自動運転の覇権争いは三つ巴…各陣営の企業まとめ 提携・アライアンスの現状は?

袂を分かつメーカー上位3社





ルノー・日産・三菱アライアンスが米グーグルの自動運転開発部門・ウェイモと協業に向けた話し合いを進めている旨の報が流れている。自動運転タクシーの実現など自動運転分野で存在感を増すウェイモと、自動車販売台数世界2位を誇る自動車連合が手を組むことで、業界の地図が大きく更新されることになる。







両社の協業が実現すれば、自動運転分野はウェイモを中心としたグループ、トヨタ・ソフトバンクを中心としたグループ、独フォルクスワーゲン(VW)・米インテルを中心としたグループの3つのグループに再編され、拮抗した三つ巴の覇権争いが繰り広げられることになる。

今回は上記協業を前提に、自動運転業界がどのように再編されるかといった観点から各グループの取り組みに迫ってみる。

■グーグル陣営(グーグル、ウェイモ、ジャガー、FCA、日産?、ルノー?、三菱自動車?)
グーグルの自動運転事業の始まり

2009年ごろに自動運転開発に着手したグーグル。自らハンドルやアクセル・ブレーキのないオリジナルの自動運転車を作り上げて公道走行試験を繰り返し、2016年には開発部門を分社化してウェイモを立ち上げ、正式な事業として新たなスタート切った。

FCAとジャガーと提携

ウェイモは2016年5月、FCAと自動運転開発に向け協業を進める提携を交わし、FCAはウェイモの自動運転技術を導入するための専用車両を設計・開発し、まず約100台を提供している。その後、2018年3月にジャガー・ランドローバー、6月までにフィアット・クライスラー(FCA)とそれぞれ提携し、合わせて8万台余りの車両を購入する方針が発表されている。

2018年12月には自動運転レベル4相当の技術を搭載した自動運転タクシーを実用化するなど、自動運転分野で他社の一歩先を歩んでおり、2019年1月には、完成車メーカーから購入した自動車を、自社の自動運転技術を搭載した商用車に改造する工場建設を発表している。

また、FCAとの提携では、FCAの一般顧客向けの車両にウェイモの自動運転技術を活用する協議も進められており、ウェイモは商用車サービスのほか自動運転技術そのものを製品化し、今後プラットフォーマー的役割を強めていく可能性がある。

ルノー・日産・三菱アライアンスについて

一方のルノー・日産・三菱アライアンスは、ニッサン、インフィニティ、ダットサン、ヴェヌーシア、ルノー、ルノー・サムスン、ミツビシ、ダチア、ラーダ、アルパインの10ブランドを展開しており、2017年のグループ自動車販売台数は1061万台と世界第2位の規模を誇る。

経営トップだったカルロス・ゴーン氏の問題に揺れているが、2017年9月に発表した新6ヵ年計画「アライアンス2022」では、共通プラットフォームの使用を増やし、4つのプラットフォームで900万台をカバーするほか、共通パワートレインの使用も全販売車両の75%まで拡大することとしている。

自動運転開発にあたっては各社が独自に進めている技術も多いが、先進的な自動運転システムやコネクテッド技術、モビリティサービスの開発・展開を拡大し、計画期間中に完全自動運転を含めた異なるレベルの自動運転技術を40車種に搭載するほか、無人運転車両による配車サービス事業への参画なども計画している。

ウェイモとの提携で無人タクシーを共同開発?

今回のウェイモとの提携報道では、共同で無人タクシーなどを開発し、自動運転車両を使うサービスの事業化も検討することとしている。

2017年の各社の自動車販売台数は、ルノー・日産・三菱が世界2位の1061万台、FCAが同7位の480万台、ジャガー・ランドローバーが62万台で、合計1623万台となる。ルノー・日産・三菱との提携が実現すれば、ウェイモ陣営は一挙に3倍に膨れ上がり、世界有数のグループ誕生となる。

【参考】ウェイモの自動運転車生産工場については「グーグル系ウェイモ、自動運転車の「生産工場」建設へ ソフト搭載させレベル4車両に改造」も参照。

■トヨタ・ソフトバンク陣営(トヨタ・ソフトバンク・GM・ホンダ)
MONET Technologiesの設立

トヨタ自動車とソフトバンクは2018年10月、新会社「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」を共同で設立することを発表した。既にオンデマンドモビリティサービスを皮切りに事業に着手することも発表している。

事業内容は「オンデマンドモビリティサービス」「データ解析サービス」「Autono-MaaS事業」の3点で、トヨタが構築したコネクテッドカーの情報基盤である「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と、ソフトバンクの「IoTプラットフォーム」を連携させ、車や人の移動などに関するさまざまなデータを活用することにより、移動における社会課題の解決や新たな価値創造を可能にする未来のMaaS(Mobility as a Service)事業の展開を目指すこととしている。

Uberに投資するソフトバンクとトヨタ

ソフトバンクは世界各地のライドシェア事業者への出資にも積極的で、米Uber(ウーバー)、中国のDiDi(ディディチューシン)、インドのOla(オラ)、シンガポールのGrab(グラブ)にソフトバンクグループと関連会社がそれぞれ投資している。トヨタもウーバーやグラブに出資をしており、海外事業における接点は多い。

GMクルーズを通じて近づくソフトバンクとホンダ

ソフトバンクグループ自身は高度な自動運転技術を持っていないが、米ゼネラル・モーターズ(GM)の自動運転開発部門クルーズ・オートメーションに総額22億5000万ドル(約2400億円)出資することを2018年5月に発表しており、同社が2019年中の実用化を目指している自動運転タクシーの開発を強力に後押している。

GM陣営は自動運転技術を搭載した無人ライドシェアサービス用の車両開発に向け2018年10月にホンダとの提携を発表しており、ソフトバンクとホンダの距離感も近づいている。

2017年の各社の自動車販売台数は、ダイハツ・日野を含むトヨタが世界3位の1044万台、GMが同4位の960万台の計2004万台で、同8位のホンダの369万台を加えると2373万台に達する。ベスト10圏内3社の連合はかなり強力だ。

■VW・インテル陣営(VW、インテル、フォード、BMW)
インテルがモービルアイを買収

米半導体大手のインテルは、2017年3月に高度な画像解析技術を持つイスラエルのモービルアイを153億ドル(約1兆7500億円)で買収するなど、近年自動運転分野に傾倒している。

モービルアイとVWが提携

モービルアイは2017年2月、VWと自動運転車に関する技術開発において提携を発表。各車両に搭載されたカメラデータをクラウドに収集・解析してマッピングを行い、各車両にフィードバックする「REM(ロードエクスペリエンスマネジメント)」をVWの市販車に搭載することとしている。

また、両社は2018年11月にも自動運転車の配車サービスを2022年からイスラエルでスタートすると発表しており、新たな協業体制の構築に動いているようだ。

インテル・モービルアイはこのほか、2016年に独BMWと自動運転車の開発における提携を結んでおり、自動車部品大手の独コンチネンタル社、米デルファイ、加マグナなども参加する強力な連合を結成している。

VWはフォードと戦略的的系

一方、VWは2018年6月に米フォードと戦略的提携に向けた各書に調印したほか、同年10月には、フォルクス・ワーゲンと自動運転技術の共同開発に向け交渉を進めていることが明らかになっている。

また、2019年1月には包括提携に合意したことが発表されており、両社は技術や製品の相互供給を進めるなどし、2022年を目標に中型トラックを世界向けに、商用バンを欧州向けに販売するとともに、自動運転や電気自動車(EV)分野で協力する覚書も交わしている。

2017年の各社の自動車販売台数は、VWグループが世界1位の1074万台、フォードが同6位の661万台、BMWが同13位の246万台となっており、合計すると1981万台に及ぶ。

【参考】VWとモービルアイの自動運転タクシー2018年11月については「VWとモービルアイが自動運転タクシー事業 2022年からイスラエルで試験開始」も参照。

■自動車メーカー上位3社を中心に再編か

今回の分類では、世界上位3グループが袂を分かつ形となっており、それぞれがパートナーを得て世界の覇権獲得に向け躍起になっているとも捉えることができる。また、GMやフォード、ウェイモのように、自国内において強いライバル意識を持った企業が分散しているところも偶然ではないのかもしれない。

もちろん、BMW連合にFCAが加わっていたり、モービルアイのREMにGMや日産が協力していたりするなど、各社の関係をばっさりと区切ることはできない。中国の百度(バイドゥ)によるアポロ計画には、フォードや独ダイムラー、BMW、ボルボ・カー、ホンダがそれぞれ加わるなど、また違ったグループを形成している。

ある程度枠組みを固めたい自動車メーカー側と、プラットフォーマー的観点から幅広く提携を進めたいテクノロジー系との思惑の違いもあるだろうが、再編の過渡期に差し掛かっていることは間違いない。

将来自動運転時代を迎えるにあたり、自動車メーカー上位3社を中心に他メーカーが加わるなど製造側で一定の再編・グループ化が進むのか。あるいはプラットフォーマーが中心となり、製造各社がそれぞれ分散して各プラットフォーマーに集う形になるのか。言い換えれば、自動車の製造が主体となるのか、サービスやテクノロジーが主体となるのか。こういった点にも注目したい。

【参考】ルノー・日産・三菱アライアンスとウェイモとの協業については「日産・ルノー・三菱自、自動運転開発でグーグル陣営に合流か」も参照。







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