近い将来、4足歩行ロボットによる自動配送が実現する──。そんな未来を予感させる技術が、堀江貴文氏のYouTubeチャンネル「ホリエモンチャンネル」で紹介されている。
千葉工業大学未来ロボット技術研究センター「fuRo」の技術で、市販されている4足歩行ロボットにAIを付与したものだが、その動きはすさまじい。
「こいつすげえ!ビデオで見るのと大違い!」と絶賛する堀江氏の頭の中には、こうしたロボットを活用した配送ビジネスなどがすでに浮かんでいるようにも感じる。
4足歩行ロボットであれば、従来のタイヤで動く自動配送ロボットでは不可能な配送も実現できるのではないか。ホリエモンチャンネルの内容とともに、4足歩行ロボットのポテンシャルに触れていこう。
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記事の目次
■4足歩行ロボットの概要
堀江氏が足を運んだのは、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター「fuRo」。所長を務める古田貴之氏はロボット博士で、福島第一原発で活躍した無人ロボットの開発や、AI搭載モビリティ「CanguRo」の開発などでも知られる人物だ。
古田氏が堀江氏に紹介したのは、中国Unitree製の犬のような4本足のロボットを改造したモデルだ。古田氏曰く「比較的安価なロボットで、オリジナルはあまりよく動かないが、人工知能を鍛えると体のパフォーマンスをフルに発揮してくれる」という。
ロボットは「目」を使用せず
この改造モデルのすごいところが、「目」を利用していないところだ。LiDARなどのセンサーは搭載しているものの機能しておらず、コントローラーから「前進」「後進」などの命令が下されると、足先だけの感覚、反射神経だけで段差なども踏み越えて動くことができる。
実際、ロボットは堀江氏の目の前で階段をチャカチャカと上り、勢い余って向こう側に転落するもひっくり返ることなくバランスを保った。横向きのまま階段を上ることなども可能だ。
堀江氏が「蹴とばしても?(絵的に)怒られる動画ですね」と笑いながら蹴っても、ロボットは倒れないよう踏みとどまったり、倒れてもすぐ立ち上がったりした。
古田氏は「今までのロボットはレーザーセンサーなどで段差を測り、何メートル先にどんな段差があるというのがわからないと動けなかった。でも、人間自身はそれをやっていない。小さな段差や足元の石ころ1個1個は測らず、良きに計らう」とし、「従来は人間がモーションを設計して作っているため、こういう動きをするのは難しい。ASIMOみたいな動きになる。しかし、このロボットは経験から勝手に動きを作り出している。自分たちもどんな動きをするのかわからない」と話す。
このロボットの頭脳となるAI開発は、バーチャル空間となるシミュレーション環境で行っている。コンピュータ内には4096台のロボットが存在し、これらにいろいろな試練を与えて訓練しているという。コンピュータだと2万世代分の進化を5時間ほどで行うことができるという。
ポイントは「異世界転生」
ただ、ポイントはそこではない。ロボットを仮想空間で鍛えるのは昔からあり、古田氏は「一番難しいのは『異世界転生』」と話す。
「仮想空間はアナザーワールドで、ここでいくら知能やスキル、チートな技術を身に着けても、ゲートがないとリアルワールドに来られない。別世界のため物理法則も違うし摩擦も違う。そこで異世界のゲートのようなものを作り、転送する技術を生み出した」という。
古田氏は「今言われているChatGPTを含めたAIは結局頭脳の部分だけ。『○○しなさい』というだけで、実際に動くのは多くの場合人間だったりする。これからはむしろAIにどう身体を与えるかが重要となる」としている。
自動操縦機能も
その後、堀江氏は古田氏とともにセンターの外に出て、ロボットの自動操縦も体験する。この際はLiDARを使用し、事前マッピングされた情報をもとに指定された目的地に向かう仕組みだ。ロボットはチャカチャカ動き出し、障害物に差し掛かると横に逸れてかわし、縁石などの段差をものともせず歩を進めた。
古田氏は「今まで4脚の自動操縦は難しかった。理由は二つあって、一つはレーザーセンサーは水平を前提としているため。脚ロボットはガタガタ揺れるため誤差が生じてしまう。もう一つは、クルマの自動操縦の場合オドメトリという車輪の回転で距離を測るが、脚の場合それはできない。おそらくこれがほぼ初めてまともに動き4脚ロボット」と胸を張る。
舗装されていない道でも段差があっても苦にしない4足ロボットを目の当たりにした堀江氏は「7、8年前はこれは無理ゲー。変わりましたね、フェーズが」と感服した様子で、「これだったらどこにでも荷物運べますよね」と話していた。
■4足歩行ロボットのポテンシャル
ラストマイルの「あと一歩」を可能に
堀江氏をうならせた4足歩行ロボット。このロボットがラストマイル配送を変えるかもしれない。現在開発・実用化が進められている自動配送ロボットの多くは車輪で走行するモデルだ。荷物を積んだロボットが歩道を中心に低速走行し、目的地まで自動運転で向かう。
小回りが利く一方、走破能力はそれほど高くない。歩道を走行する上で必要な登坂能力や小さな段差を乗り越えられるスペックは有しているものの、10センチクラスの段差や階段などはお手上げ状態だ。
ドアやエレベータなどとの協調技術によりマンションやオフィスビルなどの中でも活躍できるモデルは存在し、システム連動やサービス実証も進められているが、ロボットが協調するためにはそれぞれの建物の所有者などと事前に連携する必要があり、現状不特定多数には対応できない。多くの場合、目的の建物前の歩道で到着扱いとし、利用者に荷物を取りに来てもらうことになる。最後の「あと一歩」が足りないのだ。
一軒家が多い地方であれば特にこの傾向が強いものと思われる。一軒家の場合、歩道から建物の玄関ドアまで距離があり、段差がある場合も多い。舗装されているとも限らない。
車輪での走行には限界があるため、既存の自動配送ロボットは玄関前までたどり着けないのだ。万が一倒れてしまった際は、ほぼすべてのモデルが自力で立ち上がることもできない。
一方、4足歩行モデルであれば、こうしたラストマイルの課題を一気に解決できる。平坦な舗装路での走行効率ではタイヤにはかなわないが、縁石を超えることもできるし砂利道を歩くこともできる。階段を上ることもできるため、多くのケースで玄関前までたどり着くことができる。公園などにも広く対応できるだろう。
バランスを崩してもすぐに持ち直し、万が一ひっくり返ってしまっても不思議な動きで立ち上がることができる点もポイントだ。
もちろん、事前マッピングする必要があるため私有地への進入については現実的な課題が残りそうだが、そのポテンシャルを考えると非常に有用ではないだろうか。
堀江氏は「富士山の山小屋とかにいいかも。……そんな航続距離ないか」とも発言していた。バッテリーなどは改良の余地があるものの、同ロボットであれば荷物を背負って富士山も登れるのだ(おそらく)。
人間に追従して動く荷物持ちとしても有能だ。人間が多少変な道を通ってもしっかりついていくことができる。
その走破能力は、事故や災害発生時の活躍をはじめ、ロボットによる警備業務などの幅を広げる。将来、人を乗せて神社の長い階段を上る――といった活用もできるかもしれない。
■4足歩行モデルの開発動向
コンチネンタルが2019年にコンセプト発表
こうした4足歩行モデルをラストマイルに活用するアイデアは、すでに独コンチネンタルがCES 2019で発表している。
自社開発を進める小型バスタイプの無人運転車両「CUbE」に犬型の配達ロボット「ANYmal」を複数乗せ、二段階で配送するシステムだ。
CUbEで中距離を移動し、目的地付近で荷物を積んだANYmalが個別配送する仕組みだ。ANYmal はスイスのANYbotics社が実際に開発しているモデルであり、コンセプトに留まらず実用化の道が今後開かれる可能性もありそうだ。
米フォードは2019年、二足歩行の配達ロボットを活用した実証について発表している。米スタートアップAgility Roboticsが開発したロボットを使用し、玄関先まで荷物を届けるサービスだ。
人間に近い二足歩行ロボットは親和性が高く、社会に受け入れられやすそうだが、走破能力の現実解としては4足歩行に軍配があがりそうだ。
【参考】さまざまな配送モデルについては「自動運転×小売、配送モデルは「玄関まで」「前の道路まで」「近くの場所まで」の3種類(特集:自動運転が巻き起こす小売革命 第3回)」も参照。
自動運転×小売、配送モデルは「玄関まで」「前の道路まで」「近くの場所まで」の3種類(特集:自動運転が巻き起こす小売革命 第3回)
裾野が広がり始めている開発勢
4足歩行ロボットの開発元として有名なのは、米Boston Dynamicsだ。1990年代創業と歴史は古く、かつてはグーグルやソフトバンクグループの傘下にあった。現在は韓国Hyundai Motor Groupの支配下にある。
今回のトピックで使用されているモデルは、中国Unitree Robotics製だ。2016年創業のスタートアップで、4足歩行ロボットにタイヤを付けたモデルや、人型の2足歩行ロボットの開発なども手掛けている。
Unitree B2は秒速6メートル(時速約21キロメートル)で、無負荷時は5時間以上の歩行が可能という。段差は最大40センチまで乗り越えることができ、登坂能力は驚異の最大45度という。歩行時は最大40キログラムを積載することができる。跳躍することもできる優れモノだ。
コンチネンタルのパートナー企業ANYboticsは2009年に4足歩行ロボットを事業化し、自律型ロボットソリューションの開発を進めている。ANYmalは2015年に初登場し、まもなく6世代目のモデル「ANYmal X」を発表予定としている。
国内では、川崎重工業が4足歩行ロボット「Bex2」の開発を進めているようだ。他社のモデルは犬型だが、同社のモデルは馬に近い。ソフトバンクグループのアスラテックがロボット制御システム「V-Sido(ブシドー)」を用いた歩行動作生成技術で協力しているという。
■【まとめ】自動配送ロボット分野に風穴を開けるチャンス?
歩行技術が格段に進化した4足歩行ロボット。その用途をめぐるサービス化・ビジネス化のフェーズが到来し始めているようだ。
用途の一つとして考えられるラストマイル配送や山などにおける特殊配送は、同ロボットとの親和性が思いのほか高いかもしれない。自動配送ロボット分野に風穴を開けるチャンスがそこに眠っているようだ。
【参考】関連記事としては「ホリエモン参画の自動ロボ、「人にはやや重すぎのモノ」の”超近距離配送”に商機」も参照。