自動運転シャトル、e-Palette、Origin、ARMAの国内バトル勃発へ

ホンダが「Origin」の導入視野、先行するARMA



左:e-Palette=出典:トヨタプレスリリース/中央:CruiseのOrigin=出典:Cruise公式サイト/右:ARMA=出典:Navya公式サイト

ホンダは2021年1月20日、米Cruise(クルーズ)・GMと日本における自動運転モビリティサービス事業に向けた協業を行うことに合意したと発表した。

GM・Boltをベースにした試験車両を活用し、日本国内で2021年中に技術実証を開始する予定で、将来的には3社共同で開発している「Cruise Origin(クルーズ・オリジン)」を活用した事業展開を目指す方針だ。







小規模輸送を可能にする自動運転シャトルは、国内ではBOLDLYらが仏NAVYA製「ARMA」の実用化を進めているほか、トヨタが開発を進める「e-Palette」なども近い将来社会実装される見込みだ。

この記事では、自動運転シャトルとして活用可能な開発車両を紹介していく。

■ホンダ・GM陣営「Cruise Origin」:将来的に国内での事業展開目指す
出典:Cruise公式サイト

GM傘下のクルーズが2020年1月に発表した移動サービス用の量産モデルで、GM、ホンダと共同開発した。ステアリングホイールやアクセルなどのペダル、バックミラーといった装備を排すなど、ドライバーレスの自動運転を前提としている。

ボディサイズは一般的なSUV並みで車内は6人乗り仕様となっており、タクシーやライドシェアサービス向けの作りとなっているが、ゆったりとしたスペースを確保しているためシャトルサービスにも向いていそうだ。

ホンダとGMはパワートレインの供給や燃料電池システムの開発などで早くから協業しており、2018年にはクルーズも含め3社で無人ライドシェアサービス専用車の共同開発を行い、資本業務提携を交わすことを発表した。この際、無人ライドシェアサービス事業のグローバル展開の可能性も視野に入れ協業していくこととしている。

今回の取り組みはこの協業に基づくもので、まずクルーズの試験車両で国内実証を進め、クルーズ・オリジンの将来的な導入に結び付けていく構えだ。事業運営は、2020年2月に設立したホンダモビリティソリューションズが担う予定としている。

ソフトバンクの動向にも注視

クルーズに対してはソフトバンクも出資している。国内展開を巡り、ホンダとの協業、あるいは独自展開を進める可能性もありそうだ。

【参考】クルーズの資金調達については「自動運転企業のGMクルーズ、新たに11.5億ドルを資金調達」も参照。

■トヨタ「e-Palette」:多目的利用を可能にするe-Paletteも着実に進化
出典:トヨタプレスリリース

トヨタが2018年に発表したe-Palette(イー・パレット)も、実用化に向け着々と進化を遂げているようだ。MaaS専用の自動運転EV(電気自動車)として多方面での活躍が見込まれており、その中にはシャトルサービスも含まれる。

低床・箱型デザインで広々とした室内空間を確保しており、使用用途・荷室ユニット数に応じて全長が異なる計3サイズの開発を予定している。東京五輪仕様のモデルは、全長5,255×全幅2,065×全高2,760ミリで、オペレーターを含む20人乗りとなっている。

同モデルは航続距離約150キロ、最高速度19キロで、特定の敷地内における近距離移動を想定した仕様となっているが、搭載する自動運転システムやバッテリーの増量などにより、仕様は変更可能と思われる。

イー・パレットはトヨタ独自の自動運転システム「ガーディアン」を搭載するほか、他社の自動運転システムを搭載し、ガーディアンをフェールセーフとして扱うことも可能にするなど、冗長性のある構成が特徴となっている。

2020年12月の最新発表では、イー・パレットを効率的に配車するシステム「AMMS」や車両やスタッフの異常を可視化する「e-TAP」といった新たな運行管理システムを発表するなど、実用化に向けた開発進捗状況を公表している。

2021年実証開始に期待

イー・パレットは、1年延期となった東京五輪での活用が見込まれるほか、2021年2月に着工予定の実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」での運行も計画されている。

2021年に実証に着手する可能性が高く、今後の動向に要注目だ。

■NAVYA「ARMA」:世界随一の実績、日本でも公道路線バスなどで実用化
出典:Navya公式サイト

仏NAVYAが開発した「ARMA」は、自動運転シャトルバスとして世界随一の高い実績を誇る。すでに世界20カ国以上で実用化や実証に用いられており、日本国内でもソフトバンク系BOLDLYやマクニカなどが各地で実証・実用化を進めている。

羽田空港に隣接する大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」で2020年9月から定常運行しているほか、同11月には茨城県境町で路線バスとしての運行を開始している。自治体が自動運転バスを公道で実用化する国内初の事例として高い注目を集めている。

ボディサイズは全長4,750×全幅2,110×全高2,640ミリで、最大定員15人(公道走行時は11人)、平均稼働時間9時間(約200キロ)、最高速度25キロとなっている。

【参考】ARMAについては「NAVYA社の自動運転バス「ARMA」、誰でも操作できる?」も参照。

新型「EVO」もリリース

NAVYAは2020年、新たな自動運転シャトルバス「EVO」をリリースしている。ボディサイズなどはARMAとほぼ同様だが、私有地などの限定エリアにおいてオペレーターの同乗なしで完全無人の走行を可能にしている。

マクニカが2021年1月にEVOの取り扱いを開始しており、国内における実証や導入も時間の問題となりそうだ。

■その他の有力候補
DeNAが導入するEasyMileの「EZ10」

国内では、DeNAが2016~2017年にかけ、仏EasyMile製のロボットシャトル「EZ10」で実証やデモンストレーションを行っているほか、道の駅を拠点とした国の自動運転実証実験においても活用されている。

NAVYAのARMA同様EZ10も世界中で導入されている実績豊富な車両のため、国内でも改めて導入を検討する動きが出てきてもおかしくなさそうだ。

自動運転バスの開発を手掛ける先進モビリティ

自動運転バスの開発を手掛ける先進モビリティも、国内開発勢の中では有力候補に挙がる。国の実証事業への採用実績が豊富で、既存の小型・中型バスなどを自動運転車に改造する技術を有しており、自動運転技術の普及に向け損害保険ジャパンと三菱オートリースとともに自動運転車の導入を支援するソリューションも提供している。

スマートシティに向け積極的に取り組む千葉県柏市のプロジェクトでも活用されており、今後の展開に注目したい。

【参考】先進モビリティの取り組みについては「「自動運転車の導入支援」をパッケージ化!先進モビリティや損害保険ジャパン」も参照。

May Mobilityも国内実証に導入

トヨタのベンチャーキャピタルファンド「Toyota AI Ventures」や未来創生2号ファンドが出資している米May Mobilityの開発車両も、2021年中に国内実証で導入される予定だ。

東広島市、広島大学、イズミ、MONET Technologiesは2021年2月から自動運転車で小売りMaaSを実現するプロジェクトを開始することとしており、この中で、May Mobilityが開発した車両を活用し、広島大学の東広島キャンパス内で定路線の自動運転シャトルを運行する計画だ。

■【まとめ】ARMAをイー・パレットやクルーズ・オリジンが猛追?

自動運転シャトルの実用化においては、採用実績の高いARMAを今後イー・パレットやクルーズ・オリジンなどが追いかける展開となりそうだ。

また、自動運転シャトルの実用化において、特に公道は小型タイプのものから実証を重ねるケースが多い。その意味では、ティアフォーなどが開発する乗用車タイプの自動運転車がシャトルサービスに導入される可能性も十分考えられる。

タクシーに比べシャトルサービスは基本的に定路線を走行するため、実用化に向けたハードルも下がる。実証と実用化が加速する自動運転サービスにおいて、今後の動向に要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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