自動運転における「ODD」って何?「運行設計領域」のことで、言い換えれば「能力値」

道路条件や地理条件などを設定





実証実験などに登場する自動運転レベルの高度化に伴い、「ODD」という言葉を目にする機会が増えてきた。今後、このODDは各社が開発する自動運転システムの能力を評価するうえでも明確な指標となるため、しっかりと理解しておきたいところだ。







ODDとは何か。具体例とともに定義・概要について解説していこう。

■ODDとは?

ODDは「Operational Design Domain」の略で、「運行設計領域」を表す。設計上、各自動運転システムが作動する前提となる走行環境条件のことで、各自動運転システムによって条件は異なり、すべての条件を満たす際に自動運転システムが正常に作動する。

逆に、何らかの条件が欠けた場合は自動運転に支障をきたす恐れがあるため、安全な運行停止措置や手動運転への切り替えが求められる。

自動運転レベル3(条件付き運転自動化)以上の高度な自動運転システムは発展途上の技術であり、あらゆる道路環境や気象条件下において完全かつ安全な走行を行う技術水準には至っていない。このため、個々の自動運転システムの能力に応じたODDをあらかじめ設定し、走行環境や運用方法を制限することで、自動運転システムが引き起こす可能性がある事故などを未然に防止するのである。

ODDの例として、条件付きで自動運転が可能となる自動運転レベル3を代表する独アウディの「Audi A8」を挙げると、同社の自動運転システム「Audi AIトラフィックジャムパイロット」を使用できる条件として①クルマが高速道路もしくは中央分離帯とガードレールなどが整った片道2車線以上の自動車専用道路を走行していること②隣接する車線も含めて、前後を走る車両との距離が詰まった、いわゆる渋滞の運転の状態にあること③クルマの走行スピードが時速60キロ以下であること④車載センサーの検知範囲(視野)に交通信号も歩行者も存在しないこと――とある。

走行する道路の条件や速度の条件などが定められており、これが「Audi A8」(Audi AIトラフィックジャムパイロット)におけるODDとなるのだ。

■ODDにおける「条件」
道路条件

高速道路(自動車専用道路)と一般道の区別や車線数、車線や歩道の有無、自動運転車の専用道路など、走行する道路に関わる条件。前述した「Audi A8」を例に挙げると、①がこれに当たる。

地理条件

都市部や山間部、仮想的に線引きした地理的境界線(ジオフェンス)内など、道路の状況だけではなく周辺の環境も含んだうえで設定する条件。ジオフェンスは、自動運転車を走行させる範囲を事前に定めることで、規制の緩和やマッピング、インフラの整備など、自動運転を行いやすい環境を構築することができる。

環境条件

天候や日照状況(昼・夜の区別)などがこれに当たる。豪雨時や降雪・積雪など、車載センサーの精度に影響を及ぼす可能性がある場合などに設定する。

その他の条件

速度制限や信号情報などのインフラ協調の有無、特定の経路のみに限定した運行、保安要員の乗車要否、連続運行時間などがこれに当たる。前述した「Audi A8」を例に挙げると、②~④がこれに当たる。

■開発メーカーの義務

開発各社は、ODDを明確に設定して安全を確保するとともに、ODDの諸条件を満たさなくなった際に、システムの機能を維持・制限した状態でシステムの稼働を継続させるフォールバック(縮退運転)や、路肩などへ安全に車両を停止させるミニマル・リスク・マヌーバー(MRM)、手動運転の切り替えなど、引き続き安全を担保する策も講じなければならない。

その過程において、システムの作動状況を的確に運転者らに知らせるヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)技術なども磨かれ、システム全体としての質が向上していくことになる。

■【まとめ】レベル3~4実用化後はODDの差に注目

ひとえに「自動運転レベル3」「自動運転レベル4」といっても、システムによって自動運転能力には差があり、その差がODDに明確に表れることになる。レベル3、レベル4の試験導入や実用化が本格化した後、開発各社のODDに注目が集まり、自動運転システムの能力比較などが行われる可能性が高そうだ。

ともあれ、自動車専用道路限定、敷地内限定、一定の区域内限定、全車速対応……というように徐々に条件を広げていき、最終的には原則一切の条件・制約のない状態で自動運転が可能となる「自動運転レベル5」にたどり着くのだ。







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