世界各国のコンビニに自動運転の波が押し寄せているようだ。韓国のセブンイレブンと米国のセブンイレブンがそれぞれスタートアップと手を組み、自動配送ロボットを活用した宅配サービス実証に乗り出した。
記事の目次
■韓国セブンイレブンの取り組み
コリアセブンとNeubilityがソウル市内で配送デモ
韓国では、自動走行ロボットの開発を手掛ける2017年設立のスタートアップNeubilityが取り組みを本格化させている。LiDARを使用せず、カメラベースのセンサーシステムで自律走行を実現することで開発コストを下げ、競争力の高いロボットの商用化を目指している。
実証段階にあるロボット「NEUBIE」は、56×67×70センチのボックス型で、最高時速7.2キロ。最大25キロの荷物を搭載できる。カメラやミリ波レーダー、超音波センサーなどを10個以上搭載し、リアルタイムの道路状況などを認知・予測することで人口密集度が高い都心などでの走行も可能にしている。
実証にあたっては、韓国でセブンイレブンを展開するコリアセブン(ロッテグループ)と自動走行ロボットサービスの導入と商用化に向け、2021年8月に提携を交わした。
同社代表のイ・サンミン氏は「国内リテール業界では初となるラストマイルロボット配送の実証で、商用化の起爆剤になる」と話す。一方、コリアセブン代表のチェ・ギョンホ氏も「デジタル化プロジェクトの最適なパートナーとして、コンビニの次世代配送サービスモデルを構築していく。加盟店の運営便宜と収益を増大していくだろう」と期待を寄せている。
同年9月には、科学技術情報通信部から実証に向けた特例適用が認められたことを発表した。同国では、道路交通法や個人情報保護法などの規制により自動走行ロボットの公道走行は困難だったが、特例により安全確保措置のもと実施できるようになった。
特例期間は2021年10月から2023年10月までの2年間で、仁川松島、ソウル江南、汝矣島、益善洞一帯が対象エリアとなる。
11月にソウル瑞草洞セブンイレブン瑞草アイパーク店で配送デモを行い、100メートルほどの距離にある住宅まで商品を届けた。移動には3分余りを要したようだ。仁川松島では500メートル圏を配送エリアとして想定しており、1件当たり15分と見積もっているようだ。
月額5万円弱でレンタルも構想
ちなみにNEUBIEの生産単価は現在1台当たり500万ウォン(約48万円)ほどで、量産体制が整えばさらに低下するとしている。ビジネスモデルとしては、月額50万ウォン(約4万8,000円)ほどのレンタルや、配送1件当たり2,000ウォン(約190円)ほどの手数料を受けるモデルを構想中という。
▼Neubility公式サイト
https://www.neubility.co.kr/
■米国セブンイレブンの取り組み
7-ElevenとNuroがカリフォルニア州でサービス実証開始
米国では、セブン&アイ・ホールディングス傘下の米国法人7-Elevenと、車道を走行するタイプの自動走行ロボット開発を手掛ける米Nuroが2021年12月、カリフォルニア州マウンテンビューでサービス実証に着手すると発表した。
サービスエリア内の利用者が、スマートフォンから注文可能なネットコンビニサービス「7NOW」を介して注文すると、Nuroの無人配送ロボット「R2」が商品を配送する仕組みだ。
当初はセーフティドライバー同乗のもと自動運転化したプリウスで配送し、経験を積み重ねた後R2を導入していく。
▼Nuro公式サイト
https://www.nuro.ai/
■日本国内のコンビニも実証実験を本格化へ?
日本でも自動配送ロボットの屋外実証環境は整ったため、海外での導入・実証事例を参考にセブン‐イレブン・ジャパンをはじめとしたコンビニ各社が屋外型の実証に本格的に着手する可能性は十分考えられる。
ロボット開発勢も厚みを増しており、実証意欲も盛んだ。2022年中に新たな取り組みが開始されることに期待したい。
【参考】関連記事としては「Nuroの年表!自動運転配送ロボットを開発、トヨタが出資」も参照。