【2021年2月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

トヨタやホンダに動きあり、法整備も世界で着々と進行

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2021年2月は、今年1年の自動運転業界の動向を見通すようなニュースが目白押しだ。

国内では、自動走行ロボットの公道走行解禁に向けた法整備面の動きが報じられ、実証も活発化し始めている。ホンダ・GM勢の国内実証やトヨタ勢とAuroraの提携などの話題も飛び交っている。一方、海外ではレベル4解禁に向けたドイツの動きなどが報じられている。

今年1年の業界の動きを想像しながら、2021年2月の10大ニュースを振り返っていこう。

自動運転シャトルe-Palette、Origin、ARMAの国内バトル勃発へ(2021年2月3日付)

レベル3の市販化発表に続き、ホンダが自動運転分野で攻勢を始めた。自動運転開発で提携する米GM・Cruiseとともに、国内自動運転モビリティサービス事業の実証に着手することを発表したのだ。将来的には「Cruise Origin(クルーズ・オリジン)」の事業展開も見据えており、トヨタの「e-Palette」や、BOLDLYらが導入する仏Navya製「ARMA」などと競合していくことも考えられそうだ。

厳密には、e-Paletteは多目的活用を見据えたMaaS専用自動運転車、ARMAは低速シャトルバス利用に適した自動運転車である一方、オリジンはタクシーサービスへの活用が見込まれる自動運転車となる可能性が高そうで、それぞれ特徴は異なるが、用途によっては当然サービスが被る――という見方だ。

ホンダの攻勢に対し、トヨタや日産がどう動くのかも注目していきたいところだ。

■ガソリンスタンドが自動運転宅配ロボの拠点!複数店舗の商品配達で実証実験(2021年2月5日付)

デリバリープラットフォームを手掛けるエニキャリが、ZMP、ENEOSホールディングスとともに無人宅配ロボットを活用したデリバリー実証実験を開始した。

ZMPが開発した宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」を使用し、エニキャリとENEOSが共同構築したプラットフォームを通じて複数店舗の商品を配達する。注文可能な参加小売店は10店舗で、配送先は東京都中央区佃エリアのマンションなどに限られるが、公道走行する宅配ロボットの実証としては本格的なサービス仕様となっている。

言わばウーバーイーツなどのデリバリーサービスをロボットが行う格好だ。利用者はマンション入り口などに受け取りに行く必要があるが、人件費などのコスト削減により低料金でサービスを享受できるようになるなど、利点は多い。

宅配ロボットの社会実装に向けた取り組みは大きく前進しており、2021年にはこうした実証が各地に広がっていく可能性も高そうだ。

中国第1号はAutoX!?完全無人の商用自動運転タクシーの運行開始(2021年2月5日付)

中国のAutoXが、一般客を対象にドライバーのいない完全無人の自動運転タクシーの商用サービスを開始したようだ。

自動運転タクシーの実用化においては、一般的にセーフティドライバー同乗のもと利用者を限定してサービスをローンチし、次第に一般客へ対象を拡大しながら安全性を向上していく。その後、国などの許可のもとセーフティドライバーなしの無人運転に着手し、同様に利用者を拡大していくことになる。このほか、運賃の有無もサービス実装に向けた1つの要素となるだろう。

AutoXはこの過程を約2年で済ませてきたことになり、自動運転実現に向けたスピード感では米Waymoを上回る勢いだ。百度やWeRide、Pony.aiなどライバルひしめく中国で頭ひとつ抜け出す企業はどこか、今後の展開に注目したい。

■ANA、2025年に空港内の旅客輸送で無人自動運転を実現へ(2021年2月8日付)

全日本空輸が羽田空港制限区域内で大型自動運転EVバスの試験運用を実施した。2021年内に旅客輸送用途での試験運用に着手し、2025年に無人自動運転の実用化を目指すこととしている。

実証には、BOLDLY、先進モビリティ、ビーワイディージャパンが協力し、従業員の移動用として自動運転バスを導入し、1周約2.5キロの区間をレベル3で走行した。

制限区域内は一般的な公道と比べ自動運転車を導入しやすい環境にある。空港特有の安全面への配慮が必要となるが、不特定多数の人や車が混在しないからだ。

今回の実証では高精度3次元地図や遠隔制御システムを用いるなど、公道における自動運転にそのまま応用できる技術が用いられている。こうした空港などで実証や実用化を促進し、公道へと広げていくのも重要な戦略の1つだ。

CASE領域への投資加速!米フォードが自動運転・EVに3.6兆円投資へ 開発人員も増強(2021年2月9日付)

米フォードがEV(電気自動車)と自動運転技術の開発に、2025年までに290億ドル(約3兆700億円)を投資することを発表した。新型コロナウイルスの影響で2020年12月期通期決算は12年ぶりの赤字となったが、CASE領域への注力によって未来に向け前進していく構えだ。

自動運転においては、独フォルクスワーゲン、米Argo AIとともに研究開発に力を入れており、2020年12月には自動運転車を活用したデリバリー実証をフロリダ州マイアミで開始している。

ライバルの米GMがCruiseとともに移動サービス向けの自動運転車「Origin」を2020年に発表しており、フォードとしても自動運転ビジネスに向けた量産モデルを早く発表・実現したいところだろう。

■自動運転宅配ロボ、公道走行を2021年度中に解禁か(2021年2月11日付)

政府が自動走行ロボットによる無人配送を2021年度中にも解禁する方針を固めたようだ。報道によると、早ければ今国会にも関連法の改正案を提出し、早期実現を目指す構えだ。

ロボットの規格や運行形態などがどのように整備され、ラストワンマイルを担う新たなサービスとして定着していくか大きな注目が集まるところだ。

公道実証も2020年を機に増加傾向にあり、2021年も大きくその数を伸ばすことが予想される。ロボット開発分野への新規参入も相次ぐ可能性があり、民間の動向にも注目だ。

■「天下一品」誤認識問題、「OTA」が解決の鍵!自動運転時代の必須技術(2021年2月17日付)

ホンダのADASによる標識認識機能が、ラーメンチェーン「天下一品」の企業ロゴを「車両進入禁止」の道路標識に誤認識する――といった話題をダシに、無線通信でソフトウェアを更新するOTA技術の必要性を説く記事となっている。

周囲の状況をリアルタイムで認識しながら走行する自動運転においては、センサーが映し出した映像などを瞬時に解析するAI(人工知能)が必要不可欠で、自動運転の基幹を担う最重要技術と言える。

ただ、オブジェクトに対する認識精度をガチガチに固めてしまうと、交通標識にちょっとした汚れが付いただけで認識しない可能性もある。人間による判断のように、柔軟性や推測に基づいた応用力をAIに持たせることがカギになるのだ。

こうした機能を高度化するにはAIに多大な学習をさせる必要があるが、事前の実証で学習しきれなかったケースや状況が実用化後に出てくるのも一般的なことで、そうした際に迅速にソフトウェアを更新する環境が重視される。

OTA技術を用いれば、ディーラー対応などを要することなく多数の車両を一斉にリアルタイム更新することが可能になる。セキュリティ対策なども必然となるが、一般乗用車を含めOTAのスタンダード化が進行していくことは間違いない。

Apple Car(アップルカー)最新情報まとめ!自動運転機能は搭載?(2021年2月18日付)

米アップルが手掛ける自動運転車「Apple Car」をめぐる報道合戦が熱を帯びている。生産を請け負う企業はどこか、発売日はいつか――といった具合で、関係者筋の話が飛び交っているのだ。

アップル自身は黙秘を続けており、これが報道合戦に拍車をかける結果となっている。一企業の動向にここまで注目が集まるのは異例と言えるが、それだけアップルへの期待が高いのだろう。

スマートフォンOSでシェアを争うグーグル系Waymoはすでに自動運転サービスを実用化しており、近い将来グーグルとアップルの競争は自動運転分野に主戦場を移すことになるかもしれない。その頃には、安全走行機能に加え自動運転車にどのような付加価値を与えるかといった観点も重視され、新たなサービス分野が発展することになりそうだ。

■自動運転開発企業「Aurora」(オーロラ)を徹底解剖!トヨタとも提携(2021年2月19日付)

自動運転開発を手掛ける米スタートアップのAurora Innovationの注目度が飛躍的に高まっている。世界各国の自動車メーカーと提携を進める同社は2021年2月、新たにトヨタ、デンソーと提携することを発表した。

提携の背景には、Auroraが2020年12月に買収した米Uberの自動運転開発子会社の存在がある。トヨタらはUberと自動運転サービスの社会実装を見越した協業関係にあり、この協業をAuroraが引き継ぐ形で提携が実現した。

Uberが開発を進めていた自動運転システムとAuroraの自動運転システムを統合し、トヨタの車両にガーディアンとともに実装してUberが展開する配車サービス網に乗せていく計画だ。

従来のライドシェアサービスが実質的に自動運転タクシーとなるため、地域によってはサービス実装に新たな許可が求められることになりそうだが、日本企業が関連するビッグプロジェクトに発展する可能性を秘めているため、今後の展開に要注目だ。

自動運転レベル4、ドイツが「世界初」公道解禁へ(2021年2月22日付)

ドイツ連邦政府が自動運転レベル4に対応した道路交通法改正に動き出したようだ。運行形態などに制限が付される見込みだが、公道におけるレベル4の一般走行を可能にする内容となっており、法整備面で世界をリードすることになりそうだ。

2021年半ばまでに法案を可決し、2022年までの施行を目指す方針のようだ。自動運転車両やシステムを認可する基準や細かい運用ルールなど、世界各国の参考になりそうだ。

また、民間の開発サイドでは、ドイツ自動車メーカーなどによるレベル4サービス実用化に向けた動きが具体化する可能性があるほか、こうした法基盤が呼び水となって世界各国の開発勢が結集することなども考えられる。

2020年にレベル3に対応した日本もレベル4実装に向け2022~2023年ごろを目途にさらなる改正が求められることになりそうだ。

■【まとめ】実用化に向けた取り組みが各方面で具体化していく一年に

法整備に関する報道をはじめ、トヨタやホンダ、AutoXの取り組みなど、自動運転技術の社会実装に向けた取り組みが一段と深化している印象だ。

それぞれのニュースは、具体化した形で年内にさらに大きなニュースとなって再登場する可能性があり、続報に期待だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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