日本、自動運転レベル4はいつから?ODD拡大ではデータの網羅性も鍵(深掘り!自動運転×データ 第15回)

ステップアップの鍵は?国内解禁は2020年代?





いよいよ自動運転レベル3が日本で解禁されることになり、次は自動運転レベル4の実現時期に注目が集まる。レベル3からレベル4へとステップアップするための技術要件は何か。そして、レベル4はいつごろ解禁されるのか。

レベル3の次の段階となるレベル4の国内解禁時期について、大胆予測してみよう。

■レベル3からレベル4へのハードル

自動運転レベル3は、高速道路など一定のODD(運行設計領域)内において自動運転システムがすべての運転を担い、ドライバーは運転操作から解放されるが、システムから要請があった際にはドライバーは直ちに手動運転を行わなければならない。

自動運転システムを主体に考えると、ODD内でもシステムに何らかの不安要素が生じれば運転操作をドライバーに要請できるため、ドライバーをセーフティ要員として扱えるのだ。また、基本的に手動運転が可能なため、万が一自動運転システムに不具合が生じた場合も問題なく走行することができる。

一方、自動運転レベル4は、ODD内においてはシステムが完全に自律して車両を制御しなければならない。基本的にセーフティドライバーも介在しないため、万が一の際は、緊急停止するかバックアップシステムなどによって対処する必要がある。

レベル4は主に自動運転バスやタクシーなどの移動サービスに活用されることになるため、緊急停止という措置はサービスとして致命的となる。乗客が置き去りになるからだ。現場で柔軟に対応できるスタッフがいないため、通信でオペレーターと話す以外にない。

バックアップシステムも作動しないような状況に陥った場合を想定すると、レベル3とレベル4では現場において即座に対応できるか否かが大きく異なってくるのだ。万が一事故を起こした際なども考えると、その違いは思いのほか大きい。

ドライバー不在の自律走行は、通常の走行時以外の対応も「自律」して行われなければならないのだ。「完全」自動運転といわれるレベル4の難しさはこの点に集約される。

また、レベル4は多くの場合でレベル3とODDが異なる。レベル3の大半は自動車専用道路を主体とし、それ以外の道路は手動運転で対応するが、移動サービス主体のレベル4は、仮想的に線引きした地理的境界線(ジオフェンス)内において自動運転を可能にしなければならないケースが多くなる。

例えば、空港から主要駅までの区間や特定のバス路線、一定エリア内におけるタクシー営業などだ。こうした領域を広げていくためには、走行する道路を事前にマッピングするなどインフラデータを蓄積するほか、他車や歩行者の介在状況を動的に把握するなど、ダイナミックデータの網羅性なども鍵となってくる。

レベル4では、より多くのデータを収集・解析する必要が生じるのだ。

【参考】自動運転レベル4については「自動運転レベル4の基礎知識と進捗まとめ」も参照。

■自動運転レベル4開発をリードする企業は?

海外では、グーグル系ウェイモが2019年終わりにセーフティドライバーなしのレベル4自動運転タクシーを開始し、頭一つ抜きんでている状況だ。

これを猛追する中国勢は、百度(バイドゥ)やWeRide、Pony.ai、AutoXなどが自動運転タクシーの実証を進めており、2020年にも実用域に達する可能性が高そうだ。

米国勢では、GM・Cruise(クルーズ)、Tesla(テスラ)、Uber(ウーバー)がそれぞれレベル4の実現目標を2020年に定めており、各社の動向に注目だ。

日本国内では、ZMPが2020年を目標に据えるほか、トヨタが東京オリンピック・パラリンピック会場や夏期に実施する体験試乗会で、コンセプトカーのe-PaletteやLQなどを活用する。また、自動運転の研究開発を進めるTRIも、2020年7月~9月までの期間、自動運転実験車「TRI-P4」の同乗試乗体験やレベル4相当の自動運転デモンストレーションを実施する予定だ。

このほか、駐車場でレベル4を実現する自動バレーパーキングも世界各地で産声を上げそうだ。海外ではボッシュとダイムラーのドイツ勢、国内ではパナソニックなどが開発に力を入れている。

■早めに解禁が進む場合は2023年ごろ?

国内では、2020年にも実証実験の枠組みを利用したレベル4による自動運転移動サービスが実現する見込みだが、果たして本格的な解禁はいつからだろうか。

官民ITS構想・ロードマップ2019では、自家用車の高速道路における完全自動運転の市場化を2025年ごろと見据えているが、国際間競争で優位に立つべく計画を早める可能性もあるだろう。

特に自家用車におけるレベル4の場合、高速道路のインターチェンジからインターチェンジ間においてあらゆる状況に対応可能な自動運転システムを構築することになるが、これはODDを拡大しつつ精度を上げたレベル3の延長線上にあるとも言える。

レベル3の実用化により各メーカーの研究開発にいっそう弾みがついた場合、思いのほか早く実現する可能性も考えられるだろう。

また、レベル4の主力となる移動サービスも、実用実証の進展具合によっては本格的な解禁が早まることも想定される。

技術のみならず社会受容性にも左右されるところだが、現在(2020年)から3年後の2023年には条件付きで解禁されても決しておかしくはないものと考える。

■計画通りに進む場合は2025年ごろ?

計画通りに進めば、レベル4解禁は2025年ごろとなる。自動運転への理解が深まり、また高精度3次元マップ・ダイナミックマップをはじめインフラ協調システムが確立し、インフラや情報センター、各車両がやり取りするデータの基準作成など、取り組むべき課題はまだまだある。

レベル3の実現や主要幹線道路におけるレベル2の普及で自動運転への理解が深まり、レベル4技術が熟成されるまで腰を据えて待つ――というのが、安全性を優先する日本らしさとも言えそうだ。

■【まとめ】レベル4解禁は遠くない 通年実証で情勢が変わる

計画通り順当に進んでも、5年後にはレベル4が解禁されると考えると、決して遠い未来の話ではないことがよくわかる。現に海外では一部実用化が始まっており、ウェイモはODDの拡大に向け躍起となっている。

ウェイモの実用化は、技術開発力のみならず同一地域において通年で実証を繰り返したことも大きい。一定のエリアにおける理解促進やマッピング、インフラ協調など実現しやすいからだ。

国内でも、期間限定でなく通年で自動運転実証を受け入れる自治体・企業が現れれば、情勢は大きく変わるのかもしれない。

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