ホンダの自動運転レベル3、「3年前の1車種」のみで開発中止か

自前開発から「アライアンス戦略」に転換?



出典:Ian Muttoo / Flickr (CC BY-SA 2.0)

自動運転の初期水準とも呼べる「自動運転レベル3」。このレベル3に関し、世界で初めて自家用車に機能を搭載したのが、日本のホンダだ。2021年3月に100台限定でリース発売した新型レジェンドにレベル3水準の「トラフィックジャムパイロット」が搭載され、発売時に大きな話題を呼んだ。

しかし、あれから3年半が経過したが、その後、レベル3車種の発表はされていない。ホンダの公式サイトでも新しい情報は見当たらないようだ。まさかホンダは3年前の1車種のみで自動運転レベル3の開発を中止するに至ったのか。


一方、ホンダはソニーと共同で、高付加価値型のEV(電気自動車)の共同開発・販売などを手掛ける「ソニー・ホンダモビリティ」を設立しているほか、米GM・Cruise自動運転タクシーサービスを提供するための合弁会社設立に向けた基本合意書を締結している。

自動運転車の自前開発は行わず、アライアンス戦略に切り変えて投資負担を減らすという方針に舵を切ったのだろうか。

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■「ページが見つかりませんでした」状態

レベル3乗用車「新型LEGEND」=出典:ホンダプレスリリース

自動運転レベル3を量産車に搭載し発売したのが、日本のホンダということで2021年3月の発売当時は世界で大きな話題を集めた。

「Honda SENSING Elite(ホンダ センシング エリート)」を搭載した新型レジェンドだが、特に「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」はホンダが国土交通省より自動運行装置として型式指定を取得した自動運転レベル3に適合する先進技術となっている。これにより高速道路渋滞時など一定の条件下で、システムがドライバーに代わって運転操作を行うことが可能になった。


ただし現在、ホンダのHonda SENSING Eliteの公式ページ(https://www.honda.co.jp/hondasensing-elite/)では、「取扱販売会社をご案内いたします」との記載があるものの、「販売会社検索」(https://www.honda.co.jp/LEGEND/dealerlocator/)をクリックすると、「ページが見つかりませんでした」と表示される。

【自動運転ラボの視点】
これまで自動運転レベル3機能の市販車への搭載を実現した自動車メーカーは、世界初がホンダ、2番手が独ダイムラーの高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」となる。そして3番手が独BMWで、2024年3月に「BMW7シリーズ」にオプションとして搭載することを発表した。

■前進するアライアンス戦略

一方、ホンダに関しては、アライアンス戦略が前進している。ホンダとソニーグループは、折半出資でソニー・ホンダモビリティを2022年9月に設立した。

2023年1月に米ラスベガスで開催された世界最大の技術見本市「CES 2023」で新ブランド「AFEELA」を発表した。実用化にあたっては自動運転レベル3搭載を「目指す」と同時に、市街地などのより広い運転条件下での運転支援機能、自動運転レベル2+の開発にも取り組んでいくという。

出典:ソニー・ホンダモビリティプレスリリース

第1弾の商品は2025年前半から先行受注を開始し、同年中に発売予定となっている。デリバリーは2026年春に北米から開始し、日本では2026年後半からを計画しているようだ。


■次のレベル3搭載車はグループ会社から?

そうなると、次のレベル3搭載車として期待されるのはソニー・ホンダモビリティから販売予定のEVだ。

ホンダにとって2番目に市販されるレベル3搭載車は、ホンダ本体からではなくグループ会社により発表されるのだろうか。もしくは、ホンダが自前でレベル3搭載の2号車を発表しようと、水面下で動いているのだろうか。注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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