空港での草刈りを自動運転化!「熟練度による個人差」の課題解消へ

操作者1人が自動化トラクタ2台を遠隔操作



出典:国土交通省航空局公開資料

国土交通省は、「航空機運航のDX推進に向けた検討会」を2021年9月から開催している。航空交通・運航関連データの利活用を通じた生産性向上や利便性向上を図るため、幅広い関係者が情報共有と相互連携を行い、データの利活用に必要な取り組みなどについて検討するものだ。

2023年11月24日に行われた第10回検討会では、地方空港における業務効率化・負担軽減についての進捗報告として、空港での草刈りを自動化するという取り組みについて発表された。詳しくは後述するが、熟練度による草刈りの個人差などの課題解消に一定の効果があるという。







ちなみに最近では、ゴルフ場での芝刈りでも自動運転技術が導入されつつある。

▼地方空港における業務効率化・負担軽減 進捗報告|国土交通省航空局
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001709788.pdf

■すでに自動化されている空港も

これまで空港内の緑地の草刈りは、人間のオペレーターが大型草刈り機(トラクタ)操作して行っていたが、建設業の担い手不足という課題があった。自動化トラクタを導入することで、省人化や生産性の向上が期待できるということを背景に、取り組みがスタートしている。

2018年度から実証実験を行い、国が管理する空港としては2021年度に鹿児島、丘珠、八尾、北九州、那覇の各空港で、2022年度には小松、長崎、大分、宮﨑の各空港において本格導入された。2024年度には、羽田、新潟、松山、高知の各空港で導入予定だ。

出典:国土交通省航空局公開資料
■草刈り自動運転化の仕組み

草刈りの自動運転化は、タブレット操作者1人による遠隔操作で、2台の自動化トラクタが無人で草刈りと集草を行うという仕組みになっている。RTK-GNSS方式で位置情報を取得し、事前にタブレットで設定した作業経路に沿って自動走行する。

出典:国土交通省航空局公開資料
出典:国土交通省航空局公開資料

作業経路の設定では、まずは有人走行により自動草刈範囲の外周を走行し、枠取りをする。その際マンホールなどの障害物は避けて設定を行う。その後、作業機登録や作業領域登録を経て、タブレットで走行経路を設定する。開始地点の設定や他経路設定も可能だという。

出典:国土交通省航空局公開資料

なお、刈った草をロール状にして運びやすくする梱包機や、刈草搬出のための積み込み・運 搬は自動化されていない。梱包機はロールを均一にするために蛇行運転が必要で、特殊な技術であることから技術開発がなされていない。メーカーヒアリングによると、500台の受注が見込まれなければ技術開発はしないということのようだ。

■草刈り自動化の効果と課題は?

自動化トラクタ導入の効果として、作業員の身体的・精神的負担が軽減されることや、作業員の熟練度による施工能力や仕上がりといった個人差が解消されることが挙げられている。

課題としては、自動化できない範囲を従来と同様に有人施工で行うため作業効率が悪い点や、マンホールなどの構造物の段差部分に対応できない点が挙げられている。今後は課題の解決に向けた検討を行い、段階的な効果検証により自動化トラクタの効率的な運用について取り組むとしている。

出典:国土交通省航空局公開資料
■自動運転芝刈り機、ゴルフ場で実用化例

民間企業も芝刈り機の自動化に取り組んでいる。

西武グループの造園・緑地事業専門会社である西武造園は、無人・自律走行型の芝刈りロボットを2023年度から2カ所のゴルフ場で導入している。使用しているのは、フェアウェイ用の芝刈り機に走行制御システム「I-GINS(アイジンズ)」を搭載したロボットだ。

また、IHIアグリテックとマミヤ・オーピーは、完全無人での芝草管理を実現する自立走行式3連ロータリーモア「SC250iG」を共同開発したことを2023年11月に発表した。夜間刈りが可能なため、利用者は日暮れギリギリまでプレーでき、集客率の向上も見込める。この製品は、ゴルフ場だけでなく面積が広い平地向けにも拡販予定だという。

少子高齢化により今後ますます人材不足が進むことが予想され、また働き方改革により、労働者の負担減も叫ばれている現在、自動化できる作業については技術開発に取り組む事例が増えている。

草刈り機の自動化は私有地内の走行のため、自動運転車の実現より容易だと言える。今後は人間による作業のような臨機応変さと精密さを、どう可能にしていくかが課題になりそうだ。

※自動運転ラボの資料解説記事は「タグ:資料解説|自動運転ラボ」でまとめて発信しています。

【参考】関連記事としては「ゴルフ場の芝刈り、「自動運転レベル4」実現で完全無人化」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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