
日本政府は、自動運転車の検査が可能な対象を「1級自動車整備士」に限定することを決めた。関連省令を改正し、2029年4月から枠組みが施行される予定だ。
国土交通省は、これからも自動車を安心・安全に使用できる社会に向けて、時代に合わせた整備事業規制のアップデートを行い、その内容を2025年7月に公開。その中で自動運転車については「自動運転車の検査を行う検査員を1級自動車整備士に限る」と決定したことを明らかにした。
自動運転ビジネスの専門家である下山哲平(自動運転ラボ主宰)は「今後の自動運転車の普及に伴い、1級自動車整備士の資格を持つ人に対するニーズは確実に高まる」と分析。その上で「給与水準の上昇につながる可能性が高い」と予測する。
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■最新技術への適応に向け
この数年で進化し続ける自動運転などの先進安全技術に対応するため、自動車整備分野においても技術の高度化が進む一方、点検・整備を行う人材の減少が課題となっている。そこで国交省ではこのような環境の変化を踏まえ、事業者から広く困りごとを収集するとともに、課題の解決に向け対応策について関係者と検討を進めてきたという。
そして該当箇所の見直しを目的とした法令改正を行うとともに、今後も課題の解決に向けて必要な見直しを進めていく。見直しする内容は下記の7つだ。
- (1)認証工場の機器要件の見直し
- (2)指定工場(大型)の最低工員数の緩和
- (3)自動運転車の検査員要件の強化
- (4)自動車整備士資格の実務経験年数の短縮
- (5)「電子」点検整備記録簿の解禁
- (6)オンライン研修・講習の解禁
- (7)スキャンツール等による点検可能範囲の拡大
この記事では、(3)の「自動運転車の検査員要件の強化」について詳しく説明する。
▼時代に合わせた整備事業規制のアップデート|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000341.html

■「1級自動車整備士」のみが可能に
国交省が自動運転車の検査員要件の強化を行うのには、下記の3つの背景がある。
- 指定工場における検査は、「自動車検査員」でなければ行うことができない
- 自動車検査員の選任要件は、指定自動車整備事業規則(昭和37年運輸省令第49号)に規定
- 自動運転車は電子制御装置の塊であり、その検査には、電子制御に関する高い専門性が必要
自動運転車の検査について、事業者からは「電子制御に関する知識・能力を有する1級自動車整備士に行わせるべき」、それが「1級自動車整備士の価値向上にも資する」という意見が寄せられたという。ただし「自動運転車の普及に対して十分な数の1級自動車整備士が存在する必要がある」という声も出ているため、この内容が施行される2029年までに1級自動車整備士の育成が重要になってくる。
改正概要(省令)は「自動運転車(レベル3・4の自動運行装置を搭載した車両)の検査を行う自動車検査員は、現在の要件に加えて1級自動車整備士資格を保有している者の中から選任しなければならない」と決定した。自動運転車の検査は、指定工場において1級自動車整備士資格を保有する自動車検査員が行う必要があり、2級自動車整備士保持者は不可となる。
■2029年施行だが4年間は猶予
この規則の施行日は2029年4月1日で、施行日時点で自動運転車の検査を行っている指定事業者は、4年間は2級の自動車検査員にも自動運転車の検査を行わせることができると定められた。
なお1級自動車整備士は、自動車整備士の資格の中で最上位の国家資格だ。1級資格保有者の割合は、自動車整備士資格者の中でも4%未満となっている。国交省が公表している資料によると、1級自動車整備士の合格者数は2019〜2023年では毎年1,300〜1,600人ほどとなっている。2級自動車整備士が毎年2万人前後の合格者を出しているのに対し、非常に少ない人数になる。
▼自動車整備士技能検定の申請者数及び合格者数
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001894883.pdf

■1級資格保有者の需要が急増する
現在、国内では自動運転タクシー(ロボタクシー)の実用化に向けてティアフォーや日産、米Waymo(ウェイモ)が実証実験を行っている段階だ。すでに自動運転シャトルなどを定常運行している地域もある。安心・安全な自動運転走行を行い、社会受容性を高めていくためには、慎重な検査・整備体制の構築が必須となる。
1級自動車整備士のみが自動運転車の検査を行うことができることが決定し、今後は自動運転関連業界でのこの資格保有者の争奪戦が始まりそうだ。
【参考】関連記事としては「【重要】自動運転関連の委員会・検討会まとめ(国・省庁)」も参照。