Appleが自動運転関連人材の採用を本格的に強化し始めた。直近では、韓国の自動車部品企業・現代モービス(※現代自動車のグループ会社)の自動運転担当幹部を引き抜いた。Gregory Baratoff氏だ。このことはBaratoff氏のLinkedInのプロフィールの変更から判明した。
▼Gregory Baratoff|LinkedIn
https://kr.linkedin.com/in/gregory-baratoff-05a22b91
LinkedInのプロフィールによれば、Baratoff氏は独自動車部品大手のContinentalでカメラセンサー開発のトップなどとして約12年勤務したあと、2022月にかけて現代モービスで5年ほど働いた。
現代モービスでの最終役職は「Vice President, Autonomous Vehicles Lab」となっている。日本語にすると「自動運転車ラボの副社長」だ。そして2022年8月からはAppleで働き始めたことが、最近、プロフィールの新たな項目として追加された。
■有力人材を次々と獲得
Hyundaiはここ数年、自動運転技術の開発で存在感を急速に高めてきた。
2022年6月には、韓国のソウル市で自動運転レベル4(高度運転自動化)の技術を搭載した電気自動車(EV)「IONIQ 5」を使い、自動運転タクシーサービス「RoboRide」(ロボライド)の試験運用をスタートした。
そんなHyundaiからの自動運転人材の引き抜きや、これまでにAppleが引き抜いてきた自動運転開発のベテランたちの顔ぶれを振り返ると、Appleが自動車領域でも意欲的に世界的な企業になろうとしていることが改めて感じられる。
今年に入ってからは、イタリアの超高級車ブランドであるランボルギーニで約20年にも及ぶ経験を持つルイージ・タラボレッリ氏を採用した。そのほか、フォードで31年の経験を有するデジ・ウジカシェビッチ氏、ポルシェAGやBMW、Teslaからも引き抜きを行っている。
【参考】関連記事としては「Appleの自動運転車、ランボルギーニ風のデザインに?」も参照。
Appleの自動運転車、ランボルギーニ風のデザインに? https://t.co/vWWGQuxlPx @jidountenlab #Apple #自動運転 #ランボルギーニ
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 3, 2022
■割安に有力ベンチャーの買収も?
自動車業界に限らず、世界的にビジネス環境は2022年に入り、悪化している。ロシアのウクライナ侵攻などに起因する原材料価格の高騰、そして世界的な株安などの状況などから、資金調達に苦労している新興企業も少なくない。
そんな中、Appleは今後、人材の引き抜きだけではなく、ここぞとばかりに有力な自動運転ベンチャーの買収に乗り出す可能性も考えられる。世界的な株安が起きている今なら、割安に算出された時価総額で有力ベンチャーを手中にできる可能性があるからだ。
水面下で進められているAppleの自動運転プロジェクト。最近の動きから考えると、数年以内にApple Carの発売発表会が行われることも十分に考えられそうだ。
【参考】関連記事としては「未発売でもAppleが3位!米国での自動車購入意向調査」も参照。