自動運転開発企業「Aurora」(オーロラ)を徹底解剖!トヨタとも提携

凄腕技術者3人が2016人に創業、Amazonも出資



出典:Aurora Innovation公式サイト

トヨタとデンソーとの提携により、日本国内での注目度が一気に高まったアメリカの自動運転スタートアップ企業がある。Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)だ。

トヨタとの提携では、トヨタのミニバン「シエナ」にAurora Innovationの自動運転システム「Aurora Driver」を搭載し、2021年中にテスト走行の実現を目指すという。そして今後数年かけ、自動運転車の量産化に取り組むようだ。







これまでにも、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との提携や、アマゾンから多額の投資などで、自動運転業界で存在感を高めてきたAurora Innovation。同社は果たしてどんな企業なのか。創業の経緯やこれまでのトピックスなどをまとめてみた。

■トヨタ・デンソーと提携したAuroraとは?

Aurora Innovationは2016年に設立されたスタートアップ企業だ。共同創業者であるクリス・アームソン氏、スターリング・アンダーソン氏、ドリュー・バグネル氏の3人は、いずれも自動運転開発においては業界でベテランの部類に入る。

CEO(最高経営責任者)であるクリス・アームソン氏は、カナダのマニトバ大学で博士号取得後、米カーネギーメロン大学で自動運転技術の研究に注力した。2007年に行われた米国防高等研究計画局(DARPA)主催のロボットカーレース「DARPAアーバンチャレンジ」で同大学が優勝した際には、同氏がチームのテクノロジーディレクターを務めた。

その後、米グーグルの自動運転開発プロジェクトに参加し、CTO(最高技術責任者)まで上り詰めたが、2016年に辞任し、Aurora Innovationを立ち上げた。

スターリング・アンダーソン氏は、米マサチューセッツ工科大学を経て、米テスラの自動運転機能「オート・パイロット」の開発に携わり、開発責任者も務めた人物だ。

もう1人の創業者であるドリュー・バグネル氏は、アームソン氏と同じくカーネギーメロン大学で「DARPAアーバンチャレンジ」のチームメンバーだったことで知られ、ライドシェア世界最大手の米ウーバーにおいて自動運転開発リーダーを務めた実績がある。

■Auroraの自動運転に関するトピックス
独フォルクスワーゲンおよび韓国の現代自動車と提携

Aurora Innovationは2018年1月、自動車メーカー大手の独フォルクスワーゲン(VW)と韓国の自動車メーカー最大手の現代自動車(ヒュンダイ)との提携を発表している。この提携でフォルクスワーゲンとヒュンダイの両社はいずれも、2021年までにAurora Innovationの自動運転技術を搭載した車両を開発したいとした。

だが、フォルクスワーゲンとの提携は2019年6月に解消された。一部の報道によれば、フォルクスワーゲンとの提携解消は、フォルクスワーゲンがAurora Innovationを買収しようとして失敗したことが原因とされている。

米アマゾンからの資金調達

2019年2月には、米アマゾンなどがAurora Innovationに5億3000万ドル(約600億円)以上の投資をしたことが明らかになった。アマゾンが自動運転関連企業への投資を公式に発表したのは、Aurora Innovationが初だった。

Aurora Innovationに出資したアマゾンの狙いは、ユーザーへの商品の出荷や配送業務を自動化させることにあるとみられている。

LiDARメーカー「Blackmore」を買収

Aurora Innovationは2019年5月、「自動運転の目」と呼ばれるLiDARを開発する米Blackmore(ブラックモア)の買収について発表を行った。この買収によりLiDAR開発を強化し、自動運転技術の底上げを狙ったものとみられる。

Blackmore社はトヨタのスタートアップ育成ファンド「トヨタAIベンチャーズ」などから出資を受けていた2017年創業の企業だ。買収額などについては明らかにされていない。

フィアット・クライスラー・オートモービルズと提携

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とは、2019年6月に商用車の開発で協業する覚書を交わした。報道によれば、FCAが開発する商用車に対し、Aurora Innovationが自動運転ソフトウェアやセンサーなどを提供するというものだ。

FCAのピックアップトラック車両である「ラム」や「フィアット・プロフェッショナル」などの商用車両が、自動運転化の対象となるようだ。

ヒュンダイとKIAがAuroraに出資

韓国のヒュンダイとその傘下である起亜自動車(KIA)は2019年6月、Auroraに出資し、提携している。

出資額は明らかになっていないが、この提携により、ヒュンダイの燃料電池車「NEXO」(ネキソ)の自動運転バージョンの開発が本格的に始まったようだ。

米Uberの自動運転開発部門「ATG」を買収

2020年12月には、Aurora Innovationによる米ウーバーの自動運転車開発部門「アドバンスト・テクノロジーズ・グループ」(ATG)の買収が明らかになった。

ウーバーは同時にAurora Innovationに4億ドル(約420億円)を投資し、ATGとAurora Innovationの開発チームを統合。またこの買収により、ウーバーのCEOであるダラ・コスロシャヒ氏がAurora Innovationの取締役に就任すると発表された。

大型トラックメーカーのPaccarとの提携

2021年1月、大型トラックメーカーである米Paccar(パッカー)と自動運転の大型トラック開発に向けて提携を発表した。当面はAurora Innovationの自動運転システムやセンサー、ソフトウェアなどのテストに重点を置くとされている。

Aurora Innovationは2020年に物流分野にも注力することを宣言しており、米Paccarとの提携により同分野に本格的に参入した格好だ。

■【まとめ】止まらないAuroraの躍進

民間調査会社のCBインサイツによれば、Aurora Innovationの企業価値は10億ドル(約1,050億円)に上り、すでにユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上の非上場企業)の1社に数えられている。

設立からわずかな期間で世界中の名だたるメーカーや企業と提携し、今回のトヨタとの提携でその存在感をより一層際立たせたAurora Innovation。その勢い、そして躍進はどこまで続くのか、今後の動向にも注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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