自動運転車、アメリカで「脆弱性」発覚が相次ぐ

2025年5月の10大ニュース



自動運転タクシーサービス事業を手掛けるWaymoやZooxが、相次いでリコールを届け出た。経験豊富なWaymoでさえも、まだまだ脆弱性が散見されるようだ。


今回のリコールは比較的軽微な内容だが、放っておけばそのうち重大事故につながる可能性があるため、早い段階で対応するにこしたことはない。こうした改善はまだまだ続くものと思われる。

実用化の進展とともにさまざまな問題も噴出する過渡期はいつまで続くのか。2025年5月の10大ニュースを振り返っていこう。

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■Googleの自動運転タクシー、荷物を「積み逃げ」!客が180万円の賠償請求(2025年5月2日付)

Waymoの自動運転タクシーにおいて、降車後にトランクを開けることができず荷物を「積み逃げ」される案件が発生したようだ。

タクシーサービス利用後、荷物を取り出そうとアプリを操作したものの、「トランクを開ける」ボタンが消失していた。カスタマーセンターに連絡を取っている間に車両は荷物を載せたまま自動発車し去っていったという。その後もWaymoからの対応はなく、いまだ荷物は行方不明と主張している。


アプリの不具合などは仕方のない点もありそうだが、カスタマーセンター含めた対応にお粗末さを感じる。カスタマーセンターの対応に不満を募らせるトラブル事例もいろいろと報告されているようで、遠隔監視システムでは走行そのもののトラブル以外にまだまだ対応しきれていない感を受ける。

すでに被害届が出され、損害賠償請求がなされているようだが、どのような決着を迎えるのか。注目だ。

■Google、自動運転車の「個人向け販売」を検討(2025年5月7日付)

アルファベット、及びグーグルCEOのスンダー・ピチャイ氏が2025年第1四半期決算発表会において、Waymoが将来個人向けの自動運転車を販売する可能性に言及したそうだ。


米メディアによると、Waymoの長期的ビジネスモデルについて問われたピチャイ氏は「将来的に個人所有向けの自動運転車を販売する可能性がある」と述べたという。

自社ブランドで販売するのか、あるいはOEMと新ブランドを立ち上げるのかなど、その手法は不明だが、実現すれば自家用車市場が一変する可能性がある。OEM各社は地道にレベル3レベル4の開発を進めているが、Waymoが自家用車市場に参入すれば、各メーカーのこれまでの取り組みは水の泡となりかねないほど技術と実績に差が生じているためだ。

逆に言えば、自社オリジナルの自動運転開発を諦めWaymoに託することで、画一的ではあるものの自動運転技術を展開することが可能になるかもしれない。

Mobileyeも自家用車向けの自動運転ソリューションに力を入れており、その技術水準はOEMを凌ぐと言われている。メーカー各社はプライドと独立性を重視し自社開発により力を入れていくのか、餅は餅屋として自動運転開発企業とのパートナーシップを深めていくのか。近い将来、各社はこの選択を迫られることになるのかもしれない。

【参考】詳しくは「Google、自動運転車の「個人向け販売」を検討」を参照。

■空きタクシーを「ライドシェア」で活用!宗像市で取り組みスタート(2025年5月10日付)

独自のライドシェアサービスで公共交通の不足を補う日本。福岡県宗像市では、遊休タクシー車両を活用した公共ライドシェアサービスの実証が始まった。

この取り組みは、日本版ライドシェアではなく自家用有償旅客運送、通称公共ライドシェアに分類されるもので、プロドライバー不足により余っているタクシー車両を有効活用し、講習を受けた一般ドライバーが移動サービスを提供する。

タクシー事業者の収入や一般ドライバーの報酬などは不明だが、きちんと整備されたタクシー車両を使うことで一定の安全性を担保できるため、地方における一手段としては面白い取り組みかもしれない。

本格版ライドシェアが遠のきつつある日本だが、日本版・公共ライドシェアが今後どのように進化していくのか。そして10年後にどのような事業形態・規模になっているのか。今後の動向に注目したい。

■Googleの自動運転車、歩行者との事故「92%減少」(2025年5月12日付)

Waymoが自動運転の安全性に係る最新の研究成果を発表した。人間のドライバーを比較すると、Waymoの自動運転システムは対歩行者における負傷事故を92%減少することができることが判明したという。

Waymo Driverは、歩行者の場合92%、自転車やバイク利用者の場合82%、けがを伴う事故を削減できるという。また、交差点におけるけがを伴う事故も96%減少したとしている。

認識・判断能力に優劣はあるものの、自動運転車は基本的に制限速度などの道路交通ルールを順守する。それゆえ、大半の人間が何らかの交通違反を起こしながら走行している一般ドライバーと比較すると、相対的に安全――と言える。

今後、各社が本格的に自動運転サービスを展開することになるが、現時点では各社が独自形式でセーフティレポートを発行しているため、自車の安全性をピーアールする素材でしかない。共通基準により安全性を比較・検証可能な環境が望まれるところだ。

■トヨタWoven City、自動運転式の「移動カフェ」展開か(2025年5月12日付)

今秋にも始動するトヨタのWoven City。新たなティザー画像には、カフェ仕様のe-Paletteが写し出されている。「UCC」の文字も確認でき、近い将来自動運転型の「移動UCCカフェ」が展開される可能性なども想起される。

いまいち実証に向けた動きが見えてこないWoven Cityだが、2025年1月時点でダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、増進会ホールディングスの5社が実証パートナー「Inventors」に決定している。

各社は自社事業とモビリティをどのように結びつけ、可能性を広げていくのか。期待が高まるところだが、一般社会では取り組みづらい尖った実証もWoven Cityであれば可能と言える。常識にとららわれない未来に向けた発想を形にする場として、先進的な技術・発想がどんどん集結し、化学反応を次々と起こしていくような実証都市となることに期待したい。

■テスラ、「ロボタクシー」の商標登録に失敗 米特許庁「一般的すぎ」(2025年5月13日付)

テスラによる「Robotaxi(ロボタクシー)」の商標登録申請が、米特許商標庁(USPTO)に却下されたようだ。あまりにも一般的過ぎることが理由という。

この5年、10年でロボタクシーという言葉はスタンダード化しており、さすがに無理があるだろう。Cybercabは一考の余地がありそうだが、Cyberという類似語は他社が取得済みのため却下されたようだ。

興味深いのは、日本における商標登録だ。日本では「ロボタクシー」という商標がディー・エヌ・エーによって2015~2016年に登録済みだ。先見の明と言うべきか、当時はまだロボタクシーは実用化されておらず、通りやすかったのかもしれない。

テスラも2025年4月、日本でロボタクシーを出願しており、現在審査待ちとなっているが、さすがに……としか言えない状況だ。

新たな時代を切り拓こうとするテスラ。Autopilotなど既存の言葉に頼ることなく、新語を生み出して定着させるくらいの気構えで臨んでほしいところだ。

■Amazonの自動運転車、「真横からの接近」に脆弱性 270台リコール(2025年5月15日付)

オリジナルの自動運転タクシー開発を進めるZooxが、NHTSAにリコールを届け出た。3月のリコールに続き、5月は2回リコールを実施している。

3月のリコールは、Zooxの後付け試験車両がブレーキをかけた後にバイクに追突された案件だ。周囲の自転車やバイクがZoox車に隣接、あるいはやや後方に位置する場合に、過剰反応により不必要にブレーキを踏む可能性があったという。

5月の一つ目のリコールは、横方向から車線に進入してきた車両に対する不正確な予測に基づく案件だ。走行中のZoox車の車線前方に他の車両が急に進入した際、Zoox車はその車両が車線上を前進すると予測し減速しながら右に操舵したが、その車両はさらに路肩に進入して停車したため、ブレーキが間に合わず追突したという。前方車両の挙動予測を見誤った形だ。

5月二つ目のリコールは、Zooxロボタクシーが低速で右左折中、交差点で優先権を譲るためにブレーキをかけた電動スクーターに衝突されたという。接触時にZoox車は停止していたという。いまいち状況がわかりづらいが、Zooxは認識追跡機能を向上させ、脆弱な道路利用者が車両の近くにいる可能性がある場合の安全性向上に向けたソフトウェアアップデートをすでに実施したとしている。

立て続けのリコールとなっているが、Zooxは積極的にリコールを実施することで脆弱性を隠すことなく改善を重ねていく姿勢のようだ。他社であれば、ギリギリまで公表・リコールを行わず通常時のアップデートでさりげなく改善を図るケースも含まれそうだ。

■タイムズ、自動運転タクシーの「待機需要」で急成長か(2025年5月16日付)

自動運転タクシーの本格展開には、待機場所となる駐車場が必須――といった主旨の記事だ。近い将来、自動運転タクシー運用事業者による駐車場獲得合戦が東京都内でも繰り広げられることになるかもしれない。

自動運転タクシーは手動運転の従来タクシーと異なり、営業時間中の居場所がない。タクシープールに停まることはできず、流し営業もできないためだ。駐停車可能な場所を探さなければならないが、そういった場所には大概先客が存在する。

5分程度の空き時間であればちょっと走行していればすぐに配車依頼が入るが、10分、20分となると待機場所が必要になる。しかも、運行エリア内において迅速に配車依頼に応えるためには、バランスよくエリア内を網羅するように待機場所を設ける必要がある。充電設備も設置できることが望ましい。

こうした待機場所確保に向けた動きは、サンフランシスコですでに顕在化している。将来、東京都内でも同様の動きが出てきてもおかしくはなさそうだ。

■デジタル大臣、自動運転車で「日本製優遇」を示唆 トヨタ有利に?(2025年5月17日付)

平将明デジタル大臣が渡米し、サンフランシスコでWaymoの自動運転タクシーを体験したようだ。日本導入に向けた準備が進められる中、大臣は何を思ったのか。

日経新聞などによると、平氏は国内実装に向け規制改革に意欲を示す一方、デジタル赤字の問題や日本の道路事情などを背景に、日本製の車両が向いている点や、運営主体も日本企業が担うことが望ましい旨発言したという。

車両のサイズ感などは、確かに日本の道路に適したものが望ましいだろう。デジタル赤字に関しては現時点で何とも言えないが、国内市場が席巻される可能性も視野に入れれば、将来こうした問題も浮上するのかもしれない。

日本勢にとっては追い風とも言える。Waymoがこれまで採用したメーカーはクライスラーとジャガーで、次はヒョンデとなる見込みだが、トヨタとも提携を結んだ関係から、日本ではトヨタ製EVを導入する可能性が高まるかもしれない。

自動運転システム開発面で競合するティアフォー然り、日本勢の動向にも注目したいところだ。

■Googleの自動運転車に「3つ目の脆弱性」 1,200台のリコール(2025年5月19日付)

Waymoが新たなリコールを実施した。対象は2024年11月のソフトウェアリリース以前の第5世代自動運転システムのソフトウェアで、1,200台超に上る。

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)によると、2022年12月から2024年5月までの間に、特定の状況においてWaymo車がチェーンやゲートに衝突する事故が7件報告されているという。これを受け調査を開始し、2024年12月までに9件の追加情報も確認された。負傷者は出ていない。この結果を受け、Waymoはソフトウェアアップデートによるリコールを実施した。

週に15万回超のライドを提供していることを踏まえると軽微な案件と言えなくもないが、世界をリードするWaymoと言えどこうした不具合がまだ残されているのだ。地道かつ誠実に対応し、信頼性を損ねることなく着実に安全性を高めていってほしい。

■【まとめ】リコールの性質が変わってくる?

自動運転車のリコールに関しては、重大なものとそうでないものが存在することにも注意が必要だ。NHTSAが調査に着手する案件もあれば、NHTSAの意向に関わらず自主的に届け出るケースもある。

多くを占めるソフトウェア関連の不具合はソフトウェアアップデートで改善できるため、NHTSAの目に留まらなければリコールを届け出ることなく改善することもできる。既存車におけるリコールとは性質・イメージが異なっているのだ。

ただ、現時点では不具合の内容を公開・共有した方が業界全体の発展に寄与することは言うまでもない。各社の姿勢が問われる領域だが、だからこそ公権力で報告などを義務付けしなければならないのかもしれない。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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