自動運転、一番進んでるメーカーは?(2022年最新版)

Waymoに迫る各企業、覇権争う12社



米国、中国を中心に本格実用化が始まっている自動運転サービス。今後、法規制の整備などとともに世界各地で続々と新サービスが産声を上げることが予想される。

市場を急拡大させる自動運転分野において、開発・実用化面で先行する企業は大きな躍進が期待される。この記事では、自動運転分野で今後覇権を争うことになるであろうメーカーを12社ピックアップし、紹介する。なお、メーカーには自動運転分野ならではのソフトウェアメーカーなども加える。







■Waymo(アメリカ):自動運転開発競争の旗振り役
出典:Waymo公式サイト

いち早く自動運転技術のビジネス化に着目した米グーグルは、今日の自動運転開発競争の仕掛人であり、立役者だ。自動運転開発部門には、Aurora InnovationやNuro、Argo AIといった有力新興企業の創業者がこぞって名を連ねていたことからも、そのレベルの高さがうかがえる。

開発部門は2016年にWaymoとして独立し、自動運転システム「Waymo Driver」の開発とともに自動運転タクシーの開発・社会実装に着手した。自動運転の実用化に積極的なアリゾナ州をサービス拠点に据え、実証を重ねて2018年に一部ユーザーを対象に商用化を開始した。

当初はセーフティドライバーが同乗していたが、徐々にドライバーレスの車両も導入し、対象利用者の拡大も図っている。

2021年には、カリフォルニア州でも自動運転タクシーのパイロットプログラムに着手し、公道実証を積み重ねている。

また、自動運転トラックの開発にも乗り出しており、配送向けソリューション「Waymo Via」の開発を進めている。ダイムラートラックと協業を進めるほか、UPSやCH Robinson、JB Huntといったロジスティクス企業とパートナーシップを結び、実証を重ねている。

2022年7~8月には、家具家電のオンラインストア「Wayfair」の配送に自動運転トラックを試験導入するなど、取り組みを加速している印象だ。

▼Waymo公式サイト
https://waymo.com/

【参考】Waymoについては「Waymoの自動運転戦略 無人タクシーで「世界初」の称号」も参照。

■Cruise(アメリカ):カリフォルニア州でサービスイン
出典:GM Cruise公式サイト

米GM傘下のCruiseは、早くからWaymoの対抗馬として大きな注目を浴びてきた。予定より数年遅れとなったが、2022年に米カリフォルニア州で自動運転タクシーのサービス実証を本格化させ、Waymoの背中を猛追する構えだ。

サンフランシスコでは、パトカーの聴取から逃れたり消防車の進行を妨げたり、道路を占拠したりするなどトラブルが相次いでいるようだが、事故に関する情報はほとんど聞こえず、根幹となるシステム部分の精度は高いようだ。

通信技術の冗長化やさまざまなシチュエーションへの対応方法の学習など、改善を重ねサービス全体の質を上げたいところだ。

同社はこのほか、日本やドバイなど海外進出も計画している。ドバイでは2023年にもサービスインする見込みで、今後のグローバル展開にも注目したい。

▼Cruise公式サイト
https://www.getcruise.com/

【参考】Cruiseの取り組みについては「GM Cruiseの自動運転AI、サンフランシスコ全域を「勉強エリア」に」も参照。

■Mobileye(アメリカ):業界の台風の目に
出典:Mobileyeプレスリリース

米インテル傘下のイスラエル企業・Mobileye(モービルアイ)は、かつてのADAS(先進運転支援システム)ソリューション提供企業から自動運転企業へと、大きな進化を迎えつつある。

コンピューターの高速処理を実現するSoC(システムオンチップ)で覇権を狙うほか、高度なコンピュータービジョン技術に裏打ちされたカメラによる自動運転システムと、LiDARによる自動運転システムを併せ持つ「MobileyeDrive」で、ドイツやドバイ、北米、日本など世界各地の自動運転市場に狙いを定めている。

株式再上場計画は延期となったようだが、自動運転サービスのグローバル展開を既定路線に据える同社は、今後業界の台風の目となるかもしれない。

▼Mobileye公式サイト
https://www.mobileye.com/

【参考】Mobileyeの取り組みについては「Mobileye(モービルアイ)と自動運転」も参照。

■Nuro(アメリカ):ラストマイル配送に焦点
出典:Nuroプレスリリース

ラストマイル配送に焦点を当てた自動運転開発を手掛ける米スタートアップNuroは、オリジナルの「R」シリーズの実証と製品化を進めている。

これまでに、小売大手のウォルマートやクローガー、セブン-イレブン(米)、飲食系のドミノピザ、チポトレなどとパートナーシップを結び、配送実証を積み重ねている。

自動運転車両「R2」は2.74×1.10×1.86メートルと小型で、最大190キロの荷物を載せ最高時速25マイル(約40キロ)で車道を走行することができる。

人が乗ることを前提としない車両のためミラーやフロントガラスなどを備えておらず、従来の保安基準を満たさない仕様となっているが、2020年2月に米国運輸省(DOT)と米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)から保安基準に関わる規制免除を受けている。

同年4月には、カリフォルニア州の車両管理局(DMV)から無人公道走行のライセンスを取得し、12月には商業展開を可能にする許可も取得した。

2022年1月には、第3世代となる新モデル「R3」を発表した。量産化に適した設計変更をはじめ、最高時速72キロへの拡張や安全性の向上などが図られているという。製造パートナーは中国EV大手のBYD(比亜迪汽車)で、2023年にも量産を開始する予定という。

日本関連では、ソフトバンクグループのSVFやトヨタ傘下のウーブン・キャピタルなどが同車に出資している。今のところ米国内での展開に留まっているNuroだが、量産化とともにグローバル展開を推進する可能性も十分考えられそうだ。

【参考】Nuroの取り組みについては「Nuroの自動運転配送ロボ、中国EV大手BYDが製造パートナーに」も参照。

■Baidu(中国):7都市で自動運転タクシー展開

中国IT大手のBaidu(百度)は、オープンソフトウェアプラットフォームを活用した自動運転開発プロジェクト「Project Apollo(阿波羅)=アポロ計画」を主導し、自動運転分野における同社の地位を確立した。

アポロ計画からは、Kinglong(金龍客車)による自動運転バスやNeolix(新石器)による自動走行ロボットなどが続々と量産化を迎えており、大きな成果を上げている。

百度自身も中国内の自動車メーカーらと手を組み、自動運転タクシーなどの開発を進めている。これまでに、北京、上海、広州、重慶、長沙、滄州、深センの7都市でサービス実証を進めているようだ。北京などでは運転席無人によるサービスも開始している。

さらに驚きなのが、自動運転レベル4技術を搭載したEV(電気自動車)の市販化だ。高速道路や街中、駐車場でレベル4走行を可能にする自動運転EVを2022年末までに予約を開始し、2023年中に納車すると発表した。開発・製造は、Geely(浙江吉利控股集団)との合弁Jidu Auto(集度汽車)が担っており、価格は3万ドル(約400万円)相当を予定しているようだ。

最終的にどれほどのレベル4技術が実装されるかは不明だが、自動運転車の量産化のみならず低価格化路線に早くも舵を切った同社の動向に世界から注目が集まる。

▼Apollo公式サイト
https://developer.apollo.auto/

【参考】レベル4市販車については「世界初「自動運転レベル4市販車」、中国・百度が発売へ」も参照。

■WeRide(中国):さまざまなモビリティで事業
出典:WeRideプレスリリース

自動運転開発を進める中国スタートアップのWeRideは世界23の都市で自動運転の研究開発やテスト、運用を行っており、自動運転タクシー「Robotaxi」を皮切りに、自動ミニバス「Mini Robobus」、自動貨物車「Robovan」と拡大路線を歩んでいるようだ。

主力の自動運転タクシーでは、いち早くドライバーレスの公道実証に踏み出すなど積極的で、本社を構える講習を中心にサービス実証に取り組んでいる。自動運転向けのセンサースイート「WeRide Sensor Suite 5.0」とバージョンアップを重ねており、5.0では12台のカメラと7台のLiDARで半径200メートル以上に渡る車両の周囲360度の視界を持つという。

物流関連では、同業のMoonXを買収して自動運転トラックの開発を本格化させ、2021年9月に江鈴汽車とZTOExpressとの戦略的パートナーシップのもと、自動運転車による貨物分野への参入を正式に発表している。

また、2022年4月にはバスメーカーYutongGroupと共同設計した完全無人の自動運転衛生車両「Robo Street Sweeper」の公道実証を広州の南沙区全域で開始することを発表している。市道の清掃車を自動運転化したもので、50台のフリートで大規模実証するようだ。

さまざまなモビリティに自社開発した自動運転システムを積極的に統合していくビジネスモデルで、新たなモビリティの自動運転化・サービス化などに引き続き注目したい。

【参考】WeRideの取り組みについては「競争相手が少ない自動運転清掃車!中国WeRideが発表」も参照。

■Pony.ai(中国):「タクシー事業者」免許を取得
出典:Pony.aiプレスリリース

自動運転タクシーを主力に実用化を推し進める中国スタートアップのPony.ai。米国ではひと悶着あったが、中国では正式にタクシー企業に認められるなど、着実に前進を続けているようだ。

自動運転タクシー事業は現在、実証含めカリフォルニア州アーバインやフリーモント、中国広州、北京、上海などで計画を進めている。北京では、百度とともにドライバーレスの公道走行を認められるなど、同国内で高い評価を得ている。

2022年5月には、長期間に及ぶ自動運転実証の実績が認められ、タクシー事業者として正式に国の認可を得たことが発表されている。自動運転開発企業としては中国初で、世界的にも異例と言える。

従来のタクシーと同様にサービス展開することが可能になり、同社はまず広州の南沙で自動運転タクシー100台を導入する許可を取得し、広州の標準的なタクシー料金に基づいた運賃を徴収する形で営業を行うとしている。

自動運転タクシー以外では、新たな開発部門・ブランド「PonyTron」のもと自動運転トラック事業を加速しており、重機製造メーカーのSany Heavy Industry(三一重工)と合弁を立ち上げ、自動運転トラックの大量生産を進める計画が持ち上がっている。

米国では、米中間の貿易紛争などを背景に上場計画を延期したほか、自動運転実証中の事故によってカリフォルニア州当局からドライバーレス走行の免許停止などを受けている。今後の米国市場をめぐる動向が気になるところだ。

出資面では、トヨタから4億ドル(約440億円)を調達したことが2020年に発表されており、トヨタとの関係にも要注目だ。

【参考】Pony.aiの取り組みについては「トヨタ出資の中国Pony.ai、自動運転企業で初のタクシー営業証取得」も参照。

■ホンダ(日本):世界初のレベル3市販車
出典:ホンダプレスリリース

ホンダは、世界に先駆けてレベル3市販車を世に送り出した功績が大きい。それまで自動運転分野では比較的大人しかったが、このレベル3で急浮上した印象だ。

ホンダは2021年3月、レベル3システム「トラフィックジャムパイロット」を搭載した新型LEGEND(レジェンド)のリース販売を100台限定で開始した。高速道路などの渋滞時において自動運転を可能とするシステムだ。

渋滞時限定の自動運転は実用性が薄く感じられるかもしれないが、ここから経験を積み重ね、速度域や対象エリアなどを拡大していくことになる。偉大な第一歩と言えるだろう。

レベル3に関する国際基準(国連協定規則)も上限が130キロまで緩和されることになった。トラフィックジャムパイロットのさらなる進化に期待したい。

また、米GM、Cruiseとの協業のもと、日本国内で自動運転移動サービスを実装する取り組みにも着手した。こちらの動向にも要注目だ。

【参考】ホンダの取り組みについては「ホンダの自動運転戦略 レベル3市販車「新型レジェンド」発売」も参照。

■トヨタ自動車(日本):マクロな視点で事業展開?
東京モーターショーでe-Paletteについて語るトヨタの豊田章男社長=出典:トヨタプレスリリース

自動運転開発競争は意識せずマイペースを貫いているように見えるトヨタ。公道実証などの実績は他社に比べ少ない印象だが、グループ全体の開発力・技術力・サービス力はやはりピカイチで、そろそろe-Palette(イー・パレット)などの実証も本格化しそうな気配だ。

米国のTRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)や国内のウーブン・プラネット・ホールディングスなどがグループにおける自動運転開発をリードしており、AMP(自動地図生成プラットフォーム)をはじめとした周辺技術の開発にも力を入れている。

e-Paletteは、自社開発した自動運転システムに加え、他社製自動運転システムも搭載して冗長性を高めることができるなど、先々を見越した仕様となっている。

トヨタが自動運転をビジネス化する際、自動運転タクシーなどの単一モビリティに留まらないマクロな視点による壮大な仕掛けを行う可能性が考えられる。トヨタの自動運転ビジネスはいつ全貌を現すのか。ベールを脱ぐ日が待ち遠しい。

【参考】トヨタの取り組みについては「トヨタの自動運転戦略 車種や価格は?レベル3〜4はいつ実現?」も参照。

■現代自動車(韓国):レベル3導入予定
出典:現在自動車プレスリリース

現代自動車(ヒョンデ)は、高級車ブランドGenesisのフラッグシップモデル「G90」にレベル3を搭載する計画が進んでいるようだ。

2021年11月開催の「HMGディベロッパーカンファレンス」の中で、自動運転技術の開発担当責任者が2022年中にG90にレベル3システムを搭載すると言及した。

今のところ続報は出ていないが、韓国内でもレベル3走行を可能にする法改正はなされており、発売時期が前後する可能性はあるものの社会実装は時間の問題と思われる。

レベル4関連では、米Aptivとの合弁Motionalが取り組みを加速している印象だ。Aptivの自動運転事業を引き継ぐ形で2020年に設立されて以来、米ラスベガスなどで実証を積み重ねている。

サービスパートナーには、LyftやVia、UberといったMaaSプラットフォーマーが名を連ねている。LyftとのパートナーシップはAptiv時代に遡り、2018年からラスベガスで自動運転タクシーのサービス実証を継続している。IONIQ5ベースの無人自動運転タクシーを2023年にもLyftのプラットフォームに導入し、ラスベガスを皮切りに複数都市への展開を目指す計画だ。

2020年にパートナーシップを結んだViaは、Motionalの自動運転タクシーを使ったサービスを2022年にラスベガスで開始している。Uberは2021年12月にMotionalとパートナーシップを結び、デリバリー事業を展開するUberEatsに宅配向けに改造した自動運転車を導入し、2022年早期にカリフォルニア州サンタモニカで自動運転配送サービスに着手すると発表している。

このほか、Motionalはマサチューセッツ州ボストンやカリフォルニア州サンディエゴ、ペンシルベニア州ピッツバーグ、シンガポールなどで実証を行っている。ヒョンデとしては、2022年に韓国ソウルで自動運転タクシーのサービス実証を開始したようだ。

【参考】ヒョンデの取り組みについては「韓国ヒョンデ、自動運転タクシーの試験運用開始」、ヒョンデのレベル3については「韓国ヒュンダイ、2022年に自動運転レベル3の市販車を発売へ」も参照。

■EasyMile(フランス):多数の導入実績
出典:EasyMile公式サイト

2014年創業の仏スタートアップEasyMileは、レベル4自動運転シャトル「EZ10」や自動運転トラクター「TractEasy」の開発を進めている。同社によると、これまでに30カ国以上の400以上のエリアで実証含め自動運転ソリューションを導入し、自動運転シャトルは180台以上を展開しているという。

EZ10は12人乗りで、4,050×1,892×2,871ミリの取り回しやすい小型ボディが特徴だ。運転席などの手動運転装置を備えない自動運転モデルで、最高時速40キロで走行することができる。

施設敷地内における低速高頻度のシャトルサービスや、利用者の少ない公共交通用途など導入事例は多く、オペレーターのトレーニングカリキュラムも完備している。日本ではDeNAがEZ10を2016年にを導入し、「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」の名称で実証を進めている。道の駅を拠点とした自動運転サービス実証にも導入されている。

フランスでは改正道路交通法などのもと2022年9月に自動運転の公道走行が認められる予定で、EasyMileはいち早く公道走行に向けた審査を通過したようだ。これに先立ち、仏トゥールーズの病院キャンパスで訪問者や患者、スタッフの輸送サービス実証を進めるなど、同国内における無人移動サービスの実用化に注力している。

海外では、独ベルリンや米コロラド州デンバー、シンガポール、オーストラリアのアデレードに拠点を構えている。ドイツでは、ベルリンの旧テーゲル空港の拠点を増強し、開発プロジェクトを強化していく構えだ。このほか、ノルウェーで全天候型の自動運転実現に向けた実証なども2022年に着手している。

【参考】EasyMileの取り組みについては「欧州初!仏新興企業EasyMile、レベル4自動運転で公道走行許可」も参照。

■Navya(フランス):日本でもARMAでおなじみ
出典:NAVYA公式サイト

2014年設立の仏Navyaは、EasyMile同様自動運転シャトルや自動運転トラクターの開発に力を入れている。自動運転シャトルはこれまでに23カ国で191台が導入されているという。

自動運転シャトルは、これまで主力だった「ARMA」に加え、自動運転能力を強化した「EVO」もラインアップしている。EVOは4,780×2,100×2,670ミリの小型シャトルで、11人が着席、4人が立ち乗りする形で最大15人が乗車できる。1回の充電で9時間走行可能で、最高時速は25キロとなっている。

EVOはシンガポールの国立公園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」や米フロリダ州のLake Nona、UAEのMasdar、ミシガン大学、フランスのスタジアム「parc olympique lyonnais」、スイスの「Ville de Sion」などで導入されている。

一方、ARMAは世界各国で高い導入実績を誇り、日本でもソフトバンクグループのBOLDLYやマクニカなどが積極導入を進めており、なじみが深い。茨城県境町では、公道上の定路線をレベル2状態で運行しているほか、HANEDA INNOVATION CITYでもレベル2・レベル3運行を行っている。

2022年6月には、Navya製品の国内総代理店を務めるマクニカが新たに2台のARMAを購入することが報じられている。マクニカは今後数年間で100台以上のNavyaプラットフォームを導入し、自社が所有するさまざまなテクノロジーと組み合わせて提供する目標を掲げているようだ。

なお、マクニカは南紀白浜エアポートと日本電気とともに、2022年7月から南紀白浜空港の制限エリア内でEVOを使用した実証を行うこととしている。日本での導入も今後まだまだ続きそうだ。

【参考】Navyaの取り組みについては「「サービス売上」の伸び鮮明!自動運転シャトルの仏NAVYA、前年比23%増」も参照。

■【まとめ】開発競争はいっそう激化 業界地図の更新続く

ここで挙げた12社以外にも、自動車メーカーやスタートアップなど有力企業の名前を挙げればキリがないほど開発競争は過熱している。

頭一つ抜け出していたWaymoを、Baiduをはじめとした中国勢が猛追し、Cruiseなど各企業も追い付いてきた。こうした開発競争は今後さらに激化し、業界地図をどんどん塗り替えていくことが予想される。引き続き各社の動向に注目だ。

【参考】関連記事としては「自動運転業界のスタートアップ一覧」も参照。

■関連FAQ
    自動運転で進んでいるアメリカ企業は?

    WaymoやCruise、Mobileye、Nuroなどが挙げられる。WaymoはGoogle系、CruiseはGM傘下、MobileyeはIntel傘下、Nuroは独立系のスタートアップでソフトバンクグループなどが投資している。

    自動運転で進んでいる中国企業は?

    最も目立つ存在と言えるのが、検索大手の百度(Baidu)だ。すでに少なくとも中国の7都市で自動運転タクシーのサービス実証を進めており、北京などにおいては「運転席無人」によるサービスも開始している。そのほか、WeRideやPony.aiなどの新興勢にも注目したいところだ。

    自動運転で進んでいる日本企業は?

    技術の開発の方向性は異なるが、ホンダとトヨタに注目したい。ホンダは自動運転レベル3の技術を搭載した市販車をすでに発売している。一方でトヨタは実サービスではまだ使われていないが、MaaS専用の自動運転EV「e-Palette」を開発し、東京五輪の選手村で導入された実績がある。自動運転OS(基本ソフト)の開発では、名古屋大学発スタートアップのティアフォーにも注目だ。

    自動運転シャトルで進んでいる企業は?

    自動運転シャトルを開発している企業としては、日本のトヨタ自動車も挙げられるが、フランス企業の台頭が目立つ。Easy MileとNavyaだ。両社とも独立系のベンチャー企業で、ともにすでに自動運転シャトルの完成車を展開している。NavyaのARMAは日本の道の駅などを拠点とした移動サービスでも展開されており、国内での知名度が高まっている。

    自動運転タクシーで最も進んでいる企業は?

    世界で初めて自動運転タクシーを商用展開した企業は、Google系Waymoだ。2018年12月にサービスを開始し、現在はアリゾナ州とカリフォルニア州で事業を展開している。アメリカ国内ではWaymoに続き、GM傘下のCruiseが商用サービスを開始した。中国では百度の存在感が高く、日本国内ではZMPや日産などによる実証実験の事例がある。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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