Apple Car(アップルカー)最新情報まとめ!自動運転機能は搭載?

発売は2024年?製造企業に日本メーカーの名前も?



発売時期や製造企業をめぐる報道合戦が今なお続く「Apple Car(アップルカー)」。米アップルがプロジェクト「Titan(タイタン)」のもと開発を進めている自動運転EV(電気自動車)の俗称だ。開発動向の大部分はベールに包まれたままとなっており、それ故、報道は過熱の一途をたどっている。







この記事では、メディア各社の報道や一部明らかになっている事実に基づき、Apple Carに関する最新情報をまとめた。

■Apple Carの発売時期は「2024年以降」が有力?

開発プロジェクトの存在が報道され始めた当初は2020年の発売を目指すのではないかと推測されていたが、業界全体の開発動向などとともに予測も変遷し続けている。

2020年12月にロイター通信が2024年の製造開始を目指していると報じれば、同時期に台湾メディアが2021年9月に発売されると報じるなど、さまざまな関係者筋の話が飛び交っているのが現状だ。

ただ、多くのアナリストは2024年以降と予測しており、2024年~2025年ごろと見るのが現時点では妥当な線と思われる。

■Apple Carの製造企業は?情報が錯綜

発売時期以上に情報が錯綜しているのが、Apple Carの製造パートナーだ。アップル自身は製造能力を持たないため、製造・生産を担う企業が不可欠で、その行方に注目が集まっている。2016年には、独ダイムラーやBMWが協業に関する交渉を中止したことなども報道されている。

2021年1月には、韓国メディアがアップルと韓国・現代自動車(ヒュンダイ)がパートナーシップを3月までに結び、2024年ごろに米国内で生産を開始すると報じた。その後、韓国・起亜自動車(KIA)が2月中に提携を交わすとするメディアも現れた。

ただし、ヒュンダイ・KIA両社は一連の報道を否定する形で「複数の企業からEV共同開発の話が来ている」とし、何も決まっていない状況を強調している。

少なくとも6社の自動車メーカーと交渉?

韓国勢が否定した後、間を置かず「少なくとも6社の自動車メーカーと交渉を進めている」とする新たな報道が出回り、日本や欧州の自動車メーカーが取り沙汰されるようになった。

米Bloombergは提携する可能性がある企業として、台湾のFoxconn、カナダのMagna、韓国ヒュンダイとKIA、日産、ステランティス(旧FCA、グループPSA)の名を挙げている。

特に台湾のFoxconnは、ODM(相手先ブランドによる設計・生産)メーカーという立場からも、Apple Carのプロジェクトと親和性が高いと考えられる。また、そもそもiPhoneなどのApple製品の最大の製造パートナーであり、すでにかなり深い関係性を持っている。このほか、Foxconnは中国系の中堅自動車メーカーとの合弁会社の設立によりEVの受託製造サービスに参入することからも、FoxconnがApple Carを受託生産する可能性は十分にありそうだ。

2月9日に開催された日産の2020年度第3四半期決算の記者発表では、EV戦略に関連して早速「アップルからコンタクトやアプローチはあったか」という質問が飛び出した。

同社の内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)は、一連の報道に対する見解と前置きしたうえで「従来の自動車産業の枠を超えた新たな分野・領域の活動が必須となる。そのためには、各分野で優れた知見や経験を持つ企業とのパートナーシップやコラボレーションも選択としてあり得る」と回答した。

ただしその後に英Financial Timesが、Appleが最近数カ月以内に日産と簡単な交渉はしたものの、両社の役員レベルの交渉には至らなかったという趣旨の報道をしている。

各社との協議は難航している?

アップルが水面下で各社と交渉を進めている可能性は高いが、協議が難航している印象も強い。あるアナリストはその理由として、アップルは技術的提携ではなくあくまで生産を下請けしてくれる企業を探しているため、と分析している。各自動車メーカーは、自社の技術を生かす部分がなく、言われたまま製造・生産をするのは本意ではない――と見ているようだ。

一方、自動運転システムをライセンス形式で提供するパートナーシップ構築に向け協議を進めていると見るアナリストもいる。

公式発表がないため全て憶測となるが、世界中の自動車メーカーやティア1企業を巻き込む形で、製造・生産を担う企業をめぐる報道合戦が今しばらく続くことになりそうだ。

どのLiDAR開発企業の製品が採用されるかにも注目

Apple Carに関しては、どのLiDAR開発企業の製品が採用されるかにも注目だ。2021年2月のブルームバーグの報道によれば、Appleはすでに複数の開発企業と協議に入っているようだ。

調達先として考えられるLiDAR企業としては、Luminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)やAeva(エヴァ)、AEye(エーアイ)、Velodyne Lidar(ベロダインライダー)などのアメリカ企業のほか、ソリッドステート式LiDARの開発に力を入れているソニーなども考えられる。

■Apple Carに搭載される機能は?

Apple Carに搭載される各種機能についても公式発表はされておらず、「自動運転EV」であることぐらいしか判明していない。しかし、同社が取得した自動運転・自動車関連の特許から、その一端に触れることができる。

自動運転関連では、自動運転車の挙動を周囲のドライバーや歩行者にカウントダウン付きで知らせる技術「Countdown Indicator」や、自律走行システムそのものに関する技術、ジェスチャーで自動車を走行させる技術などで、特許を取得している。

座席を通じて乗員に情報伝達する「Haptic feedback for dynamic seating system」といった特許もあり、車内外の人と自動運転車のコミュニケーションを図るHMI関連には力を入れているようだ。

また、iPhoneなどでドアの解錠やエンジン始動を行うバーチャルキー技術は2021年に実用化される見込みで、提携自動車メーカーの新車などに対応する予定のようだ。

エアバッグやバンパーなどに関する特許も取得

一方、エアバッグやバンパー、シートベルト、ウィンドウなどに関する特許も取得しており、自動車の構造や安全機能を再定義するような研究も進めているようだ。

こうした取り組みは、ある意味ソニーと似通った印象を受ける。ソニーは、変革期を迎えた自動車の在り方を見つめ直す目的でオリジナルの自動車作りに一から取り組んでいる。その過程で生まれたさまざまな技術や知見が将来ビジネス化されていくものと思うが、アップルもまた自動運転技術のみならず自動車そのものにイノベーションをもたらす構えのようだ。

このほか、iPoneやiPadなどへの搭載を始めたLiDARや開発が進むAR(拡張現実)技術なども、自動運転に応用可能な技術として要注目だ。車内で乗員が楽しむコンテンツ作りなど、乗車体験を重視したアップルらしさに溢れるモビリティになることは間違いなさそうだ。

【参考】ソニーの取り組みについては「自動運転視野のソニーVISION-S、公道実証開始!AImotiveと協力も」も参照。

■Apple Car関連の求人は?

Apple Carの開発を目指す直接的な求人は見当たらないものの、本社を構えるカリフォルニア州サンタクララを中心に、関連しそうな技術職の募集が多数見受けられる。

AIの機械学習関連では、自律システム向けの機械学習テクノロジーを開発および統合するML・ディープラーニングエンジニアなどが多数募集されている。

Pythonのプログラミングスキルやディープラーニングのアルゴリズムとワークフローに関する理解などをベースに、ArrowやBazel、Docker、MySQLなどのテクノロジーに関する経験やSQL・非SQLデータベースの経験など、職種に応じた専門スキルが求められている。

ロボティクス関連では、複雑な自律テストシステムを可能にするフィクスチャとロボットソリューションを設計・開発・展開するエンジニアなどが募集されている。ロボットシステム設計の実務経験や機械図面を読む能力、複雑なソフトウェアシステム設計の経験などが問われるようだ。

センサーによる画像認識などに関わるパーセプション関連では、自律システム用のテクノロジー開発および展開を図るソフトウェアエンジニアなどが募集されている。C++やPythonに関する専門知識やアルゴリズムとデータ構造に関する理解などが求められている。

なお、アップルの自動運転開発部門には、米グーグル系や米テスラのシニアエンジニアなど、優秀な人材が多数引き抜かれているほか、買収した自動運転開発スタートアップのDrive.ai勢が多数在籍しているものと思われる。開発強化に向け、同部門の拡大を図っているといった報道も散見される。

【参考】アップルの自動運転関連の求人については「Appleに転職!自動運転やAI関連のエンジニア求人内容などを解説」も参照。

■【まとめ】交渉結果は2021年中にも判明?

Apple Carをめぐる報道はすでに日本の自動車メーカーまで及んでおり、名前が挙がった各社の株価にまで影響を及ぼしている。アップルブランドの人気はすさまじいものだ。

アップルがメーカー各社と交渉を続けているのはほぼ間違いない。合意に達した際は、公式アナウンスが発表されるのか。あるいは新たな情報がさらに錯綜することになるのか。

いずれにしろ、あちこちに張り巡らされた報道網の1つに真実が捕らえられるのは時間の問題で、2021年中に一定の動きがありそうだ。

またApple Carについてはこれまでに、商用の移動サービス向けや宅配向けを想定しているという報道もあった。最終的には一般向けの車両を販売するものとみられるが、自動運転の実用化に向けてより確実性の高い「特定用途」「特定地域」に特化した領域から取り組むという姿勢からは、Apple Car実現に向けたAppleの本気度を感じざるをえない。引き続きアップルの動向を注視したい。

(初稿公開日:2021年1月13日/最終更新日:2021年2月25日)

【参考】関連記事としては「自動運転、Uberは後退、Appleは前進?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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