義務を免れるアイズオフ運転が可能になり、スマートフォンの操作などを行うことが可能になる。一方、テイクオーバーリクエストに迅速に応えられるよう運転席を離れることはできず、睡眠なども厳禁となる。
テイクオーバーリクエストの許容時間は各社のシステムにより異なるが、概ね10秒前後に設定されることが多いようだ。リクエストから10秒程度で運転が引き継がれない場合、システムは緊急事態とみなし車両を徐々に減速し、路肩などになるべく安全に停車する。
10秒では短いと感じる人がいるかもしれないが、たった10秒間でも車両は結構な距離を走行する。リクエストが発されてから10秒以内に車両周囲の状況を把握し、ハンドルを握るためにも、車内における過度な行為は慎むべきなのかもしれない。
レベル4は「高度運転自動化」と定義され、一定条件下において全ての運転操作をシステムが代替する。ここまではレベル3と一緒だが、レベル4は人間にテイクオーバーリクエストを行うことなくODD内における自律走行を原則完遂しなければならない。
走行エリアや速度、気象環境など一定の条件が付されるものの、あらかじめ設定したODD内においては、自動運転システムが最初から最後まで責任をもって走行する。万が一の際も、安全な場所まで自律走行して安全に停車することが求められる。
この段階に達すれば、車内無人の自動運転サービスを効果的に実用化することができる。このレベル4が、今後しばらく自動運転サービスの中心として開発・実装されることになる。
レベル5は「完全運転自動化」と定義され、一切の条件に限定されることなくあらゆる状況下で無人運転を実現する。人間による手動運転が可能な状況であれば、道路の種別や速度、エリアなどを問わず自動運転が可能な領域だ。
現在考えられている自動運転において最高峰の技術となる。
【参考】自動運転レベルについては「自動運転レベル、誰が決めた?」も参照。
■自動運転レベル2の実用化状況
2030年ごろには標準搭載レベルに普及
ADASにあたるレベル2は、現在の自家用車市場における主力システムだ。主に、クルーズコントロールによる縦方向の制御とレーンキープアシストによる横方向の制御を両立させることで、ドライバーの運転操作を強力にサポートする。
2010年代に普及が始まり、後半にはハンズオフ運転が可能な通称「レベル2+」搭載車両も登場した。現在、ADASにおいて最高峰とされる技術は、このレベル2+が該当する。
日本では、BMWと日産がそれぞれ2019年にハンズオフ機能を搭載した車種を導入したのが始まりだ。以後、トヨタやホンダ、スバルが一部車種で追随している。
フラッグシップ的扱いだが、レベル3の実用化が本格化すれば徐々に汎用モデルへの搭載が広がっていき、スタンダード化していく可能性がある。
矢野経済研究所が2022年8月に発表した世界市場に関する調査によると、レベル2が搭載される新車台数は2021年の1,493万台から2025年に3,502万台、2,030年に3,675万台と数字を伸ばすと予測している。
同様に、レベル2+は2021年の87万台から2025年に1,069万台、2,030年に2,340万台と予測している。レベル2が2025年ごろまで大きく数字を伸ばし、その後レベル2+が2030年にかけ数字を伸ばしていくような印象だ。
一方、富士キメラ総研が2024年8月に発表した将来展望によると、レベル2は2024年予測で4,513万台、2,030年~2035年ごろには約7,000万台に達するがその後減少し、2045年には4,111万台まで落ち込むという。
レベル2は、2030年ごろには標準搭載と言えるほど普及し、その後レベル2+やレベル3にその座を譲っていくこととなりそうだ。
【参考】自動運転レベル2については「自動運転レベル2の要件や定義、機能を解説」も参照。
■自動運転レベル3の実用化状況
世界初の実用化はホンダ、現在3社が実装
自動運転の第一歩目となるレベル3。自家用車市場においては、ホンダが口火を切った。ホンダは2021年3月、100台限定でリース発売した新型レジェンドに高速道路渋滞時にレベル3走行を可能にする「トラフィックジャムパイロット」を搭載した。
同機能は、時速50キロ以下の渋滞時に自動運転が可能になるシステムだ。レベル3のため、ODD内であってもシステムからテイクオーバーリクエストが発されれば、ドライバーは運転操作を行わなければならない。
渋滞時限定では使い勝手が悪い――と思われるだろうが、2020年に成立した当時の国際基準で速度制限(時速60キロ)が示されていたためこれに準じた格好だ。世界的にも慎重に導入しよう――という風潮がうかがえる。なお、基準はその後2022年までに速度上限130キロ、車線変更も可能に緩和された。
ホンダに続いたメルセデス・ベンツ
ホンダに続いたのは、メルセデス・ベンツだ。同社は2022年4月、「Sクラス」などにレベル3システム「DRIVE PILOT」をオプション設定した。
当初はドイツ国内のみでの展開だったが、2023年12月までに米国の一部の州から認可を受け、2025年1月時点でネバダ州とカリフォルニア州でも走行を可能にしている。
2024年9月には、最高時速95キロでの走行を可能にする方針を発表した。同年12月までに独連邦自動車交通局の承認を得ており、2025年春から提供開始する予定としている。既存のDRIVE PILOTユーザーは、無償アップデートでシステムを拡張できるという。
BMWもレベル3システム「Personal Pilot L3」を展開
このほか、BMWが2024年にレベル3システム「Personal Pilot L3」を7シリーズにオプション追加している。
ヒョンデやボルボ・カーズなどにもレベル3導入を目指す動きがあるが、今のところ実現したのはこの3社だけだ。
サービス拡大に力を入れるメルセデスのDRIVE PILOTユーザーがどのくらいいるのか気になるところだが、やはり渋滞時限定では利用シーンが限られ過ぎているため、需要はそこまで大きくないものと思われる。
ただ、最高速度上限の引き上げにより通常走行時も利用可能になれば、状況は大きく変わってくる。今後は、渋滞時に限定されないレベル3への注目が高まり、自家用車における最高峰システムとして存在感を増すものと思われる。
一方、高速道路においてはレベル4開発も並行して進展していく可能性が高いため、こうした上位技術に左右される可能性も十分考えられる。市場動向が読みづらいところだが、ファーストステップとしてレベル3を導入し、アップデートでレベル4――といった戦略も考えられるため、レベル4実用化とともにすぐに消えていくこともなさそうだ。
矢野経済研究所によると、レベル3は2021年実績の100台から2025年には40万台に拡大し、2030年には625万台に増加すると予測している。
富士キメラ総研によると、レベル3生産は2024年の30万台から拡大を続け、2045年には2,409万台に達すると予測している。
【参考】自動運転レベル3については「自動運転レベル3とは?」も参照。
■自動運転レベル4の実用化状況
グーグルが火付け役、2010年代に実用化がスタート
無人運転が可能になるレベル4は、2010年代中盤~後半に実用化が始まった。当初は、仏Navya(現Navya Mobility)に代表されるような10人乗り程度の自動運転小型バスが、公園や大学敷地内などの限定領域で低速走行するサービス実証で様子見を行う取り組みが大半だった。
しかし、公道実証を地道に積み重ねてきたグーグルが業界に変革を起こした。名だたるエンジニアを集めたグーグルは自動運転開発プロジェクトを始動し、米国初の自動運転車による公道走行ライセンスを取得し、2015年にテキサス州オースティンの公道で自動運転に成功する。
その後、プロジェクトを分社化してWaymoを立ち上げ、アリゾナ州フェニックスに集中して公道実証を積み重ねた。その成果が自動運転タクシーだ。Waymoは2018年12月、同地で自動運転タクシーの商用運行を開始した。
その一年後には、運転席を無人化したドライバーレス運行にも着手し、名実ともにレベル4サービスを本格化させている。
このグーグル・Waymoの取り組みを追いかけるべく、各地でスタートアップが産声を上げ、米国、中国を中心に2020年ごろからレベル4サービスに着手する動きが加速している。
自家用車においては、2020年ごろまで自動車メーカー各社が自家用レベル4を意識したコンセプトモデルを発表していたが、その温度は徐々に下がっている印象が強い。モービルアイなど一部の企業も意欲を示していたが、続報は絶たれている状況だ。
矢野経済研究所の予測では、乗用車、及び商用車におけるレベル4は2025年予測で0台となっているが、2030年には71万台まで増加するとしている。
一方、富士キメラ総研の予測によると、レベル4以上の生産台数は2045年に2,793台となり、レベル3を追い越すとみている。自動車生産全体の3割に相当する数字だ。
【参考】自動運転レベル4については「自動運転レベル4とは?車種一覧、市販車はある?いつ実用化?」も参照。
現在実用化されているのは形式的レベル4?
すでに実用化が始まっているレベル4だが、遠隔管制センターからの「監視」の度合いによっては、「本当にレベル4か?」――と疑問をぶつけたくなるケースもあるようだ。
レベル4は車内からドライバーを排し、遠隔地にいるオペレーターが必要に応じて状況を見守るものが一般的だ。ただ、オペレーターが付きっきりで常時監視しているようではレベル4とは言えない。
レベル4は、監視する必要なく安全に走行し、万が一の際にも自律走行によって安全な場所まで車両を移動し、停止する能力が求められる。
現実的には何が起きるかわからず、万が一の際に迅速に対応するため一定の監視は必須となるだろうが、この監視を極力減らす段階までたどり着いて初めて真のレベル4と言える。
一人のオペレーターが複数台、できれば数十台を同時に担当できるレベルが望ましいが、この段階に達するにはまだまだ経験を積み重ねる必要があるのかもしれない。
その意味では、現在実用化されているものは「形式的レベル4」と言えそうだ。
【参考】真のレベル4については「NHK、「全国初の自動運転レベル4」と大誤報か ”必要に応じて手動介入”が前提なのに・・・」も参照。
■自動運転レベル5の実用化状況
実現困難も飛躍的なAI進化が常識を覆す?
レベル5は、原則ODDを設けず、あらゆる状況下であらゆる道路を走行する能力が求められる。目的地がどこであれ、最初から最後まで確実に自律走行可能な絶対的なシステムが求められる。
かつては自動車メーカーなどもレベル5を意識したコンセプトモデルを発表していたが、現在の技術水準では実現は困難とする見方が強く、2020年ごろから一部の企業を除き開発熱は静まっている状況だ。
市場予測の見通しも立てづらい。アナリストなどの多くは2040年以後に実現――とあいまいな見通しを発表しているが、それも仕方のないことだろう。
レベル5に関しては、EV大手テスラのイーロン・マスクCEOが開発を公言している。マスク氏は、脳の役割を担うAIと目の役割を担うカメラがあれば人間を代替することは可能――という持論のもと、ODDを設けない自動運転開発を推進している。
その象徴が「FSD(Full Self-Driving)」だ。有料オプションとしてテスラのオーナーカー向けにADASとして提供し、ソフトウェアアップデートを繰り返して徐々に自動運転性能を高めていく戦略だ。
各オーナーカーから走行データやカメラ映像も収集しており、数万台、数十万台規模のデータを効率的に集め、開発に役立てているのもポイントだ。
現状、自動運転として客観的にみればその精度に疑問は残るが、一般道でも高度なレベル2を実現している点は高く評価できる。
国内では、テスラ超えを掲げる2021年設立のスタートアップTURINGが、レベル5のEV開発を進めている。2030年にレベル5のEVを1万台生産する計画をはっぴょうしている。
2010年代のディープラーニングの飛躍、そして近年の生成AI開発など、AIの進化は間違いなく加速している。数年後、飛躍的な技術進歩によってレベル5が現実味を帯びてくる可能性は否定できない。各社の取り組みに引き続き期待したいところだ。
【参考】自動運転レベル5については「自動運転レベル5とは?定義などの基礎知識まとめ」も参照。
■自動運転タクシーの実用化状況
米国、中国で無人サービス実現、日本でも取り組み進展
前述のとおり、自動運転タクシーはWaymoが2018年末に商用化をスタートし、その1年後にはドライバーレスサービスも開始している。
2025年1月時点で、アリゾナ州フェニックスとカリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルスでサービスを提供しているほか、2025年中にテキサス州オースティンとジョージア州アトランタ、2026年にフロリダ州マイアミにも拡大していく計画だ。
米国ではGM系Cruiseもサンフランシスコなどでサービス展開していたが、2023年10月発生の人身事故によりサービスを停止し、2024年末にGMが同事業からの撤退を表明している。
このほか、アマゾン系Zooxがネバダ州ラスベガスとサンフランシスコで2025年中にサービスインする予定だ。乗用車ベースではなく、ハンドルなどの制御装置を備えないオリジナルモデルの実用化に注目だ。
中国では、IT企業の百度(Baidu)を筆頭に、WeRide、Pony.ai、AutoX、Didi Chuxing(滴滴出行)といった新興勢が自動運転タクシーサービスを同国内の各市で展開している。
先頭を走る百度はすでに10数カ所の都市でサービス展開しており、北京や深セン、武漢、重慶など5都市ではドライバーレス運行を実現している。その勢いは米国勢を上回っている印象だ。
また、WeRideとPony.aiは2024年に米ナスダック市場に上場し、海外展開も視野に事業を拡大していく戦略だ。
日本でも実用化に向けた動き
日本でも、自動運転タクシー実用化に向けた動きが活発化し始めている。ホンダは、パートナーシップを結ぶGM・Cruise勢と2026年初頭に東京都内でサービスを開始する計画を発表した。
ただし、GM勢が自動運転タクシー事業撤退を発表してから、ホンダはその影響について公表しておらず、今後の動向に注目が集まる。仮にGM勢に依存していた場合、ホンダ単独では実現が困難になるため比較的早期に断念の方針を示しそうだが、事業継続に向けさまざまな方向から協議を進めているのかもしれない。
ティアフォーは東京都内ですでに実証に着手しており、2024年11月から交通事業者と共同で事業化を目指す方針としている。その後、段階的に区画や拠点数を拡張し、2025年に東京都内3カ所、2027年に都内全域を対象に、既存の交通事業と共存可能な自動運転タクシー事業を推進する。
自動運転タクシーではないが、日産もドライバーレス自動運転モビリティサービス事業化に向け取り組みを重ねている。実証を重ね、2027年度をめどに地方を含む3~4市町村において数十台規模のサービス提供開始を目指す計画としている。
富士キメラ総研が2023年に発表した調査資料によると、自動運転タクシーは2045年に545万台規模に達すると予測している。
【参考】自動運転タクシーについては「自動運転タクシーとは?アメリカ・日本・中国の開発状況は?」も参照。
【参考】自動運転タクシーの市場予測については「自動運転タクシー、最新の市場規模予測まとめ【国内・世界市場別】」も参照。
■自動運転バスの実用化状況
国内でもレベル4がサービスイン
自動運転バスは、前出のNavyaや仏EasyMileが小型・低速モデルをいち早く製品化し、日本をはじめとする世界各国に送り出した。当初は実証用途がメインだったが、限定領域をはじめ一般道におけるサービス化に進展している。
ARMAは国内において、茨城県境町など一般道における定常運行(レベル2運行)に多数利用されているほか、HANEDA INNOVATION CITYでは特定自動運行許可を取得し、敷地内でのレベル4サービスを可能にしている。
なお、国内最初のレベル4は、福井県永平寺町で誕生した。産業技術総合研究所と三菱電機やソリトンシステムズが、ヤマハ発動機製のゴルフカーをベースに自動運転化した小型・低速モデルで、電磁誘導システムを採用している。
2021年3月に遠隔監視・操作型の自動運行装置として正式に認可を受け、レベル3による運行に着手し、その後2023年4月の道交法改正に伴い、同年5月にレベル4運行に移行した。一般道ではない鉄道廃線跡地を活用した運行だが、公道におけるドライバー不在のレベル4定常運行は国内初だ。
一般道では、伊予鉄バスが2024年12月にレベル4運行を開始すると発表している。EVモーターズ・ジャパン製の小型バスにBOLDLYの自動運転システムを搭載したもので、制限速度時速40キロの一般車道を時速35キロで毎日運行するという。
ティアフォーの自動運転バスもレベル4認可
長野県塩尻市でも、ティアフォーの自動運転バスが2024年10月にレベル4認可を受け、2025年1月までに特定自動運行許可も取得したことが発表されている。まもなく本格的なレベル4サービスが開始されるものと思われる。
世界では、米May MobilityやトルコのKarsanなど、多くの新興勢が開発・実用化に取り組んでいる。ドイツでは、イスラエルのモービルアイがフォルクスワーゲンなどと手を組み、ハンブルクで1万台の自動運転バスを導入する計画を掲げているという。
富士経済が2020年に発表した自動運転シャトルの国内市場調査によると、2035年に旅客用途260台、物流用途200台の計460台が導入され、市場規模は322億円に達するという。
【参考】自動運転バスの市場予測については「自動運転バス・シャトル、最新の市場規模予測まとめ【国内・世界市場別】」も参照。
■自動配送ロボットの実用化状況
じわじわとサービス拡大中
自動車ではないが、主に荷物や商品を運ぶ小型ロボットの実用化も進展している。海外では、エストニア発の米Starship Technologiesが米国を中心に世界各地で累計700万回の配達を完了している。主に歩道を走行するロボットながら、総走行距離は1,400万キロを超えたという。
デリバリー大手Uber Eatsは、米CartkenやAvrideなどと手を組み、テキサス州などでロボット配送を実施している。
日本では、ティアフォーやパナソニック、ZMP、ホンダ、Hakobot、ソフトバンクグループ、京セラコミュニケーションシステム、LOMBYなどが開発を進めている。Cartkenや香港Rice Robotics製ロボットを導入する動きもある。
近々では、楽天がCartkenのロボットを導入し、東京都中央区晴海全域と月島・勝どきの一部でロボットが単独で走行する商品配送サービスを2024年11月に開始した。
また、京セラコミュニケーションシステムは車道を走行する中型タイプのロボットを導入しており、2024年9月にオープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」を搭載した移動型宅配サービスの実証に着手している。
じわじわとサービスが拡大している印象だ。
【参考】自動配送ロボットについては「5年後の日本、配送ロボが歩道を埋め尽くす懸念 Uber Eatsが口火」も参照。
■【まとめ】形式的レベル4から実質的レベル4へ
すでにレベル4まで実用化が進んでいるが、ほぼすべてが形式的レベル4であり、オペレーターなどを含め無人化・省人化を達成する実質的レベル4が今後の目標になりそうだ。
自家用車においては、レベル3の高度化が目下の目玉となる。渋滞時に限定されることなく高速道路で自動運転が可能になれば実用性が大幅に増す。各社の動向に引き続き注目したいところだ。
また、こうした開発の中核を担うAI技術が今後数年間でどれほどの伸びを見せ、自動運転分野に反映されていくのか。さまざまな角度から技術の高度化を追っていきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転とは?分かりやすく言うと?どこまで進んでいる?サービス事例は?」も参照。