米国経済では現在、インフレ加速やドル高によるグローバル企業の収益圧迫などにより、景気後退が現実味を増し、テック系の大手企業を中心に大量解雇の波が押し寄せている。
Facebookなどを運営するMetaは、業績不振などを理由に1万人以上の大量解雇を発表した他、AmazonやTwitterでも従業員の大量解雇が話題となっている。
その波は、GAFAM(Googleを運営するAlphabet、Amazon、Meta、Apple、Microsoft)といった巨大IT企業だけにはとどまらず、米シリコンバレーのテック企業も例外ではない。自動運転配送ロボの開発で存在感が強いスタートアップ企業Nuro(ニューロ)もだ。
■目覚ましい飛躍を遂げているNuro
Nuroが従業員の20%をレイオフ(一時解雇)することが、このほど明らかになった。Nuroと言えば、自動運転業界の中で最も時価総額が高いユニコーン(企業価値10億ドル以上の非上場企業)だ。
【参考】関連記事としては「時価総額1兆円超!自動運転ユニコーン、評価額世界No.1は?」も参照。
共同創業者らが2022年11月18日に従業員に送ったメールの中で「過去1年間での急速な人員採用は間違いだった」とし、「チームメンバーの解雇は常に最終手段ではあったが、残念ながら他の選択肢を使い果たしたため、必要になった」と伝えたという。
Nuroは、米投資ファンドのタイガー・グローバル・マネジメントやアルファベット、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、トヨタ系のウーブン・キャピタルなど大手企業から資金調達し、その評価額は86億ドル(約1兆2,000億円)に上る。豊富な資本力により2021〜2022年にかけ急成長を遂げ、世界有数の自動配送ロボットベンチャーとしてその名が知られている。
しかし、ここ最近の米国における景気後退やエネルギー危機などといった流れを受け、コスト削減を余儀なくされ、人員削減に踏み切ったという。
■レイオフは従業員約300人が対象だが・・・
現社長のデイブ・ファーガソン氏と現CEO(最高経営責任者)のジアジュン・ジウ氏は「資金調達環境が順調に推移すると想定し、2年足らずでチーム規模を倍増させ、営業費用を大幅に増加させた」としている。
今回のレイオフは約300人の従業員対象となり、解雇された従業員には3カ月分の退職金とその他の手当が支払われるようだ。ただし、今回レイオフが発表されたからといって、自動運転市場の将来が暗いというわけでは一切ない。
大手企業などが従業員の解雇で利益の確保に躍起になる中、Nuroに対する投資家やファンドからの圧力(※実際には無言の圧力かもしれない)は相当なはずだ。本当は技術者を減らしたくないが、今はじっと米国経済の流れに任せるべき・・・。Nuroの経営者はそう判断したのかもしれない。
【参考】関連記事としては「ついにUber Eatsが自動運転配送!配送車開発のNuroと契約」も参照。