レベル3発売計画、相次ぎ判明!2021年11月の自動運転ラボ10大ニュース

米国ではAurora Innovationが新規上場

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2021年も残すところあと1カ月余りとなったが、自動運転分野は早くも師走のようなにぎわいを見せている。独BMWや韓国ヒュンダイのレベル3発売に向けた計画がそれぞれ報じられ、レベル3時代がいよいよ世界で幕を開けることになりそうだ。

このほかにも、有力スタートアップの新規株式公開など話題盛りだくさんの11月における10大ニュースを振り返っていこう。

■ユニコーン投資1位のTiger Global、米Nuroに投資 自動運転搬送ロボの開発企業(2021年11月4日付)

車道を走行するタイプの中型自動配送ロボットの開発を手掛ける米Nuroが最新の資金調達Dラウンドで約6億ドル(約680億円)を手にしたようだ。

シリーズDはタイガー・グローバル・マネジメントが主導し、Woven Capitalやソフトバンクビジョンファンド、グーグルなども参加している。企業価値は86億ドル(約9,800億円)に達した。

ウォルマートやクローガーなどとの実証も着実に進んでおり、そろそろ上場に関する話題が本格化する可能性もある。土産となる大型契約を引っ提げて株式市場に乗り込む日もそう遠くなさそうだ。

Apple、自動車ビジネスを本格展開へ iOS活用、自動運転車開発も(2021年11月4日付)

何重ものベールに包まれつつも多くのコンシューマーの興味をそそり続ける「Apple Car(アップルカー)」。米アップルブランドへの期待の高さは自動運転分野にも及んでいる。

同社はこれまで、自動車のインフォテインメントシステムと連携し、iPhoneサービスを車内で活用できる情報系OS事業が主体だったが、デジタルキーなど徐々にサービスの質を高めている。

同社の自動運転開発は未知数だが、こうしたiPhoneを応用したサービスなどは、運転というタスクから解放される自動運転にマッチしやすい。

アップルが作る自動運転車は、ただ安全に移動できれば良いわけではない。車内における移動時間にどのような付加価値をもたらすか、ユーザーエクスペリエンスの観点が強く求められる。

この期待にアップルはどのような回答を用意しているのか。答え合わせには、まだまだ時間を要することになるのだろう。

トヨタと提携の米AuroraがSPAC上場 自動運転スタートアップ、株主にUberやAmazon(2021年11月5日付)

自動運転開発を手掛ける米Aurora Innovationが、ナスダック市場にSPAC上場した。トヨタやボルボグループ、FedEx、PACCARなどとパートナーシップを結ぶ勢いのある開発企業で、上場を機に事業化に向けた取り組みを一気に加速させていく構えだ。

同社は2023年後半までに自動運転トラック事業「Aurora Horizon」の商用展開を開始し、その後2024年には自動運転配車事業「Aurora Connect」を開始するロードマップを発表している。

トヨタとの協業も順調なようで、2021年9月にはトヨタ・シエナにAurora Driverを統合した自動運転シエナも発表している。Uberのライドシェアネットワークをはじめ、世界中の配車ネットワークに2024年に導入を図る計画だ。

米国では、2018年に自動運転タクシーサービスを開始したWaymo以後、長らく後に続く企業が出てこなかったが、Aurora InnovationやGM Cruise、Argo AI、Motionalら2番手グループがいよいよ真価を発揮させ始めた。

中国系企業も自国でサービス実証を重ねており、各社の競争は開発フェーズからサービス実装フェーズへと本格的な移行を始めたようだ。

■世界初!米Walmart、完全無人の自動運転トラック導入 拠点間配送で(2021年11月9日付)

小売り大手ウォルマートが、ドライバーレスの無人自動運転による配達を開始しているようだ。同社は自動運転トラックを開発するスタートアップの米Gatikとパートナーシップを結び、2020年から実証を続けており、この取り組みを大きく前進させた格好だ。

両社はアーカンソー州ベントンビルにあるウォルマート店舗で実証を開始し、これまでに7万マイル(約11万キロ)以上走行してきたという。このほど無人化にステップアップし、問題がなければ2022年にオペレーションに組み込んでいくという。

また、両社はさらに長距離の配送実証として、ルイジアナ州でも取り組みを開始した。ニューオーリンズとメタリー間約20マイル(約32キロ)のルートを走行する計画のようだ。

ウォルマートは自動運転技術の導入に積極で、Gatik以外にもNuroやGM Cruiseなどとの関係も深めている。世界最大のスーパーマーケットチェーンの物流網は非常に大きく、同社を射止めた自動運転開発企業は自らの価値を大きく高めることができる。今後の動向に要注目だ。

■次なる1兆ドル企業候補のNVIDIA、自動運転分野で全方位戦略(2021年11月9日付)

半導体大手の米NVIDIAの企業価値が一段と高まっているようだ。EV大手テスラに続き、時価総額1兆ドル超が見えてきた。

同社の株価は11月22日に一時過去最高値となる346ドルまで上がった。同社の発行済株式数は25億のため、単純計算で400ドルまで上がれば時価総額1兆ドル企業の仲間入りとなる。

世界的な株高といった背景もあるが、パソコンやゲーム市場で高い支持を集め続け、AI開発力を武器に自動運転分野でその価値をさらに高めている同社が1兆ドル企業となっても、おかしな話ではないだろう。

なお、1兆ドル企業にはマイクロソフト、アップル、サウジアラムコ、アルファベット、アマゾン、テスラ、メタ(旧Facebook)の7社が名を連ねている。

■自動運転、北米でついにレベル3量産車販売へ!BMW、2022年後半に(2021年11月10日付)

独BMWの開発ディレクターが、2022年後半に北米で発売する予定の7シリーズセダンからレベル3の実装を開始する計画があることを経済紙の取材で明かした。

BMWは、自社初のレベル3実装の地に北米を選んだようだ。7シリーズで実用化を果たした後、5シリーズセダンやX5、X7などに順次広げていく計画という。

面積が広い米国などは、都市間の移動に高速道路を利用するケースが多く、たとえ高速道路限定でも自動運転が使用できるメリットは思いのほか大きい。

その一方、国際基準を順守すると、現時点におけるレベル3は交通渋滞時に自動運転を可能とする仕様となっており、まだまだ実用性が低いのも事実だ。

今後、世界的に実装が進みレベル3の安全性が広く証明されれば、制限は徐々に緩和されていくものと思われる。各社の取り組みに期待だ。

■自動運転配送、ついに岸田首相が解禁へ!次期国会で法案提出(2021年11月15日付)

第2次内閣が発足し、就任会見に臨んだ岸田文雄首相がさっそく自動運転分野に言及した。自動運転を活用した自動配送サービス実現に向けた法案を次期通常国会に提出すると明言したのだ。

低速小型の自動配送ロボットが道路運送車両に該当しないこととした上で、サービス提供エリアや運営事業者に関する事前届出制や、安全管理義務に違反した場合の措置、産業界における自主基準や認証の仕組みの検討を促すことなどを前提とした法案になる見込みだ。

安倍晋三元首相による鶴の一声で2020年に公道実証が一気に加速し、開発勢も厚みを増してきた。今後、法規制がバックボーンとなり、各地で導入に向けた実用実証がさらに加速していくことに期待したい。

■韓国ヒュンダイ、2022年に自動運転レベル3の市販車を発売へ(2021年11月16日付)

韓国ヒュンダイの自動運転開発責任者が、2022年にも自動運転レベル3を搭載した自家用車を発売する計画であることを明かしたようだ。2022年発売予定の同社の高級ブランド「Genesis G90」の新型に搭載する予定という。

実用化で先行するホンダを追いかける第2集団が徐々に鮮明になってきた印象で、ヒュンダイ、BMW、メルセデスベンツ(ダイムラー)が2022年までにレベル3搭載車を市場に送り出す予定となっている。

各社のレベル3システムのパフォーマンスは、国際基準に従っているため現状ほぼ同一で、一番の違いはどの国で実装するかという点に尽きる。ヒュンダイは韓国、BMWは北米、メルセデスはドイツを選択した。各国とも国家レベルで自動運転実装に積極的という共通点がある。

今後の普及期においては、国としての取り組みの重要性が改めて浮き彫りとなりそうだ。

LiDAR企業の売上高ランキング!自動運転向けセンサー、1位は?(2021年11月20日付)

新規株式公開が相次ぎ、本格的な市場化が始まったLiDAR業界。自動運転の「目」としてレベル3やレベル4に実装されるのみならず、高度なレベル2に採用するケースも増加傾向にあり、右肩上がりの成長がしばらく続く見込みだ。

この記事では、LiDAR開発各社の決算をもとに、売上高ランキングを作製している。1位は自動運転向LiDARのパイオニア的存在Velodyne Lidarで、Luminar Technologies、Ousterと続いている。

LiDAR需要は従来の実証向けから、レベル2や3、ひいてはレベル4の量産向けに拡大しており、今後は大型契約によってランキングが大きく変動していく可能性が高い。

各社の開発動向とともに、気になる契約の行方にも要注目だ。

■欧州初!仏新興企業EasyMile、レベル4自動運転で公道走行許可(2021年11月24日付)

仏EasyMileが、同国運輸省などからドライバーレスのレベル4による公道走行の許可を取得したと発表した。同社によると、ドライバーレスでの公道走行認可は欧州初という。

フランスでは、公道における自動運転走行が2022年9月から解禁される見込みで、技術安全性などを証明したEasyMileが、これに先立つ実用実証としてアルストム社と共同で医療キャンパスで自動運転公共サービスを行う。

同所では、今年3月からセーフティドライバー同乗のもと実証を行っているようで、自転車や歩行者、自動車などが入り混じる施設入口と駐車場を結ぶ600メートルのルートで自動運転車を走行させている。今後数カ月以内に無人化に移行する計画としている。

欧州では、ドイツも法改正を行い、2022年中にレベル4サービスを解禁する予定だ。今後、こうした国に実用化を目指す各社が続々と集まってくる可能性が高そうだ。

■【まとめ】レベル3市場本格化に向け前進

BMW、ヒュンダイ、メルセデスベンツのレベル3市場への参入は、世界にどのようなインパクトを与えるのか。こうした動向に中国政府が敏感に反応し、同国におけるレベル3にゴーサインを出す可能性も考えられる。2022年は大きく動き出す年になりそうだ。

2021年を締めくくる12月は、これまで以上のビッグニュースが飛び出すかもしれない。引き続き自動運転分野の進展に注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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