自動運転投資、「国策に売りなし」で上昇モード突入か

日本勢の巻き返しが始まる?



出典:政府広報オンライン

日本を代表する自動運転スタートアップのティアフォーがついに上場を果たした。自動物流道路計画や2030年度に自動運転サービス車両数1万台を目指すなど、国策として自動運転が推進される中、投資の世界における格言「国策に売りなし」が現実のものとなり始めているのかもしれない。

2026年7月の10大ニュースを一つずつ振り返っていこう。


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■テスラ、今度は「本物の壁」に突っ込む 76歳女性が死亡、自動運転か?(2026年7月2日付)

テキサス州で、40代男性が運転するテスラ車が住宅の壁に突っ込み、住人が死亡する悲惨な事故が発生したようだ。男性はFSDを作動させていたと主張している。

報道によると、男性はFSDを作動させてハイウェイを走行していたが、途中から意識がなくなったという。一方、事故現場は制限速度が時速30マイル(約48キロ)の住宅街で、アクセルが踏み込まれたまま時速70マイル(約113キロ)以上で走行しており、住宅の壁を突き破ったという。

その後の捜査で、男性が日ごろから「FSDが遅すぎる」旨の検索を行っていたことも判明している。故意かどうかは現状何とも言えないが、FSD作動中にアクセルを踏み込むと、縦制御のみがドライバーにオーバーライドされ、ハンドル操作による横制御はそのままFSDが担う(支援する)仕様になっているという。

つまり、アクセルを踏んでもFSDは完全に解除されないのだ。解除されないが故の安全性もあるが、その裏に潜む危険性が今回表に出る格好となった。


今後、この点に関する規制が強化されることになるのか注視したい。

テスラ、今度は「本物の壁」に突っ込む 76歳女性が死亡、自動運転か?


■自動運転エンジニア、当面は「勝ち組」!年収1000万円は当たり前(2026年7月3日付)

年収1000万円オーバーの自動運転エンジニアの求人も当たり前の時代となってきたようだ。AI化が著しく進展する業界だけに、待遇向上はまだまだ続く可能性が高そうだ。

自動運転業界では、ルールベースからE2Eへのシフトが顕著に進んでおり、AIエンジニアの重要性がより高まっている。パーセプションやプランニングなどルールベースと共通する点も多いが、大規模言語モデルや世界モデルの活用など、AIベースの開発環境の構築がより重要性を増しているようだ。

多くの産業でAIエンジニアの需要が高まっており、分野を超えた争奪戦は今後も激化していくことが予想される。自動運転が、その主戦場の一つであることは間違いない。争奪戦の過熱とともに、さらに年収が高まっていくことになりそうだ。

自動運転エンジニア、当面は「勝ち組」!年収1000万円は当たり前

■小池都知事が進めた東京都の自動運転バス、実は中国BYD製だった(2026年7月5日付)

大阪・関西万博で問題となった中国製EVバスだが、日本市場で高い実績を誇るものもある。BYD製のEVバスだ。国内EVバスで過半数を超えるシェアを誇り、自動運転との相性も良い。東京都が実施する実証でも導入されているようだ。

自動運転システムは、中型自動運転バスなどで実績を有する日本の先進モビリティが担当している。

「中国製は~」と脊髄反射する人も多いが、万博で導入されたものとは明らかに異なり、BYDは自家用車同様EVバスでも世界で高い導入実績を誇る。いすゞなどの日本勢も製造に本腰を入れ始めているが、先行するBYDはやはり強敵なようだ。

ティアフォーのMinibusもベースはBYD製で、国内で改造して利用している。やはり自動運転との相性が良いのだろう。

小池都時事が進めた東京都の自動運転バス、実は中国BYD製だった

■自動運転の事故、国が「強制捜査」可能に(2026年7月10日付)

宙ぶらりん状態が続いていた自動運転車の事故調査に関し、政府は運輸安全委員会による事故原因究明体制を構築する方針であることが明らかとなった。今秋にも関連法の改正案を国会に提出する予定という。

自動運転車の事故調査はこれまで、法的強制力を持たない公益財団法人交通事故総合分析センター(ITARDA)が担っていた。任意調査となるため、事故関係者の協力なくして精密な調査はできなかった。

一方、運輸安全委員会は法律に基づいて設置された国土交通省の外局のため、独立性を維持しつつ法律を背景とした捜査を行うことができる。同委員会の対象は航空・鉄道・船舶事故だが、ここに自動運転車が加わる格好となる見込みのようだ。

国は並行して事故の責任の在り方についても議論を進めている。人間の手を離れ始めたAI時代を象徴するかのような取り組みだが、社会の枠組みや規制も変革を迫られることは間違いない。まずは自動運転車を取り巻く環境がどのように変わっていくのか、要注目だ。

【参考】詳しくは「自動運転の事故、国が「強制捜査」可能に」を参照。

自動運転の事故、国が「強制捜査」可能に

■約200億集めた「newmo」がライドシェア撤退か 自動運転一本化へ(2026年7月14日付)

タクシー事業を中心に移動に変革をもたらすnewmoが、自動運転タクシー事業の強化を図っていくようだ。日本版ライドシェア事業への投資は縮小していく方針のようで、無人モビリティへのシフトが鮮明となりつつある。

効率的な配車システムなどを武器に全国津々浦々のタクシー事業者を傘下に収め、タクシー経営の基本を塗り替え始めている同社。先を見通せない地方の事業者にとっては、救世主のような存在になりつつあるのかもしれない。

自動運転タクシーの実証にも2025年に着手しており、フリートマネジメント系のみならず知覚システムや経路生成AIなど自動運転システムの開発も進めている。

東京都大田区の東京流通センター内に開発拠点「Autonomy Garage Tokyo」を開設し、2026年内に自動運転開発チームを2倍の規模に拡大するという。スピード感あふれる事業推進力に要注目だ。

約200億集めた「newmo」がライドシェア撤退か 自動運転一本化へ

■自動物流道路、「中央分離帯」を破壊して設置か(2026年7月15日付)

自動物流道路(Autoflow Road/オートフロー・ロード)実現に向けた検討が着々と進められているようだ。

道路空間のスペースを有効活用して物流専用ロードを設け、無人化・自動化した輸送手段で効率的に貨物を運ぶ新たな物流システムで、あくまで構想段階ではあるものの、高速道路の中央分離帯スペースなどの活用案などが挙がっているようだ。

車道と切り離した専用空間で、無人の自動運転モビリティが連なって淡々とモノを運ぶ物流専用道だ。最終的にどのような形となるかは不明だが、国家プロジェクトと呼ぶべき規模の一大事業になることは間違いない。

スイスでは、専用の地下道でモノを運ぶ自動物流道路の建設がすでに進められている。地下を活用するのも一案だ。

日本では高速道路のスペースを活用する案が有力で、すでに実証にも着手している。国も夢物語で終わらせる気はないようだ。

自動物流道路、「中央分離帯」を破壊して設置か

■テスラの「カメラのみ自動運転」、全米で禁止か(2026年7月18日付)

米ニュージャージー州で、自動運転システムにはカメラ以外のセンサーも必須とする法案が提出され、波紋を広げているようだ。

法案は、カメラによる自動運転システム以外に、歩行者検知や自動緊急ブレーキ、車線維持支援が可能な異なるセンシング方式を用いたシステムを備えることを必須としている。カメラによるメインシステムが故障した際も、障害物を回避しながら車両を最小限のリスク状態にすることを求める内容だ。

これは、テスラ型のカメラのみによるE2E自動運転を否定する法案となる。この法案が通れば、テスラは同州で自動運転を展開できなくなるのだ。

おそらく、このままの形で採用されることはないと思われるが、高い冗長性を求めることに関しては賛成だ。メインシステムが作動しなくなっても、何らかの方法で安全な路肩などに移動して停車するシステムは必須だ。システム障害時など、車道上で停止するのは避けたいところだ。

テスラの「カメラのみ自動運転」、全米で禁止か

■TikTok運営企業、「自動運転」に参入か(2026年7月20日付)

海外メディアによると、中国ByteDanceがひそかに自動運転開発を進めているという。同社は報道を否定しているが、果たして……。

自動運転に本格参入は何とも言えないが、先進的なAI開発を進めている企業であれば、間接的に自動運転開発に関わっていくことは十分考えられる。ByteDanceは世界モデルをはじめ対話型AIや画像・動画生成AIの開発などを進めている。

これらの技術に魅力を感じる自動運転開発企業から声がかかってもおかしくはないだろう。報道では、フィジカルAI開発や、自動運転企業との意見交換や事業協議、無人物流向けの自動運転の模索などに触れられているようだ。

グーグルや百度は極端な例だが、自動運転分野への関与を模索するテック企業は多い。今後も新規参入話が出てくる可能性は高そうだ。

【参考】詳しくは「TikTok運営企業、「自動運転」に参入か」を参照。

TikTok運営企業、「自動運転」に参入か

■ロボタクシー、総合1位は「中国企業」!日本勢ランク外(2026年7月20日付)

米AUTNMY AIが、独自開発したAIモデル「OMEGA」による自動運転リアルタイム指数「Road to Autonomy Index」を発表した。サービス状況などを細かく分析・数値化したランキングを、自動運転タクシーなどの4カテゴリーに分けて公表している。

自動運転タクシーでは、中国Baidu(百度)と米Waymoが激しく競り合っており、1~2位を独占している。少し離れてPony.ai、WeRide、DiDiら中国勢が続いているようだ。

自動運転関連のランキングは、国別や資金調達などは多いものの、開発企業の技術力やサービス規模、収益などを踏まえたものは少ない。しかもリアルタイムと言えるほど細かに更新される点は非常に興味深い。

日本企業はランク外……というかノミネートすらされていないようだが、ここに名前が載らなければ世界の市場で戦えない。日本企業がランクインする日を待ち望みたいところだ。

ロボタクシー、総合1位は「中国企業」!日本勢ランク外

■上場のティアフォー、「テスラ式自動運転」も開発(2026年7月23日付)

ついに上場を果たしたティアフォー。国内自動運転開発勢の中では古参の部類で、Waymoなどと同様、長年ルールベースに基づく自動運転開発を手掛けてきた。

近年は、E2Eを交えた「ハイブリッド型」の開発にも着手しており、「自動運転レベル4+」の実装にも期待がもたれる。

正直なところ、既存のルールベースでは大きく先行するWaymoらに追い付くことは難しい。しかし、E2Eで仕切り直しとなれば状況は大きく変わってくる。E2Eでも海外先行勢と比べれば劣勢に違いないが、ハイブリッド型でいち早く日本市場で実績を残せば、日本発の安全かつ高性能な自動運転技術として海外でも勝負できる。

2027年にはWaymoやWayve×日産が国内で自動運転タクシーサービスを開始する可能性が高いが、ここが最初の勝負どころとなりそうだ。

上場のティアフォー、「テスラ式自動運転」も開発

■【まとめ】第2フェーズ迎えた業界の動向に注目

日本の自動運転シーンにおいて、ティアフォーの上場はやはり感慨深いものがある。ルールベースからE2Eに主導権が移り始め、グローバル化が本格化し始め、業界としては第2のスタートラインを切ったばかりのフェーズと言える。

黒船が日本に押し寄せる中、ティアフォーをはじめとする日本勢がどのように立ち向かい、さらには海外に影響力を及ぼしていくのか。業界の第2フェーズの動向にあらためて注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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