Appleの自動運転技術、中国人による盗難が確定

元エンジニア、司法取引で容疑を認める



米アップルの自動運転技術を盗み出した中国人がいたことが確実となった。米メディアによれば、本人がこのほどそのことを認めた。この中国人はアップルで働いていた元エンジニアで、張暁浪(Xiaolang Zhang)氏という名前だ。


■基板の設計図などの不正持ち出し容疑

ロイター通信の報道によれば、張氏は米国での裁判で司法取引に応じて、アップルの企業秘密である自動運転技術を盗み出したことを認めたという。ただし、司法取引に応じたものの、張氏には最高で禁固10年と25万ドルの罰金を科される可能性があるようだ。

同氏には、自動運転車に搭載する回路の基板の設計図や、自動運転車の要件などが書かれたマニュアルなどを不正にダウンロードして持ち出したという容疑がかけられていた。ちなみに張氏は2018年に起訴されたあと、当初は上記の容疑について罪を認めていなかった。

張氏への疑いは、不自然な育児休暇の取得と中国への一時帰国、そして育児休暇中の退職の申し出がきっかけで生じたようだ。報道によれば、その後、張氏は中国の自動運転スタートアップ「XMotors」に転職した。

■こうした裁判は今後増える可能性

この裁判は、米国と中国という2つの国の企業・人が関与する国際的に注目度が高いものであるが、自動運転技術に関する訴訟は今後も増える可能性が大いにある。米国でも中国でも企業間で人材の引き抜き合戦が過熱しており、開発企業は技術の流出リスクに常にさらされているからだ。


自動運転ラボではこうした裁判に今後も注目していく。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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