ついに!トヨタWoven City、「住民募集」の説明会開催

まず関係者対象、一般は来年度以降



トヨタが発表したWoven City計画=出典:トヨタプレスリリース

今秋オープン予定のWoven Cityが、「Weavers=住民」の受け入れに向けいよいよ動き出したようだ。関係者を対象に、説明会や体験会、実生活テストが着々と進められている。

オープン時の住人はトヨタ関係者とその家族に限定される予定だが、その後実証参加者や一般に門戸を広げていく計画だ。


徐々に盛り上がりを見せ始めているWoven Cityの最新動向に迫る。

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■Woven Cityにおける住人

トヨタ関係者向けに住民募集説明会を実施

トヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」によると、ウーブン・バイ・トヨタは2025年5月、町の周辺で働くトヨタ関係者向けに住民募集説明会を開催したという。

▼合言葉は「Weavers Are the Heart of Woven City」 住民受入の準備着々|トヨタイムズ
https://toyotatimes.jp/series/welcome_to_woven_city/006.html

会場は、Woven Cityの向かいに位置するトヨタ自動車東日本の富士裾野テクニカルセンター(旧称:東富士総合センター)だ。会議室のような重々しい雰囲気ではなく、人工芝を敷いたリラックスできる空間を設えた。


Woven Cityの体験会場には、ウェルカムセンターに設置された入場ゲートの模型や、道路になぞらえた動線、ロボットとのすれ違い体験、VRによるまちの散策など、Woven Cityを想起できるようUX(ユーザーエクスペリエンス)面を重視したさまざまな仕掛けが施されているようだ。

トヨタの関係者向けとは言え、移り住むのは基本的に家族単位となる。Woven Cityを熟知した関係者本人以外にも、パートナーや子どももWoven Cityの一員となるのだ。そうした人たちにもWoven Cityに興味を持ってもらい、理念を理解したうえで住民になってもらえるよう色々と工夫しているようだ。

住人もビジョンを共有できる仲間に

Woven Cityでは、住民やビジターを「Weavers(ウィーバーズ)」と呼ぶ。ただそこに住んで生活するだけではなく、理念を共有しながらWoven Cityで行われる数々の実証に前向きに参加することが求められる。そこから得られるフィードバックを重視しているためだ。

そのため、ウーブン・バイ・トヨタは「Weavers Are the Heart of Woven City(ウィーバーズはウーブン・シティに欠かせない存在)」を合言葉に据え、「Weaversはお客様ではなく、未来のモビリティをつくっていく仲間」と位置付けている。


ウィーバーズはWoven Cityで生活する中において、さまざまな取り組みを行うインベンターズのプロダクトやサービスのアイデアを試したり、それぞれの多様な視点からフィードバックを行ったりするなど、さまざまな形で実証へ参加する。Woven Cityで発生するイノベーションを間近で体験できるのがウィーバーズだ。

しかし、ウィーバーズが義務的・機械的に実証に参加するのでは生きたフィードバックは得られない。未来に向けたビジョンを共有し、好奇心や関心を持って実証に参加する姿勢が重要なのだ。

その意味で、トヨタ関係者の家族と言えど、事前にWoven Cityの理念を理解してもらい、共感してもらうための工夫に力を入れているのだろう。

2025年5月からはウーブン・バイ・トヨタの従業員とその家族による実生活テストも行っている。Woven Cityに実際に1週間程度生活するテストだ。これまで100人弱が参加し、住民と運営両方の視点で改善点を洗い出しているという。

出典:Woven City公式Facebookページ(https://www.facebook.com/WovenCity.JP/)

フェーズ1は360人規模を想定

ウーブン・バイ・トヨタによると、ウィーバーズとして実証に参加しながらWoven Cityに住む住民は、2025年秋以降のオフィシャルローンチ時点ではトヨタなどの関係者とその家族100人程度を想定しているという。

その後、社外のインベスターやその家族などに少しずつ拡大し、フェーズ1エリアにおいては最終的に約360人が住む。その後のフェーズ2以降も含め将来的には2,000人規模となる予定だ。

ビジター(訪問者)については、まず関係者から受け入れを開始し、2026年度以降に一般にもウィーバーズとして実証に参加してもらうとしている。

フェーズ1においては、トヨタ関係者とインベンターズ関係だけで、360人の約半数かそれ以上が埋まってしまい、一般移住希望者にとっては狭き門となるかもしれない。

トヨタとしても、インベンターズの参加がどれほどの規模となるのか、一般移住希望者からの応募がどれほどあるのか読みづらいところだろう。住居そのものに限りがあるため、フェーズ1において急遽住民を増やすことは困難で、それ故慎重かつ確実に移住を進めていくものと思われる。

試行的要素が強いフェーズ1の反響が大きければ、その後のフェーズ2以降で2000人想定の住民数を増加させる変更が行われる可能性も考えられそうだが、まずは蓋を開けてみないことには何とも言えない。

オフィシャルローンチの時点で実際ウィーバーズの規模はどれほどになるのか。そして、2026年度予定の一般募集段階でどれほどのキャパが残っているのか。今後の動向に注目したい。

トヨタ会長、「言い出しっぺ」自らWoven Cityに移住か?従業員ら360人、秋から入居

■Woven Cityの概要

ビリティカンパニーへの変革を目指す実証舞台

Woven Cityは、トヨタがモビリティカンパニーへの変革を目指す実証の舞台で、モビリティのテストコースに位置付けられている。モビリティの再定義・モビリティの拡張といったテーマを旗印に広く他社と手を組み、さまざまな研究や実証を重ねていく場所だ。運営はウーブン・バイ・トヨタが担う。

静岡県裾野市のトヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地を活用して一から都市づくりを進めている。地上に自動運転モビリティ専用道と歩行者専用道、歩行者とパーソナルモビリティが共存する道の3本を網の目のように織り込み、地下にモノの移動向けの道を造成するなど、独自の発想で道路や街区、建物を構築していく。

最終的には東京ドーム(約4万7,000平方メートル)約15個分に相当する175エーカー=約70.8万平方メートルを開発する計画で、第1期=フェーズ1では、このうちの約5万平方メートルを開拓し、約360人が居住する規模の街区を建設する。

フェーズ1の建設工事はすでに終了しており、2025年秋にオープンする予定だ。

インベンターズには5社が決定

Woven Cityでは、トヨタグループや他企業、スタートアップや研究機関などのInventors(インベンターズ)がモビリティの拡張を目指し、さまざまなプロダクトやサービスを生み出しながら実証を行っていく。

トヨタ関係者とともに、最初の住人となるのがインベンターズだ。インベンターズは、トヨタが長年培ってきたものづくりの知見やソフトウェアスキルなどの強みを生かしたツール・サービスなどの仕組み「Woven Inventor Garage」を活用できる。トヨタのサポートを受けながら、新しいプロダクトやサービスの種を発見したり、自分たちのアイデアを検証したりすることができる。

すでにダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、増進会ホールディングスの5社がインベンターズとしてWoven Cityに参加することが決定している。早くから協議を進めていたENEOSや日本電信電話、リンナイも引き続き検討を進めているという。

また、2025年夏ごろに、スタートアップや起業家、大学・研究機関も参加できるアクセラレータープログラムの募集を開始する予定としている。

このインベンターズが、オープン時点でどれ程の規模になっているかは注目すべきポイントの一つだ。ダイキン工業など各社からどれくらいの人がインベンターズとして参加するのか、そのうち実際にWoven Cityに住む人はどれほどいるのか、その他の企業やアクセラレータープログラムなどによる参加がどれほど増えるのか……など気になるところだ。

【参考】インベンターズについては「トヨタWoven City、自動運転式の「移動カフェ」展開か」も参照。

トヨタWoven City、自動運転式の「移動カフェ」展開か

トヨタ自身はAreneやe-Paletteの開発を推進?

トヨタグループとしては、Woven Cityを活用して具体的に何を行っていくのか。Woven Cityはトヨタがモビリティカンパニーへ変革するためのテストコースで、トヨタとウーブン・バイ・トヨタは単なる移動手段としてのモビリティに留まることなく、ヒト、モノ、情報、エネルギーを動かし、モビリティがヒトや社会のためにできることを増やすことにチャレンジする。

Woven Cityはあくまでヒト中心のまちであり、インベンターズやウィーバーズといったまちに集う人々を中心に据え、モビリティの拡張によってヒトや社会の可能性を広げ、幸せの量産という共通のゴールを目指すとしている。

各インベンターズの取り組みに関わっていくことは当然想定されるが、テーマが大き過ぎるためだろうか、主体的に取り組む部分が漠然としている印象だ。

ウーブン・バイ・トヨタの事業をベースに考えると、従来事業の延長線としてSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)や自動運転開発などがまず浮上してくる。

SDVの軸となるソフトウェアづくりのプラットフォーム「Arene(アリーン)」は、2025年度中の発売が予定されている新型RAV4に搭載され、新たな時代の幕を開ける。ソフトウェア・ファーストの考え方がスタンダードなものへと置き換わっていくのだ。

Areneには常に進化が求められることになるが、その研究開発や実証舞台としてWoven Cityが活用されることはほぼ間違いないものと思われる。

自動運転やADAS領域の研究開発にも、Woven Cityの活用が期待される。Teammate Advanced Driveに代表される高度ADASをはじめ、自動運転サービス専用EV「e-Palette(イー・パレット)」のような自動運転車の実証舞台としてWoven Cityが有効活用されるのだ。

e-PaletteはすでにWoven Cityのティザー画像などに幾度も登場している。中には、飲み物を販売している移動販売車仕様のe-Paletteで、カウンターに「UCC」の文字が確認できるものもある。すでにインベンターズとの取り組みが始まっているのかもしれない。

また、トヨタイムズの記事には、e-Paletteが横断歩道付きの信号機と連動して走行する様子が収められたものもある。一般車道と同様の道路仕様が敷設されており、e-Paletteが信号に近づくと車道側の信号が赤から青に変わり、e-Paletteは減速することなく交差点を通過できる仕様だ。

自動運転システムそのものではないものの、少なからずインフラ協調システムに関する実証はすでに始まっているようだ。今後、トヨタ単独、そして他社を交える形でのe-Paletteを活用した取り組みが大きく進展していくことになりそうだ。

【参考】Woven Cityにおけるe-Paletteについては「トヨタが「車両連動型の信号機」開発!通信で「青」を強制」も参照。

トヨタが「車両連動型の信号機」開発!通信で「青」を強制

投資先企業の動向にも注目

今後、Woven Capitalの投資先がインベンターズとしてWoven Cityに関わってくるのか――といった観点も興味深い。

Woven Capitalは、モビリティ分野におけるテクノロジーやイノベーションを生み出すグロースステージ企業に投資するファンドだ。

これまでに、中型の自動配送ロボットをはじめとする自動運転ソリューションを開発するNuroをはじめ、IoT主導型自動化・モビリティプラットフォーム開発を手掛けるRidecell、リアルタイムの複合輸送可視化を実現するShippeo、自動運転を含む短距離移動車両開発を進めるWHILL、完全自動化車両検査システムを開発するUVeye、自動運転システムやADAS向けの安全性の検証・妥当性確認ソリューションを提供するForetellix、軽量薄膜太陽電池技術開発を行う京都大学発のEneCoat Technologies、仮想センサーを用いてAIベースの車両インサイトを生成するソフトウェア開発を担うCOMPREDICTなど、ポートフォリオには15社が名を連ねる。

各社が直接、あるいはその技術を持ち寄り、Woven Cityにおける実証で活躍する場面も出てくるのではないだろうか。

■【まとめ】注目ポイント盛りだくさん

秋のオープンに向け、水面下で着々と取り組みが進められているようだ。今後、新たな実証パートナーが登場するのか、どのような研究開発が行われるのかなど注目ポイントは山ほどあるが、「都市」として実際にどのような生活を送ることができるのか……など、まだまだ未知な部分も多い。

秋までにどのような情報が公開されるのか。引き続きWoven Cityの動向に注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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