2023年は自動運転の「事故元年」に?ソフトバンク系も接触事案

米国ではGM系Cruiseが運行停止に



出典:ソフトバンク・プレスリリース

自動運転開発が本格化し、実用化例も増えてきた。そんな中で、2023年は自動運転車両の事故が日米で目立っており、「今年はまるで自動運転の事故元年だ」という声も聞こえてくる。

11月25日には、ソフトバンク子会社で自動運転サービスの実装を手掛けるBOLDLY(本社:東京都港区/代表取締役社長:佐治友基)が、実証実験中の自動運転車両が接触事故を起こしたことを発表した。福岡県福岡市のJR箱崎駅東口ロータリー内で、自動運転車両が後方から来た車両と接触したという内容であった。







また米国においてはGM傘下のCruiseが、人身事故や相次ぐ運行トラブルにより、自動運転タクシーの全面的な運行停止に至っている。

■BOLDLYが委託を受けた実証の概要

BOLDLYは、FUKUOKA Smart EASTモビリティ推進コンソーシアムから委託を受け、公道で自動運転レベル4対応自動運転車を走行させるという実証実験を2023年11月22日から行っていた。

使用車両は、エストニア企業Auve Tech製の自動運転EV(電気自動車)「MiCa(ミカ)」で、同年10月にナンバープレートを取得している。BOLDLYによると、自動運転レベル4対応のMiCaが公道を走行するのは国内初のことだという。

医療施設や商業施設、公園など計8カ所にバス停を設置し、片道約1.8キロの往復ルートで1日12便MiCaを運行した。地域住民や来訪者が、LINEでの事前予約または予約無しの当日乗車で利用可能であった。

出典:ソフトバンク・プレスリリース
■後方から来たタクシーと接触

実証開始4日目の11月25日の午後、接触事故が起こった。自動運転車両がJR箱崎駅東口のバス停に停車後、自動運転モードで発車した。その際に前方に停車していた一般車両を検知し、自動で停止した。その後、前方の一般車両が動き出したため自動で発進し、右斜め前方に動き出した際に、車両の前方右側面が後方から来たタクシーと接触したという内容であった。

この事故による負傷者はいない。BOLDLYは現在、関係省庁へ報告を行い、警察や保険会社との間で検証作業を行っている状況だという。なお、実証は2023年12月3日まで行う予定であったが、11月26日以降の運行は一旦中止している。

■米国でも事故や交通トラブルが発生

Cruiseは2023年10月2日、車内無人の同社の自動運転タクシーがサンフランシスコで走行中、別の車両にはねられて飛んできた女性を下敷きにしたという事故を起こした。衝突を検知したCruise車は一時停止し、路肩に緊急停車するため女性を引きずりながら移動し、女性に大けがを負わせた。

この事故により、カリフォルニア州道路管理局(DMV)と同州公共事業委員会(CPUC)はCruiseに対し、同州内での営業停止と無人自動運転走行許可の停止を発表した。それを受け、同社はカリフォルニア州以外も含む全ての無人車両の走行を一時停止することを発表した。その後、セーフティドライバーが同乗して操作を行う方式での自動運転オペレーションも一時停止している。

その他、CruiseやGoogle系Waymoは、ドライバーレスの自動運転タクシーが急停止し交通を遮断するといったトラブルをしばしば起こしている。

■自動運転車は危険なのか?

自動運転車の実証や実用化の事例が増えるにつれ、事故の件数も増えることが予想される。自動運転車による事故は大きなニュースになりやすいが、注目すべきは「事故率」だ。

事故件数だけで「自動運転=危ない」というイメージを持つのは、やや短絡的だ。自動運転車が他のクルマの過失で事故に巻き込まれる可能性を含め、手動運転でも回避できないような事故のケースも、当然ある。

いずれにせよ、開発各社は事故が起きた際に原因究明と対策をしっかり行い、再発防止に向けた技術向上やオペレーションの修正などに粛々と取り組んでいくことが必要だが、利用者側も自動運転車の安全性(危険性)に対して正しい見識を持つことが、自動運転車の普及に向けては必要とされる。

BOLDLYは、事故の原因究明を進めるとともに、警察や保険会社による検証作業の結果を踏まえて今後の対応策や再発防止策を検討していくという。これからの対応に注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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