米大手自動車メーカーのフォードは2021年2月8日までに、EV(電気自動車)と自動運転技術の開発において、2025年までに290億ドル(約3兆600億円)を投資することを発表した。CASE領域への投資を加速する形だ。
290億ドルのうち、約75%に相当する220億ドルを電気自動車に、残りを70億ドルを自動運転車の開発や生産に充てるという。開発に携わる人員も増強する。
■EV・自動運転分野に力を入れるフォード
フォードは、両分野においてすでに力を入れている。
2019年4月、フォードはトヨタ自動車と米GMとともに自動運転車の安全基準策定へ向けた「自動運転車安全コンソーシアム(AVSC)」を設立した。その3カ月後には自動運転技術の開発で独フォルクスワーゲン(VW)との業務提携を強化することを発表している。
2020年10月には、アルゴAIとともに開発している第4世代の自動運転テスト車両が公開された。
EV分野では、2021年にEVの商用バンを発売するとも発表している。米中西部ミズーリ州の完成車工場に1億ドル(約105億円)を投資し、商用バン「トランジット」に全電動モデルを追加する形だ。昨年12月には、全電動のスポーツ車「マスタング・マッハE」を発売したことでも注目を集めた。
自動運転車を活用した「サービス」にも照準を合わせている。2021年に自動運転タクシーと自動運転配送の両サービスの展開を視野に入れているという。
■赤字でも投資価値がある両領域、投資合戦が加速へ
フォードの2020年12月期通期決算は、新型コロナウイルスの影響によって北米や欧州の販売が低迷し、最終損益が12億7,900万ドル(約1,300億円)の赤字となり、12年ぶりの通期の最終赤字となった。
そんな中での今回の290億ドルの投資は、バイデン政権による環境規制の強化を見据えたものであると同時に、2025年までにEVと自動運転車の両分野で270億ドル(約2兆8,000億円)を投資する計画を発表したGMに対抗したとみられる。
ただこうした背景を抜きにしても、経営状況が赤字であっても投資価値があるのが、電動化そして自動運転技術だ。アメリカ、そして世界でさまざまな企業がいまこの両分野に巨額の資金を投入しており、この流れはさらに加速していきそうだ。
【参考】関連記事としては「LiDAR大手ベロダイン、フォード系企業と自動運転大型トラック開発で協業」も参照。