時速60km以下の自動運転レベル3、「高速道・渋滞時」の国際基準成立

ドライバー監視機能の搭載などが必要



高速道路などにおける時速60キロ以下の渋滞時の車線維持機能に限定した「自動運転システム(レベル3)」の国際基準が、2020年6月に国連の下部組織「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」の会合で成立した。







自動運転ラボでは以前、記事「自動運転レベル3の国際基準「注意深く有能な運転者と同等以上」」を第1報として発信したが、今回定められた国際基準の対象となった自動運転システムのイメージを、もう少し深掘りして紹介しよう。

【参考】自動運転レベル3については「【最新版】自動運転レベル3の定義や導入状況は?日本・世界の現状まとめ」も参照。

■国際基準の対象となった自動運転システムのイメージ

まず大前提として、今回定められた国際基準は「高速道路等における時速60キロ以下の渋滞時等において作動する車線維持機能」としての自動運転システムを対象としたものだ。

国土交通省が公開しているこの自動運転システムのイメージは以下の通りだ。

出典:国交省

高速道路などでの渋滞時に自動運転レベル3(条件付き運転自動化)のシステムが車線維持機能として稼働し、前のクルマとの追突などを防ぎながらの追従走行が開始される。その後、渋滞が解消されるか高速道の出口に接近したときに自動運転が終わる。

この自動運転システムのODD(運行設計領域 ※システムが稼働可能な走行条件のこと)は、「自動車専用道かつ中央分離帯等により反対車線と物理的に分割された道路でのみ作動」とされている。

■国際基準の主な要点は?

上記の自動運転システムに関する国際基準が今回定められたわけだ。国際基準の詳細な内容については前回の記事「自動運転レベル3の国際基準「注意深く有能な運転者と同等以上」」をご覧いただければと思うが、国交省は主な要件として以下の6点を挙げている。

  • 自動運転システムが作動中、乗車人員及び他の交通の安全を妨げるおそれがないことについて、注意深く有能な運転者と同等以上のレベルであること。
  • 運転操作引継ぎの警報を発した場合において、運転者に引き継がれるまでの間は制御を継続すること。運転者に引き継がれない場合はリスク最小化制御を作動させ、車両を停止すること。
  • 運転者が運転操作を引き継げる状態にあることを監視するためのドライバーモニタリングを搭載すること。
  • 不正アクセス防止等のためのサイバーセキュリティ確保の方策を講じること。
  • 自動運転システムのON/OFFや故障等が生じた時刻を記録する作動状態記録装置を搭載すること。
  • 上記の要件について、シミュレーション試験、テストコース試験、公道試験及び書面を組合せて、適合性の確認を行うこと。

特にこの中では、3つ目の「ドライバーモニタリングを搭載すること」などに注目したい。

国際基準の対象となった今回の自動運転システムでは、渋滞が解消されたときや高速道の出口に近づいたときに人に運転を引き継ぐ必要がある。そのため、運転手が運転操作を引き継げる状態にあるかを、システム側は常に監視していなければならない。

■自動車メーカーやシステム開発企業は理解必須の内容

今回の国際基準は、自動運転技術を開発する自動車メーカーやシステム開発企業は理解必須の内容と言える。今回の国際基準に関する詳細な内容については、国土交通省の報道発表が参考になるので、目を通してみてほしい。

▼報道発表資料:自動運行装置(レベル3)に係る国際基準が初めて成立しました|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000343.html

【参考】関連記事としては「ついに幕開け!自動運転、解禁日は「4月1日」」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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