自動運転ラボ、2021年の閲覧数ランキング!1位は河野大臣のあの発言

トヨタやテスラ関連の記事も上位に



コロナ禍の影響を受けつつも、さまざまな話題が飛び交った2021年。自動運転分野において、記憶に残る注目度の高い出来事は何だったろうか。

閲覧数が多かった順にランキング化した記事を通し、この1年を振り返っていこう。


■1位:自動運転で河野大臣「つまらぬ規制が沢山」 警察庁に「頭切り換えて」(2021年1月27日付)

行政改革や規制改革を担う内閣府特命担当大臣だった河野太郎前大臣による「喝」が入った「投資等ワーキング・グループ」の議事に触れた記事が年間1位に輝いた。規制改革に対する関心の高さの表れか、はたまた河野前大臣の人気によるものかはわからないが、スピード感ある改革を推し進める姿は非常に印象的だ。

会議では「自動運転の実装に向けた環境整備」が議題に上がり、河野前大臣は「つまらぬ規制が沢山あるというのが現実」「明日にでもやる場合にこういう条件ならできる、というのを持って来てほしい」「警察庁、国交省は当事者意識を」など、改革推進に向け意識改革を促す場面が多く目立った。

内閣府特命担当大臣は現在牧島かれん議員が引き継いでいる。河野前大臣と同じ路線である必要はないが、新たな目線でしっかりと行政改革や規制改革に臨まれることに期待したい。

【参考】詳しくは「自動運転で河野大臣「つまらぬ規制が沢山」 警察庁に「頭切り換えて」」を参照。


■2位:CASEとは?意味や使い方は?「コネクテッド」や「自動運転」を示す略語(2021年10月4日付)

自動車業界の変革を象徴する「CASE」を解説したアップデート記事が2位にランクインした。CASEに対する意識や認知度の高まりが背景にありそうだ。


C「Connected:コネクテッド」は、自家用車におけるサービス提供が本格化し、普及期を迎えている。自動運転を実現する基幹技術として、またサービスの幅を広げる技術としても注目だ。

A「Autonomous:自動運転」は、自家用車におけるレベル3の社会実装が始まったほか、米国・中国を中心にレベル4サービスに向けた取り組みが大きく進展している。2022年は両国以外でもレベル4サービスが大きく前進する年になりそうだ。

S「Shared & Services:シェアリング・サービス」は、従来のカーシェアやライドシェアに加え、MaaSの浸透とともに超小型モビリティなどさまざまな移動サービスにも注目が集まっており、各移動サービスがどのように連携しサービスの質を上げていくか――といった観点にも要注目だ。

E「Electric:電動化」は、2021年に特に注目が高まったように感じる。各社の戦略のもと、HVやPHEVをはじめFCV(燃料電池自動車)や純電気自動車となるBEVが今後どのように市場を拡大していくかがポイントとなる。

■3位:自動運転「トヨタホンダに敗北」は大誤解!市販車で「日本一」譲るも…(2021年8月17日付)

レベル3自家用車を世界に先駆けて発売したホンダに対し、トヨタは後塵を拝するのか――といった観点から、自動運転分野における両社の取り組みに迫った記事が3位となった。

自家用車において、ホンダはレベル3技術「トラフィックジャムパイロット」を含む「Honda SENSING Elite」を新型レジェンドに搭載した。一方のトヨタは、レクサスブランドの新型LSなどにハンズオフ運転を実現する高度なレベル2「Advanced Drive」の実装にとどまっている。

この点だけを見ればホンダ優勢に思われるが、重要なのはどこに力を入れているかだ。トヨタは目下、自動運転サービス専用の「e-Palette」の開発に重点を置いているように見える。東京五輪・パラリンピックではサービス実証を行い、レベル4の実用性を探っている段階だ。

いち早くレベル3を実装したホンダと、レベル4に力を入れるトヨタを単純に比較できるものではないことは明白だ。ただ、ホンダもGM、Cruise陣営とともに日本国内でのレベル4サービス導入に向け実証を開始しており、レベル4実用化をめぐる競争は今後熱を帯びてきそうだ。

■4位:第2青函トンネル構想!道路部分は「自動運転車」限定 JAPIC提言に注目(2021年11月29日付)

日本プロジェクト産業協議(JAPIC)が2020年12月に国土交通大臣へ提言した構想「JAPIC 津軽海峡トンネルプロジェクト」に焦点を当てた記事が4位となった。

提案には、北海道と本州を結ぶ第2の青函トンネルとなる「津軽海峡トンネル」を建設し、自動運転技術で効率的な輸送を実現する内容が盛り込まれている。1988年に開通した青函トンネルは鉄道専用だが、新たなトンネルはすべての車両が通行可能になる仕様とし、自動運転車専用の通行路を作るといった内容だ。

新トンネルが竣工する時期には自動運転技術が普及していることを見込んでおり、未対応車はパレット台車で輸送する。自動運転専用とすることで、安全性を高めるほか道路幅員の縮小などでコストも削減できるという。

道路インフラは老朽化する。開通から30年余りが経過した青函トンネルも、遅かれ早かれ大規模改修や高規格化が求められる時期がやってくる。早い段階で未来を見越した構想を策定し、機運を高めていくことは非常に重要だ。

■5位:自動運転車の実現はいつから?世界・日本の主要メーカーの展望まとめ(2021年3月11日付)

自動運転技術の開発を進める自動車メーカーやスタートアップなどの開発状況や目標などをまとめた記事が5位にランクインした。

記事では、開発事業者16社の取り組み状況をはじめ、自動運転レベルごとの展望や自動運転によって登場するサービスや実現時期、自動運転の実現により影響を受けるマーケットなどについて解説している。

数年前までは、開発各社はおおむね2020年を目標にレベル4を開発していたが、現在では目標が繰り下げられ、公表しないケースも多くなってきた感を受ける。それだけ社会実装する上での課題が浮き彫りとなり、本質部分に近づいたとも言える。

漠然とした将来技術だった自動運転を、現実の技術・サービスとして受け止めたからこその目標繰り下げだ。この繰り下げられた目標も、多くが数年以内に実現のものとなる。引き続き各社の動向に注目したい。

■6位:自動運転レベル4、ドイツが「世界初」公道解禁へ(2021年2月22日付)

ドイツが自動運転レベル4に対応した法改正を行った。当記事(2月)の時点では改正案が閣議決定された段階だが、5月にドイツ連邦議会で道路交通法改正法案が可決され、先進国の先陣を正式に切った形だ。

改正法には、関連する言葉の定義や自動運転車が備えるべき技術要件、自動運転車の走行許可、走行に携わる者の義務、データ処理などに関する規定が細かに盛り込まれている。早ければ2022年中に施行される見込みだ。

法改正に踏み切った背景には、自動車大国としてイニシアチブを発揮する狙いがある。法環境が整い公にレベル4が認められれば、世界中の開発事業者が自国に集まる可能性が高い。事実、モービルアイなどドイツ国内で自動運転タクシーを展開するプログラムを発表する企業もすでに出ている。

今後、ドイツの動きに対し他国がどのように追随していくか、注目だ。

■7位:テスラ「FSDは自動運転の能力ない」 カリフォルニア州当局に説明(2021年3月13日付)

7位には、何かと話題に上るEV大手テスラの関連記事がランクインした。同社がカリフォルニア州車両管理局(DMV)に対し、自社技術「FSD(Full Self-Driving)」に現状自動運転能力がないことを認めた内容の記事だ。

同社CEOのイーロン・マスク氏は、常々テスラが早期に自動運転を実現するとアピールし、2020年12月には「完全自動運転化を達成できる自信があり、来年にはテスラの顧客に届けることができるだろう」と語るなど、ビッグマウスと言える発言を定期的に発している。

野望を語ること自体に異論はないが、「Autopilot」や「FSD」といったネーミングと相まってADASに対する誤認を招きかねず、関係各局から厳しい目を向けられ始めている。

今後、何らかの対応を迫られる可能性が高いが、テスラはどのような手を講じるのか、注目だ。

■8位:LiDAR(ライダー)とは?自動運転向けセンサーとして活躍(2021年11月9日付)

自動運転の「目」として注目が高まり、本格的に市場化が始まったLiDARのアップデート記事が8位にランクインした。

記事では、LiDARの仕組みや役割、市場規模、開発各社などについてまとめられている。2018年の初稿時点では、LiDARは自動運転実証向けに一部が供給されている程度だったが、この3年間で搭載車両は増加し、まもなく迎える自動運転車の本格量産化を前に大型受注が相次ぐ状況となっている。

自家用車においても、レベル3をはじめハンズオフを可能にするレベル2車両への採用なども増加傾向にあるほか、自動走行ロボットやドローンなど、さまざまなモビリティへの導入も進んでいる。LiDAR業界の右肩上がりの成長は今後しばらく続くことは間違いなさそうだ。

■9位:なぜ住民たちは、Waymoの自動運転車に卵を投げつけるのか(2021年7月22日付)

世界に先駆けて自動運転タクシーを実用化した米Waymo。こうした先進技術・サービスの実現には対象エリアの住民の協力が必要不可欠だが、中には自動運転を不安視・危険視する人たちもいる。記事では、こうした人たちの心情に迫っている。

記事によると、Waymoの車両に対し、卵や石を投げつけたり、走行妨害したりするケースが少なからず発生しているようだ。自動運転車に対する恐怖心をはじめ、中にはストーカーをされているように感じた人もいるという。

自動運転車に対しては、きびきび走らないことによるあおり運転なども懸念されるが、人の心情は測り知れないところがある。しっかりと理解を促し、社会受容性を醸成していかなければならないことを再認識させられる内容だ。

■10位:海外メディア「五輪の栄光はトヨタの手に」 自動運転e-Paletteをどう評価?(2021年8月15日付)

1年遅れの開催となった東京五輪・パラリンピック。ワールドワイドパートナーを務めるトヨタは、早くから大会にe-Paletteをはじめとしたロボットを導入する計画を明らかにしていた。

ただ、コロナ禍の開催ということもあり、トヨタ自身は大会中に各種先端技術を大きくPRすることはなく、裏方に徹していたような印象を受ける。

しかし、その活躍に目を留めた選手や海外メディアも多く、SNSやニュースで局所的に話題となった。米ブルームバーグは「選手のシャトルでオリンピックの栄光をトヨタが手にした」と報じている。

e-Paletteによる事故も発生してしまったが、これらの技術はさらにブラッシュアップされ、いつの日か実を結ぶ。東京大会は、こうした技術の糧となる場としても機能しているのだ。

■【まとめ】2022年もさらなるビッグニュースに期待

時事的要素やコラム的要素、CASEやLiDARといった王道要素の強いものまで、バラエティ豊かな内容の記事が満遍なくランクインした印象だ。

2022年は、果たしてどのような話題が大きな注目を集めるのか。2021年に負けない明るいビッグニュースが飛び交うことに期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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