Nuroの年表!自動運転配送ロボットを開発、トヨタが出資

配送パートナー6社に増加、商用プログラム進展



出典:背景画像はNuro公式サイト/公式ブログより

自動運転配送の実現に向け開発を進める米スタートアップのNuro(ニューロ)。米当局の規制をクリアし、着実にパートナーの輪を広げサービス実証を拡大するなど、目覚ましい躍進を遂げている。

この記事では、Nuroのこれまでの軌跡を年代順に追っていく。







■Nuroの概要

Nuroは2016年、現社長のデイブ・ファーガソン氏と現CEOを務めるジアジュン・ジウ氏を中心に米シリコンバレーで設立された。ファーガソン氏はカーネギーメロン大学出身で、スイス連邦工科大学を経て母校のロボティクス研究所へ。ロボット工学やコンピュータービジョン、機械学習な幅広い研究を行っていたようだ。

2007年に同大チームの一員として国防高等研究計画局(DARPA)主催の自動運転技術を競う大会「DARPAアーバンチャレンジ(DARPAグランドチャレンジ)」に出場し、優勝している。優勝チームには、Argo AI創業者のブライアン・サレスキー氏や、Aurora Innovation創業者のクリス・アームソン氏など、現在の自動運転業界をリードするメンバーが名を連ねている。

その後、インテルリサーチなどを経て2011年にグーグルに入社し、自動運転開発プロジェクトでコンピュータービジョンや機械学習などのチームを主導した。

一方、ジウ氏もグーグルの自動運転プロジェクトで主要なソフトウェアエンジニアとして活躍しており、2016年にグーグルを共に退社し、Nuroを創業した。

現在800人超の社員を抱える規模に膨れ上がり、シリコンバレー、スコッツデール、ヒューストンに拠点を構えている。

出典:Nuro公式ブログ
■2017年6月:資金調達Aラウンドで9200万ドル調達

Nuroは創業間もない2016年に中国で最初の資金調達を行い、100万元(約1,700万円)を獲得した後、2017年6月までに米国で資金調達Aラウンドを完了し、計9,200万ドル(約100億円)を調達した。

■2018年1月:オリジナルの自動運転初号機「R1」発表

Nuroは2018年1月、自社開発した自動運転車の第1弾「R1」を発表した。車両重量680キロで、ボディサイズは高さ1.8メートルを確保しているが、車幅は1メートル強ほどと小柄で、軽自動車を一回り、二回り小さくしたサイズ感。最高速度は時速40キロほどとなっている。

配送向けの自動運転車は、歩道を走行する自動走行ロボットと自動運転タクシーなどを活用した乗用車タイプの開発が主流だが、その間を取るような形で実用性を高めた印象だ。

モノの配送に特化しているため運転席はもとより座席などを備えておらず、車内空間を有効活用できる。小柄なため駐停車時も邪魔になりにくく、小回りが利くのも売りとなる。何より、わざと小さくすることで車外の歩行者の安全性を確保する狙いがあるようだ。

■2018年6月:Krogerと提携、配送実証へ

Nuroと米スーパーマーケット大手のKroger(クローガー)は2018年6月、自動運転車を活用した食料品配送に向けパートナーシップを締結したと発表した。

同年8月には、第1弾となるパイロットプログラムをアリゾナ州スコッツデールで開始した。当初はトヨタ・プリウスを改造した自動運転車を使用し、セーフティドライバー同乗のもとサービスを提供していた。配送料金は5.95ドル(約700円)と設定している。

配送回数が1,000回に達した同年12月には、プリウスのフリートにR1を加え、無人配送にも着手している。当初は、無人のR1を乗用車で追跡して監視し、安全確保しながら実証を進めていたようだ。

2019年4月には、アリゾナ州に加えテキサス州ヒューストンにもサービスを拡大するなど、無人配送の確立に向けた両社の取り組みは着々と前進しているようだ。

■2019年2月:ビジョン・ファンドが9.4億ドルを出資

Nuroは2019年2月、資金調達Bラウンドでソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)から9億4,000万ドル(約1,000億円)の投資を受けたことが各メディアで報じられた。

SVFは2020年11月の総額5億ドル(約550億円)のCラウンドにも参加しており、Nuroの筆頭株主となっている模様だ。

■2019年6月:Domino’s Pizzaと無人配送実現に向け提携

Nuroは2019年6月、無人配送サービスの実現に向け宅配ピザ大手のDomino’s Pizza(ドミノ・ピザ)と提携すると発表した。同年後半に新型となる「R2」を導入し、ヒューストンでサービスを開始する計画としている。

注文者がオンラインで注文した際、Nuroの車両が使用可能であれば選択でき、PINコードでドアロックを解除して商品を受け取ることができる。アプリで車両の追跡も可能だ。

どのタイミングで実際にサービスインしたかは不明だが、2021年4月に両社は改めて「R2」による無人配送を開始したと発表している。

基本的には、プリウスを活用して周辺のマッピングや走行実証を進め、安全を確保してからR2を導入する流れとなるようだ。

■2019年12月:Walmartと提携、ヒューストンで無人配送へ

Nuroは2019年12月、米スーパーマーケット大手のWalmart(ウォルマート)との提携を発表した。同社の配達網に自動運転技術を導入していく狙いで、ヒューストンでパイロットプラグロムを開始する予定としている。

■2020年2月:R2が道路交通安全局から規制免除を取得

Nuroは2020年2月、R2が米国運輸省(DOT)と米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)から保安基準に関わる規制免除を受けたと発表した。

従来の基準では、乗用車やトラックなどを前提に車両に搭載すべき装備品などが規定されているが、無人走行前提のR2は、アクセルなどの運転装備をはじめ、ミラーやフロントガラスなども備えておらず、保安基準外となっていた。このため、NuroはR2の規制免除を申請していた。

その結果、NHTSAらはR2の安全性や機動性を認め、例外として規制を免除する決定を発出した。

なお、R2はLiDARと360度カメラ、赤外線カメラ、短距離・長距離レーダー、超音波ソナー、緊急車両の音声検出センサーなどを備え、安全性を確保している。ボディサイズは全長2.74×車幅1.10×車高1.86メートルで、重量は1,100キロ。最高時速25マイル(約40キロ)で、22.38立方フィート(約630リットル)の容量に最大190キロの荷物を載せることができる。

【参考】R2の規制免除については「米Nuroの低速自動運転デリバリー専用車に、初の公道走行許可」も参照。

■2020年4月:カリフォルニア州で無人走行許可取得

Nuroは2020年4月、カリフォルニア州車両管理局(DMV)からドライバーレスでの公道走行を認める許可を受けたことを発表した。同州ではWaymoに次ぐ許可だ。

この許可により、NuroはR2の公道走行が可能になった。公道実証を加速させ、州全体でサービスできるよう取り組みを加速していく方針だ。

▼自動運転車両走行テスト許可取得企業一覧|米カリフォルニア州車両管理局(DMV)
https://www.dmv.ca.gov/portal/vehicle-industry-services/autonomous-vehicles/autonomous-vehicle-testing-permit-holders/

■2020年5月:コロナ禍でコンタクトレス配送を実現

新型コロナウイルスが蔓延する中、Nuroは米薬局チェーン大手のCVS Pharmacyとの提携を発表し、コンタクトレス(非接触)が望まれる中、無人配送車両を活用して処方箋や日用品などを配送する取り組みをヒューストンでスタートした。

また、Nuroはコロナ対策への支援として、アリーナやイベントホールを応急措置として改装した患者収容施設や治療施設などにR2を導入し、必要物資の運搬などを行ったという。

こうしたコンタクトレスの流れはNuroのビジネスを加速させているようで、海外メディアの報道によると、Nuroのビジネスは短期間で300%拡大したようだ。

【参考】CVS Pharmacyとの提携については「自動運転、進む医療領域での活用!米Nuroが処方薬の配送開始」も参照。

■2020年12月:カリフォルニア州で自動運転商用許可を取得

Nuroは2020年12月、カリフォルニア州車両管理局から自動運転車の商業展開を可能にする許可を取得したと発表した。許可対象には、自動運転仕様のプリウスをはじめ、R2も含まれる。

この1年間でR2の規制免除や公道走行ライセンスの取得、そして商用許可を得ることとなり、自動運転サービス実用化に向け充実した1年となったようだ。

【参考】カリフォルニア州における商用許可については「自動運転車での商用デリバリー、米Nuroがカリフォルニアで認可を初取得!」も参照。

■2020年12月:スタートアップのIkeを買収

Nuroは2020年12月、自動運転トラックの開発を手掛けるIke(アイク)を買収すると発表した。新たな専門知識のもと開発体制を強化し、自社技術で実現可能なアプリケーションの範囲を拡大していく方針だ。

Nuro創業者のファーガソン氏とIke創業メンバーのユル・バンデンバーグ氏は学生来の知人で、Ikeが創業した2018年に早々にパートナーシップを結び、技術のライセンス供与などを行っていた。

この買収により、ミドルマイルを担う自動運転トラック分野への進出なども考えられそうだ。

■2021年3月:トヨタ系Woven Capitalからの出資が明らかに

トヨタグループで先進技術の研究開発を手掛けるウーブン・プラネット・ホールディングスは2021年3月、投資ファンド「Woven Capital(ウーブン・キャピタル)」の第1号案件としてNuroに出資すると発表した。Nuroの資金調達Cラウンドの一部になるという。

ウーブンはNuroについて「自動運転を用いた地域配送の分野におけるリーダー。最先端技術および米大手ブランドとの強固なパートナーシップによって、日常の買い物体験をより安全かつ効率的で、新しい革新的なものに変えようとしている」と評価し、Nuroのビジネスは、ウーブンが目指す「Safe Mobility for All」にも合致していることから投資を決定したとしている。

【参考】ウーブン・キャピタルからの投資については「トヨタのWoven Capital、第1号投資案件はNuro!自動配送ロボット開発の米スタートアップ」も参照。

■2021年3月:Chipotleから出資、配送パートナーにも

米国や欧州などでレストランチェーンを展開するChipotle(チポトレ)は2021年3月、Nuroの資金調達Cラウンドに参加したことを発表した。

合わせて戦略的パートナーシップを結んでいる。デジタルエコシステムの拡大を図るChipotleの事業に自動運転テクノロジーを活用していく内容のようだ。

■2021年6月:FedExと提携、ロジスティクス分野にも進出

Nuroは2021年6月、自動配送によるラストワンマイル物流の推進に向け、物流大手の米FedEx(フェデックス)と提携したことを発表した。Nuroにとって6社目のパートナーで、小荷物配送事業への参入は初めてとなる。

両社は同年4月にヒューストンでパイロットプログラムに着手しており、マルチストップ配送やアポイントメントベースの配送など、公道を走る自動運転車の多様な使用事例を検証している。詳細は不明だが、複数段階の長期契約となっており、ロジスティクスの領域でどのように自動運転技術を活用可能か多方面から研究していく方針のようだ。

■【まとめ】商用プログラムは今後も拡大、世界展開に要注目

NHTSAによる規制免除やカリフォルニア州における公道走行・商用利用ライセンスの取得などを弾みに、R2実用化に向けた取り組みは今後も勢いを増していきそうだ。

ラストマイル分野では小型の配送ロボットが開発の主流となりつつあるが、面積の広い米国ではR2のような車道走行タイプも欠かせず、大きな需要が見込まれる。

一方、SVFやウーブンを通じた日本との接点にも注目だ。法規制の整備とともにR2が国内に導入される可能性も考えられる。MONET Technologiesを介した取り組みや、Woven Cityでの実証なども考えられる。

米国内における取り組みの進展とともに、こうした世界展開にも今後注目しておきたいところだ。

▼Nuro公式サイト
https://www.nuro.ai/
▼Nuro公式ブログ
https://medium.com/nuro

※自動運転関連企業の取り組みを年表化した記事は、「タグ:年表」よりまとめて閲覧頂けます。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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