Waymo、自動運転化の対象から「トラック」除外!ロボタクシーの開発優先

無人トラックの実用化、予想より進まず



出典:Waymo公式ブログ

Google系の自動運転開発企業である米Waymoは2023年7月31日までに、今まで進めてきた自動運転トラックの開発を一時停止し、自動運転タクシー(ロボタクシー)による配車サービス事業に注力することを発表した。

▼Doubling down on Waymo One
https://waymo.com/blog/2023/07/doubling-down-on-waymo-one.html


■ロボタクシーという大きな商機

Waymoはライドシェアのほか、自動運転タクシーやトラック輸送、デリバリーなど、さまざまな用途に向けての自動運転システム「Waymo Driver」を開発している。

そうした用途の中でも、自動運転レベル4のロボタクシーサービス「Waymo One」は、すでにカリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルス、アリゾナ州フェニックスで開始されており、大きな商機を目の当たりにしたという。

そこで、ビジネスの成長が著しいロボタクシーサービス事業に注力するため、トラック向けの自動運転開発は一時中止することを同社のブログで明らかにした。

ただし、Waymoと戦略的提携を結んでいるダイムラー・トラックス・ノース・アメリカ(DTNA)との協力関係は継続するようだ。


■自動運転トラックの実用化、予想より進まず

今回、Waymoがトラック向け自動運転開発よりもロボタクシー開発を優先したのは、ロボタクシーには自動運転レベル4の機能が搭載され、展開範囲も拡大しているのに対し、自動運転トラックの実用化が予想より進んでいないということも理由にあるようだ。

Waymoは、短期的にロボタクシー事業の商業的成功を達成することに集中し、それにより同社の価値の確立を目指す。

■ロボタクシーの安全性をアピール

Waymoは最近、ロボタクシーを走行させているサンフランシスコとフェニックスの路上で、車の速度を集計し分析した結果を報告している。それによると10日間の調査期間で約半数の車両がスピード違反をしていたという。

▼Past the limit: Studying how often drivers speed in San Francisco and Phoenix
https://waymo.com/blog/2023/07/past-limit-studying-how-often-drivers.html


Waymo Driverは速度制限に従うよう設計されており、かつ他の車両の速度も検知できるため、周囲の車両の動きを予測し、それに応じた対応を行うことができると説明し、ロボタクシーの安全性を主張している。

今回Waymoが自動運転トラックよりロボタクシー開発を優先したことは、吉と出るのか。動向を注視していきたい。

【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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