米国勢、「初の自動運転レベル3」をメルセデスに奪われる展開

米国向け車両に「DRIVE PILOT」搭載へ



出典:メルセデス・ベンツ・プレスリリース

独ダイムラーの高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」は、米国で展開している車両に「自動運転レベル3」の機能を追加する。

2023年1月6〜8日に米ラスベガスで開催された技術見本市「CES 2023」で発表されたもので、自動運転レベル3の有料オプション「DRIVE PILOT」と自動車線変更システム「ALC(Automatic Lane Change)」を米国の車両に搭載する計画だという。


すでにネバダ州とカリフォルニア州で自動運転レベル3による走行許可申請を出しており、認可されれば米国初の自動運転レベル3搭載の市販車となる。GMやフォード、テスラなどの米国の自動車メーカーにとっては、レベル3の市販車の展開で先を越されることになりそうだ。

■「DRIVE PILOT」とはどんな技術か?

DRIVE PILOTは、2022年5月にドイツで発売が開始された自動運転レベル3の運転支援システムだ。「Sクラス」やSクラスのEV版「EQS」に搭載可能な有料オプションとなっている。どんな技術なのか。

渋滞時など時速60キロ以下における一定条件下で、ドライバーはシステムに運転操作を委ねることができる。ドライバーはDRIVE PILOT作動時であればハンドルから手を離し、スマホを操作したり映画を観たりすることができる。作動条件から外れる場合は、ドライバーによる操作が必要になる。

万が一、予期しない交通状況においてもシステムが運転操作を判断して危険回避を行う。ドライバーが10秒以内に引き継ぎ要求に応じない場合には、「ミニマム・リスク・マヌーバー(MRM)」技術により、自車と後続車などの安全に問題が起きないルート・場所で安全に停止する。



■ネバダ州で2週間以内に認可か

米国では州によってルールが異なるために、州ごとに申請を出す必要がある。報道によれば、メルセデス・ベンツは「ネバダ州の車両管理局(DMV)は、我々の申請を2週間以内に承認するだろう」といった予測を展開している。

ネバダ州で許可が下りればそれが前例となり、カリフォルニア州における認可も早まる可能性も出てくる。今後の展開に注目したい。

【参考】関連記事としては「自動運転、2社目の「レベル3提供」はメルセデスベンツ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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