TikTok運営企業、「自動運転」に参入か

公式見解では否定したが…



動画特化型SNSのTikTokを運営する中国のByteDance(バイトダンス)が、自動運転分野への参入を水面下で検討しているようだ。海外メディアが報じた。


一方で、ByteDanceは「インテリジェントドライビング事業を展開する計画はない」とコメントしており、報道内容を否定した形だが、いずれにしても巨大な商機を獲得すべく、参入を視野に入れている可能性は極めて高い。【記事監修:自動運転ビジネス専門家 下山哲平】

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■自動運転プロジェクトは「準備段階」?

複数の業界関係者への取材をもとに、ByteDanceが自動運転分野への参入に向けて初期準備を進めているとメディアが報じた。

プロジェクトを担当しているのは、同社のAI研究組織「Seed」のチームだ。Seedは2023年に設立された中核AI研究部門で、各種AIを研究している。

このプロジェクトの中核は、周暢(ZhouChang)氏だ。周氏は現在、画像生成AIやロボティクスまで幅広い研究開発を統括しており、ByteDanceにおける「フィジカルAI(物理的AI)」分野の強化を担う中心人物と位置付けられている。


報道によると、同プロジェクトはすでにトップクラスの技術者へ採用オファーを出しており、人材の確保を進めている段階だという。また、ByteDanceはこれまでにも、有力な自動運転の企業との意見交換や事業協議を進めてきたとされる。

■当初のターゲットは無人物流か

ByteDanceが最初に目指しているのはロボタクシーではなく、無人物流向けの自動運転だ。この事業は、同社のクラウドサービス「VolcanoEngine」の自動車部門が担当するとみられている。

ByteDanceはこれまでにも、生成AI「Doubao(豆包)」を活用した車載AIコックピット事業を展開しており、中国の自動車メーカーSeres(賽力斯)と共同で新ブランド「AIVA」を立ち上げるなど、自動車業界との連携を深めてきた。

スマートコックピットだけでは車両全体のインテリジェント化は実現できず、運転支援まで含めた統合が必要になるとの業界関係者の見方を紹介している。


■ByteDanceは否定したが…

報道に対し、ByteDanceは以下のように回答し、自動運転ビジネスへの参入計画を明確に否定した。

ByteDanceはフィジカルAIを含む大規模AIモデルの最先端分野について幅広く研究・探索を進めているが、自動運転事業を展開する計画はない。

同社は、自動運転技術やフィジカルAIに関する「研究そのもの」は認めたものの、それを「事業化する計画はない」という立場を示している。

■「フィジカルAI」と「ワールドモデル」

今回の報道で注目されるのは、ByteDanceが自動運転そのものではなく、AIが現実世界の仕組みや物体の動きを学習し、「次に何が起こるか」を予測する技術の「ワールドモデル」を軸に研究を進めている点となっている。

ワールドモデルは、自動運転だけでなく人型ロボットなどのフィジカルAIにも応用できる。自動運転のテストや運用で蓄積した膨大な実世界データは、将来的なロボット開発にも活用可能だ。

そのため、単なる車載ビジネスではなく、戦略全体の布石になる可能性があるとの見方が示されている。

■ByteDanceの次なる成長戦略となるか

現時点で自動運転への本格参入が決定したわけではない。しかし、ワールドモデルやフィジカルAIへの投資を拡大する同社が、将来的にどのような形でこの技術を応用していくのか、今後の動向が注目される。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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