自動運転で河野大臣「つまらぬ規制が沢山」 警察庁に「頭切り換えて」

実証加速に向け、国交省や警察庁を鼓舞



河野太郎大臣=出典:flickr / G20 Argentina (CC BY 2.0)

2020年12月に開催された規制改革推進会議の第6回投資等ワーキング・グループの議事概要がこのほど公開された。行政改革や規制改革に関わる内閣府特命担当大臣を務める河野太郎大臣も出席し、自動運転技術の社会実装を加速させる規制改革などについて意見を交わしたようだ。

会議ではどのようなことが話し合われたのか。河野大臣の発言に焦点を合わせ、議事概要を追っていく。







▼第6回 投資等ワーキング・グループ議事概要
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/toushi/20201215/gijiroku1215.pdf

■会議の概要:BOLDLYやアイサンテクノロジーから意見も

議題は「自動運転の実装に向けた環境整備」及び「規制改革ホットライン処理方針」で、BOLDLY社長兼CEOの佐治友基氏が自動運転に係る規制改革要望、アイサンテクノロジーMMS事業本部長の佐藤直人氏が一般道における自動運転サービス実用化に向けた規制改革への意見をそれぞれ提示したほか、警察庁、国土交通省、経済産業省が現在の取り組みを発表した。

なお、BOLDLYの佐治氏は以下の4点に関し、意見を述べている。

  • 歩行者専用道路での低速自動運転バスの走行許可
  • 専用道・優先通行帯の設定
  • 停留所の駐停車禁止制限の除外
  • 道路使用許可の全国一括管理

【参考】BOLDLYの要望については「BOLDLY、自動運転に係る規制改革を要望!どんな内容?」も参照。

一方で、アイサンテクノロジーの佐藤氏は以下の4点に関し、意見を述べている。

  • 改造車両への許認可
  • 遠隔監視者・乗務員の免許制度の確立
  • 実証実験での既存バス停の利用許認可
  • 信号情報の活用
■河野大臣の発言
「つまらぬ規制が沢山あるというのが現実」

河野大臣は冒頭のあいさつで「自動車産業が自動運転の時代にリーディング・インダストリーとして生き残れるかどうか、日本経済にとっても非常に大事。そのためには、自動運転というものが、日本でしっかりと開発されるということが何よりも大事」と自動車産業に触れ、「自動運転の開発で世界の先頭を走らなければ、日本の自動車産業の未来はないと思う。そういう重要性が理解されず、つまらぬ規制が沢山あるというのが現実ではないか」と規制の在り方に言及した。

具体的に、実証実験に係る手続き上の問題や既存のバス停利用といった要望に触れ、「警察庁、国土交通省には、日本が世界をリードする自動運転を作り上げるということが、日本経済にとってどれだけ重要なのかということを常に考え、スピード感を持って、その縦割りを排し、しっかり対応してもらうようにお願いしたい」と話し、さらなる規制緩和に向け意識改革を促した。

「明日にでもやる場合にこういう条件ならできる、というのを持って来てほしい」

警察庁が規制改革に向けた取り組みを説明した際、河野大臣は厳しい要求を突き付けた。

警察庁は、規制改革実施計画の改革事項において、ホームページの充実(公道実証に関する特設ページの新設)や、都道府県警察への公道実証の取り扱いに関する周知といった取り組みをはじめ、既存のバス停の利用や特別装置自動車の道路使用許可に必要な施設内審査に関する要望などへの対応を説明した。

バス停利用に関しては「バス事業者の関与を得て、バス停に係る運行バスを利用する者の安定的な輸送確保に資する公道実証実験の自動運転車両につきましては、バス停での駐停車を可能とする方向で関係機関と検討していく」、施設内審査については「円滑な実験の実施を阻害することのないよう、合格者の一括管理を行い、合格者が再度受験する必要がなくなるよう、まずは一括審査に向けて審査項目や合格基準などの統一化に関する検討を始めたところ」などと回答した。

一見前向きな回答に思われるが、河野大臣は「警察庁は事の重要性をちゃんと理解していないのではないか」と切り出し、「今、いろいろな国でいろいろな企業が自動運転をどんどん進めようとさまざまな取り組みを行っている中、2022年度に…といった悠長なことを言っている余裕は日本の経済にはない」とし、「頭を切り換え、明日にでもやる場合にこういう条件ならできる、というのを持って来てほしい」と駆り立てた。

「警察庁、国交省は当事者意識を」

締めのあいさつでは、「これまで日本は、液晶や半導体、さまざまな家電など、いろいろな業界で競争に負けてなくなってしまったということを経験している中で、やはり将来に向けて、本当に何で食っていくのということを真剣にオールジャパンで考えていかなければいけない。日本が最先端を行くという状況になっていないことを真剣に考え、警察庁、国交省には当事者意識を持って、今やるためにどうしたらいいのか、という答えを持ってきてもらいたい」と発奮を促した。

■【まとめ】自動運転の社会実装に向けアクセル踏み込む

規制改革の「ドライバー」となった河野大臣は、自動運転の社会実装に向け力強くアクセルを踏み込んだ。ある意味身内に厳しくあたる形となったが、自動運転業界にとっては強い味方と言えそうだ。

一方、激しく尻を叩かれる格好となった警察庁らは、自動運転実現に向けたロードマップを前倒しする勢いで規制の在り方を審議し、前向きな結論を導き出さなければならなくなった。

今後、自動運転の社会実装に向けた取り組みが大幅に加速する可能性がある。引き続き会議の動向を見守りたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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