自動運転業界のスタートアップ一覧(2024年最新版)

研究開発、実用化、そして商用化の段階へ



出典:WeRide公式サイト

AI(人工知能)やセンサーをはじめとした最新技術が結集する自動運転業界。新進気鋭のスタートアップも次々と登場し、業界を賑わせている。

この記事では、CASE(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング・サービス、E=電動化)のうち、自動運転技術に直結する技術を持った国内外の注目のスタートアップを、最新情報をもとに紹介する。


なお、WaymoCruiseLuminar、Didi Chuxingなど、すでに一定の規模で商用サービスを展開している企業や上場している企業、自動運転とは別に大規模に事業を展開している企業も、自動運転業界においてスタートアップ企業に分類されることもあるが、この記事では主に創業から間もない企業や事業規模がまだ小さめの企業などに焦点を当てて紹介する。

<記事の更新情報>
・2024年3月4日:日本のスタートアップ企業としてTuringを追加
・2021年2月23日:記事初稿を公開

■日本
ティアフォー(自動運転システム)

国内自動運転開発の代名詞的存在となりつつあるティアフォー。2015年の創業以来「自動運転の民主化」を掲げ、オープンソースの自動運転OS「Autoware(オートウェア)」の開発や普及に力を注いでいる。

自動運転実証数は国内トップクラスで、海外でもオートウェアを導入する動きが高まっている。米シリコンバレーに拠点を新設し、世界展開も加速させている。



先進モビリティ(自動運転システム)

2014年設立の東京大学発スタートアップ。車両用自動運転システムの開発や製造、運用サポートなどを手掛けている。GPSや磁気マーカーを活用した車両の位置推定技術や各種センシング技術、制御技術、運行管制制御などを組み合わせ、冗長性のある自動運転システム・車両を構築している。トラックの隊列走行や自動運転バスなどの実証経験も豊富だ。

WHILL(自動運転システム)

2012年設立のWHILLは、電動車いすを中心に近距離移動を担うパーソナルモビリティの開発を手掛けている。2019年に自動運転システムを発表し、衝突回避機能や自動返却機能などを備えた自動運転車いすの社会実装を進めている。

自動運転車いすは空港や病院などで積極的に実証を重ねており、独自開発した自動運転モデルと複数の機体を管理・運用するシステムはすでに実用化域に達している。北米や欧州、中国などに現地法人を設立するなど、早くから海外展開を視野に入れている。

日本モビリティ(自動運転システム)

群馬大学発の自動運転スタートアップとして2020年7月に創業。同大学の取り組みとして培ってきた各種公道実証や研究の実績を生かし、次世代モビリティに関する技術開発や設計をはじめ、導入や街づくりに向けたコンサルタント事業、実証実験コーディネートなど、自動運転技術の社会実装を見据えた事業を手掛ける。

2020年には、三重県桑名市や岐阜県関市、愛知県自動運転社会実装プロジェクト推進事業、埼玉高速鉄道などとともにプロジェクトに取り組んでいる。官学民連携のもと、今後も各地で活躍する機会が増加しそうだ。

Preferred Networks(AI)

2014年設立。AI深層学習技術を武器に自動運転をはじめとするさまざまな分野でイノベーションの実現を目指している。国内自動運転関連スタートアップの中では企業価値トップのユニコーンとしても知られている。

その実力を裏付けるように、創業以来、NTTとの資本・業務提携やパナソニックとの事業提携をはじめ、米マイクロソフトやインテルともディープラーニング開発で協業するなど大型提携が相次いでいる。

自動運転関連では特にトヨタとの関係が深く、2014年に物体認識技術や車両情報解析などの共同研究を開始して以来、サービスロボットの共同開発など広範にわたる研究を進めているようだ。

Turing(車両開発)

Turingは「We Overtake Tesla」をミッションとして掲げ、完全自動運転EVの開発を目指している日本のスタートアップだ。

2030年には完成車メーカーとなり、完全自動運転EVを1万台製造することを目標として公表している。ロードマップとしては2025年に100台の納車を完了させ、2027年に量産をスタートする予定だという。

共同創業者の山本一成CEOは、名人を倒した将棋プログラムPonanzaの作者で、もう1人の共同創業者はCTOの青木俊介氏。

AISing(AI)

2016年設立。独自開発したAIアルゴリズム「DBT(Deep Binary Tree)」を武器に、自動運転やファクトリー・オートメーションなどさまざまな産業領域においてエッジデバイスへのAI実装を進めている。

2020年には、資金調達Bラウンドで総額7億円の資金調達を実施したほか、エッジAIアルゴリズムに特化した専門開発チームの発足や、DBTにおいて自動車や家電への搭載を可能にする超軽量化技術の特許を取得したことを発表するなど、エッジAIによる第4次産業革命に向け事業を加速させている印象だ。

アセントロボティクス(AI)

産業用ロボットや自律移動ロボットに向けたインテリジェントソリューションを開発する2016年創業のAIスタートアップ。モビリティ分野では、多様なデータやシナリオをシミュレーション技術で生成することによってAI学習を正確かつ効果的・効率的に実現し、ロバスト性を担保する。

Idein(AI)

高度なAI分析を使用するIoTシステムを構築可能なエッジコンピューティング向けのPaaS(Platform as a Service)開発などを手掛ける、2015年設立のスタートアップ。

ドライバーモニタリングシステムなどの画像認識系の製品開発において技術協力を行っていたアイシン精機と2018年に資本業務提携を交わし、モビリティ領域においても本格的な事業展開を図っている。

2020年8月には、事業拡大に向けアイシンやKDDIなどから20億円の資金調達を実施したと発表している。

コーピー(AI)

2017年設立の東京大学発スタートアップで、AIによる判断・出力を説明可能にする技術「XAI」や、AIシステムに特化した新たな品質検証技術や品質保証プロセスを確立する技術「QAAI」などの先端AI技術の研究開発に取り組んでいる。

モビリティ分野では、トヨタやアイシン精機、マクニカ、米NVIDIAなどをパートナーに、車載カメラを用いた各種認識システムや学習用画像自動生成システムの開発など、自動運転社会の実現に向けたマルチモーダル学習の研究開発を進めている。

サイバーコア(AI)

2007年設立の岩手大学発ベンチャー。画像処理や画像認識、AIにおけるアカデミックレベルの最先端技術をオーダーメイドで提供している。

画像認識では、AIソリューションとエッジコンピューティングを組み合わせ、テーマに沿ったAIシステムを開発可能で、組み込み段階まで一貫したソリューションを提供できる。画像鮮明化ライブラリ「LuxEye」など独自技術も保有しており、センサーの画像解析領域などで活躍が期待される。

アラヤ(AI)

2013年設立で、ディープラーニングやエッジAI、自律AIといったAIアルゴリズム・プロダクト開発を手掛けている。2020年2月には、建設機械などの自動化を実現するAI開発について発表した。

精度はほぼそのままにAIを最大16分の1まで圧縮・演算量を削減する独自の特許技術を有しており、エッジデバイス上の小さなチップで効果的にAIを動かすことができるという。自動運転車に必要不可欠な技術として、今後の躍進に期待が寄せられる。

AZAPA(AI)

2008年設立。センシングにおける制御技術やデータ通信制御、セキュリティ対策など幅広い領域の技術を有しており、モデルベーステクノロジーを基盤にTier0.5プレイヤーとしてシステム領域でのソリューションを提供している。

自動運転や革新的なセンサー開発、制御開発を目的に2人乗りEVを開発しているほか、関連会社のAZAPAエンジニアリングは次世代モビリティ向けECUや自転車向けADASなども開発しており、自動運転分野においても開発各社を縁の下でサポートする。

ITD lab(センサー)

2016年設立の東京工業大学発のスタートアップで、高性能ステレオカメラの開発・製品化を手掛けている。

同社のステレオカメラは、物体の輪郭をクリアに抽出し、LiDARと比較しても距離データの密度が圧倒的に高いのが特徴。距離データの補正などを行うキャリブレーションも完全自動で行うことができる。

自動運転で目の役割を担うセンサーではLiDARに注目が集まりがちだが、カメラはベースとなるセンサーとして大きな役割を担っている。各種ロボットなどにも広く活用でき、まだまだ伸びしろのある開発領域だ。

TRUST SMITH(AI)

2019年設立の東京大学発スタートアップ。自動走行可能な搬送ロボットやフォークリフトなど、AI技術でファクトリー・オートメーションを推進するさまざまなプロダクトをすでに開発している。

2020年11月には、トレーラーの自動運転開発を開始したことを発表したほか、12月には、AI・ロボティクスの先端技術を活用した自動運転車による事業自動化コンサルティングを行う関連企業「SMITH & MOTORS」の設立も発表している。

【参考】関連記事としては「自動運転車で工場自動化支援!東大発TRUST SMITHが新会社設立」も参照。

■中国
AutoX(自動運転システム)

2016年創業で、中国と米カリフォルニア州を拠点に自動運転タクシーの実用化を進めている。中国ではいち早くドライバー不在の自動運転車の公道走行許可を取得し、2020年12月に無人自動運転タクシーのトライアルに着手している。

自動運転システムはハードとソフトを一体設計するフルスタックソリューションで、FCAをはじめ米フォード、中国のBYD、長城汽車、東風汽車、奇瑞汽車、上海汽車など15車種以上のプラットフォームに搭載可能としており、各社と量産化を見越した開発や協業を進めているようだ。

Pony.ai(自動運転システム)

2016年創業で、中国と米カリフォルニア州を拠点に自動運転タクシーの開発を進めている。2018年に広州で自動運転タクシーのフリートを立ち上げ、中国で初めて自動運転車を一般に公開した。現在、北京と広州、カリフォルニア州のシリコンバレーとアーバインでパイロットプログラムを展開している。

2019年には、トヨタ、ヒュンダイ、広州汽車とそれぞれパートナーシップを結んでおり、トヨタからは4億ドルが出資されている。今後のトヨタとのかかわりについても注目だ。

WeRide(自動運転システム)

2017年設立で、中国・広州や米カリフォルニア州などに拠点を設けている。2019年に広州のタクシー事業者と連携し、一般乗客を対象にした自動運転タクシーのパイロットプログラムを開始している。

資金調達Aラウンドでは、ルノー・日産・三菱アライアンスのベンチャーキャピタルが主導しており、資金面に加え技術面でも戦略的提携を交わしている。今後、本格的な実用化段階を迎えた際の各陣営の動向に注目したい。

【参考】関連記事としては「公道では中国初!WeRide、「完全無人」の自動運転実証を開始」も参照。

MOMENTA(自動運転システム)

AI技術を武器に自動運転システム開発を進める2016年創業のソフトウェアアルゴリズムプロバイダー。自動運転システム「Mpilot」の製品化を進めるとともに、2020年には自ら江蘇省で自動運転タクシーの公道試験を開始している。

これまでにダイムラーなどから資金調達を実施しているほか、2020年3月にはトヨタとの提携を発表している。自動地図生成プラットフォーム「AMP」の中国での活用などの面で協業していく方針だ。

DeepRoute.ai(自動運転システム)

2019年創業の新進気鋭のスタートアップ。一部では内紛により業務停止中のRoadStar.aiの創業者が関わっていると報じられているが、同年中に武漢市で100台規模の自動運転タクシーの実証に着手するなど、異例のスピードで実用化を進めている。

吉利汽車とのパートナーシップのもと、2022年に杭州で開催予定のアジア競技大会の会場に同社の自動運転車が配備される計画で、大きな注目を集めそうだ。

Hesai Photonics Technology(センサー)

2013年創業のLiDAR開発スタートアップ。これまでにボッシュやバイドゥなどから資金調達を実施しており、メカニカルLiDARやソリッドステート式LiDARをはじめ、オールインワンのセンシングキットなどを製品化している。

米Velodyneとグローバル特許クロスライセンス契約を結ぶなど技術的評価は高く、同社によると、同社製LiDARはすでに上汽集団やWeRide、AutoX、米Lyft、米Nuro、仏Navyaなどに採用されているという。

Innovusion(センサー)

自動運転レベル4、5向けのLiDARセンサーシステム開発を手掛けるスタートアップ。百度で自動運転ユニットの責任者を務めていたエンジニアらが2016年に設立した。

これまでに280メートル先を検知可能なジャガーシリーズなどを製品化しているほか、2020年には、250メートル先のわずかな反射率を持つ暗いオブジェクトも検知できる最新のLiDAR「Falcon」のサンプル出荷を開始している。

2021年1月には、中国EVメーカーNIOと提携を交わし、同社の最新EVにFalconが搭載されることを発表している。

PerceptIn(自動運転システム)

2016年創業の自動運転開発を手掛ける香港スタートアップ。小型低速車両の自動運転システムに軸を置いた開発を進めており、LiDARを用いずビジュアルSLAMベースのセンサーフュージョン技術を活用したフルスタックソリューションを提供している。

2019年に日本法人を立ち上げ、国土交通省の「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」事業をはじめ浜松市や福岡市などの実証で採用されている。

Horizon Robotics(半導体)

2015年創業のAIチップ開発を手掛ける半導体スタートアップ。AIプロセッサの分野で活躍しており、開発パートナーには中国勢のほかアウディやボッシュ、コンチネンタルなどが名を連ねている。

自動運転向けのエッジAIプロセッサ「Horizon Robotics Journey」やロボットモビリティなどに適した「Horizon Robotics Matrix」、高精度地図向けの「Horizon Robotics NaviNet」、スマートコックピット向けの「Horizon Robotics Halo」などを製品化している。

【参考】関連記事としては「自動運転向けAIチップ開発のHorizon、2021年中に上場へ」も参照。

Autowise.ai(自動運転システム)

無人の衛生技術サービスプロバイダーとして、自動運転清掃車に特化した開発を手掛ける2017年創業のスタートアップ。2018年に世界初の無人クリーンフリートを実現している。

市街地の道路や高速道路をはじめ、イベント会場などの閉鎖空間・半閉鎖空間などでも活用可能で、すでに世界の数十の都市で導入されているという。

アメリカ
Quanergy Systems(センサー)

2012年創業のLiDAR開発スタートアップ。高性能3D-LiDARセンサーとAIを利用した知覚ソフトウェアを提供している。

自動運転向けには、業界で唯一という100%CMOSソリッドステートLiDARセンサー「S3」などを製品化している。自動運転をはじめ、マッピング、スマートシティ、セキュリティ、ファクトリーなど使用用途に合わせたアプリケーションも用意している。

2020年11月には、従来LiDAR製品の7.5倍の解像度と1.3倍の検出精度を備えたM8プライム3D-LiDARセンサーを新たに発表している。

Nuro(自動運転システム)

ソフトバンクが出資する、2016年設立の配送向け自動運転車の開発スタートアップ。人の移動を担う自動運転車と仕様が異なるが、同社の配送ロボットR2は米道路交通安全局(NHTSA)から公道走行許可を取得し、2020年12月には米カリフォルニア州当局からも自動運転車の商用展開に関する認可を取得している。

2020年11月には、5億ドルの資金調達Cラウンドを発表した。Domino、Walmart、Kroger、CVSなどパートナー企業も増加しており、本格的な実用化に向けカウントダウンが始まった印象だ。

Civil Maps(高精度マップ)

サンフランシスコに本拠を構える高精度3次元地図開発スタートアップ。AI技術を駆使し、3Dエッジマッピングテクノロジープラットフォームの開発を進めている。

15~20センチの絶対精度、1~5センチの相対精度を誇る計測技術で、歩道ロボットを含む自動運転車の高度なナビゲーションニーズに対応するとしている。現在、ルクセンブルクや中国、インドにも拠点を構えており、世界展開を見据えているようだ。

CronAI(AI)

2015年創業の3Dデータ認識プラットフォーム開発を手掛けるスタートアップ。エッジでの3Dセンシング知覚処理を加速し、自動運転をはじめとした次世代モビリティや輸送インフラストラクチャなどの自動化を加速することを目指している。

技術パートナーにはインテルやNVIDIA、センサーパートナーにはVelodyneやInnoviz、OUSTER、Quanergy、HESAIなどが名を連ねている。

エッジでの3Dセンシング知覚処理の加速に向け設計された、自己最適化のディープラーニング3Dデータエッジ推論知覚処理プラットフォーム「senseEDGE」のアーリーアダプタープログラムをまもなく開始するようだ。

May Mobility(自動運転システム)

自動運転シャトル開発を手掛ける2017年設立のスタートアップ。トヨタが出資していることでも知られている。

ミシガン州デトロイトで2018年に自動運転シャトルの運行を開始しており、これまでの運行実績は7万回以上を数えるという。

日本でも、東広島市で2021年3月から実施予定のMaaS実証に導入予定のほか、レクサスRX450hをベースにした新たなシャトルを2021年3月にデビューさせるとしている。OEMのプラットフォームに自動運転システムを統合するのはこれが初めてという。

■欧州
Humanising Autonomy(AI)

2017年創業の画像認識技術開発を手掛ける英国スタートアップ。最先端の行動科学や統計AI、新しい深層学習アルゴリズムを活用し、さまざまな市場セグメントに適用できるソリューションを開発している。

自動運転向けの予測AIプラットフォームは、車両の認識やルーティング、乗客の検出、HMIなど、任意のスタックに組み込むことができる。

このほか、インフラと連携するV2Xテクノロジーなども開発しているようだ。

FiveAI(自動運転システム)

2015年創業の自動運転ソフトウェア開発を手掛ける英国スタートアップ。英国政府の事業にも参加し、公道実証を重ねながら研究開発を進めている。

自動運転業界が大規模な自動運転システムを構築できるようにするプラットフォームの開発を進めているほか、自動運転システムの安全性を測定・保証する仕組みについても研究を進めている。

2021年1月には、自動レーンキーピングシステム(ALKS)向けのモジュール式クラウドベースのエンドツーエンド開発、及びテストプラットフォームの提供に向け、イスラエルのCognataと協業することを発表している。

NAVYA(自動運転システム)

自動運転シャトルの開発を手掛ける2014年創業の仏スタートアップ。導入実績は世界最多クラスで、日本でもマクニカやBOLDLYらが導入している。

自動運転シャトルと自動運転トーイングトラクターを主力に世界展開を進めている。最新の自動運転シャトル「Autonom Shuttle Evo」は、ドライバーなしで乗車定員15人、時速25キロで運行することができる。

【参考】関連記事としては「NAVYA社の自動運転バス「ARMA」、誰でも操作できる?」も参照。

EasyMile(自動運転システム)

NAVYA同様、自動運転シャトルの開発を手掛ける2014年創業の仏スタートアップ。これまでに世界30カ国以上の300以上のエリアで走行したという。

日本においても、DeNAが最大12人乗りの自動運転シャトル「EZ10」を導入しており、各地の実証で活用している。

Einride(自動運転システム)

自動運転貨物EVの開発を手掛けるスウェーデンのスタートアップ。2016年創業。2019年に公道走行を開始し、2020年には次世代車両の商用展開を発表している。

私有地などの閉鎖空間で利用可能なAET1やそれに準じた閉鎖空間で走行可能なAET2は2021年初頭に出荷開始予定で、最高速度45キロで交通量の少ない公道を走行可能なAET3や、最高速度85キロで主要道路・高速道路を走行可能なAET4は早ければ2022年中に出荷を開始する予定という。

AImotive(自動運転システム)

2015年創業の自動運転ソフトウェア開発を手掛けるスタートアップ。ハンガリーに本拠を置いている。自動運転ソフトウェアをはじめ、独自のシミュレーションツールやニューラルネットワークアクセラレーションハードウェアIPなどを開発し、自動運転の展開を支援するエコシステムを構築している。

2021年1月には、ソニーの「VISION-Sプロトタイプ」において自動運転ソフトウェアスタックの進化に向け協業することを発表している。

■その他地域
Nopilot.ai(自動運転システム)

シンガポールで2019年に産声を上げたばかりの自動運転スタートアップ。農業や公益事業、配達向けの自動運転車ソフトウェアの開発を手掛けており、高性能なセンサーや高精度マップに依存しない自動運転システムの開発を進めている。

AIによる「頭脳」を重視し、LiDARのみならずミリ波レーダーなども備えない、低解像度のカメラ2台で自動運転を実現可能としており、どのような環境にも対応できるスケーラブルなシステムを実現するとしている。

Cognata(シミュレーション)

自動運転シミュレーションシステムの開発を手掛けるイスラエルのスタートアップ。2016年の創業で、日本でもアイティアクセスとの協業のもと事業を展開している。

同社のシミュレーションでは、フィードバックを最大かつ効果的に得られるようシミュレーション内でも実際の道路を走行し、センサーモデリングなどを行うことができる。

ヒュンダイ・モービスやZFなどがパートナーシップを結んでいる。

Brodmann17(AI)

自動運転向けの認識ソフトウェア開発を手掛けるイスラエルのスタートアップ。2016年創業。深層学習アルゴリズムをゼロから設計し、新しいニューラルネットワークテクノロジーの特許技術によってトレーニングプロセス全体を最適化したプラットフォームを開発している。

アフターマーケットデバイス向けの包括的なディープラーニングソリューションや正面カメラ用の包括的な深層学習知覚ソフトウェアなどを製品化しており、オブジェクトの検出や追跡、TTC推定、本格的なADAS機能を提供している。

Ottopia(遠隔操作システム)

自動運転向けの遠隔操作技術開発を手掛けるイスラエルのスタートアップ。移動サービスをはじめ、ロジスティクスや農業、鉱業、建設業などでリモート操作を実現可能にする。

車内遠隔操作モジュールには、あらゆる場面で安全を確保するアルゴリズムスイート(ATAS)やスケーラブルな制御方法のためのAPI(ATO)、サイバーセキュリティ対策などの機能が盛り込まれており、このモジュールを搭載した車両を遠隔操作センターから監視・操作する仕組みのようだ。

■【まとめ】市場本格化とともに株式上場の動きも

自動運転関連のスタートアップは現在進行形で誕生しており、数年後に大きな注目を集める企業が今まさに産声を上げているかもしれない。こうした動きは、自動運転市場の本格化を示唆している。研究開発から実用化段階にフェーズがシフトし、商用化・ビジネス化の段階に突入したのだ。

有力スタートアップの株式上場や買収、協業などの動きは今後ますます加速するものと思われ、自動運転市場を大きく賑わせそうだ。

(初稿公開日:2021年2月23日/最終更新日:2024年3月4日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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