【2024/11の10大ニュース】イーロン効果でトランプ政権が自動運転推進か

Amazon傘下Zooxはローンチ間近に

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出典:トランプ氏公式X(https://x.com/realDonaldTrump/status/1852569802725900547/photo/1)/イーロン・マスク氏公式X(https://x.com/elonmusk/status/1855152953944162426/photo/1)

米大統領選でドナルド・トランプ氏が圧勝し、返り咲きを果たすこととなった。バイデン政権の何を踏襲し、何を変えていくのか。影響が大きいだけにその施策に世界の注目が集まっている。

自動運転関連では、連邦政府として規制の統一や緩和を推進していく方針が報じられた。トランプ支持に回ったイーロン・マスク氏へ早速恩返しか?――といった見方もあるようだ。今後、マスク氏から要望が出される可能性もあり、マスク氏主導の自動運転施策が米国を変えていく可能性もありそうだ。

2024年11月の10大ニュースを一つずつ振り返っていこう。

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■自動運転中のテスラ、「減速せずに」シカに激突(2024年11月2日付)

SNS「X」に衝撃の動画が公開された。FSD作動中のテスラ車が鹿に衝突したもので、衝突後もクルマは停止せず走行し続けたという。

映像を見ると、片側2車線で街灯の少ない暗い道路を走行中、20~30メートル先くらいだろうか、いきなり道路上に鹿が登場する。テスラ車はそのまま減速することなく衝突したようだ。

カメラ映像を見る限り道路などの背景と鹿のコントラストが低く、「これは発見が遅れても仕方がない」といった意見も散見されるほどいきなり鹿が現れたような印象だが、遠くの前走車両が左車線からウィンカーを出して右車線に入る様子も映っており、前走車両は鹿を認知していた可能性もある。

実際の現場の状況を見ないと何とも言えないが、FSDが鹿を認識できなかったのは事実で、衝突後も走行し続けようとした点も気になるところだ。

LiDARの類であれば恐らく認識できたものと思われる。AIとカメラにこだわるテスラの心意気は否定するものではないが、現実問題として人間の眼で認識しづらいものにどのように対応していくかは大きな課題と言えそうだ。

【参考】詳しくは「自動運転中のテスラ、「減速せずに」シカに激突」を参照。

自動運転中のテスラ、「減速せずに」シカに激突

■ホンダ出資先、自動運転事業「失敗」で巨額赤字3,300億円 米Cruiseが苦境(2024年11月5日付)

GM傘下Cruiseの2024年第3四半期決算は、4億3,500万ドル(約670億円)の赤字となったようだ。第1〜3四半期累計では21億9,600万ドル(約3,300億円)の赤字で、前年度とほぼ同じ水準だ。

2024年は有料サービスを完全に停止しており、その影響が懸念されるところだが、サービス停止に伴うコスト減などと相殺されているようだ。つまり、有料の自動運転サービスそのものはまだまだ利益を上げる段階にないとも言える。

Cruiseは無人サービス復帰に向け実証を再開しているが、まだまだ体力勝負は続く見込みで、GMは今後どこまで許容できるのか。また、Cruiseに出資し、パートナーシップを結ぶホンダはこうした状況をどのように捉えているのか。

開発断念もない話ではないが、さすがにここまで来て――という感が強い。各社の戦略と思惑がどのように交差し、新たな道を切り拓いていくのか注目が集まるところだ。

ホンダ出資先、自動運転事業「失敗」で巨額赤字3,300億円 米Cruiseが苦境

■中国企業、日本で「自動運転車の工場」建設 年産1万台へ、年内開業(2024年11月6日付)

自動運転開発などを手掛ける中国PIX Movingの日本法人とTISが動き出した。両社は、MaaS用自動運転EVやロボットの開発・製造を担う合弁「ピクセルインテリジェンス(PIX JV)」と、組立工場を日本国内に設立する。

PIX社は、スケートボード型のEVシャシーやMaaS用ロボット、自動運転バス「RoboBus」、有人運転EV商用車の開発・製造などを手掛けるスタートアップで、TISと2022年に資本・業務提携を交わしている。

スケートボード型シャシーは、汎用性の高いモジュールとしてレストランや小売店、フィットネスジム、ホテル、カフェなどさまざまな機能・サービスを搭載した「移動空間」をコンセプトに据えている。

こうした応用力・汎用性の高いロボットなどの製造を国内で行い、どのようにビジネス拡大を図っていくのか、新たな動きに要注目だ。

中国企業、日本で「自動運転車の工場」建設 年産1万台へ、年内開業

■Googleの自動運転部門、時価総額が「ホンダ級」に!評価額6.8兆円規模(2024年11月7日付)

Waymoが3回目の資金調達を実施した。調達額は累計111億ドル(約1兆6,800億円)に達し、同社の企業価値は450億ドル(約6兆8600億円)以上と評価されたようだ。

この6兆8600億円という評価額は、世界の自動車メーカートップ10に迫る値だ。1位のテスラ約118兆円、2位のトヨタ約41兆円と続き、10位がフォルクスワーゲンの約7兆5,000億円となっている。事業規模やその中身と連動するわけではないが、時価総額では自動車メーカーと遜色のない位置に達しているのだ。

今しばらくはサービス拡大と開発フェーズが続くものと思われるが、将来的にどこまでの事業展開を考えているのか。自動運転システムをライセンス化し、直営以外の展開も考えているのか。自動運転技術のパイオニアは、今後黒字を見据えたビジネス展開の面でも注目を集めていくものと思われる。

グーグル陣営の動向から目が離せないところだ。

Googleの自動運転部門、時価総額が「ホンダ級」に!評価額6.8兆円規模

■Amazon、自動運転タクシーを「数週間以内」に展開へ Googleのライバルに(2024年11月8日付)

アマゾン傘下ZooxのCTOが、今後数週間以内に自動運転タクシー専用車両の配備の準備が整うと発言したようだ。Waymo、Cruise(お休み中)に次ぐ実用化となるか、注目の動きだ。

当初計画では、2025年にラスベガスで早期利用者向けの「Zoox Explorers」プログラムを開始するとしている。今後一年間で走行エリアを大きく拡大し、2026年には車両の量産化にも本格着手する。カリフォルニア州フォスターシティとサンフランシスコでも数十台規模のフリート導入を計画している。

同社の自動運転タクシーはハンドルなどを備えないサービス専用設計で、自家用車ベース以外の自動運転タクシーとしては世界初となる見込みで、この点にも注目が集まるところだ。

また、親会社のアマゾンが今後同サービスを自社事業にどのように生かしていくかもポイントだ。クラウドやデータ活用を軸にするのか、とん挫した宅配ロボットに代わる無人宅配を考えているのか――など、その動向にも注目したい。

Amazon、自動運転タクシーを「数週間以内」に展開へ Googleのライバルに

■自動運転OS開発のティアフォー、売上2.5倍に!「赤字37億円」はどこまで改善?(2024年11月9日付)

ティアフォーの売上高が着実に伸びているようだ。加藤真平CEOが発した速報によると、最新決算(2023年10月〜2024年9月)における売上が前年度比2.5倍になったという。

ティアフォーは2023年度あたりからレベル4車両の量産化やサービス実用化に向けた取り組みを大きく加速しており、開発キットなどのソリューション展開にも力を入れている。

2024年には、資本業務提携を交わしたいすずが60億円をティアフォーに出資したほか、金額は不明だが三菱商事、スズキも出資を行っている。資金調達シリーズBでは、総額207億円を調達した。

単年度黒字化はまだ先かもしれないが、事業がしっかりと回っている感が強い。開発フェーズは続くものの、並行して事業化フェーズに突入したのだ。

2024年10月には、長野県塩尻市の一般道で自動運行装置「AIパイロット」がレベル4認可を受けたことを発表している。2025年中には国内複数カ所でレベル4サービスがローンチされる可能性が高い。国産自動運転システムが躍動する一年となることに期待大だ。

自動運転OS開発のティアフォー、売上2.5倍に!「赤字37億円」はどこまで改善?

■中国企業、トヨタ・レクサスを「自動運転タクシー」に改造(2024年11月11日付)

自動運転戦略をいまいち明確にしないトヨタだが、自動運転開発を手掛ける各パートナー企業は盛り上がりを見せているようだ。

米ナスダック上場を間近に控えた中国Pony.aiは、2023年にレベル4量産化に向けトヨタの中国法人と合弁を設立した。サウジアラビアや韓国でも合弁設立が進んでおり、中国内外での活躍が見込まれる。

同社の自動運転タクシーには、2023年時点で約200台のトヨタ・レクサスブランドが導入されている。Autono-MaaSモデル「シエナ」の導入も進められている。

こうした動きは他のパートナー企業も同様で、May MobilityやAurora Innovationなどもシエナの導入を進めている。

こうした協業を通じ、トヨタは自動運転車に求められる機能や仕様のノウハウを吸収しているものと思われるが、技術面でも収穫があるのかどうかが気になるところだ。自動運転に関する各社の技術を習得することができれば、トヨタの自動運転戦略は一気に開花し、先行する他メーカーを一気に追い上げることができるかもしれない。トヨタを中心とした各社の動向に注目したい。

中国企業、トヨタ・レクサスを「自動運転タクシー」に改造

■Googleの自動運転タクシー、目的地まで「2倍の所要時間」 ライドシェアと比較(2024年11月13日付)

Waymoのロボタクシーとライドシェアサービスを比較したForbesの調査によると、Waymoのタクシーはライドシェアよりも所要時間が長く、料金も高めであることが明らかになったという。

調査によると、Waymoの平均運賃37.64ドルに対し、ライドシェアのUberは28.3ドル、Lyftは27.99ドルだったという。所要時間に関しては、ピックアップまでの平均時間がWaymo7.2分に対し、ライドシェアの平均は3.4分だった。到着までの平均時間もWaymo33分、ライドシェア平均15分と半分以下となっている。

一般的に、通常のタクシーと比べライドシェアの方が料金が安いため、通常のタクシーと比較すればWaymoが特段高いわけではない気もする。ただ、乗降時にスポットまで歩かなければならないこともあり、人間による運転に比べれば走行も慎重で所要時間は長くなりがちだろう。

メリットとしては、車内はパーソナル空間となり、ドライバーに左右されない一律のドライビングテクニックが提供されることだ。

将来的には、料金も所要時間もその差は縮まっていく可能性が高く、料金に関しては格安になることも想定される。過渡期はまだまだ続くが、運賃や所要時間にスポットを当てると現状の技術やサービス水準がうかがえるため、今後こうした比較を目にする機会が増えるのかもしれない。

Googleの自動運転タクシー、目的地まで「2倍の所要時間」 ライドシェアと比較

■米加州、自動運転車の事故の「報告義務」強化!トラブル続出で(2024年11月16日付)

カリフォルニア州公益事業委員会 (CPUC)が、自動運転車の報告要件を強化し、自動運転サービス運営者の安全性と説明責任の確保に向けた取り組みを強化した。

CPUC は新たに「停止イベント」を定義し、事故の有無に限らず運行中の自動運転車が停止したインシデントの報告も義務付ける。サービス中断による乗客と公共の安全への影響を可視化し、理解向上や正確なデータ分析に役立てていく狙いのようだ。

事業者は今後、違反切符や停止イベントを含む衝突インシデントと非衝突インシデントの両方を記録した詳細なインシデント報告を提供しなければならない。また、衝突を伴う事故は発生後 1 日以内に CPUC と米国道路交通安全局(NHTSA)に同時に報告書を提出する義務も設けた。

カリフォルニア州では、Cruiseが人身事故によりサービス停止措置となっているほか、サービス拡大を進めるWaymoの非衝突インシデントも増加傾向にある。今後他社の参入も見込まれており、安全強化に向け先手を打った形だ。

米加州、自動運転車の事故の「報告義務」強化!トラブル続出で

■トランプ氏、自動運転車の「規制緩和」示唆 テスラに恩返しか(2024年11月25日付)

大統領に返り咲く見込みのトランプ氏が、自動運転に関する連邦国家としての規制緩和を考えているようだ。

現状、米国では州ごとに自動運転に関する規制を制定・運用しており、広域展開を目指す開発事業者の足かせとなっている。トランプ氏は連邦議会で統一的規制を制定し、各州の運用をスムーズに行えるよう改善するほか、自動運転車の導入台数制限の緩和なども検討しているようだ。

背景には、トランプ氏に急接近したイーロン・マスク氏の影響があるのかもしれない。テスラの自家用車における自動運転は基本的にODD(運行設計領域)を設けない戦略で、各州をまたぐ形での運用を視野に収めている。これを実現するには、連邦政府としての統一ルールが欠かせない。

最終的にどのような形となるかは何とも言えない状況だが、実用化に向けた手続きが何らかの形で簡素化される可能性が高い。

中国勢が猛追する中、トランプ×マスクが自動運転大国としての米国の地位を改めて確立していくことができるか、要注目だ。

トランプ氏、自動運転車の「規制緩和」示唆 テスラに恩返しか

■【まとめ】米国も日本国内にも新風が巻き起こる?

米国では、着実にステップアップするWaymoに、Zooxやテスラといった新参組が今後加わってくる。トランプ政権とベクトルが一致すれば、自動運転業界に新風が吹き、空気が一変するかもしれない。

国内では、ティアフォーが勢いを増している感が強い。一般車道におけるレベル4サービス展開も目前に迫っているものと思われ、米国同様国内も大きな盛り上がりを見せるかもしれない。

2024年を締めくくる12月の動向にも引き続き注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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