小泉進次郎氏、公約に「ライドシェア全面解禁」 日本でもウーバー利用可能に

自民党総裁選、タクシー業界の反発必至



出典:小泉進次郎公式Facebookページ

自民党総裁選に出馬する小泉進次郎氏が、ライドシェアの全面解禁を訴えている。立候補を表明した記者会見で公約として発言したものになる。小泉氏はライドシェアに反対する勢力について「既得権益側」と呼び、改革への意欲を示した。

日本でも2024年4月からタクシー事業者を主体とした通称「日本版ライドシェア」がスタートした。しかし「ライドシェア」は世界的には、自家用車の所有者と自動車に乗りたい人が高い自由度の元にマッチングする移動手段を意味し、限定的に解禁された日本のライドシェアとは内容が異なる。


小泉氏が訴えているのは、海外で広く展開されている本来の意味でのライドシェアの全面解禁だ。これまでライドシェアサービスを直接的に展開できていない米Uberも、日本で事業を本格的にスタートさせることになりそうだ。タクシー業界の反発は必至だ。

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■限定解禁の「日本版ライドシェア」とは?

日本では2024年4月からライドシェアが部分的に解禁された。正式名称は「自家用車活用事業」で、「日本版ライドシェア」とも言われている。

【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?(2024年最新版)日本の解禁状況や参入企業まとめ」も参照。



米Uberなどのライドシェアサービスでは、一般ドライバーが自家用車を用いて旅客運送サービスを提供できる。この部分は日本版ライドシェアも同様だが、大きな違いはサービス提供主体がタクシー事業者に限定されているという点だ。そのため一般ドライバーはタクシー事業者にパートなどの形で所属し、事業者の運行管理のもとサービスを提供しなければならない。

日本版ライドシェアでは、タクシー配車アプリデータなどを活用して、タクシーが不足する地域や時期、時間帯を特定し、地域の自家用車と一般ドライバーを活用して不足分を供給する。アプリデータに基づき不足車両数を算出し、自家用車活用事業を行う地域は、東京・横浜・名古屋・京都・札幌・仙台・さいたま(県南中央)・千葉・大阪・神戸・広島・福岡の12地域となっている。

また簡便な方法により不足車両数を算出し、事業の実施が可能なのは、軽井沢町・金沢・富山・静岡・さいたま(県南東部、県南西部)・志摩市・水戸・青森・岐阜・石垣島の11地域だ。このようにエリアが限定されているほか、サービス提供時間や台数も決まっているため自由度は低い。(※地域・エリアは徐々に追加・変更されている)

2024年6月には、新規参入を認めるための法整備の議論やモニタリング調査の取りまとめに特定の期限を設けないことで、岸田文雄首相、河野太郎規制改革担当相、斉藤鉄夫国土交通相の3者で合意し、全面解禁に関する結論は先送りとなっている。


ただし2024年7月からは1時間5ミリ以上の降水量が予報される時間帯に、日本版ライドシェアの車両の使用を可能とするという雨天時に対応したバージョンアップが行われるなど、少しずつだがサービスは拡大されている。

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■進次郎氏「既得権益側の象徴」

小泉進次郎氏は自民党総裁選への立候補を表明した記者会見で、「この30年間、日本から世界で勝負する企業が出ないのも、既存企業が既得権益を守るため新規参入を阻もうとしているからだ」といった発言をした。そして既得権益側の象徴が、タクシー業者が主体となっている日本版ライドシェアだと訴え、改革を呼びかけた。

これに対し、タクシー業界を所管する斉藤国土交通相は「既得権益を守る意識は全くない」と反論しており、タクシー業界関係者の間に波紋が広がっている。

■総裁選の行方がライドシェアの運命を占う

もし小泉進次郎氏が首相になった場合、ライドシェアの全面解禁に向けて大きく舵を切ることになる。そうなると、ライドシェアの世界的大手企業である米Uberや中国DiDiが日本で本格参入することは確実で、日本のモビリティ業界の勢力図は大きく変わっていくと予想される。

候補者が乱立している自民総裁選。ライドシェア全面解禁といった側面からも行方が注目されている。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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