自動運転レベル3の「罠」、解決の鍵はドラレコにあり?(深掘り!自動運転×データ 第37回)

ADAS化進むドライブレコーダー



条件付きで自動運転が可能になる「自動運転レベル3」が法的課題をクリアし、本格的な市場化をまもなく迎えようとしている。ただ、自動運転システムと人間であるドライバーが混在することを危険視する声も少なくない。「レベル3の罠」だ。

このレベル3の罠に、ドライブレコーダーが活躍するかもしれない。レベル3の罠とともに、安全運転支援に向けたドラレコの可能性について解説していく。

■レベル3の罠とは?

レベル3は、基本的にドライバーが手動運転を行うが、高速道路など一定条件下で自動運転が可能となるレベルを指す。例えば「好天時、高速道路や高精度3次元地図が整備された自動車専用道において時速60キロ以下で走行する場合」といった具合だ。

ただし、条件下においてもシステムが何かしらの危険を察知し、手動運転への交代を要請した際は、ドライバーは速やかに運転を行わなければならない。ドライバーは自動運転中も一定の緊張状態を保っておかなければならないのだ。

スマートフォンやカーナビの操作はOKだが、睡眠をはじめすぐに運転動作に戻れない行為は厳禁だ。周囲の視界から目をそらす「アイズフリー」は可能だが、運転を全く気にしない「ブレインフリー」はレベル4以降となる。

ここに「罠」がある。自動運転を過信し、気を緩め過ぎたドライバーがすぐに運転動作に戻れないケースが懸念されているのだ。実際、ADAS(先進運転支援システム)にあたる比較的高度なレベル2において、運転操作を放棄したドライバーによる事故が海外で発生している。

2020年9月にも、昼寝をしながらレベル2車両でカナダの高速道路を運転していた男が逮捕されている。こうした事例がレベル3で多発する可能性が指摘されているのだ。

■レベル3の安全対策は?

レベル3車両には、ドライバーの挙動を監視するドライバーモニタリングシステム(DMS)や、万が一の際に車両を安全に停止するミニマムリスクマヌーバー(MRM)機能が備えられる。

DMSは、車内に設置されたカメラなどがドライバーを常時監視し、居眠りや体調不良などを検知する。自動運転システムから手動運転の要請があった際、ドライバーが速やかに反応するかもチェックし、運転を交代しない場合は警告を発する。

再三の警告に従わない場合、運転継続は困難と判断し、自動運転システムは車両を減速して路肩などに安全に停車する。場合によっては、SOSコールも自動で行ってくれる。

また、万が一の事故の際は、搭載が義務化されている作動状態記録装置が効果を発揮する。事故時の車両制御が手動によるものか自動運転システムによるものなのかをしっかりと記録し、事故の原因や責任の所在を明確にするのに役立つ。

■ドライブレコーダーによるDMS機能

レベル3に必須となるDMSだが、DMS機能を備えたドライブレコーダーもすでに市販化されている。近年のドラレコは車内向けのカメラを搭載したモデルも珍しくなく、車内向けカメラをDMSに活用しているのだ。

例えば2019年発売の通信型2カメラドラレコ「TMX-DM03」には、車内カメラで眠気やわき見を検知する機能が備わっている。AIを活用したアルゴリズムにより、まぶたの開閉時間やまばたきの回数、顔の傾きなどを検知し、リアルタイムで眠気を判断して警告を発する。

台湾に本社を構えるVIA Technologiesの「VIA Mobile360 D700 AIダッシュカム」では、車内カメラで注意散漫な運転やドライバーの疲労、電話の利用、喫煙などの危険な行動を特定できる。日本ユニシスも2019年、ドライブレコーダーに交通違反をリアルタイムで検知・通知できる機能を追加したと発表している。

■【まとめ】DMSはドラレコが担う時代に?

このように、ドラレコに一定のDMS機能を持たせる研究開発は年々進化を遂げている。近い将来、ドラレコがDMSを担う時代が訪れるかもしれない。

さらに言えば、こうしたドラレコの開発企業などは、データを扱うためのストレージについても慎重に考える必要がある。DMS機能が搭載されるのであれば、ドラレコのストレージでより信頼性や堅牢性が求められるからだ。

ストレージ開発大手の米Western Digitalは、検証用に車載用フラッシュストレージを無償提供するプログラムを実施している。プログラムでは、利用目的に応じて5製品の中から利用目的に応じて選択することが可能だ。

プログラムについての詳しい内容は「検証用フラッシュストレージの無償提供プログラム」から確認できる。

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