
開発の深化とともに実用化が進展する自動運転分野。業界をけん引するのは依然として新興勢であり、その台頭を阻む自動車メーカーは出てきていない。
一部のスタートアップは上場を果たし、また一部は事業売却や停止に陥るなど、勝ち組と負け組も分かれてきたが、新興勢の層は厚く、頂点を狙う企業が次々と市場に姿を現している印象だ。
トップを走るWaymoを捕らえるかもしれない新たなランナーは今どこを走っているのか。期待のスタートアップをピックアップしてみた。(なお、記事の性質上、経過措置として2024年上場組や買収された企業も含んでいる)
・2025年5月28日:Pony.aiやNuroなどの取り組みをアップデート。新たにT2やPIX Movingなどの企業を追加。
・2024年3月4日:日本のスタートアップ企業としてTuringを追加
・2021年2月23日:記事初稿を公開
■日本
ティアフォー(自動運転システム)
国内自動運転開発の代名詞的存在となりつつあるティアフォー。2015年の創業以来「自動運転の民主化」を掲げ、オープンソースの自動運転OS「Autoware(オートウェア)」の開発や普及に力を注いでいる。
自動運転実証数は国内トップクラスで、海外でもオートウェアを導入する動きが高まっている。米シリコンバレーに拠点を新設し、世界展開も加速させている。
国内では、量産化を見据えたレベル4水準の「Minibus」を実用化済みで、長野県塩尻市では特定自動運行許可を取得するなど、本格的なサービスを展開するフェーズに達している。
このほか、自動運転タクシーや高速道路における自動運転トラックの開発なども着々と進められている。
【参考】関連記事としては「東京に自動運転タクシー!トヨタ車で11月事業化へ ティアフォー発表」も参照。
先進モビリティ(自動運転システム)
2014年設立の東京大学発スタートアップ。車両用自動運転システムの開発や製造、運用サポートなどを手掛けている。GPSや磁気マーカーを活用した車両の位置推定技術や各種センシング技術、制御技術、運行管制制御などを組み合わせ、冗長性のある自動運転システム・車両を構築している。トラックの隊列走行や自動運転バスなどの実証経験も豊富だ。
大阪・関西万博で使用されている自動運転バスの開発に携わっているほか、茨城県日立市の「ひたちBRT」におけるレベル4自動運転バスの開発も担っている。ひたちBRTは特定自動運行許可を取得している。
【参考】関連記事としては「Googleも注目?茨城交通、「完全自動運転バス」展開なら世界的快挙に」も参照。
T2(自動運転システム)
Preferred Networksの技術提供のもと、三井物産が2022年8月に設立したスタートアップ。高速道路におけるレベル4トラックの開発を軸に事業展開している。
2023年4月に高速道路上での自動運転トラックの自律走行に成功したことを発表したほか、2024年6月には、新東名高速道路の駿河湾沼津SA~浜松SA間 116キロをドライバー未介入で連続自動走行することに成功したことを発表している。
パートナー企業との取り組みにも力を入れており、2024年11月にはレベル 4 自動運転トラックによる幹線輸送サービス実現に協力する仲間づくりとして「自動運転トラック輸送実現会議 ~L4 Truck Operation Conference~」を設立した。
佐川急便やセイノーホールディングス、日本貨物鉄道、日本郵便、福山通運といった物流大手をはじめ、三井住友海上火災保険、三井倉庫ロジスティクス、三菱地所が参画している。
【参考】関連記事としては「自動運転トラック、高速道で「90分未介入」に成功!三井物産系ベンチャー」も参照。
WHILL(自動運転システム)
2012年設立のWHILLは、電動車いすを中心に近距離移動を担うパーソナルモビリティの開発を手掛けている。2019年に自動運転システムを発表し、衝突回避機能や自動返却機能などを備えた自動運転車いすの社会実装を進めている。
自動運転車いすは空港や病院などで積極的に実証を重ねており、独自開発した自動運転モデルと複数の機体を管理・運用するシステムはすでに実用化域に達している。北米や欧州、中国などに現地法人を設立するなど、早くから海外展開を視野に入れている。
【参考】関連記事としては「WHILLの自動運転車椅子、病院内での実証実験がスタート!成果に注目」も参照。
WHILLの自動運転車椅子、病院内での実証実験がスタート!成果に注目 https://t.co/LUVjfylwcO @jidountenlab #WHILL #自動運転 #車椅子
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) September 7, 2020
日本モビリティ(自動運転システム)
群馬大学発の自動運転スタートアップとして2020年7月に創業。同大学の取り組みとして培ってきた各種公道実証や研究の実績を生かし、次世代モビリティに関する技術開発や設計をはじめ、導入や街づくりに向けたコンサルタント事業、実証実験コーディネートなど、自動運転技術の社会実装を見据えた事業を手掛ける。
2020年には、三重県桑名市や岐阜県関市、愛知県自動運転社会実装プロジェクト推進事業、埼玉高速鉄道などとともにプロジェクトに取り組んでいる。官学民連携のもと、今後も各地で活躍する機会が増加しそうだ。
【参考】関連記事としては「群馬大学発!自動運転ベンチャー「日本モビリティ」設立 事業内容は?」も参照。
群馬大学発!自動運転ベンチャー「日本モビリティ」設立 事業内容は? https://t.co/daPNJhIUZp @jidountenlab #群馬大学 #自動運転 #日本モビリティ
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 8, 2020
エクセイド(自動運転システム)
ティアフォーに続く名古屋大学発のスタートアップとして、2021年設立のエクセイドにも注目が集まる。
名古屋大学COIが開発した自動運転ソフトウェアパッケージ「ADENU (Autonomous Drive Enabler by Nagoya University)」を軸としたライセンス、開発、コンサルティングなどのサービスを提供している。
2024年12月には、名古屋大学とソリトンシステムズとともに、遠隔監視・操作者がボタン操作などの簡易な操作によって自律走行を補完・支援できる新しい遠隔型自動運転システムを開発したと発表している。
低速域でラストマイルを担うグリーンスローモビリティ領域での躍進に期待が寄せられる一社だ。
Preferred Networks(AI)
2014年設立。AI深層学習技術を武器に自動運転をはじめとするさまざまな分野でイノベーションの実現を目指している。国内自動運転関連スタートアップの中では企業価値トップのユニコーンとしても知られている。
その実力を裏付けるように、創業以来、NTTとの資本・業務提携やパナソニックとの事業提携をはじめ、米マイクロソフトやインテルともディープラーニング開発で協業するなど大型提携が相次いでいる。
自動運転関連では特にトヨタとの関係が深く、2014年に物体認識技術や車両情報解析などの共同研究を開始して以来、サービスロボットの共同開発など広範にわたる研究を進めているようだ。
アマノとAI技術で自律移動する小型床洗浄ロボット「HAPiiBOT」を共同開発したり、三井物産が設立した自動運転トラック企業T2に技術提供したりするなど、自動運転関連分野への関わりも本格化してきた印象だ。
【参考】関連記事としては「自動運転技術でも注目!日本唯一のユニコーン「Preferred Networks」に内閣総理大臣賞」も参照。
自動運転技術でも注目!日本唯一のユニコーンにベンチャー大賞!産業用ロボットの高度化なども手掛ける https://t.co/gTfihnLYD6 @jidountenlab #自動運転 #ロボット #ユニコーン #ベンチャー
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) May 26, 2019
Turing(車両開発)
Turingは「We Overtake Tesla」をミッションとして掲げ、完全自動運転EVの開発を目指している2021年設立の日本のスタートアップだ。2030年には完成車メーカーとなり、完全自動運転EVを1万台製造することを目標として公表している。
共同創業者の山本一成CEOは、名人を倒した将棋プログラムPonanzaの作者で、もう1人の共同創業者はCTOの青木俊介氏。
AI技術に軸を置き、カメラ画像からEnd-to-End(E2E)で直接運転指示を行う自動運転AIの開発を進めており、まずは2025年までに東京の複雑な道路を30分以上手動介入なしで運転できるような自動運転モデルの開発プロジェクト=「Tokyo30」プロジェクトを進めている。
Tokyo30向けの自動運転AI「TD-1」は開発済みで、2025年の動向に注目が集まるところだ。
【参考】関連記事としては「Turing、完全自動運転EV「2030年10,000台」宣言 半導体チップも製造へ」も参照。
AISing(AI)
2016年設立。独自開発したAIアルゴリズム「DBT(Deep Binary Tree)」を武器に、自動運転やファクトリー・オートメーションなどさまざまな産業領域においてエッジデバイスへのAI実装を進めている。
2020年には、資金調達Bラウンドで総額7億円の資金調達を実施したほか、エッジAIアルゴリズムに特化した専門開発チームの発足や、DBTにおいて自動車や家電への搭載を可能にする超軽量化技術の特許を取得したことを発表するなど、エッジAIによる第4次産業革命に向け事業を加速させている印象だ。
アセントロボティクス(AI)
産業用ロボットや自律移動ロボットに向けたインテリジェントソリューションを開発する2016年創業のAIスタートアップ。モビリティ分野では、多様なデータやシナリオをシミュレーション技術で生成することによってAI学習を正確かつ効果的・効率的に実現し、ロバスト性を担保する。
【参考】関連記事としては「AI研究のアセントロボティクスが11億円調達、自動運転実験や技術者採用など加速へ」も参照。
AI研究のアセントロボティクスが11億円調達、自動運転実験や技術者採用など加速へ https://t.co/FvA9HRCyPd @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 15, 2018
Idein(AI)
高度なAI分析を使用するIoTシステムを構築可能なエッジコンピューティング向けのPaaS(Platform as a Service)開発などを手掛ける、2015年設立のスタートアップ。
ドライバーモニタリングシステムなどの画像認識系の製品開発において技術協力を行っていたアイシン精機と2018年に資本業務提携を交わし、モビリティ領域においても本格的な事業展開を図っている。
2020年8月には、事業拡大に向けアイシンやKDDIなどから20億円の資金調達を実施したと発表している。
コーピー(AI)
2017年設立の東京大学発スタートアップで、AIによる判断・出力を説明可能にする技術「XAI」や、AIシステムに特化した新たな品質検証技術や品質保証プロセスを確立する技術「QAAI」などの先端AI技術の研究開発に取り組んでいる。
モビリティ分野では、トヨタやアイシン精機、マクニカ、米NVIDIAなどをパートナーに、車載カメラを用いた各種認識システムや学習用画像自動生成システムの開発など、自動運転社会の実現に向けたマルチモーダル学習の研究開発を進めている。
【参考】関連記事としては「東大発AIスタートアップ「コーピー」、自動運転開発も エヌビディアが支援決定」も参照。
東大発AIスタートアップ「コーピー」、自動運転開発も エヌビディアが支援決定 https://t.co/7kWKhpfzEp @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 8, 2018
サイバーコア(AI)
2007年設立の岩手大学発ベンチャー。画像処理や画像認識、AIにおけるアカデミックレベルの最先端技術をオーダーメイドで提供している。
画像認識では、AIソリューションとエッジコンピューティングを組み合わせ、テーマに沿ったAIシステムを開発可能で、組み込み段階まで一貫したソリューションを提供できる。画像鮮明化ライブラリ「LuxEye」など独自技術も保有しており、センサーの画像解析領域などで活躍が期待される。
【参考】関連記事としては「【インタビュー】世界水準のAI画像解析技術、自動運転業界から白羽の矢 サイバーコア・阿部英志社長」も参照。
画像解析30年…世界水準AIに自動運転業界から白羽の矢 岩手大学発ベンチャー・サイバーコアの阿部社長に聞く 自動車イノベーションの下支え https://t.co/S6JpGHl3LH @jidountenlab #サイバーコア #盛岡 #自動運転 #AI
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) October 22, 2018
アラヤ(AI)
2013年設立で、ディープラーニングやエッジAI、自律AIといったAIアルゴリズム・プロダクト開発を手掛けている。2020年2月には、建設機械などの自動化を実現するAI開発について発表した。
精度はほぼそのままにAIを最大16分の1まで圧縮・演算量を削減する独自の特許技術を有しており、エッジデバイス上の小さなチップで効果的にAIを動かすことができるという。自動運転車に必要不可欠な技術として、今後の躍進に期待が寄せられる。
AZAPA(AI)
2008年設立。センシングにおける制御技術やデータ通信制御、セキュリティ対策など幅広い領域の技術を有しており、モデルベーステクノロジーを基盤にTier0.5プレイヤーとしてシステム領域でのソリューションを提供している。
自動運転や革新的なセンサー開発、制御開発を目的に2人乗りEVを開発しているほか、関連会社のAZAPAエンジニアリングは次世代モビリティ向けECUや自転車向けADASなども開発しており、自動運転分野においても開発各社を縁の下でサポートする。
2021年度には、国土交通省の「スマートアイランド推進実証調査業務」に参画し、愛知県西尾市佐久島で電気自動車と自動運転パワースクーターを活用した島内移動システムの実証を行っている。
【参考】関連記事としては「日本のある島で「自動運転スクーター」の実証が実施されてた」も参照。
ITD lab(センサー)
2016年設立の東京工業大学発のスタートアップで、高性能ステレオカメラの開発・製品化を手掛けている。
同社のステレオカメラは、物体の輪郭をクリアに抽出し、LiDARと比較しても距離データの密度が圧倒的に高いのが特徴。距離データの補正などを行うキャリブレーションも完全自動で行うことができる。
自動運転で目の役割を担うセンサーではLiDARに注目が集まりがちだが、カメラはベースとなるセンサーとして大きな役割を担っている。各種ロボットなどにも広く活用でき、まだまだ伸びしろのある開発領域だ。
【参考】関連記事としては「自動運転でニーズ!賢い「小型ステレオカメラ」開発、ミナトとITD Labが共同で」も参照。
自動運転でニーズ!賢い「小型ステレオカメラ」開発、ミナトとITD Labが共同で https://t.co/cj2GXh7tQC @jidountenlab #ステレオカメラ #自動運転 #ニーズ
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) June 15, 2020
TRUST SMITH(AI)
2019年設立の東京大学発スタートアップ。自動走行可能な搬送ロボットやフォークリフトなど、AI技術でファクトリー・オートメーションを推進するさまざまなプロダクトをすでに開発している。
2020年11月には、トレーラーの自動運転開発を開始したことを発表したほか、12月には、AI・ロボティクスの先端技術を活用した自動運転車による事業自動化コンサルティングを行う関連企業「SMITH & MOTORS」の設立も発表している。
【参考】関連記事としては「自動運転車で工場自動化支援!東大発TRUST SMITHが新会社設立」も参照。
自動運転車で工場自動化支援!東大発TRUST SMITHが新会社設立 https://t.co/3k1JsdEy1o @jidountenlab #自動運転 #東京大学 #TRUSTSMITH
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) January 7, 2021
■中国
AutoX(自動運転システム)
2016年創業で、中国と米カリフォルニア州を拠点に自動運転タクシーの実用化を進めている。中国ではいち早くドライバー不在の自動運転車の公道走行許可を取得し、2020年12月に無人自動運転タクシーのトライアルに着手している。
自動運転システムはハードとソフトを一体設計するフルスタックソリューションで、FCAをはじめ米フォード、中国のBYD、長城汽車、東風汽車、奇瑞汽車、上海汽車など15車種以上のプラットフォームに搭載可能としており、各社と量産化を見越した開発や協業を進めているようだ。
【参考】関連記事としては「中国第1号はAutoX!?完全無人の商用自動運転タクシーの運行開始」も参照。
中国第1号はAutoX!?完全無人の商用自動運転タクシーの運行開始 https://t.co/91rSAKvbjZ @jidountenlab #中国 #自動運転タクシー #AutoX
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) February 4, 2021
Pony.ai(自動運転システム)
2016年創業で、中国と米カリフォルニア州を拠点に自動運転タクシーの開発を進めている。2018年に広州で自動運転タクシーのフリートを立ち上げ、中国で初めて自動運転車を一般に公開した。現在、北京と広州、カリフォルニア州のシリコンバレーとアーバインでパイロットプログラムを展開している。
2019年には、トヨタ、ヒュンダイ、広州汽車とそれぞれパートナーシップを結んでおり、トヨタからは4億ドルが出資されている。
2024年時点で北京、広州、上海、深センの4大都市で無人走行の運行ライセンスを取得しており、北京、広州、深センではドライバーレスの有料サービスを提供している。車両は250台を超え、公道走行距離も4,000万キロを突破したという。
米国、韓国、ルクセンブルクでも走行ライセンスを取得しており、海外展開にも期待される。Uber Technologiesとの提携のもと、2025年中に中東の主要市場でサービスに着手する計画も発表されている。
2024年11月に米ナスダック市場に上場しておりスタートアップは卒業したが、第7世代の自動運転タクシーにトヨタのbZ4Xなどを採用し、量産化に向けた取り組みを本格化していくフェーズに入った。今後の動向に要注目だ。
【参考】関連記事としては「トヨタ出資の中国Pony.ai、上場初日に「20%急落」 ”自動運転”に投資妙味なし?」も参照。
WeRide(自動運転システム)
2017年設立で、中国・広州や米カリフォルニア州などに拠点を設けている。2019年に広州のタクシー事業者と連携し、一般乗客を対象にした自動運転タクシーのパイロットプログラムを開始している。
資金調達Aラウンドでは、ルノー・日産・三菱アライアンスのベンチャーキャピタルが主導しており、資金面に加え技術面でも戦略的提携を交わしている。
自動運転タクシーを主力にバスや清掃車、配送車などの開発にも力を入れており、世界展開にも精力的だ。10カ国30以上の都市で試験運用されており、中国、UAE、シンガポール、フランス、米国で自動運転走行許可を取得しているという。
2024年10月に米ナスダック市場に上場した。2025年時点で車両総数は1,200台に上る。Uber Technologiesとのパートナーシップのもと、商用自動運転タクシーサービスを世界15都市に拡大する計画を発表している。
【参考】関連記事としては「中国WeRide、自動運転の最難関許可を「5カ国」で取得 フランスでも」も参照。
MOMENTA(自動運転システム)
AI技術を武器に自動運転システム開発を進める2016年創業のソフトウェアアルゴリズムプロバイダー。量産対応可能な自家用車向けの運転支援ソリューション「Mpilot」と、完全自動運転を目指す自動運転ソリューション「MSD(Momenta Self-Driving)」の二つを柱に事業展開している。
これまでにダイムラーなどから資金調達を実施しているほか、2020年3月にはトヨタとの提携を発表している。自動地図生成プラットフォーム「AMP」の中国での活用などの面で協業していく方針だ。
2025年4月には、新たにホンダとの提携を発表した。エンドツーエンドモデルに基づく量産対応可能な運転支援ソリューションを共同開発し、中国市場におけるフルシナリオ運転支援の普及を加速するとしている。
同年5月には、Uber Technologiesとの提携も発表している。米国と中国以外の国際市場でUberのプラットフォームに自動運転車を導入していくという。自動運転タクシーの開発にも注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転系IPO、ついにトヨタ出資のMomentaも?2〜3億ドル調達か」も参照。
DeepRoute.ai(自動運転システム)
2019年創業の新進気鋭のスタートアップ。深センに本社を構え、北京に研究開発センターを設けているほか、シリコンバレー、ドイツ、シンガポール、上海、成都、重慶、保定などで事業を展開している。
高精度地図に依存せずエンドツーエンドモデルを適用するインテリジェント運転支援プラットフォーム「DeepRoute IO」の量産化を2024年に開始し、すでに数万台に搭載されているという。
現在、量産車両による自動運転タクシーの大規模運用実現に向け新たな商業化ルートを模索しており、ライバルにテスラを挙げる。マップレスによる運行エリアに制限のない自動運転システムで、先行勢をどのように追い上げていくか注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転機能のコストを38万円に アリババ出資のDeepRoute.ai」も参照。
Hesai Photonics Technology(センサー)
2013年創業のLiDAR開発スタートアップ。これまでにボッシュやバイドゥなどから資金調達を実施しており、メカニカルLiDARやソリッドステート式LiDARをはじめ、オールインワンのセンシングキットなどを製品化している。
米Velodyneとグローバル特許クロスライセンス契約を結ぶなど技術的評価は高く、同社によると、同社製LiDARはすでに上汽集団やWeRide、AutoX、米Lyft、米Nuro、仏Navyaなどに採用されているという。
【参考】関連記事としては「京都の光響、中国Hesai Photonics製LiDARの販売開始 「自動運転の目」であるコアセンサー」も参照。
光響、中国Hesai Photonics製LiDARの販売開始 「自動運転の目」であるコアセンサー https://t.co/rapKAqRsAV @jidountenlab #LiDAR #自動運転の目 #コアセンサー
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) May 14, 2019
Innovusion(センサー)
自動運転レベル4、5向けのLiDARセンサーシステム開発を手掛けるスタートアップ。百度で自動運転ユニットの責任者を務めていたエンジニアらが2016年に設立した。
これまでに280メートル先を検知可能なジャガーシリーズなどを製品化しているほか、2020年には、250メートル先のわずかな反射率を持つ暗いオブジェクトも検知できる最新のLiDAR「Falcon」のサンプル出荷を開始している。
2021年1月には、中国EVメーカーNIOと提携を交わし、同社の最新EVにFalconが搭載されることを発表している。
PerceptIn(自動運転システム)
2016年創業の自動運転開発を手掛ける香港スタートアップ。小型低速車両の自動運転システムに軸を置いた開発を進めており、LiDARを用いずビジュアルSLAMベースのセンサーフュージョン技術を活用したフルスタックソリューションを提供している。
2019年に日本法人を立ち上げ、国土交通省の「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」事業をはじめ浜松市や福岡市などの実証で採用されている。
【参考】関連記事としては「香港企業PerceptIn、高まる存在感!自動運転プラットフォームの3つの特徴とは?」も参照。
香港企業PerceptIn、高まる存在感!自動運転プラットフォームの3つの特徴とは? https://t.co/hrSnuEpLrL @jidountenlab #自動運転 #PerceptIn #香港企業
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) September 27, 2020
Horizon Robotics(半導体)
2015年創業のAIチップ開発を手掛ける半導体スタートアップ。AIプロセッサの分野で活躍しており、開発パートナーには中国勢のほかアウディやボッシュ、コンチネンタルなどが名を連ねている。
現在は乗用車向けスマートドライビングソリューションの開発・製品化に力を入れており、「Horizon Journey」は第6世代まで進化し、高度なNOAを実現可能という。コストパフォーマンスの高い「Horizon Mono」から「Horizon SuperDrive」まで、さまざまなソリューションを展開している。
統合ソリューションはOEM24社に採用され、270車種以上の車両に実装されている。Horizon Journeyプロセッシングハードウェアの納入台数は800万台に達したという。
2024年10月に香港市場に上場を果たした。
【参考】関連記事としては「自動運転向けAIチップ開発のHorizon、2021年中に上場へ」も参照。
自動運転向けAIチップ開発のHorizon、2021年中に上場へ https://t.co/OrfIs0TfqZ @jidountenlab #Horizon #自動運転 #上場
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) January 4, 2021
Autowise.ai(自動運転システム)
無人の衛生技術サービスプロバイダーとして、自動運転清掃車に特化した開発を手掛ける2017年創業のスタートアップ。2018年に世界初の無人クリーンフリートを実現している。
市街地の道路や高速道路をはじめ、イベント会場などの閉鎖空間・半閉鎖空間などでも活用可能で、すでに世界の数十の都市で導入されているという。
Corage(自動運転システム)
自動運転トラック開発を手掛ける2021年設立の中国スタートアップ。すでに重慶市の物流パークなどで導入され、倉庫内の無人搬送車と連携させることで業務無人化の促進を図っているという。
SPARX やPKSHA Technology 系のPKSHA アルゴリズムファンド、住友商事系のSumitomo Corporation Equity Asia(SCEA)から出資を受けるなど、日本勢からの期待も高いようだ。
Black Sesame Technologies(半導体)
2016年設立のBlack Sesame Technologiesは自動運転向けのAI SoC開発を手掛けており、2024年に香港市場への上場を果たした。
2024年12月期の通期決算では売上高4億7400万元(約100億円)、純利益3億1300万元(約66億円)をはじき出し、黒字化を達成している。
背景には、生産・量産体制の確立と、中国の自家用車市場で普及が進む高度な運転支援システム「NoA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)」の存在があるようだ。
米中間の貿易摩擦が続いており、中国内メーカーとしてさらに躍進する可能性も高そうだ。
PIX Moving(車両開発)
2017年設立の中国PIX Movingは、スケートボード型のEVシャシーをベースにモジュール化を図った自動運転ソリューションを展開している。3Dプリント技術などを駆使した新規格・低コストモデルに注目が集まる。
TISが2022年に資本業務提携を結び、2024年に合弁ピクセルインテリジェンスを日本国内に設立している。MaaS用自動運転EVをはじめ、ロボットの開発・製造を主要事業とするPIX JVおよび組立工場で、ビジネス拡大を図っていく構えだ。
【参考】関連記事としては「中国企業、日本で「自動運転車の工場」建設 年産1万台へ、年内開業」も参照。
Nullmax(自動運転システム)
2016年に米シリコンバレーで設立された中国系スタートアップ。高精度地図を必要せず、視覚情報で自動運転を可能にするエンドツーエンドのシステム開発を進めており、自家用車向けADAS「MaxDrive」シリーズなどを製品化している。
2024年に次世代自動運転技術「Nullmax Intelligence(NI)」を発表している。車両に視覚、聴覚、読解に類似した感覚機能を付与し、2025年までにフルシナリオ自動運転を実現するとしている。2025年の上海モーターショーでは自社開発のフルスタックMaxDriveソリューションを発表している。
■アメリカ
Quanergy Systems(センサー)
2012年創業のLiDAR開発スタートアップ。高性能3D-LiDARセンサーとAIを利用した知覚ソフトウェアを提供している。
自動運転向けには、業界で唯一という100%CMOSソリッドステートLiDARセンサー「S3」などを製品化している。自動運転をはじめ、マッピング、スマートシティ、セキュリティ、ファクトリーなど使用用途に合わせたアプリケーションも用意している。
2020年11月には、従来LiDAR製品の7.5倍の解像度と1.3倍の検出精度を備えたM8プライム3D-LiDARセンサーを新たに発表している。
Nuro(自動運転システム)
ソフトバンクが出資する、2016年設立の配送向け自動運転車の開発スタートアップ。人の移動を担う自動運転車と仕様が異なるが、同社の配送ロボットR2は米道路交通安全局(NHTSA)から公道走行許可を取得し、2020年12月には米カリフォルニア州当局からも自動運転車の商用展開に関する認可を取得している。
2020年11月には、5億ドルの資金調達Cラウンドを発表した。Domino、Walmart、Kroger、CVSなどパートナー企業も増加しており、本格的な実用化に向け着々と歩みを進めている。
2022年に中国EVメーカーBYDと車両量産化に向けたパートナーシップを結んだほか、Uber Technologiesと10年に渡る提携を交わし、Uber Eatsの食料品デリバリーサービスに導入していく計画を発表している。
2024年には、自動運転システムNuro DriverをOEM やモビリティプロバイダーにライセンス供与する新しい企業戦略を発表した。無人配送に特化した自社事業に留まらず、自動運転タクシーなど幅広い領域でビジネス化を図っていく構えだ。
すでに Nuro Driver Assist Level 2++ と Nuro Driver Level 4 をさまざまな車両アプリケーションに統合する準備が整っているという。レベル2++システムはハンズオフやリモート呼び出し機能などを備えており、将来的なレベル4への拡張を見据えているとしている。
【参考】関連記事としては「自動運転車での商用デリバリー、米Nuroがカリフォルニアで認可を初取得!」も参照。
自動運転車での商用デリバリー、米Nuroがカリフォルニアで認可を初取得! https://t.co/2ovFs1brBX @jidountenlab #自動運転 #デリバリー #Nuro #カリフォルニア
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 24, 2020
Civil Maps(高精度マップ)
サンフランシスコに本拠を構える高精度3次元地図開発スタートアップ。AI技術を駆使し、3Dエッジマッピングテクノロジープラットフォームの開発を進めている。
15~20センチの絶対精度、1~5センチの相対精度を誇る計測技術で、歩道ロボットを含む自動運転車の高度なナビゲーションニーズに対応するとしている。現在、ルクセンブルクや中国、インドにも拠点を構えており、世界展開を見据えているようだ。
CronAI(AI)
2015年創業の3Dデータ認識プラットフォーム開発を手掛けるスタートアップ。エッジでの3Dセンシング知覚処理を加速し、自動運転をはじめとした次世代モビリティや輸送インフラストラクチャなどの自動化を加速することを目指している。
技術パートナーにはインテルやNVIDIA、センサーパートナーにはVelodyneやInnoviz、OUSTER、Quanergy、HESAIなどが名を連ねている。
エッジでの3Dセンシング知覚処理の加速に向け設計された、自己最適化のディープラーニング3Dデータエッジ推論知覚処理プラットフォーム「senseEDGE」のアーリーアダプタープログラムをまもなく開始するようだ。
Helm.ai(AI)
自動運転向けのAI開発を手掛ける2016年設立の米スタートアップ。大規模なデータセットを使用し、応用数学の要素をディープラーニングと統合する効率的な形式の教師なし学習「Deep Teaching(ディープティーチング)」が特徴だ。
DNN(ディープニューラルネットワーク)ベースの基盤モデルは、大規模データセットを用いてDeep Teaching を用いて学習され、生成AIにおける革新的な技術によって強化される。新しい地域や未知の運転状況にも自動的に適応するほか、微調整によってモデルを改善し、コーナーケースにも効果的に対応することができるという。
ホンダやフォルクスワーゲンがパートナーシップを交わしており、今後の飛躍に期待が寄せられる。
【参考】関連記事としては「自動運転、生成AIが「検証用動画」を無限に作成!米Helm.aiが発表」も参照。
May Mobility(自動運転システム)
自動運転シャトル開発を手掛ける2017年設立のスタートアップ。トヨタが出資していることでも知られている。実証含め、これまでに世界 18 カ所で 40 万回以上の自動運転ライドを提供している。
ジョージア州ピーチツリー・コーナーズ、ミシガン州アナーバー、デトロイト、テキサス州アーリントン、ミネソタ州グランドラピッズ、フロリダ州マイアミ、カリフォルニア州マルティネス、アリゾナ州サンシティで自動運転シャトルサービスを提供しており、ピーチツリー・コーナーズなど3カ所で無人運行を実現している。
トヨタのほか、豊田通商やブリヂストン、東京海上ホールディングス、NTTグループなど多くの日本勢から出資を受けており、日本法人もすでに設立している。
国内では、MONET Technologiesの実証に採用されているほか、トヨタのe-Paletteとの技術統合、NTTグループによる実証などにも導入されており、日本における展開にも大きな注目が集まる。
【参考】関連記事としては「改造トヨタ車、米で「完全無人」の自動運転シャトル化 May Mobilityが商用運行」も参照。
■欧州
Humanising Autonomy(AI)
2017年創業の画像認識技術開発を手掛ける英国スタートアップ。最先端の行動科学や統計AI、新しい深層学習アルゴリズムを活用し、さまざまな市場セグメントに適用できるソリューションを開発している。
自動運転向けの予測AIプラットフォームは、車両の認識やルーティング、乗客の検出、HMIなど、任意のスタックに組み込むことができる。
このほか、インフラと連携するV2Xテクノロジーなども開発しているようだ。
FiveAI(自動運転システム)
2015年創業の自動運転ソフトウェア開発を手掛ける英国スタートアップ。英国政府の事業にも参加し、公道実証を重ねながら研究開発を進めている。
自動運転業界が大規模な自動運転システムを構築できるようにするプラットフォームの開発を進めているほか、自動運転システムの安全性を測定・保証する仕組みについても研究を進めている。
2021年1月には、自動レーンキーピングシステム(ALKS)向けのモジュール式クラウドベースのエンドツーエンド開発、及びテストプラットフォームの提供に向け、イスラエルのCognataと協業することを発表している。
2022年、独サプライヤー大手ボッシュが買収し、自動運転向けソフトウェア開発を加速するとしている。
NAVYA(自動運転システム)
2014年創業で、世界に先駆けて自動運転シャトルの開発・製品化を成し遂げた。導入実績は世界最多クラスで、日本でもマクニカやBOLDLYらが導入していることで知られる
自動運転シャトルと自動運転トーイングトラクターを主力に世界展開を進めており、最新の自動運転シャトル「Autonom Shuttle Evo」は、ドライバーなしで乗車定員15人、時速25キロで運行することができる。
国内では、茨城県境町やHANEDA INNOVATION CITY、北海道上士幌町など多くの導入実績を誇る。
2023年5月、マクニカと仏GAUSSINが合弁GAUSSIN MACNICA MOBILITYを設立し、Navyaの資産を取得した。2024年6月にはGAUSSINが保有する普通株式をマクニカがすべて取得して完全子会社化した。
マクニカの追加出資に合わせNTT西日本も新たに出資し、現在は新社名「Navya Mobility」として事業を継続している。
【参考】関連記事としては「電磁誘導線を使わない「自動運転レベル4」、日本で認可!鹿島やBOLDLYが発表」も参照。
EasyMile(自動運転システム)
NAVYA同様、自動運転シャトルの開発を手掛ける2014年創業の仏スタートアップ。これまでに世界30カ国以上の300以上のエリアで走行したという。
日本においても、DeNAが最大12人乗りの自動運転シャトル「EZ10」を導入しており、各地の実証で活用していた。
近年は自動運転牽引車(トーイングトラクター)の展開に力を入れているようで、成田国際空港をはじめ、米国やシンガポール、フランスなど各地の空港で採用されている。
Einride(自動運転システム)
自動運転貨物EVの開発を手掛けるスウェーデンのスタートアップ。2016年創業。2019年に公道走行を開始し、2020年には次世代車両の商用展開を発表している。
私有地などの閉鎖空間で利用可能なAET1やそれに準じた閉鎖空間で走行可能なAET2は2021年初頭に出荷開始予定で、最高速度45キロで交通量の少ない公道を走行可能なAET3や、最高速度85キロで主要道路・高速道路を走行可能なAET4は早ければ2022年中に出荷を開始する予定という。
aiMotive(自動運転システム)
2015年創業の自動運転ソフトウェア開発を手掛けるスタートアップ。ハンガリーに本拠を置いている。自動運転ソフトウェアをはじめ、独自のシミュレーションツールやニューラルネットワークアクセラレーションハードウェアIPなどを開発し、自動運転の展開を支援するエコシステムを構築している。
2021年1月には、ソニーの「VISION-Sプロトタイプ」において自動運転ソフトウェアスタックの進化に向け協業することを発表している。
また、2022年にはステランティスがaiMotiveの買収を発表しているが、吸収されず子会社として存続しているようだ。ステランティスのレベル3システム「STLA AutoDrive」の開発に寄与しているものと思われる。
【参考】関連記事としては「自動運転視野のソニーVISION-S、公道実証開始!AImotiveと協力も」も参照。
自動運転視野のソニーVISION-S、公道実証開始!AImotiveと協力も https://t.co/SiSONOwct5 @jidountenlab #自動運転 #ソニー #VISION-S
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) January 18, 2021
■その他地域
Nopilot.ai(自動運転システム)
シンガポールで2019年に産声を上げたばかりの自動運転スタートアップ。農業や公益事業、配達向けの自動運転車ソフトウェアの開発を手掛けており、高性能なセンサーや高精度マップに依存しない自動運転システムの開発を進めている。
AIによる「頭脳」を重視し、LiDARのみならずミリ波レーダーなども備えない、低解像度のカメラ2台で自動運転を実現可能としており、どのような環境にも対応できるスケーラブルなシステムを実現するとしている。
Cognata(シミュレーション)
自動運転シミュレーションシステムの開発を手掛けるイスラエルのスタートアップ。2016年の創業で、日本でもアイティアクセスとの協業のもと事業を展開している。
同社のシミュレーションでは、フィードバックを最大かつ効果的に得られるようシミュレーション内でも実際の道路を走行し、センサーモデリングなどを行うことができる。
ヒュンダイ・モービスやZFなどがパートナーシップを結んでいる。
Brodmann17(AI)
自動運転向けの認識ソフトウェア開発を手掛けるイスラエルのスタートアップ。2016年創業。深層学習アルゴリズムをゼロから設計し、新しいニューラルネットワークテクノロジーの特許技術によってトレーニングプロセス全体を最適化したプラットフォームを開発している。
アフターマーケットデバイス向けの包括的なディープラーニングソリューションや正面カメラ用の包括的な深層学習知覚ソフトウェアなどを製品化しており、オブジェクトの検出や追跡、TTC推定、本格的なADAS機能を提供している。
Ottopia(遠隔操作システム)
自動運転向けの遠隔操作技術開発を手掛けるイスラエルのスタートアップ。移動サービスをはじめ、ロジスティクスや農業、鉱業、建設業などでリモート操作を実現可能にする。
車内遠隔操作モジュールには、あらゆる場面で安全を確保するアルゴリズムスイート(ATAS)やスケーラブルな制御方法のためのAPI(ATO)、サイバーセキュリティ対策などの機能が盛り込まれており、このモジュールを搭載した車両を遠隔操作センターから監視・操作する仕組みのようだ。
Ohmio(自動運転システム)
ニュージーランドを本拠に米国や韓国などで事業展開する2017年設立のスタートアップ。車両自らルートをマッピングすることを可能にし、単独のシャトル運行からフリート編成までスケーラブルなソリューションを提供するという。
オリジナルの自動運転シャトル「Ohmio LIFT」は、ニュージーランドをはじめ米国、オーストラリア、ルクセンブルク、フィンランド、英国、イタリアなどで実証が進められている。
【参考】関連記事としては「ニュージーランド企業のOhmio Automationとは?自動運転シャトルを開発」も参照。
■【まとめ】エンドツーエンドの開発事業者が台頭
これまでの主流は、Waymoなどに代表される事前にマッピングしたエリア内を自律走行するシステムであり、こうしたモデルが今しばらく覇権を握り続けるものと思われるが、中国勢を中心に、マップレスによるエンドツーエンドの自動運転システム開発事業者が台頭し始めているようだ。イメージとしてはテスラに近い。国内ではTuringが該当する。
こうした新たな勢力の存在は、近い将来業界地図を大きく書き換える可能性を秘めている。業界における覇権争いはまだまだ続きそうだ。
また、すでに実用化を果たしているグループにおいては、グローバル展開を目指す動きが活発化している。国境を超えることで各社の競争はいっそう激化し、同時に世界各国におけるモビリティ業界に革新をもたらすこととなる。
モビリティ業界が大きく変わり始める中、2020年代後半をけん引する企業がこの中から現れるのか。今後の各社の動向を注視したい。
【参考】関連記事としては「自動運転とは?レベルの定義や必要技術、開発動向、法律など徹底まとめ!」も参照。
(初稿公開日:2021年2月23日/最終更新日:2025年5月28日)