「自動運転」はどこまで進んでいる?(2022年最新版)

レベル4サービスは世界各国で本格化



新型LEGEND=出典:ホンダプレスリリース

日進月歩の成長を続ける自動運転業界。現在、自動運転技術はどこまで進んでいるのか。

この記事では、ADAS(先進運転支援システム)であるレベル1、レベル2を含め、自動運転各レベルの開発・実装状況を解説していく。







■自動運転レベル1
レベル1は市販車でスタンダード化

レベル1(運転支援)は、車両制御のうち縦または横方向いずれかのサブタスクをシステムが限定領域において実行する。言い換えると、アクセル・ブレーキ操作による「前後(加速・減速)」の制御、もしくはハンドル操作による「左右」の制御のどちらか一方の操作補助をシステムが担う。

代表例としては、前走車に追従するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や衝突被害軽減ブレーキ、LKA(レーン・キープ・アシスト)などの個々の機能が相当する。

衝突被害軽減ブレーキは、軽トラックや輸入車など一部を除く新型車への搭載義務化が始まっており、ほぼ標準装備となっている。日本自動車工業会によると、2020年における乗用車の車両安全装備装着状況は、低速度域を含む衝突被害軽減ブレーキの装着率は95.8%、全車速ACCは32.6%、LKAは45.7%となっている。

■自動運転レベル2
市販車における主力製品に

レベル2(部分運転自動化)は、車両制御のうち縦及び横方向両方のサブタスクをシステムが限定領域において実行する。レベル1では縦と横方向どちらか一方だったが、両方可能とするのがレベル2だ。

例えば、ACCで縦方向の制御を支援しつつ、LKAで横方向の制御も支援し、同一レーン上での走行をトータルで支援する――といった感じだ。

【参考】レベル2については「【最新版】自動運転レベル2の要件や定義、機能を解説」も参照。

この機能が高度化すると、一定条件下で運転中にハンドルから手を離す「ハンズオフ」運転が可能になる。あくまで運転支援機能であり、自動車制御に関わる責任は依然ドライバーが担うものだが、運転における負担を軽減することができる技術だ。

ハンズオフ機能はレベル2における1つの到達点であり、従来のレベル2と区別して「高度レベル2」「レベル2+」「レベル2.5」などと表現されることもある。

【参考】ハンズオフ機能搭載車については「「手放し運転」が可能な車種一覧(2022年最新版) ハンズオフ機能とは?」も参照。

ハンズオフ搭載車は、国内メーカーでは日産の「ProPILOT2.0」をはじめ、ホンダ「Honda SENSING Elite」、トヨタ「Advanced Drive」、スバル「アイサイトX」など、出揃い始めている。今後、搭載車種も徐々に拡大していく見込みだ。

なお、矢野経済研究所が2019年に発表した「自動運転システムの世界市場に関する調査」によると、2018年のレベル2搭載車は新車ベースで約270万台、ハンズオフなどレベル2を高度化したレベル2プラスは2,000台となっており、2030年にはレベル2が約2,100万台、レベル2+が約3,100万台に増加すると予測している。

市販車における主力は、2023年ごろにレベル1からレベル2に移行し、2025年以降にレベル2からレベル2+へ置き換わっていくようだ。

出典:矢野経済研究所(※クリックorタップすると拡大できます)

【参考】矢野経済研究所の調査結果については「ADASか自動運転技術の搭載車、2030年には3.4倍の8390万台に 「レベル2/2+が市場牽引」」も参照。

■自動運転レベル3
レベル3ではアイズオフが可能に

レベル3(条件付き運転自動化)は、一定条件下において全ての運転操作をシステム側が行うが、システムが作動継続困難と判断し、ドライバーに運転交代要求(テイクオーバーリクエスト)を発した際は、ドライバーは速やかに運転操作を行わなければならない。

自動運転の初歩の段階で、自動運転システムと手動運転が混在するレベルとなる。自動運転システム作動時は、ドライバーは周囲の監視義務を免れることができ、ハンドルから手を離すハンズオフをはじめ、車両前方から目を離すアイズオフ運転も可能になる。

自動運転システムが作動可能なODD(運行設計領域)はシステムごとに異なり、例えば「晴天下における高速道路上において時速80キロ以下で走行中」などそれぞれ設定される。

ODDから外れる際や、ODD内であっても何らかの理由でシステムが作動継続困難と判断した際、システムからドライバーにテイクオーバーリクエストが発される。ドライバーはこのリクエストに迅速に応答しなければならないため、自動運転中であっても睡眠などの行為は厳禁となる。

セカンダリアクティビティには議論の余地あり

自動運転中にドライバーに許容される行為「セカンダリアクティビティ」については、道路交通法上は「第71条第五号の五」に定められた携帯電話用装置などの利用を制限する条項を適用しないこととされている。カーナビやスマートフォンなどの操作が認められる一方、法的に明確に許容されたセカンダリアクティビティはこの範囲にとどまる。

おそらく、実用化が始まったばかりのレベル3を運用する上で、安全性を重視してその他のセカンダリアクティビティについてはしばらく明示せず、知見を積み重ねてから一定の指針を明示するものと思われる。

読書や簡単な食事・仕事など、問題ないと思われる行為も、現場の判断で違反となる可能性があるため、しばらくは注意が必要だ。

【参考】レベル3のセカンダリアクティビティについては「自動運転レベル3でできること」も参照。

レベル3に関する法的動向

日本では、レベル3走行を可能とする改正道路交通法と改正道路運送車両がそれぞれ2020年4月に施行され、公道走行が可能となった。世界でも、ドイツや韓国などが法改正済みで、日本同様レベル3が認められている。米国は各州の判断による。

国連関係では、自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で2020年6月、レベル3に関する自動運転システムの要件について国際基準が成立した。自動運転システムは「高速道路などにおける時速60キロ以下の渋滞時などにおいて作動する車線維持機能に限定」とされ、対象も乗用車限定となっている。また、付随要件としてミニマルリスクマヌーバーやドライバーモニタリング、サイバーセキュリティ確保の方策、作動状態記録装置の搭載などが求められている。

この基準は順次改正されており、2021年11月に対象車種がバスやトラックなどにも拡大されたほか、2022年6月には上限速度が時速130キロに引き上げられ、乗用車に限り車線変更も可能とすることとされている。

【参考】レベル3の国際基準については「自動運転、国連が上限時速130キロに緩和!車線変更も容認」も参照。

レベル3の市場規模は?

前出の矢野経済研究所の調査によると、新車ベースのレベル3は2020年に800台と予測しており、2023年に22万台、2025年に約370万台と大きく数字を伸ばしていくこととしている。

レベル3搭載車種は?

一般乗用車へのレベル3搭載は、ホンダが2021年3月にリース販売を開始した新型「LEGEND」で幕を開けた。LEGENDに搭載されるトラフィックジャムパイロットは、高速道路渋滞時において最大時速50キロ以下の範囲で自動運転を可能としている。

新型LEGEND=出典:ホンダプレスリリース

ホンダに続いたのが、メルセデス・ベンツだ。同社は2022年5月までに「Sクラス」とSクラスのEV(電気自動車)版「EQS」に有料オプションの形でレベル3システム「DRIVE PILOT」を搭載可能にした。今のところ対象エリアはドイツ国内となっているが、米カリフォルニア州とネバダ州で許可申請中のようだ。

ボルボ・カーズは、条件付自動運転機能「ライドパイロット」を米カリフォルニア州で先行導入する計画を発表している。近い将来発売するBEV(完全電気自動車)にサブスクリプションとして提供する予定で、正式な時期は未定だが、早ければ2022年内に発売される可能性もありそうだ。BMWも2022年中に北米でレベル3を搭載した新型の「7シリーズ」を投入する予定という。

韓国の現代(ヒョンデ)は高級車ブランドGenesisのフラグシップモデル「G90」への搭載を2022年中に開始する計画があることを開発責任者が語っている。

今後1年の間に続々とレベル3搭載車が市場投入され、世界各地で乗用車における自動運転を実現させそうだ。

■自動運転レベル4
レベル4はドライバーレスを実現

レベル4(高度運転自動化)は、一定条件下において全ての運転操作をシステム側が行い、作動継続が困難な場合もドライバーやオペレーターなどの介入に期待しないレベルを指す。ODD内においてドライバーを必要としない自動運転を実現させ、万が一ODDを外れる際も安全に車両を停止させるなどドライバーを必要としない高度な自動運転となる。

ドライバーが不要となるメリットを生かし、移動サービスや輸送サービス用途に導入を図る動きが活発だ。開発車両は、手動運転装置を備えたモデルや同装置を備えず自動運転に特化したモデルなどさまざまだ。

なお、現実的には多くのレベル4サービスでオペレーターが遠隔監視・操作システムなどを活用して適時監視や操作介入を行っている。技術的に発展途上であることと安全面を重視しているためだ。このため、多くのレベル4サービスは実質レベル3~3.5といった感じだが、ここではレベル4として取り扱う。

【参考】関連記事としては「自動運転レベル4、いつから解禁?」も参照。

Waymoを筆頭に自動運転サービスが続々誕生
出典:Waymo公式サイト

レベル4サービスはすでに実用化されている。公道においては、米Waymoが米アリゾナ州で2018年12月、セーフティドライバーを同乗する形で有償の自動運転タクシーサービスを開始したのがはじまりだ。翌年にはセーフティドライバーが乗車しない完全無人化を達成し、名実ともにレベル4を達成している。

米国では、カリフォルニア州でもWaymoとGM・Cruiseが自動運転タクシーのサービス実証を始めるなど、エリア拡大が活発化し始めている。

中国では、百度(Baidu)を筆頭にWeRide、AutoX、Pony.aiなどの開発企業が北京や上海、深センなどの都市でサービスを開始している。一部サービスでは無人化・有料化も実現している。

自動運転シャトル関連では、仏NavyaとEasyMileが大きく先行しており、世界各地で高い導入実績を誇る。

米国、中国では自動運転トラックの開発も盛んで、Waymoをはじめ、TuSimple、Plusといった新興勢が続々と台頭し、量産化を視野に入れた取り組みを加速している。

【参考】自動運転トラックについては「自動運転トラックの開発企業・メーカー一覧(2022年最新版)」も参照。

また、イスラエルのMobileyeは、コンシューマー向けのレベル4車両を2024年にも中国で発売する計画を明かしている。一般自家用車におけるレベル4がどのように導入されるのか、要注目だ。

【参考】Mobileyeの取り組みについては「自動運転で未知の領域!「市販車×レベル4」にMobileyeが乗り出す」も参照。

なお、米コンサルティング企業のMarketsandMarketsの調査によると、2021年の自動運転タクシーの市場規模は617台という。現在、100台規模のフリートを構想する企業も出始めており、こうした数字は今後飛躍的に伸びていくことが予想される。

レベル4に関する法的動向

国内では、レベル4によるドライバーなしの運行を「特定自動運行」と定義し、従来の「運転」と区別する内容を含んだ道路交通法の改正案が2022年の通常国会で可決された。2023年4月ごろまでに施行される見通しだ。この特定自動運行に関する運用ルールを細かに整備することで、レベル4の社会実装が可能になる。

ドイツも、世界に先駆けてレベル4に対応した法案が2021年5月に連邦議会で可決されている。この動きは今後世界各国に広がっていくことは間違いない。早期にレベル4環境を整えた国には、世界の開発企業が集結する可能性があり、こうした点からも今後の動向に注目したいところだ。

【参考】レベル4に関する法整備については「自動運転、2022年は世界で「レベル4」の法整備加速」も参照。

レベル4の市場規模は?

前出の矢野経済研究所の調査によると、新車ベースのレベル4(レベル5含む)は2020年に7,100台、2023年に20万7,900台、2025年に約180万台、2030年に1,530万台と予測している。2030年代にはサービス用途において自動運転車が手動運転車を逆転する可能性もありそうだ。

■自動運転レベル5
レベル5は高い壁、一部企業が果敢に実現目指す

レベル5(完全運転自動化)は、ODDに限定されることなくあらゆる状況下で無人運転を実現するレベルを指す。道路の種別や速度、エリアなどに捉われず、手動運転が可能な状況をすべて自動運転がカバーすることになる。

【参考】レベル5については「【最新版】自動運転レベル5とは?定義などの基礎知識まとめ」も参照。

突発的な悪天候や道路工事・事故などで一時的に走行できなくなった際も、状況が回復するまで安全に停止したり、走行可能な別ルートを探したりして運行を継続する。原則として、遠隔監視含め人間の手を煩わせない仕様となる。

現在の技術水準では一般的に達成は困難とされており、レベル5開発を公言する企業は少ない。米国では、EV大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が完全自動運転実現を早くから公言している。

国内では、2021年設立のスタートアップTURINGがテスラ超えを掲げ、2025年を目標にレベル5のEV開発を進めている。

■【まとめ】レベル4は本格的な拡大局面へ

自家用車においては、レベル2が2020年代の主力となる一方、レベル3搭載車も増加し、徐々にシェアを挙げていくものと思われる。また、モービルアイのようにレベル4搭載を目指す動きも出ており、動向を注視したい。

レベル4サービスは世界的に拡大局面へと本格的に移行し始めた状況で、今後、米国・中国以外でもサービスインする例が続々と出てきそうだ。自動運転業界は1年間で大きく情勢が変わるため、引き続き各社・各国の動向に注目したい。

【参考】関連記事としては「自動運転、日本政府の実現目標」も参照。

■関連FAQ
    自動運転レベルとは?

    米自動車技術会(SAE)が策定した自動運転関連の技術区分で、自動運転化なしのレベル0から、完全自動運転を実現するレベル5まで6段階に分けられている。なお、自動運転レベルという名称が付されているものの、レベル1、レベル2は自動運転ではなくADAS(先進運転支援システム)で、レベル3以降が自動運転となる。

    ADASとは?

    ACCやLKAなど、ドライバーの手動運転を支援する技術を総称してADASという。あくまで運転を支援する役割であり、運転における責任はすべてドライバーが負うことになる。

    ODDとは?

    自動運転が可能となる条件のことで、高速道路や一般道といった道路条件、地理的境界線(ジオフェンス)内や山間部といった地理条件、天候などの環境条件、その他速度制限やインフラ協調の有無など各種要件で構成される。ODDがカバーする条件が大きければ大きいほど自動運転可能な条件が広がるため、各自動運転システムの能力を示す明確な指標と言える。

    ハンズオフやアイズオフって?

    ハンズオフはハンドルから手を離した運転、アイズオフは車両周囲から目を離す運転を指す。それぞれレベル2+、レベル3を象徴する表現と言える。レベル4では、ドライバーは運転操作から完全に解放されるため、ブレインオフと表現されることがある。

    自動運転関連の法律って?

    自動運転に関連する法律は、日本では道路運送車両法と道路交通法が挙げられる。車両が備えるべき要件や、道路交通ルールを整備した法律だ。従来の各法は人間による手動運転を前提とし、自動運転システムが存在していないため、自動運転の社会実装に向けては、自動運転システムの要件や無人運転に関するルールなどを整備しなければならない。このほかにも、インフラ協調システムの観点から道路法、通信の観点から電波法などが関わってくることもある。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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