第2青函トンネル構想!道路部分は「自動運転車」限定 JAPIC提言に注目

手動運転車はパレット輸送で対応



出典:JAPIC資料

一般社団法人「日本プロジェクト産業協議」(JAPIC)が過去に国土交通大臣に提出した構想をご存じだろうか。津軽海峡トンネル、いわば「第2青函トンネル構想」で、道路部分は自動運転車を走らせる構想だ。

▼今後推進すべきインフラプロジェクト|日本プロジェクト産業協議
http://www.japic.org/information/assets_c/2020/12/173_2.pdf
▼「今後推進すべきインフラプロジェクト~コロナ禍を超えて、国土の発展のために~」を赤羽国土交通大臣へ手交しました|日本プロジェクト産業協議
http://www.japic.org/information/173.html


■「第2青函トンネル構想」とは?

JAPICは2020年12月に赤羽国土交通大臣(当時)へ「今後推進すべきインフラプロジェクト~コロナ禍を超えて、国土の発展のために~」という提言を手渡した。

その提言における「第2青函トンネル構想」では、調査設計・施工・アクセス道の整備などを含め約15年を見込んだプランを計画している。

トンネルの下部中央に単線の鉄道貨物列車、サイドに前後に進める緊急車両が待機し、トンネル上部に自動運転専用道路が通るイメージだ。自動運転専用道路が採用されることで多重衝突が起こらず走行時の安全を確保できるとしている。

自動運転専用道路において、自動運転未対応車に関しては、追加料金を支払った上で自動運転のパレット台車に積載されて輸送される方式と併用する計画で、すべての車両がトンネルを通行できるようにする構想のようだ。


出典:JAPIC資料(クリックorタップすると拡大できます)
■第2青函トンネルがもたらす効果とは?

第2青函トンネルがもたらす効果は大きく3つあるとされている。

1つ目は所要時間とコストの削減だ。第2青函トンネルを利用することで、函館〜青森間の所要時間は現在フェリーでかかる時間の約半分となり、費用については普通車ではフェリーとほぼ同額ではあるが、大型車になると46%のコストが削減できるという。普通車においても複数人が乗車する場合には第2青函トンネルを利用する方が安く収まる。

2つ目は北海道と青森にもたらさされる経済効果だ。物流の増加による経済効果は年間340億円、観光活性化による交流人口や消費増加による経済効果は総額で年間538億円とされ、総額年間878億円が見込まれている。

さらに、青函トンネルが新幹線専用となることで、現在貨物と並行走行している新幹線が青函トンネル内でも本来の高速走行ができ、利用率が上がる効果もあるようだ。一方で第2青函トンネルは貨物輸送専門になるため本州への安定輸送も叶う。第2青函トンネルの自動運転専用道路によりドライバー不足の課題もクリアできる。


■第2青函トンネルが実現する日は来るのか、注目

もし正式にこのプロジェクトがスタートするとすれば、第2青函トンネルが開通する頃には、GNSS(測位衛星システム)の信号が受信しにくいトンネル内でも自動運転車が安全に走行できる技術が確立されている可能性が高い。

自動運転車前提の第2青函トンネルは果たして実現するのか。今後も注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事