【2024/12の10大ニュース】自動運転タクシーで明暗。Waymoは日本進出、Cruiseは事業停止か

国内自動運転タクシー計画に大きな動き



出典:(左)Waymo公式サイト/(右)Cruise公式サイト

この年末、米国の2大開発企業に大きな動きがあった。Waymoは日本進出を発表し、Cruiseは自動運転タクシー事業を断念せざるを得なくなった。Waymoと協業する日本交通グループ、Cruiseと協業していたホンダ――と、日本勢への影響も大きいビッグニュースだ。

日本交通グループと言えば、配車サービスを手掛けるGOの中島宏社長が、自動運転ラボの単独インタビューに応じた。内容は、解禁論がいまだくすぶるライドシェアについてだ。業界と業態のはざまでどのような未来を描いていくのか、その一端がうかがえる。


2024年12月の10大ニュースを一つずつ振り返っていこう。

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■トヨタ出資の中国Pony.ai、上場初日に「20%急落」 ”自動運転”に投資妙味なし?(2024年12月2日付)

中国Pony.aiが米ナスダック市場への上場を果たした。初日に値を落としたものの持ち直し、12月23日時点では横ばい状況が続いている。

先に上場したWeRideも同様で、山や谷があるものの2カ月を過ぎて上場時の株価を維持している状況だ。特に落ち込んでいるわけではないが、株式市場における自動運転銘柄はまだまだ評価が低いように感じられる。

今後、開発企業の勝ち組と負け組がはっきり分かれ始めてくるフェーズを迎える。負け組でも、事業売却で業界における存在感を増すような例も出てくるだろう。


あとは、いまいち不透明な勝ち組のビジネス上のポテンシャルがどこまでのものか。ビジネスとして、どこまで収益を上げられるかはいまいち見通し切れていない。こうした面が見え始めれば、株価がうなぎ上りする可能性も高まっていくのではないだろうか。

トヨタ出資の中国Pony.ai、上場初日に「20%急落」 ”自動運転”に投資妙味なし?


■テスラ、お前もか。ガストのロゴを「STOP標識」と誤認識 日本語は苦手なの?(2024年12月2日付)

自家用車に搭載された標識認識機能において、テスラ車がガストの看板を「一時停止」に誤認する案件が発生したようだ。

ガストの看板は、丸い赤枠の中に白抜きで「ガスト」と表記されているが、これをテスラ車は「STOP」と書かれた米国仕様の一時停止標識に誤認してしまうという。

国産車の場合、ガストの看板は「車両進入禁止」に間違えることがある。日本と米国の標識の違いが誤認の違いとなって表れているようだ。

お膝元の米国内でもバーガーキングの看板を誤認した事例が報告されているが、FSDの自動運転化を目指すテスラにとってこうした誤認は致命的となり得る。自動運転を解禁する前に、こうした課題をくまなくクリアしていってもらいたいところだ。

テスラ、お前もか。ガストのロゴを「STOP標識」と誤認識 日本語は苦手なの?

■【悲報】万博の自動運転バス、半分以上が「誘導型」 なぜかトヨタは不参加(2024年12月5日付)

2025年開催の大阪・関西万博。大量の来場者を会場に運ぶモビリティの一部には、自動運転バスが導入される。このうち、会場外路線では磁気マーカーを活用したインフラ頼みの誘導型が採用される見込みだ。万博が将来技術の見せ場でもあることを考えると、少し残念な印象だ。

万博では概ね3ルートで自動運転バス・シャトルの走行が計画されている。このうち、会場外から会場まで輸送する2ルートが誘導型を採用した。会場周囲を走行するモビリティは非誘導型となる見込みだ。

国内外から多くの人が集まる一大事業だけに、社会受容性を高めるチャンスとして、また国内産業の技術をピーアールする場として、自動運転モビリティの導入をもっと推進すべきではなかったのか。国家プロジェクトとしては格好の場だったのではないかと思われる。

万博で使用した自動運転車は、大阪エリアの公共交通への転用も計画されている。その観点からも、なるべく柔軟性の高いシステム導入が求められるところだろう。

【悲報】万博の自動運転バス、半分以上が「誘導型」 なぜかトヨタは不参加

■激安!中国で「初乗り料金が4分の1」の自動運転タクシー登場。人気確実か(2024年12月10日付)

中国で自動運転タクシーを展開する百度(Baidu)の初乗り運賃が、低価格を実現しているようだ。エリアにもよるが、概ね4~16元(83~332円)に設定されており、従来のタクシーの4分の1ほどの運賃を実現しているエリアもあるという。

その秘訣は、フリート台数とイニシャルコストの低下に尽きる。2024年にフリートに追加されたRT6の生産コストは3万ドル(約449万円)程度とされている。自動運転システム込みの価格は不明だが、センサー類は装備しているものと思われる。

少し前まで自動運転車は数千万円が相場とされていたが、量産化と生産技術でイニシャルコスト低減に成功したのだろう。

自動運転タクシー「アポロ・ゴー」の乗車回数は、最新の四半期で100万回弱を達成し、累計800万回を超えたという。

中国自動運転市場のけん引役として、2025年もさらに勢力を拡大しそうだ。

激安!中国で「初乗り料金が4分の1」の自動運転タクシー登場。人気確実か

■GO社長が語る「ライドシェアとの向き合い方」 上場理由の一つに「川鍋会長の影響力排除」(2024年12月10日付)

日本交通系配車プラットフォーマーGOの中島宏社長が、自動運転ラボの単独インタビューに応じた。本格版ライドシェアに対し、タクシー業界と密接に関わる立場とプラットフォーマーとしての立場のはざまでどのような思いを抱いているのか、その胸の内を明かしてくれた。

GOは、日本交通系で配車サービスを手掛けていたJapanTaxiと、DeNAのモビリティ部門を統合して生まれた。中島氏はIT企業のDeNA出身だ。そして、同社会長はライドシェア反対派の筆頭で、日本交通会長の川鍋一朗氏だ。

インタビューでは、ライドシェア反対派の川鍋氏が会長である一方、配車プラットフォーマーとしてはライドシェアが解禁されたほうが明らかに業績が上がる点、仮に解禁された場合の制度の在り方、GOとしてライドシェアへの賛否を表明せず沈黙を貫いている理由などにも言及している。

米国のUber Technologiesなどと異なり、GOはタクシー配車で成長してきた企業だ。つまり、日本交通を抜きに考えてもタクシー業界が絶対的なパートナーなのだ。その一方、テクノロジー企業としての自負もあり、業態を考慮すればライドシェアは本来歓迎すべき立場でもある。

複雑な立場に違いないが、あとは国が業界などの声を踏まえた上でどのような結論を導き出すか――だ。そして、その答えを受けGOがどのように動き出すのか。同社のIPO計画とともに注目したい。

GO社長が語る「ライドシェアとの向き合い方」 上場理由の一つに「川鍋会長の影響力排除」

■ライドシェア完全解禁、「日本人の62%」が不安視 盗撮行為など懸念(2024年12月16日付)

全日本交通運輸産業労働組合協議会が、首都圏在住のタクシー利用者をとした「タクシーとライドシェアに関する1000名意識調査」の報告書をまとめた。

調査によると、タクシー利用者の57.6%がタクシー配車アプリを利用しているという。首都圏では、この数年でついに過半数を超えたようだ。

日本版ライドシェアについては、74.1%が認知していたものの制度理解については34.9%に留まった。制度の特長については、「ドライバーの自家用車利用」は52.9%が知っており、「タクシー会社とドライバーが雇用契約を行い研修を受ける」点については37.1%となった。

法整備が検討されている海外版ライドシェアについては、「利用者として守られていないと感じる」「みんなが安心して利用できると思わない」など6割以上が不安を示したという。

結論が先送りになっている海外版ライドシェアだが、解禁される日は訪れるのか。国の動向に引き続き注視したい。

ライドシェア完全解禁、「日本人の62%」が不安視 盗撮行為など懸念

■ホンダ、自動運転タクシー計画を「白紙撤回」か GM撤退による影響不可避(2024年12月16日付)

GMが自動運転タクシー事業から撤退し、傘下のCruiseには今後出資を行わず自家用車向けのADAS開発に注力すると発表した。GM勢とパートナーを組み、日本国内で自動運転タクシーを実用化する計画だったホンダはどうするのだろうか。

GMは、年間数千億円規模の赤字を垂れ流すCruise事業に見切りをつけた格好だ。累計赤字は1兆円とも言われている。2023年に発生した人身事故をきっかけにカリフォルニア州で自動運転ライセンスが停止され、商用化計画が大きく狂い始めたことも要因と思われる。

ホンダは、GM勢とともに2026年初頭にも東京都内で自動運転タクシーサービスを開始する計画を発表していたが、GM勢が事実上撤退したとなれば状況は大きく変わる。普通に考えれば、ホンダの計画も大幅な変更か、最悪中止を余儀なくされるものと思われる。

日産との統合話も持ち上がったホンダ。2025年はパートナー関係が大きく変わる一年となるのかもしれない。

ホンダ、自動運転タクシー計画を「白紙撤回」か GM撤退による影響不可避

■投資家の期待度「知能化技術(自動運転車など)」が1位 日本市場対象に調査(2024年12月19日付)

スパークス・アセット・マネジメントが発表した「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2024」によると、投資経験者が考える長期的に成長の期待が持てそうだと感じる市場1位は「知能化技術(AI・自動運転車など)」だったという。

「知能化技術」は27.4%で、「先進医療(再生医療・遺伝子治療など)」23.0%、「ロボット工学(家庭用・
産業用ロボットやドローンなど)」22.9%、「環境エネルギー(水素燃料など)」19.7%、「高齢者向けサービス(介護・医療・生活関連など)」18.3%と続いている。

知能化技術は、60・70代、50代、40代、30代の各年代で1位で、20代では2位だった。高齢になるほど知能化技術への期待が高い傾向がうかがえる。

この知能化技術で花を咲かせつつある自動運転分野は、株式市場においてはまだ評価は高くない。先行して上場した開発企業はごく一部だが特に株価は上がっておらず、ある意味お買い得と言える。

一般株主の注目を本格的に集める時期はいつごろ訪れるのか。こうした目線からも市場の動向に注視したいところだ。

投資家の期待度「知能化技術(自動運転車など)」が1位 日本市場対象に調査

■トランプ氏、自動運転車の「事故報告義務」撤廃へ テスラに”恩返し”か(2024年12月19日付)

トランプ次期大統領の政権移行チームが、米道路交通安全局(NHTSA)が実施している自動運転車などへの事故報告義務を撤廃する案を検討していることが報じられた。

報告に係る開発各社の手間を軽減するというのが大義名分のようだが、これを撤廃してしまうと、事故情報の共有化を図ることが難しくなり、第三者による公平な情報も公開されなくなる。道路交通の安全を高める上で有用な情報が出回りにくくなるのだ。

改悪ともとれる検討内容だが、背景にはトランプ氏に急接近したイーロン・マスク氏の影響があるのでは――とする見方が強い。NHTSAの事故統計において、テスラはレベル2(ADAS)部門でダントツの事故報告件数を誇っているためだ。

レベル2はあくまでドライバーに全責任があるため、すべての事故詳細報告を課すのは酷な面もあり、報告内容や手段などに改善の余地はあるのかもしれない。ただ、大統領就任前のこのタイミングで早々に出てくる案件ではないはずだ。

次期政権における自動運転政策は、事実上マスク氏主導のものとなっていくのか。要注目だ。

トランプ氏、自動運転車の「事故報告義務」撤廃へ テスラに”恩返し”か

■GO、”人間の運転手”いらずの「自動運転タクシー」を容認 Google製の車両配車へ(2024年12月21日付)

Waymoと日本交通、GOが手を組み、東京都内で自動運転タクシー実証に乗り出す。Waymoにとっては初の海外進出だ。

2025年初頭にWaymo Driverを搭載したジャガー「I-PACE 」を東京に輸送する。当面は日本交通のドライバーがトレーニングを受けながら手動運転し、自動運転車への理解を深めつつ地図作成などを進めていく。

日本交通は、自動運転による無人化技術でドライバーにかかるコストを低減し、業績を上げることができる。自動運転タクシーは基本的に配車限定のため、配車サービスを手掛けるGOにもプラスに働くことは間違いない。

気になるのは、ドライバー側の反応だ。自動運転タクシーが普及すればおのずと雇用が減少していくためだ。今のところ組合側に大きな反発は見られないものの、自動運転タクシーの実現が目に見える形となれば、態度を固める可能性は考えられる。

自動運転タクシーと従来のタクシーの比率設定など、バランスを図る動きが今後活発化するかもしれず、各団体の動向に引き続き注目したいところだ。

GO、”人間の運転手”いらずの「自動運転タクシー」を容認 Google製の車両配車へ

■【まとめ】2025年は自動運転タクシーや自動運転バスが大きく動き出す年に

WaymoやGM・Cruiseの動きは、日本の自動運転タクシー事業に直接関わるもので、2025年中にその影響が具体化していくことになる。各陣営の動向に引き続き注目したい。

2025年は、レベル4自動運転バスの実用化が大きく加速する一年にもなりそうだ。一般車道における自動運転サービスがいくつサービスインするのか、各所の取り組みを応援したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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